会社でPMをやっていると、「この経験を外でも売れないか」と考える時期が来ます。ところが求人を見ても、契約の形や稼働の決め方がよく分かりません。
業務委託PMは、成果物ではなく「進める役割」と稼働時間を提供する仕事です。契約は多くの場合、民法の「準委任」で結ぶと整理しやすくなります。
揉める原因の大半は、契約前に決めていない項目です。この記事では、法令の原文と、副業で業務委託PMを続けている運営者の作業ログから、決めておく5項目をまとめます。
この記事でわかること
- 業務委託PMの仕事内容と、会社員のPMとの違い
- 準委任と請負の違い(民法の条文)
- 契約前に決める5項目と、その書き方
- フリーランス新法で発注側の義務になったこと
- 会社員のまま副業で受けるときの3つの確認
- 運営者がAIで回している実務(作業ログより)
pm-linkle編集部が作成しました。調査日は2026年11月4日です。民法はe-Gov法令検索、フリーランス新法と副業ガイドラインは厚生労働省、確定申告は国税庁の原文を確認しています。運営者の実務は、2026年10月22日〜11月3日の作業ログに残っている範囲だけを書いています。
目次
- 結論:業務委託PMは「役割と時間」を売る仕事です
- 業務委託PMの仕事内容と、会社員PMとの違い
- 契約は準委任か請負か:民法の条文で確かめる
- 契約前に決める5項目
- 稼働の決め方:週1日は月何時間か
- フリーランス新法で発注側の義務になったこと
- 会社員のまま副業で受けるときの3つの確認
- 運営者が業務委託PMをAIで回している実例
- 今日やることは3つです
- よくある質問
結論:業務委託PMは「役割と時間」を売る仕事です

業務委託PMは、プロジェクトを前に進める役割を、社外の立場で引き受ける仕事です。雇用ではなく、仕事の委託として契約します。
会社員のPMと違うのは、守ってくれる就業規則がないことです。業務の範囲・稼働・報酬・情報の扱いを、すべて契約で決めます。
| 項目 | 会社員のPM | 業務委託PM |
|---|---|---|
| 契約 | 雇用契約 | 業務委託契約(多くは準委任) |
| 働く時間 | 就業規則で決まる | 契約で決める(週何日・何時間) |
| 報酬 | 給与 | 月額固定か時間精算 |
| 範囲 | 会社の指示で広がる | 契約に書いた範囲だけ |
| 税金 | 年末調整 | 自分で確定申告 |
契約に書いていない仕事は、引き受けない前提で考えてください。範囲を決めずに始めると、作業が増えても報酬は増えません。
業務委託PMの仕事内容と、会社員PMとの違い
業務委託PMの仕事は、会社員のPMとほぼ同じです。違うのは、社内の人ではなく外部の人として関わる点です。
運営者の受託案件で、毎週くり返している仕事は次の4つです。
- 定例会議のアジェンダ作成と進行
- WBS(作業の一覧と期限)の更新
- 要件のヒアリングと、仕様の整理
- 開発会社や制作会社との調整・確認
外部の立場だと、社内の事情を知らないまま判断を求められる場面があります。そのため、決めたことを毎回文字で残す役目が、会社員のとき以上に重くなります。議事メモとWBSが、自分を守る記録にもなります。
社内の稟議や人事評価には関わらないのが一般的です。その代わり、成果を見せる手段は定例の資料と進み具合だけになります。
契約は準委任か請負か:民法の条文で確かめる
民法には「業務委託」という名前の契約はありません。中身によって、民法の「請負」か「委任・準委任」に分かれます。
民法(e-Gov法令検索)の条文は、次のとおりです。
- 第632条(請負):仕事を完成することを約束し、その結果に報酬を払う契約
- 第643条(委任):法律行為をすることを委託する契約
- 第656条(準委任):法律行為でない事務の委託に、委任の規定を準用する
PMの仕事は、会議を回し、課題を整理し、関係者を動かすことです。法律行為ではない事務の委託なので、多くの場合は準委任と整理されます。最終的には、契約書の書き方と実態で判断されます。
準委任は、事務を処理すること自体に報酬を払う形が基本です。ただし、成果に報酬を払う形(民法第648条の2)も選べるので、どちらにするかを契約書で決めます。
一方で、「仕様書一式を納品する」と書くと、請負に近い読み方をされることがあります。成果物を約束する部分があるなら、その範囲を契約書で分けて書いてください。
契約前に決める5項目

契約書のひな形は発注側が用意することが多いです。受ける側は、次の5項目が入っているかを確かめます。
項目1:業務の範囲
「PM業務一式」では範囲が決まりません。定例の運営、WBSの管理、要件整理など、やることを並べて書きます。
やらないことも書いておくと、後で揉めにくくなります。たとえば「デザイン制作」「実装」「社内稟議の資料作成」などです。
項目2:稼働の量と連絡できる時間
週何日・月何時間か、上限と下限を決めます。会社員の副業なら、平日の日中に連絡を返せないことも先に伝えます。
定例の曜日と時間は、契約前に固定してください。本業の会議とぶつかると、一番大事な場に出られなくなります。
項目3:報酬と精算の方法
月額固定か、時間精算かを決めます。時間精算なら、上限を超えたときと、下回ったときの扱いも書きます。
あわせて、支払日と振込手数料の負担も確かめます。フリーランス新法の対象なら、支払期日には後で触れるルールがあります。
項目4:成果物と資料の扱い
作った資料やWBSの権利を、どちらが持つかを決めます。ひな形やテンプレートを他の案件でも使いたいなら、その旨を書いておきます。
項目5:秘密保持とAIの利用
秘密保持の範囲と期間を決めます。2026年の契約で必ず確かめたいのが、生成AIに資料や議事録を入れてよいかどうかです。
AIで議事録やWBSを作るなら、使うサービスと、入れてよい情報の範囲を先に合意してください。契約書に書かれていなければ、発注側に確認してから使います。
稼働の決め方:週1日は月何時間か

業務委託PMの稼働は「週1日」「週2日」のように話すことが多いです。月の時間に直すと、報酬の計算がずれません。
1日8時間で週1日なら、4週で32時間です。週2日なら64時間になります。
報酬は「時間単価 × 月の稼働時間」で考えると、条件を比べやすくなります。月額で提示されたら、稼働時間で割り戻して時間単価を出してください。
注意したいのは、定例の前後に出る「見えない稼働」です。資料の準備、議事メモ、チャットの返信は、会議の時間より長くなりがちです。
運営者は、この準備の時間をAIで縮めています。具体的なやり方は後の実例で紹介します。
PMの単価の相場は、公的な統計が見つかりませんでした。募集サイトの数字は時期と条件で変わるため、この記事では載せていません。
業務委託PMの仕事内容と契約で決めるを仕事レベルで扱えるようになったら、次は週1〜から取れる継続案件です。
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フリーランス新法で発注側の義務になったこと
従業員を使わない個人が事業者から業務委託を受けるなら、フリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が関わります。会社員の副業でも、事業として受けていれば対象です。2024年11月1日に施行されました。
厚生労働省のフリーランス・事業者間取引適正化等法のページでは、発注事業者の義務として次が挙がっています。
- 業務委託をしたときの取引条件の明示
- 給付を受領した日から、原則60日以内での報酬の支払い
- ハラスメント対策のための体制整備など
60日以内の支払いやハラスメント対策は、従業員を使っている発注者に課される義務です。発注者の規模によって、かかる義務の範囲が変わります。
取引条件の明示は、口頭の依頼だけで始まる案件を防ぐ役に立ちます。条件が書面やメールで届かないときは、受ける側から確認を求めてください。
法律の細かい対象や、振込手数料の扱いは副業とフリーランス新法の記事で詳しく整理しています。
会社員のまま副業で受けるときの3つの確認
会社員のまま業務委託PMを受けるなら、本業の会社との関係を先に確かめます。運営者も、上場企業の現役PMのまま副業で受けています。
確認1:就業規則で副業がどう扱われているか
厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインは、令和4年7月に改定されています。
モデル就業規則では、勤務時間外に他の会社の業務に従事できる、とされています。ただし、自分の会社の就業規則が同じとは限りません。届け出や許可が必要か、先に読んでください。
確認2:秘密保持と競業避止
ガイドラインでは、働く人が意識すべきこととして、職務専念義務・秘密保持義務・競業避止義務が挙がっています。
本業と同じ業界の会社から受けるときは、とくに慎重に判断してください。本業で知った情報を、受託先で使わない線引きが要ります。
確認3:確定申告と住民税
業務委託の報酬は給与ではないため、自分で申告します。国税庁のタックスアンサー(No.1900)では、給与を1か所から受けて年末調整を受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(給与収入が2,000万円を超える人などは別)。
20万円以下でも、住民税の申告は別に必要です(鹿児島市の案内など、お住まいの市区町村で確認できます)。手順は副業の確定申告のやり方に、会社に知られる仕組みは副業が会社にバレない方法にまとめています。
運営者が業務委託PMをAIで回している実例

ここからは、運営者の作業ログに残っている実務です。社名と案件の中身は伏せています。
運営者は本業を続けながら、副業でEC構築の業務委託PMやメディア運営を受けています。限られた時間で回すため、PMの定型作業をAIに任せています。
定例の前にアジェンダとWBSを更新する
2026年10月28日〜11月3日の作業ログでは、6日分のセッションに同じ依頼が最初の指示として残っています。「本日定例があるので、アジェンダ作成とWBSの更新」という依頼です。
前回の議事メモと進み具合をAIに渡し、今日決めることの案を出させます。人がやるのは、その案を見て順番と論点を直すところです。
ヒアリングシートを先に作って持っていく
2026年10月26日には、開発要件を聞く会議のためのヒアリングシートをAIで作る依頼をしています。先方の資料の書式に合わせて作る指示でした。
質問を先に並べておくと、会議の時間を確認に使えます。聞き漏れが減るのも、外部PMには大きい点です。
調査を当日中に返す
2026年10月28日には、Shopifyの上位プランの違いと活用方法を調べ、報告にまとめる依頼をしています。「調べておきます」で持ち帰らず、その日のうちに返すための使い方です。
実装をAIに分け、別のAIにレビューさせる
開発を伴う案件では、仕様書を正として作業をタスクに分けています。実装した差分は、別のAIがレビューし、指摘の修正後に再レビューします。この流れは2026年10月26日・27日と11月2日のログに残っています。
AIの出力は、そのまま先方に出していません。数字・日付・固有名詞は、人が元の資料と照らして確かめています。
Claude Codeで仕事の定型作業を仕組みにする手順は、こちらでまとめています。Claude Codeで副業はできる?非エンジニアが始める手順
今日やることは3つです
最後に、今日のうちにできることを3つに絞りました。
- 自分の会社の就業規則で、副業の届け出や許可の決まりを読む
- 受けたい案件の「範囲・稼働・報酬・成果物・秘密保持」を5行で書き出す
- 週何日なら定例に出られるかを決め、月の稼働時間に直す
案件の資料や指示をAIにまとめて渡す方法は、Claudeのプロジェクトの使い方で整理しています。請求書の登録番号が気になる人は、副業のインボイスの記事も確かめてください。
受託のほかに、仕組みで稼ぐ方法も考えている人へ。AI記事を毎朝自動で公開している流れを公開しています。WordPress自動投稿の3つの方法と注意点
よくある質問
業務委託PMについて、調べていて出てきやすい疑問をまとめました。
Q1. 業務委託PMの契約は準委任と請負のどちらですか。
A. 会議の運営や課題整理のような事務を任されるなら、多くの場合、民法の準委任と整理されます。成果物の完成を約束する部分があるなら、その範囲だけ請負に近くなるので、契約書で分けて書いてください。
Q2. 会社員でも業務委託PMを受けられますか。
A. 受けられます。先に就業規則で副業の扱いを確かめてください。厚生労働省の副業・兼業ガイドラインでは、秘密保持義務と競業避止義務を意識することが挙がっています。
Q3. 週1日の稼働は、月に何時間ですか。
A. 1日8時間で4週なら32時間です。報酬は「時間単価 × 月の稼働時間」で考えると、条件を比べやすくなります。
Q4. 報酬はいつまでに払ってもらえますか。
A. フリーランス新法の対象で、発注側が従業員を使っている事業者なら、給付を受領した日から原則60日以内に支払う義務があります。契約時に支払日を確かめてください。
Q5. 業務委託PMの収入は確定申告が必要ですか。
A. 給与を1か所から受けて年末調整を受けている会社員なら、給与以外の所得の合計が20万円を超えると必要です。20万円以下でも、住民税の申告はお住まいの市区町村に別に必要です。
Q6. 議事録や資料をAIで作ってもよいですか。
A. 契約の秘密保持の範囲しだいです。使うサービスと、入れてよい情報の範囲を、発注側と先に合意してから使ってください。
この記事の調べ方と、埋まらなかった論点
- pm-linkle編集部が2026年11月4日に調査して作成しました。民法第632条・第643条・第656条はe-Gov法令検索のAPIで条文を取得しました。フリーランス新法は厚生労働省のページ、副業ガイドラインは厚生労働省の本文(令和4年7月8日改定版)、確定申告は国税庁のタックスアンサーNo.1900、住民税の申告は鹿児島市の案内で確認しました。民法第648条の2も同じAPIで確認しています。
- 運営者の実務は、2026年10月22日〜11月3日の作業ログに残っている範囲だけを書いています。社名・案件の中身・単価は書いていません。
確認できなかった論点
- 業務委託PMの単価の相場。公的な統計が見つからず、募集サイトの数字は時期と条件で変わるため載せていません。
- 準委任と請負の線引きが争いになった場合の判断。契約書の書き方と実態で変わるため、個別の契約は専門家に確認してください。
業務委託PMの仕事内容と契約で決めるを仕事レベルで扱えるようになったら、次は週1〜から取れる継続案件です。Midworksはフリーランス向けに正社員並みの保障を付けたエージェントで、PM・PMO・上流の案件が多めです。単価の相場を見るだけでも、自分の時間の値段が分かります。
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