古物商副業【2026年】未開封の新品も古物です

副業
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営業職として10年間活動、某営業会社で2000人中2位、プライム上場企業にて年間TOPセールスなどを経て、サービス開発をするためにPDMにジョブチェン、現在進行形でPM/PDMをしています。上場企業の昇進レースに見切りをつけ、副業として業務委託でPM/PDM/PMOを複数案件並列で兼務、副業が年収1,000 万を突破したので、ナレッジを「会社の外で稼ぐ PM スキルの循環」をテーマに、テンプレ・講座・コミュニティで同世代の跳躍を支援しています。

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フリマアプリの画面を見ながら、同じことを考える人は多いはずです。この仕入れ方は許可が要るのか、要らないのか。

ユイカ(副業初心者)
メルカリで売れるようになったので仕入れてみたいんですけど…古物商の許可って要るんでしょうか。新品を扱うなら要らないって書いてあって…

リンク(運営者)
そこで止まる人、すごく多いです。結論から言うと、新品かどうかは関係ありません。警察庁の解釈運用基準は「一度でも一般消費者の手に渡った物品は、未使用でも古物に当たる」と書いています。

ユイカ(副業初心者)
えっ、未開封でもですか?じゃあフリマで仕入れた新品も…

リンク(運営者)
古物です。分かれ目は「新品か中古か」ではなく「誰の手を経たか」なんですよね。この記事で、要る場合と要らない場合を条文の側から全部並べますね。

警察庁の解釈運用基準は、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても「古物」に該当すると述べています。令和8年5月14日の警察庁丙生企発第51号です。箱を開けていなくても、古物になります。

許可が要るかどうかを分けているのは「新品か中古か」ではなく「誰の手を経たか」です。

この記事でわかること

  • 未開封の新品でも、一度消費者の手に渡っていれば古物に当たること(警察庁丙生企発第51号)
  • 許可が要らない場合が5つあり、そのうち4つは「仕入れていない」という共通点を持つこと
  • 申請手数料19,000円が、不許可でも取下げでも返ってこないこと(群馬県警)
  • 標準処理期間が40日で、そこに行政庁の休日が含まれないこと(東京都公安委員会の審査基準)
  • 相手方の確認が免除される金額は1万円だが、7品目はその免除から外れること(施行規則第16条)
  • 2025年10月1日から、エアコン室外機・ヒートポンプ・電線・グレーチングが免除対象から外れたこと
  • 氏名等のウェブ掲載義務が外れるのは「特定古物商」で、その定義が法第8条の2第1項にあること(自分のURL=送信元識別符号を届け出る売り方かどうかで分かれます)
  • 銅主体の金属くずの買受けに、2026年6月1日から古物商許可とは別の届出が要ること(金属盗対策法)
  • 営業所の外で古物を買い取ると、無許可営業とは別の条文で1年以下の拘禁刑になること(法第32条)
  • 自分の不要品の売却は非課税だが、1個30万円超の貴金属・書画骨とうは外れること(所得税法施行令第25条)
  • 相手の自宅で買い取る出張買取に、特定商取引法の訪問購入(不招請勧誘の禁止・クーリング・オフ8日間)がかかること
  • 許可で氏名が出る経路が標識・許可証・ウェブ掲載の3つあり、標識の掲示は免除されないこと

pm-linkle編集部が作成しました。調査日は2026年10月1日、専門家の監修は受けておらず、条文と公的資料の原文を引用する方針です。調べ方と、確認できなかった論点は記事の末尾にまとめています。

不要品を売るところから始める道は別にまとめてあります。メルカリ副業の始め方は手数料と発送の話で、売る場所の設計が主題です。この記事は仕入れる側の話で、主題は許可の要否です。同じ「物を売る」でも、かかる法律が違います。

まず自分の仕入れ方が許可の要る側かを確かめてください。許可の要否の分かれ目へ進む

目次

結論:許可の要否は「新品か中古か」では決まりません

問屋から仕入れた新品と個人から仕入れた未開封品で、古物に当たるかどうかと許可の要否が変わることを比較した図

古物商許可が要るかどうかを決めているのは、品物の状態ではありません。その品物が誰の手を経てきたか、です。

警察庁の解釈運用基準は、法第2条第1項の「使用のために取引されたもの」を次のように説明しています。

「小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても『古物』に該当する。」

同じ未開封のゲーム機が、仕入れ先によって古物になったりならなかったりします。メーカーや問屋から直接買えば古物ではありません。フリマアプリで個人から買えば古物です。

仕入れ先 品物の状態 古物に当たるか 古物の買受けに当たるか 転売に許可が要るか
メーカー・問屋から直接 新品 当たりません 当たりません 要りません
個人・フリマアプリ 未開封の新品 当たります 当たります 要ります
個人・フリマアプリ 中古 当たります 当たります 要ります
リサイクルショップ・他の古物商 新品・中古 当たります 当たります 要ります
小売店の店頭で自分が消費者として購入 新品 自分に渡った時点で当たります 当たりません 転売目的で買っていれば要ります

2行目が、いちばん誤解されている行です。未開封の新品でも、個人から買えば古物の買受けになります。

1行目と5行目の違いは、古物になる時点です。問屋から仕入れた新品は、まだ誰の手にも渡っていないので古物ではありません。店頭で自分が買った新品は、その瞬間に古物になります。

ただし5行目は、古物になっても買受けには当たりません。消費者として買っただけで、古物商として買い取ったわけではないからです。だから自分で売る分には許可が要りません。

最初から売るために店頭で買っていれば、話が変わります。千葉県警察は「転売目的で購入した物」を許可が必要な側に置いています。この線は第3節で扱います。

条文を並べていていちばん手が止まったのが、この非対称でした。品物は同じで、書類だけが違います。「新品だから古物商許可は不要」という説明は、仕入れ先を問屋に限った場合しか成り立ちません。

この記事の前提

以下は、個人が副業として古物の売買を行う場合を想定しています。古物市場主(法第2条第2項第2号)と古物競りあつせん業者(同第3号)は許可・届出の制度が別なので扱いません。

古物の定義は3つの型に分かれています

古物営業法第2条第1項は、古物を3つの型で定義しています。1つでも当たれば古物です。

条文の原文は次のとおりです。

「この法律において『古物』とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。」

読みにくい条文ですが、分解すると3つです。

型 条文の文言 具体例
①使用済み 「一度使用された物品」 着た服、読んだ本、使った家電
②未使用だが取引済み 「使用されない物品で使用のために取引されたもの」 消費者が買った未開封品
③手入れをしたもの 「これらの物品に幾分の手入れをしたもの」 清掃・修理・部品交換をした中古品

②の型があるために、未開封でも古物になります。「使用のために取引された」とは、自己が使用するか他人に使わせる目的で購入されたことを指す、と解釈運用基準は述べています。

③の「幾分の手入れ」も見落としやすい型です。買い取った中古品を磨いて売っても、古物であることは変わりません。手入れをしたから新品になる、という扱いにはなりません。

除かれているのは大型機械類です

定義の括弧の中には、含まれるものと除かれるものが同時に書かれています。

含まれるのは鑑賞的美術品と、商品券・乗車券・郵便切手などの証票です。金券類が古物に入っているため、チケットの転売にも古物営業法がかかります。

除かれるのは大型機械類です。条文は船舶・航空機・工作機械を例示し、具体的な範囲を政令に委ねています。

副業の規模で船や航空機を扱うことはまずありません。ただし工作機械が入っているので、業務用の大型設備を扱うなら範囲を確認してください。

自分の売り方が許可の要らない側に収まるかを先に見るなら、こちらへ。許可が要らない5つの場合へ

ユイカ(副業初心者)
要らない場合もあるんですね。どこで分かれるんですか?

リンク(運営者)
共通点は1つで、「買い取っていない」ことです。自分の物、もらった物、自分で輸入した物。お金を払って仕入れていなければ、許可の対象から外れます。この5つを表で並べますね。

許可が要らない場合は5つあります

自分の不要品や無償で得た物の売却は許可が不要で、買い取った物の転売は許可が必要であることを整理したリスト

許可が要らない場合は5つあります。共通点は、買い取っていないという点です。

千葉県警察が公表している整理が最も明確なので、そこから引きます。

# 場合 許可 理由の筋
1 自分が使用していた物を売る 不要 仕入れていない
2 無償でもらった物を売る 不要 買い取っていない
3 処分手数料を取って引き取った物を売る 不要 対価を払っていない
4 自分が売った相手から買い戻す 不要 法第15条の例外と同じ筋
5 自分が外国で買い付けて輸入した物を売る 不要 国内での買受けがない

1から3は、品物が自分の手に来るときにお金を払っていません。古物営業法が規制しているのは「買い受ける」行為で、売る行為そのものではありません。

4は条文側にも例外があります。法第15条第2項第2号が「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合」を確認義務の例外としています。

ただし解釈運用基準は、この例外を狭く読んでいます。「あくまでも自己が売却した物品を当該売却の相手方から第三者を介在させず直接買い受けることに限られる」との記述です。

自己輸入と国内買取は分かれます

5は読み間違えやすい項目です。千葉県警の記述を正確に引くと、こうなります。

販売者自身が外国で買い付けて国内に輸入したものを売るのみであれば許可は要りません。他の業者が輸入したものを日本国内で買い取って売る場合は許可が必要です。

つまり境目は「海外か国内か」ではなく「自分が輸入したか、人が輸入した物を国内で買ったか」です。海外ブランド品の並行輸入でも、国内のバイヤーから買えば古物の買受けに当たります。

BUYMA副業の始め方で扱った買い付けの形は、自己輸入に当たるかどうかで許可の要否が変わります。買い付けを現地のパートナーに任せる形にすると、国内で買い取る形に近づきます。

転売目的かどうかは最初の購入時点で見られます

1の例外には条件が付いています。千葉県警は「転売目的で購入した物」は許可が必要としています。

同じ「自分が買った物を売る」でも、使うつもりで買ったのか、売るつもりで買ったのかで扱いが変わります。不要品の整理は許可が不要で、最初から売るために買った物は許可の対象になります。

この線は自己申告で決まるものではありません。仕入れの頻度、同一商品の数量、販売の継続性といった外形から判断されます。

同じ物を10個まとめて買って順次売るなら、使うつもりだったという説明は通りにくいでしょう。

古物商許可の手数料19,000円は不許可でも返ってきません

申請手数料は19,000円です。この金額は全国共通で、警視庁も長野県警も同じ額を公表しています。

注意すべきなのは返還の扱いです。群馬県警察は次のように明記しています。

「不許可となった場合や申請を取り下げた場合でも、手数料は返却できません。」

許可が下りなかったときに戻ってくる性質のお金ではありません。欠格事由(許可を受けられない事情のこと。第6節で全11号を並べます)に当たらないかを、申請前に自分で確かめる必要があります。

申請の種類 手数料
新規許可申請 19,000円
書換申請 1,500円
再交付申請 1,300円

書換申請は、氏名や住所など許可証の記載事項が変わったときの手続です。再交付は許可証を失ったときの手続です。

手数料のほかに公的書類の実費がかかります

19,000円のほかに、添付書類を取るための費用が別途かかります。

警視庁が個人申請で求めている書類は、許可申請書(施行規則別記様式第1号)、略歴書(職歴を書く書類)、本籍が記載された住民票の写し、誓約書(欠格事由に当たらないことを誓う書類)、身分証明書です。本人と管理者の両方について必要になります。

ネット取引をする場合は、これにURLの使用権限を証明する資料が加わります。自分のショップを開くなら最初から要る書類です。

身分証明書は、本籍地の市区町村が発行する、禁治産・準禁治産の宣告や破産の通知を受けていないことの証明です。運転免許証やマイナンバーカードではありません。

営業所の使用権原を示す書類も求められます。使用権原とは、その場所を営業所として使ってよい法的な根拠のことです。持ち家なら所有、賃貸なら賃貸借契約がこれに当たります。

持ち家なら登記事項証明書、賃貸なら賃貸借契約書の写し、名義が自分でなければ使用承諾書、といった類型で示します。ここが副業でいちばん差し戻されやすい箇所です。

自宅を営業所にするときの確認先

賃貸物件は賃貸借契約の用途制限、分譲マンションは管理規約、公営住宅は入居条件で、営業所としての使用が認められないことがあります。申請してから貸主や管理組合の承諾が取れないと分かると、手数料は戻りません。契約書と規約を申請前に読んでください。

ここは取り違えやすい点です。古物商許可でいう「身分証明書」は、顔写真つきの本人確認書類ではありません。本籍地の役所でしか取れないため、遠方に本籍がある人は郵送請求の日数を見ておいてください。

いつ申請すればいつ始められるのかを逆算するなら、次の節へ。標準処理期間40日の中身を見る

古物商許可の標準処理期間は40日で、休日が入りません

標準処理期間は40日です。この40日に土日祝が含まれないため、カレンダー上は2か月近くかかります。

東京都公安委員会の審査基準(古物営業法第3条)は、標準処理期間を次のように定めています。

「40日(行政庁の休日は含まない。)」

行政庁の休日を除いた40日なので、実日数はおおむね8週間です。週休2日と祝日を考えると、申請から許可証の交付までに2か月弱を見るのが現実的でしょう。

都道府県警察 公表されている期間 休日の扱い
警視庁(東京都公安委員会) 40日 行政庁の休日は含まない
福岡県警察 40日間 記載なし
神奈川県警察 概ね40日 記載なし
千葉県警察 概ね40日 記載なし
群馬県警察 40日(古物市場主は50日) 記載なし

休日の扱いを明記しているのは、調べた範囲では警視庁の審査基準だけでした。他県も日数の起点は受理日なので、同じ運用である可能性は高いものの、断定はできません。

40日は受理されてから始まります

40日は、書類が受理された日から数えます。書類の不備で差し戻された期間は入りません。

副業で始める人がつまずきやすいのはここです。「40日後に売り始められる」ではなく「書類が揃ってから40日後」です。

身分証明書を本籍地に郵送請求し、住民票を取り、営業所の使用権原を示す書類を用意する。この準備だけで2週間かかることは珍しくありません。

繁忙期に始めたいなら、逆算して3か月前に動くのが安全です。

申請から営業開始までを1本に並べます

節をまたいで出てきた手続を、順番に並べ直します。

順 やること 目安 根拠・備考
1 本籍地へ身分証明書を郵送請求する 1〜2週間 顔写真つきの本人確認書類ではありません
2 本籍記載の住民票の写しを取る 即日〜数日 本人と管理者の両方
3 営業所の使用権原を示す書類を用意する 契約書・管理規約の確認を含む 差し戻しが最も多い箇所
4 ネット取引をするならURLの使用権限を証明する資料を用意する — 自分のショップを開く場合
5 許可申請書(別記様式第1号)・略歴書・誓約書を作る — 取り扱う区分と行商(営業所の外での取引)の別をここで決めます
6 主たる営業所の所在地を管轄する警察署に申請する 手数料19,000円 窓口は防犯係(県警により生活安全課)
7 審査を待つ 40日(行政庁の休日を除く) 起点は受理日
8 許可証の交付を受ける — 記載事項が変わったら書換申請1,500円
9 標識を用意して掲示する — 縦8センチ・横16センチ、紺色地に白文字
10 帳簿を用意して営業を開始する 許可から6か月以内 6か月以内に開始しないと取消しの対象

1から5までが自分の段取り次第で、6から7が警察の時間です。自分で短くできるのは前半だけです。

取っただけで放置すると取消しの対象になります

許可に更新制度はありません。ただし放置してよいわけでもありません。

法第6条は、許可を受けてから6か月以内に営業を開始しない場合と、引き続き6か月以上営業を休止している場合を、許可の取消しの対象としています。

「とりあえず取っておく」という使い方は、条文の側では想定されていません。始める時期が決まってから申請するほうが、制度の建て方に合います。

古物商許可の欠格事由は11号あります

法第4条は、許可をしてはならない場合を11号並べています。これを欠格事由といいます。1つでも当たると許可されません。

19,000円が戻らない制度なので、申請前に自分で突き合わせる価値があります。

号 内容の要約
1号 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2号 拘禁刑以上の刑、または法第31条の罪・刑法の窃盗等の罪で罰金に処せられ、執行を終わった日等から起算して5年を経過しない者
3号 集団的・常習的な暴力的不法行為等をするおそれがある者
4号 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の関係に当たる者
5号 住居の定まらない者
6号 法第24条第1項で古物営業の許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しない者
7号 取消しに係る聴聞の公示後に許可証を返納した者で、返納の日から起算して5年を経過しない者
8号 心身の故障により業務を適正に実施できない者
9号 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(相続人等の例外あり)
10号 法第13条第1項の管理者を選任すると認められない相当の理由がある者
11号 法人で、役員に1号から8号に該当する者があるもの

副業で引っかかりやすいのは1号・2号・5号です。自己破産から復権していない場合、前科がある場合、住民票上の住所が定まっていない場合。

2号・6号・7号はいずれも5年です。過去に当たるものがあるなら、起算日から5年が過ぎているかを先に数えてください。

2号の「拘禁刑以上の刑」は、2025年6月1日施行の刑法改正で懲役・禁錮が拘禁刑に一元化されたことに対応した表現です。

10号は「管理者を置けない人」を外す規定です

10号は読みにくい号ですが、実務では効きます。法第13条第1項は営業所ごとに管理者1人の選任を義務づけています。

管理者は自分が兼ねても構いません。ただし管理者自身にも欠格事由があり、未成年者、法第4条第1号から第7号に該当する者、心身の故障のある者は管理者になれません。

自宅を営業所にして1人で始める場合、申請者と管理者が同一人物になるため、欠格事由は二重にかかります。

管理者が遠方に住んでいて営業所に通えない、という状態も10号で問題になり得ます。常勤できる体制が前提です。

取り扱う区分は13に分かれています

取り扱う古物の区分は13です。申請書には、営業所ごとにこの区分を書きます。

施行規則第2条が「法第五条第一項第三号の国家公安委員会規則で定める区分は、次のとおりとする。」として列挙しています。

# 区分(条文上の名称) 入るものの例
1 美術品類 絵画、彫刻、書画、工芸品
2 衣類 洋服、着物、子供服、帽子
3 時計・宝飾品類 腕時計、指輪、ネックレス、貴金属
4 自動車(その部分品を含む。) 四輪車、タイヤ、カーナビ
5 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。) バイク、原付、マフラー、ミラー
6 自転車類(その部分品を含む。) 自転車、空気入れ、サドル
7 写真機類 カメラ、レンズ、望遠鏡、双眼鏡
8 事務機器類 パソコン、プリンター、電卓、シュレッダー
9 機械工具類 工作機械、電動工具、ゲーム機、スマートフォン
10 道具類 家具、家電、楽器、玩具、フィギュア、トレーディングカード、ゲームソフト
11 皮革・ゴム製品類 バッグ、靴、毛皮
12 書籍 単行本、文庫、コミック、雑誌
13 金券類 商品券、乗車券、郵便切手、株主優待券

区分の名称は施行規則第2条の文言そのままです。「入るものの例」は一般的な運用例で、条文に書かれているわけではありません。迷う商材は管轄の警察署に確認してください。

区分は複数選べます。申請の段階で広く取っておけば、扱う商品を増やすときに変更届出が要りません。

ただし区分を増やすほど、その区分に応じた本人確認と帳簿の運用が必要になります。「とりあえず全部」と選ぶと、確認義務が重い区分を抱え込むことになります。

「道具類」が受け皿になっています

13区分のどれにも当てはまらない物は、実務上「道具類」で扱われます。家具、家電、玩具、楽器、スポーツ用品などが入ります。

フィギュア、トレーディングカード、ゲームソフトも道具類です。ゲームソフトは確認義務の免除から外れる品目なので、区分と義務の軽重が一致しません。

ここが設計として分かりにくい部分です。区分は「申請書に書く分類」で、確認義務の免除から外れる品目は「規則第16条第2項の別の列挙」です。

2つのリストは独立しています。道具類を選んだからといって、確認義務が一律に軽くなるわけではありません。

どの品目で確認義務が重くなるのかを確かめてください。1万円の免除と7品目の例外へ

ユイカ(副業初心者)
許可さえ取れば自由に買い取れる、って思ってました…

リンク(運営者)
そこが落とし穴で。1万円未満なら本人確認を省けるんですが、7品目だけ外れます。書籍とゲームソフトとCDが入っているので、せどりだと100円の本でも確認と記帳が必要です。

ユイカ(副業初心者)
1冊ごとに…?それは地味にきついですね。

リンク(運営者)
だから商材選びが先なんです。単価の低いものほど、1件あたりの手間が利益を削ります。次でどの品目が外れるのか見ていきましょう。

確認が免除される金額は1万円です

1万円未満の買取りで相手方の確認が免除される原則と、免除から外れる7品目を対比したリスト

相手方の確認義務が免除される金額は1万円です。ただし7品目は、金額に関係なく確認が必要です。

法第15条第1項は、古物を買い受けるときに相手方の真偽を確認する措置を求めています。住所・氏名・職業・年齢の確認、署名ある文書の交付、電子署名された電磁的記録の提供、規則で定める準ずる措置のいずれかです。

同条第2項第1号が例外を置き、金額を規則に委ねています。規則第16条第1項は、金額をひと言で決めています。

「法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする。」

1万円未満の買取りなら、原則として確認は要りません。問題は「原則として」の部分です。

号 品目 いつから対象か
1号 自動二輪車及び原動機付自転車(部分品を含む。汎用性のあるねじ・ボルト・ナット・コード等を除く) 2025年9月以前から
2号 エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ 2025年10月1日
3号 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物 2025年9月以前から
4号 光学的方法により音又は影像を記録した物 2025年9月以前から
5号 電線 2025年10月1日
6号 グレーチング(金属製のものに限る。) 2025年10月1日
7号 書籍 2025年9月以前から

この7品目は、1万円未満でも確認義務と帳簿記載義務の両方がかかります。

副業で効くのは3号・4号・7号です

副業の規模で頻度が高いのは、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイ、書籍の3つです。

100円の文庫本を1冊買い取るだけでも、相手方の確認と帳簿への記載が必要になります。これが書籍せどりで見落とされやすい義務です。

4号の「光学的方法により音又は影像を記録した物」は、CD・DVD・Blu-rayを指す条文表現です。レコードは光学的方法ではないので、この号には当たりません。

3号は「専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物」です。家庭用ゲーム機のソフトが対象で、PC用の業務ソフトは「専ら家庭用」に当たりません。

条文の限定が細かいので、扱う商品がどの号に当たるかは個別に読む必要があります。判断に迷う商品は、確認を取る側に寄せるのが安全でしょう。

2025年10月に外れた4品目は金属系です

2025年10月1日施行の改正で、確認義務の免除から外れる品目が追加されました。追加されたのは金属に関係するものです。

警視庁が公表している改正の内容は、規則第16条への品目追加です。追加されたのは次の4つです。

2025年10月1日から1万円未満でも確認が必要になった品目

  • エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)
  • 電気温水機器のヒートポンプ
  • 電線
  • グレーチング(金属製のものに限る。)

室外機とヒートポンプが同じ号に入り、電線と金属製グレーチングがそれぞれ別の号になりました。号の数としては3号分の追加で、品目としては4つです。

グレーチングは、道路や駐車場の側溝にかぶせる格子状の蓋です。金属製のものだけが対象で、樹脂製は外れます。

1件あたりの手間が重くなりました

この改正が入った背景は、金属の窃盗が増えていることにあります。室外機、電線、グレーチングはいずれも屋外に設置され、金属として売れる物です。

2025年10月以降は、3,000円の室外機を1台買い取るだけでも、相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認と帳簿への記載が必要です。単価が低い商材ほど、義務の比重が重くなります。

改正から1年が経った時点で記事を書いていますが、この追加に触れていない解説ページがまだ多く残っています。古い記述を参照すると、記帳漏れになりかねません。

情報の新しさを確かめる目印

古物商の解説で「1万円未満でも確認が必要なのは4品目」と書かれていれば、2025年10月1日より前の情報です。現行の規則第16条第2項は7号まであります。

銅の買取には2026年6月から別の届出が要ります

2026年6月1日から、金属くずの買取りに古物営業法とは別の制度が全面施行されました。盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律です。

金属盗対策法と呼ばれているこの法律は、特定金属くず買受業の届出制度を置いています。古物商許可とは別の手続です。

京都府警察の説明では、特定金属くずは「窃取を防止する必要性が高い金属(銅及び政令で定める金属)により構成されている金属くず」です。切断された銅線ケーブル、破損した室外機、切断された銅板屋根が例に挙げられています。

項目 内容
全面施行 令和8年(2026年)6月1日
届出が要る者 銅を含む金属くずの買取営業で、買取額の半分以上が銅の価格、または買取重量の半分以上が銅の重量である者
届出先 営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(県警により「主たる営業所等」と表記。取扱いは所轄に確認してください)
届出の期限 営業開始の前日まで(施行日時点で営業中の場合は令和8年8月31日まで)
変更・廃止の届出 変更の日・廃止の日から14日以内
本人確認 対面は顔写真付き本人確認書類の提示、非対面は書類の写真と顔写真の送信
記録の保存 本人確認記録・取引記録ともに3年間
届出義務違反 6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又は併科

古物商許可を取っていても、この届出は別に必要です。金属くずは一度使用された物品ではない形で出てくることが多く、古物に当たらない場合があります。

前の節で見たとおり、電線と室外機は2025年10月から古物営業法側でも1万円未満の確認免除から外れました。埼玉県警察が公表している届出の運用と合わせると、金属の買取りには2つの法律がかかります。

不用品回収から入る人がいちばん影響を受けます

副業として「不用品回収と金属買取」から始める形は、資金が小さくても成り立つ側にありました。2025年10月と2026年6月の2つの改正は、どちらもこの領域に当たっています。

時期 改正 影響
2025年10月1日 施行規則第16条に室外機・ヒートポンプ・電線・金属製グレーチングを追加 1万円未満でも確認と記帳が必要に
2026年6月1日 金属盗対策法の全面施行 銅主体の金属くず買受けに届出・本人確認・3年保存が必要に

半年のあいだに規制が2段で入った計算です。この2つに触れていない解説ページがまだ多く残っています。

金属の買取りを扱っていて特定金属くず買受業の届出に触れていない記事は、2026年6月1日より前の情報です。銅の買取を考えているなら、古物商許可だけでは足りません。

帳簿は最終記載から3年です

帳簿等の保存期間は3年です。起点は取引の日ではなく、最終の記載をした日です。

法第18条第1項は、起点を取引の日ではなく記載の日に置いています。

「前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け」

「最終の記載をした日から」なので、1冊の帳簿を使い続けている間は3年が始まりません。帳簿を閉じた日から3年です。

記載事項は法第16条が定めています。

# 記載事項
1 取引の年月日
2 古物の品目及び数量
3 古物の特徴
4 相手方の住所・氏名・職業・年齢
5 法第15条第1項でとった措置の区分(第1号・第4号は区分及び方法)

4号があるため、帳簿は単なる売買記録ではありません。相手方の情報を残す台帳です。

備付け場所は営業所です

条文は「営業所若しくは古物市場に備え付け」と書いています。クラウド上のデータだけで、営業所に何もない状態は条文の文言から外れます。

法第22条第1項は警察職員の立入りと帳簿の検査を定め、同項を拒んだり妨げたりすると法第35条第3号で10万円以下の罰金です。検査に出せる状態で営業所に置いておく必要があります。

帳簿が壊れたり失われたときは、法第18条第2項により直ちに所轄警察署長へ届け出ます。この届出を怠ると法第33条第3号で6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。

副業の規模だと、帳簿を自宅の棚に置いて3年間保管する形になります。営業所を自宅にしている場合、営業所=自宅なのでそこに置けば条文は満たします。

記帳の手間は税務の帳簿とも重なります。副業の経費の記事で帳簿の付け方を確認してください。

古物商の標識は縦8センチ・横16センチです

標識は縦8センチメートル・横16センチメートルで、様式が規則で決まっています。掲示は義務で、色と材質まで指定されています。

法第12条第1項は、掲示する場所まで条文で書いています。

「古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは仮設店舗又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。」

様式は規則第11条で、別記様式第13号もしくは第14号、または第12条第1項の承認を受けた様式です。警視庁が公表している仕様は次のようになっています。

項目 仕様
寸法 縦8センチメートル、横16センチメートル
色 紺色地に白文字
材質 金属、プラスチック又はこれらと同程度以上の耐久性を有するもの

材質に耐久性の指定があるため、紙に印刷したものは様式を満たしません。許可証とは別物なので、許可が下りたら自分で作るか、組合などで購入します。

掲示を怠ると10万円以下の罰金です

標識の掲示義務違反は罰則の対象です。法第35条第2号が法第12条違反を10万円以下の罰金としています。

副業で自宅を営業所にしている場合、ここが悩みどころになります。「公衆の見やすい場所」の解釈は、自宅営業所では営業所内の掲示で足りるという運用が一般的ですが、条文には場所の細則がありません。

玄関先に紺色のプレートを出すことへの抵抗感は、実際に調べていてよく見かける論点でした。管轄の警察署に確認しておくのが確実です。

会社に知られたくないという動機で始める人は、ここで一度立ち止まることになります。副業が会社にバレない方法で扱った住民税の話とは別の経路で、物理的な掲示が発生します。

自分のサイトを持つと氏名の掲載義務が出ます

令和6年4月1日から、氏名等をウェブサイトに掲載する義務が入りました。従業者5人以下なら免除されますが、免除から外れる類型が1つあります。

法第12条第2項は、除外の中にさらに除外を置いています。

「古物商又は古物市場主は、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国家公安委員会規則で定める場合(その者が特定古物商である場合を除く。)を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号(次項において『氏名等』という。)を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。」

括弧の中が効いています。「その者が特定古物商である場合を除く」。特定古物商は、小規模除外の対象から外れます。

規則第13条の2第1項が、除外される場合を2つ定めています。

除外される場合 副業で1人の場合はどうか
常時使用する従業者の数が5人以下である場合 当たります(従業者0人も5人以下です)
当該古物商又は古物市場主が管理するウェブサイトを有していない場合 自分のサイトやショップを持っていなければ当たります

副業で1人でやっているなら、従業者は5人以下です。自分で管理するサイトを持っていなければ、2つとも当たります。

特定古物商の定義は第8条の2にあります

「特定古物商」の定義は、法第12条ではなく法第8条の2第1項の括弧書きに置かれています。

「第五条第一項第六号に規定する方法を用いる古物商(第十二条第二項及び第三項において『特定古物商』という。)」

法第5条第1項第6号が指しているのは、取り扱う古物に関する事項を自動公衆送信により公衆の閲覧に供し、取引の申込みを規則で定める通信手段により受ける方法です。許可申請書にURL(送信元識別符号)を書く類型がこれに当たります。

売り方 送信元識別符号の届出 特定古物商か 5人以下の除外
自分のネットショップ・自己開設サイト 要ります 当たります 適用されません
モールへの出店(自分のストアURLを持つ) 管轄に要確認(要ると読めます) 同左 同左
他社のフリマアプリに1点ずつ出品するだけ 要りません 当たりません 適用されます

分かれ目は「ネットを使うかどうか」ではなく「自分の送信元識別符号を届け出る売り方かどうか」です。

送信元識別符号は、条文がURLを指して使っている言葉です。法第5条第1項第6号が、許可申請書にこの符号を書かせています。

ただしモールへの出店が届出の対象になるかは、モールの形態によって変わります。表の2行目を「読めます」と書いたのはそのためです。自分のストアURLを申請書に書く形になるかどうかを、管轄の警察署に確認してください。

メルカリやヤフオクに個人として出品するだけなら、URLの届出は発生しません。自分のショップを開く段階で、特定古物商の側に移ります。

特定古物商には掲載事項が1つ増えます

法第12条第3項は、特定古物商に対し、氏名等とあわせて取り扱う古物に関する事項も閲覧に供することを求めています。

条項 掲載するもの
法第12条第2項 氏名又は名称/許可をした公安委員会の名称/許可証の番号
法第12条第3項(特定古物商) 上記+取り扱う古物に関する事項

さらに法第8条の2第1項は、公安委員会の側でも特定古物商の氏名・送信元識別符号・許可証の番号を公衆の閲覧に供すると定めています。自分で載せるだけでなく、公的に一覧化されます。

匿名で売りたいという動機とは正面からぶつかる仕組みです。ヤフオク副業の始め方で扱った出品の形から自分のショップに進むと、氏名の開示が前に出てきます。

古物商許可で会社に知られる経路は3つです

古物商許可には、自分の氏名が外に出る経路が3つあります。会社に知られたくないという動機は、住民税の話だけでは終わりません。

経路 条文 何が出るか 避けられるか
標識の掲示 法第12条第1項 氏名(または名称)と許可証の番号 掲示は義務なので避けられません
許可証の携帯 法第11条 氏名・住所 行商・古物市場に出るときは携帯義務
ウェブサイトへの掲載 法第12条第2項・第3項 氏名等。特定古物商は取り扱う古物に関する事項も 自分のサイトを持たず従業者5人以下なら免除

3つのうち、自分で選べるのは3番目だけです。標識の掲示は従業者の数に関係なく義務なので、自宅を営業所にすれば自宅に標識が出ます。

副業が会社にバレない方法で扱った住民税の経路は、所得の側の話でした。古物商には、それとは別に許可の側の経路があります。

標識を出さずに済ませる方法はありません

法第12条第1項は「公衆の見やすい場所に」と書いています。掲示しなければ法第35条第2号で10万円以下の罰金です。

営業所を自宅以外にする選択肢はあります。ただし営業所には使用権原が要るので、賃料が発生します。副業の規模では現実的でないことが多いでしょう。

結局、標識をどこに出すかという話に戻ります。玄関の外か、室内か。自宅営業所では営業所内の掲示で足りるという運用が一般的で、玄関の外に出さなければならないと定めた条文はありません。最終的な線引きは管轄の警察署で確認してください。

法人化しても氏名は残ります

法人で許可を取れば、標識に出るのは法人の名称です。ただし法第5条第1項第7号により、申請書には役員の氏名と住所を書きます。

法第4条第11号は、役員に欠格事由があれば法人にも許可を出しません。法人にしても、自分の情報が審査から外れるわけではありません。

匿名で始める方法は、制度の設計としては用意されていません。許可を取るということは、氏名を出すということです。

営業所の外で買い取ると別の条文で罰されます

営業所の外で買い取ると、無許可営業とは別の法第32条で罰されます。営業所か相手方の住所・居所以外で、古物商以外の者から古物を受け取ってはいけません。

法第14条第1項の建て方は、場所を限定する規定です。許可を持っていても、場所を外せば違反になります。

受け取れる場所 根拠
自分の営業所 法第14条第1項本文
相手方の住所又は居所 同項本文
届出をした仮設店舗 同項ただし書

喫茶店で待ち合わせて買い取る、駅前で受け取る、という形は法第14条第1項に当たります。相手の自宅に出向くのは条文の中に収まり、外で会うのは収まりません。

ただし相手方の住所・居所に出向く形は、行商の届出が前提です。

行商とは、営業所以外の場所で古物の取引をすることです。出張買取、フリーマーケットへの出店、古物市場での売買がこれに当たります。

法第5条第1項第5号は、許可申請書に「行商をしようとする者であるかどうかの別」を書かせています。

申請書で「行商をしない」と届け出ていると、営業所の外での取引はできません。出張買取を考えているなら、申請の時点で行商する側を選んでおいてください。

出張買取には特定商取引法もかかります

相手の自宅で買い取る形は、特定商取引法の「訪問購入」に当たります。古物営業法を守っていても、こちらで詰まります。

消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問購入を「購入業者が、店舗等以外の場所(例えば、消費者の自宅等)で契約を締結等して行う物品の購入」と定義しています。

規制 内容
不招請勧誘の禁止 勧誘の要請をしていない者に対し、自宅等で売買契約の締結について勧誘をし、又は勧誘を受ける意思の有無を確認してはならない
書面の交付 申込時・契約時に、物品の種類・購入価格・支払時期・引渡時期などの所定事項を記載した書面を交付する
クーリング・オフ 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内
引渡しの拒絶 相手方はクーリング・オフ期間内、物品の引渡しを拒むことができる

「飛び込みで買い取りに行く」という営業は、不招請勧誘の禁止に正面から当たります。相手から依頼を受けて訪問する形でなければ成り立ちません。

クーリング・オフは8日間です。その間に転売すると、戻す物がない状態になります。出張買取を柱にするなら、8日間は在庫として寝かせる設計が要ります。

なお訪問購入には適用除外の物品があります。政令第34条が定めるもので、自動車や書籍などが挙げられています。扱う商材が除外に当たるかは消費者庁のガイドで確認してください。

仮設店舗で営業する場合は、あらかじめ日時と場所を所轄の公安委員会に届け出ます。期限は規則第14条の2が定めています。

「仮設店舗において古物営業を営む日から三日前までに、別記様式第十四号の二の仮設店舗営業届出書を提出しなければならない。」

3日前までです。思い立って週末に出店する、という進め方はできません。

罰則は無許可営業より軽く、しかし別です

法第14条第1項違反には独立した罰条があります。法第32条です。

「第十四条第一項の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」

無許可営業の法第31条は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。場所の違反はそれより軽いものの、罰金が50万円まであります。

許可を取ったから自由に買い取れる、という理解で動くと、ここで引っかかります。許可は「買い取ってよい」資格で、場所の制限は別に残ります。

盗品だったときは無償で返すことがあります

仕入れた物が盗品だったときは、代金を取り戻せないまま返すことがあります。買取側の最大のリスクは罰則ではなく、ここです。

古物営業法は、このために3つの条文を置いています。

条 義務 内容
法第15条第3項 不正品の申告 買い受け、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに警察官に申告する
法第19条 品触れ 警察から特定の盗品等の手配(品触れ)を受けたとき、該当する古物を所持していれば届け出る
法第20条 盗品等の無償回復 盗品又は遺失物であった場合、被害者又は遺失主は無償での回復を求められる(盗難又は遺失の時から1年を経過した後は除く)

法第20条は、古物商が「公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても」無償回復の対象になると書いています。

ここでいう善意は、親切という意味ではありません。法律用語で「盗品だと知らなかった」ことを指します。知らずに買っても返す、ということです。ただし書で期間を区切っています。

「盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。」

盗難から1年以内なら、善意で仕入れていても無償で返すことになります。支払った代金は戻らないまま、品物だけが被害者の手に返ります。仕入れ値がそのまま損失です。

この条文があるために、本人確認は形式的な手続ではありません。相手方の身元が分かっていることが、盗品を掴まないための唯一の防御線です。

確認を省けることと、省いてよいことは違います

1万円未満なら確認が免除されます。ただし免除されるのは法第15条第1項の義務であって、法第20条のリスクではありません。

古い解説ページを何本も開いて気づいたのは、免除の話はどこにでも書いてあるのに、無償回復まで書いた記事がほとんどないことでした。義務が軽い取引ほど、盗品を掴んだときの立証材料が手元に残りません。

免除の範囲でも相手方を記録しておくことは、条文上は禁じられていません。義務の最低ラインと、自分を守るラインは別に引けます。

非対面の確認方法は規則に列挙されています

ネットで仕入れる場合、対面での確認ができません。法第15条第1項第4号が規則に委ね、規則第15条第3項が非対面の方法を列挙しています。

非対面取引で使える確認方法の例

  • 本人限定受取郵便を利用して相手方に書面を送付する方法
  • あらかじめ別の方法で確認済みの相手方に限り、定めた識別符号(IDとパスワード)の送信を求める方法
  • 住民票の写し等の送付を受け、その住所あてに転送不要の郵便物を送付する方法

いずれも相手方の住所に実際に届くかどうかを確かめる建て方です。画面上の入力だけでは条文の要求を満たしません。詳細な列挙は規則第15条第3項を確認してください。

非対面の確認は手間がかかります。1件あたりの単価が低い商材で、この手順を回し続けられるかが現実的な分かれ目になります。

古物営業法の罰則は5つの条に分かれています

古物営業法の罰則は、法第31条から第36条に分かれています。義務の重さに応じて5段階です。

刑の名称はいずれも拘禁刑です。2025年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一元化されたため、条文の表記が「懲役」のままの解説は改正前のものです。

条 刑罰 主な対象行為
第31条 3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 無許可営業/不正手段による許可取得/名義貸し(法第9条)/公安委員会の命令違反
第32条 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 営業の制限違反(法第14条第1項)
第33条 6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 確認義務違反(法第15条第1項)/帳簿の無記載・虚偽記載/帳簿の備付け・保存義務違反/品触れ関係/警察本部長等の命令違反
第34条 20万円以下の罰金 許可申請書・添付書類の虚偽記載/許可証の返納義務違反ほか
第35条 10万円以下の罰金 届出書等の不提出・虚偽記載/許可証等の携帯義務違反(法第11条)/標識の掲示義務違反(法第12条)/立入り・帳簿検査の拒否妨害/報告拒否・虚偽報告

さらに法第36条が併科を定めています。

「第三十一条から第三十三条までの罪を犯した者には、情状により、各本条の拘禁刑及び罰金を併科することができる。」

第31条から第33条までは、拘禁刑と罰金の両方を科すことができます。

副業の規模でも第33条が現実的です

無許可営業の第31条は、許可を取れば関係がなくなります。許可を取ったあとに残るのは第33条です。

確認義務違反と帳簿の不記載が同じ条に並んでいます。100円の文庫本を確認なしで買い取り、帳簿に書かなければ、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の条文に当たります。

実際にその金額で検挙されるかは別の話です。ただし条文上の重さは、こう設計されています。

そして法第4条第2号は、法第31条の罪等で罰金に処せられた者を、執行を終わった日等から5年間の欠格事由としています。罰金で終わっても、5年は次の許可を受けられません。

法第11条の携帯義務も見落とされます。行商や古物市場に出るときは許可証を携帯し、従業者には行商従業者証を携帯させます。違反は法第35条第2号で10万円以下の罰金です。

罰則より先に行政処分が来ます

実務で先に来るのは刑事罰ではありません。公安委員会の処分です。

法第23条は、違反があったときや盗品等の売買の防止が阻害されるおそれがあるときに、業務の適正な実施のための措置を指示できると定めています。

法第24条は、違反や指示違反により盗品等の売買の防止が著しく阻害されるおそれがあるときに、許可の取消しまたは6月以内の営業停止を命じることができると定めています。

許可を取り消されると、法第4条第6号により取消しの日から5年は再び許可を受けられません。罰金より事業への影響が大きい処分です。

手続の期限を取り違えると法第35条の罰金に当たります。変更届出の2つの期限を確認する

変更の届出は3日前と14日以内に分かれます

変更の届出には2つの期限があります。事前に出すものと、事後に出すものです。

法第7条は第1項で「あらかじめ」、第2項で「変更があつたとき」と書き分け、具体的な日数を規則に委ねています。

規則第5条が日数を定めています。

届出の種類 期限
事前届出(規則第5条第3項) 変更の日の3日前まで
事後届出(規則第5条第6項) 変更の日から14日以内
事後届出で登記事項証明書を添付すべき場合 変更の日から20日以内

警視庁も「当該変更の日の3日前までに」「当該変更の日から14日(登記事項証明書を添付すべき場合は20日)以内に」と同じ内容を公表しています。

どの変更がどちらに当たるかは、変更する事項によります。営業所の新設や移転のように事前に分かるものは3日前、代表者の変更のように事後に確定するものは14日以内、という整理です。

届出を怠ると10万円以下の罰金です

法第35条第1号が、法第7条第1項・第2項・第4項の届出書等の不提出と虚偽記載を10万円以下の罰金としています。

副業で起きやすいのは引っ越しです。自宅を営業所にしている人が引っ越すと、営業所の変更届出が必要になります。

住民票の異動だけでは済みません。許可証の記載事項も変わるので、書換申請(1,500円)も発生します。

営業所を自宅にする選択は、手続の面では引っ越しに連動する選択でもあります。

自分の不要品の売却は非課税です

自分が生活に使っていた物の売却は非課税です。仕入れた物の売却は課税されます。税金の側にも線が引かれています。

所得税法第9条第1項第9号が非課税所得を定めています。対象は「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」です。

政令は所得税法施行令第25条で、除かれる資産を次のように定めています。

「生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする」

列挙されているのは2つです。

号 除かれる資産
1号 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
2号 書画、こつとう及び美術工芸品

国税庁のタックスアンサーNo.3105も「貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます」と説明しています。

つまり30万円以下なら、貴金属でも生活用動産として非課税の側です。30万円を超えると譲渡所得になります。

古物営業法の線と税法の線はずれています

ここが混同されやすい点です。許可の要否と課税の有無は、別の基準で動いています。

行為 古物商許可 課税
自分が使っていた服を売る 不要 非課税(生活用動産)
自分が使っていた50万円の指輪を売る 不要 譲渡所得として課税
転売目的で買った服を売る 必要 事業所得または雑所得
無償でもらった物を売る 不要 課税対象(取得費0円)

許可が要らないことと、申告が要らないことは別です。無償でもらった物を売る場合、古物商許可は不要ですが、所得は発生します。

表の2行目と4行目が、どちらか一方だけを調べると落ちる組み合わせです。制度の設計者が違うので、線の引き方も揃っていません。

副業の確定申告のやり方で扱った20万円の基準は、所得税法第121条の規定です。給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると、確定申告が必要になります。

売れ残った在庫は経費になりません

年間仕入高100万円から年末の棚卸高40万円を差し引いた60万円が売上原価になることを示した計算図

仕入れたお金は、仕入れた年にそのまま経費になりません。売れた分だけが売上原価です。

棚卸高とは、その時点で売れ残っている在庫の仕入れ値の合計です。年末に数えて金額を出します。

国税庁の「帳簿の記帳のしかた」は、売上原価を次の式で示しています。

売上原価=年初(期首)の棚卸高+年間の仕入高-年末(期末)の棚卸高

同じ資料は「本年分の必要経費となる商品などの売上原価は、本年中の商品などの仕入高そのままではなく」とも述べています。

この式が、古物の副業でいちばん現金感覚とずれる部分です。

項目 金額
年間の仕入高 100万円
年末の棚卸高(売れ残り) 40万円
売上原価(経費になる額) 60万円

100万円使っても、売れ残りが40万円あれば、その年の経費は60万円です。差の計算は本記事のものです。

在庫を抱える副業は帳簿が前提になります

棚卸しをしないと売上原価が計算できません。つまり在庫を持つ副業は、記帳が選択肢ではなく前提です。

古物営業法の帳簿(法第16条)と、税務の帳簿は別物です。前者は相手方の情報を残す台帳で、後者は仕入れと売上を記録する帳簿です。

実務では、1つのスプレッドシートに両方の項目を持たせる形が現実的でしょう。取引日、品目、数量、特徴、相手方の情報、仕入額、売却額、売却日。

ただし古物営業法の帳簿は営業所に備え付ける必要があります。データだけで完結させず、出力して綴じておく運用が条文に沿います。

副業の開業届の出し方で扱った提出のタイミングは、在庫を持つ副業では早めに来ます。棚卸しと青色申告の関係があるためです。

ユイカ(副業初心者)
許可が要らないなら、税金のほうも気にしなくていいんですよね?

リンク(運営者)
そこは別の軸で動きます。もらった物を売るのは許可は不要ですが、所得は立ちます。軸が3つあるので、最後に整理しますね。

許可の要否と税金は別の軸で動きます

古物かどうか、許可が要るかどうか、課税されるかどうかは、別々の基準で判定されます。3つの軸を整理します。

まず古物かどうかは、誰の手を経たかで決まります。一度でも一般消費者の手に渡れば、未使用でも古物です。

次に許可が要るかどうかは、買い受けたかどうかで決まります。自分の物、もらった物、自分で輸入した物を売るだけなら要りません。

最後に課税されるかどうかは、生活用動産かどうかと、金額で決まります。生活用動産なら非課税ですが、30万円超の貴金属と書画骨とうは外れます。

判定 決める基準 根拠
古物か 一般消費者の手を経たか 法第2条第1項/警察庁丙生企発第51号
許可が要るか 買い受けたか 法第3条/千葉県警の整理
課税されるか 生活用動産か・30万円超か 所得税法第9条第1項第9号/施行令第25条

この3つの軸がずれているため、「許可が要らないから申告も要らない」という推論は成り立ちません。

そして許可を取ったあとに残るのは、確認・記帳・保存・掲示・場所の5つの義務です。許可はスタート地点で、義務はそこから始まります。

許可後に続く義務 条文 違反時
相手方の確認 法第15条第1項 第33条(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)
帳簿への記載 法第16条 第33条
帳簿の備付け・3年保存 法第18条第1項 第33条
標識の掲示 法第12条第1項 第35条(10万円以下の罰金)
買取場所の制限 法第14条第1項 第32条(1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)
不正品の疑いがあるときの申告 法第15条第3項 罰則なし(法第23条の指示・第24条の営業停止等の対象)
許可証等の携帯 法第11条 第35条(10万円以下の罰金)

19,000円と40日は入口のコストです。継続的なコストは、1件ごとの確認と記帳にかかる時間です。

単価の低い商材ほど、このコストが利益を圧迫します。書籍、CD、ゲームソフトが確認義務の免除から外れていることは、商材選びの前提として読んでおく価値があります。

ジモティー副業の記事で扱った無償の引き取りは、許可の要否という点では軽い側にあります。ただし税務の側では所得が立ちます。軽くなる軸と重くなる軸が、ここでも入れ替わります。

今日やることは3つです

仕入れ方が買い受けに当たるか決め、身分証明書を郵送請求し、営業所の契約書と管理規約を読むという3段階の行動フロー図

今日やることは3つです。ここまでの内容を、明日から動ける形に落とします。

# やること いつまでに 根拠
1 自分の仕入れ方が「買い受け」に当たるか決める 仕入れを始める前 法第3条/千葉県警の整理
2 要るなら、本籍地へ身分証明書を郵送請求する 申請の2週間以上前 警視庁の必要書類
3 営業所にする場所の契約書と管理規約を読む 申請前(19,000円は戻りません) 群馬県警

1で「要らない」と決まったなら、ここで終わりです。不要品の整理を続けるかぎり、古物営業法は出てきません。

1で「要る」と決まったなら、2と3は同時に進められます。書類が揃った日が起点で、そこから40日です。

そのうえで、許可を取ったあとに何が残るかをもう一度見ておいてください。確認・記帳・保存・掲示・場所の5つは、取引のたびに効きます。

仕入れの形がまだ決まっていないなら、ここから逆算してください。許可が要らない5つの場合を見る

よくある質問

許可の要否と数字の出どころについて、30問に答えます。

Q1. 新品未開封の商品を転売するのに古物商許可は必要ですか。

仕入れ先によって変わります。警察庁の解釈運用基準は「小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても『古物』に該当する」と述べています。令和8年5月14日の警察庁丙生企発第51号です。

メーカーや問屋から直接仕入れた新品は古物に当たりません。フリマアプリで個人から買った未開封品は古物に当たるので、継続して転売するなら許可が必要です。なお小売店の店頭で自分が消費者として買った新品は、その時点で古物になりますが買受けではないため、自分で売る分には許可が要りません。最初から転売目的で買っていれば必要になります。

Q2. 自分の不要品をメルカリで売るだけなら許可は要りますか。

要りません。千葉県警察は「自己使用していた物を売却するだけの場合は、古物商の許可は必要ありません」としています。

ただし同じページは「転売目的で購入した物」には許可が必要としています。最初から売るために買った物は、自分の物を売るという扱いになりません。

Q3. 古物商許可の手数料はいくらで、落ちたら返ってきますか。

新規申請の手数料は19,000円です。警視庁も長野県警察も同額を公表しています。

返ってきません。群馬県警察は「不許可となった場合や申請を取り下げた場合でも、手数料は返却できません」と明記しています。申請前に法第4条の欠格事由(許可を受けられない事情のこと)を自分で突き合わせてください。

Q4. 許可が下りるまで何日かかりますか。

標準処理期間は40日です。東京都公安委員会の審査基準(古物営業法第3条)は「40日(行政庁の休日は含まない。)」と定めています。

行政庁の休日を除いた40日なので、カレンダー上は8週間前後です。起点は書類が受理された日で、不備で差し戻された期間は入りません。

Q5. 許可を取って使わないまま置いておいても大丈夫ですか。

取消しの対象になります。法第6条は、許可を受けてから6か月以内に営業を開始しない場合と、引き続き6か月以上営業を休止している場合を取消しの対象としています。

更新制度はありませんが、放置してよい制度でもありません。始める時期が決まってから申請するほうが制度の建て方に合います。

Q6. 1万円未満の買取りなら本人確認は不要ですか。

原則は不要ですが、7品目は例外です。古物営業法施行規則第16条第1項は「法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする」と定めています。

同条第2項が免除されない品目を7号並べています。自動二輪車及び原動機付自転車とその部分品、エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ、家庭用ゲームソフト、CD・DVD等の光学記録物、電線、金属製グレーチング、書籍です。

Q7. 書籍のせどりでも1冊ごとに本人確認が必要ですか。

必要です。書籍は施行規則第16条第2項第7号に挙げられていて、1万円未満でも確認義務と帳簿記載義務の対象です。

100円の文庫本1冊でも、相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認と帳簿への記載が条文上は必要になります。単価の低い商材ほど、1件あたりの手間が利益を圧迫します。

Q8. 2025年10月の改正で何が変わりましたか。

1万円未満でも本人確認が必要な品目が追加されました。警視庁が公表している内容では、エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)、電気温水機器のヒートポンプ、電線、グレーチング(金属製のものに限る。)の4品目です。

施行は令和7年10月1日です。「1万円未満でも確認が必要なのは4品目」と書かれている解説は、この改正より前の情報です。現行の規則第16条第2項は7号まであります。

Q9. 銅線や金属スクラップの買取には古物商許可だけで足りますか。

足りません。令和8年(2026年)6月1日に「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」が全面施行され、特定金属くず買受業の届出制度が始まりました。

京都府警察の説明では、届出の対象は銅を含む金属くずの買取営業で、買取額の半分以上が銅の価格、または買取重量の半分以上が銅の重量である者です。届出先は主たる営業所等を管轄する警察署の生活安全課で、本人確認記録と取引記録を3年間保存します。届出義務違反は6か月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、または併科です。

Q10. 買い取った品物が盗品だったらどうなりますか。

代金を取り戻せないまま返すことがあります。法第20条は、盗品又は遺失物であった場合に被害者又は遺失主が無償での回復を求められると定めています。ただし書で「盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない」とされており、1年以内なら善意で仕入れていても返すことになります。

法第15条第3項は、買い受け、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに警察官に申告しなければならないと定めています。取引後ではなく取引しようとする時点の義務です。1万円未満で確認を省ける取引でも、このリスクは免除されません。

Q11. 帳簿は何年保存すればよいですか。

3年です。古物営業法第18条第1項は「前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け」と定めています。

起点は取引の日ではなく最終の記載をした日です。1冊を使い続けている間は3年が始まりません。備付け義務違反は法第33条で6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。

Q12. 標識は紙に印刷したものでもよいですか。

様式を満たしません。警視庁が公表している仕様は、材質が「金属、プラスチック又はこれらと同程度以上の耐久性を有するもの」、色が紺色地に白文字、寸法が縦8センチメートル・横16センチメートルです。

様式の根拠は施行規則第11条です。掲示義務違反は法第35条第2号で10万円以下の罰金になります。

Q13. 1人の副業でも氏名をウェブサイトに載せる義務がありますか。

自分で管理するサイトを持っていなければ、掲載義務は免除されます。規則第13条の2第1項は「常時使用する従業者の数が五人以下である場合」と「管理するウェブサイトを有していない場合」を除外しています。

ただし特定古物商は除外から外れます。法第8条の2第1項は特定古物商を「第五条第一項第六号に規定する方法を用いる古物商」と定義しており、許可申請書に送信元識別符号(URL)を届け出る売り方が当たります。自分のネットショップやストアを開く段階で、掲載義務の側に移ります。施行は令和6年4月1日です。

Q14. 喫茶店や駅前で待ち合わせて買い取ってもよいですか。

できません。法第14条第1項は、営業所か相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないと定めています。

相手の自宅に出向く形は条文の中に収まりますが、行商の届出が前提です。許可申請書で「行商をしない」と届け出ていると、営業所の外では取引できません。違反は法第32条で1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。

Q15. フリーマーケットに出店して買い取るには何が必要ですか。

仮設店舗営業の届出です。法第14条第1項ただし書が、あらかじめ日時と場所を公安委員会に届け出た場合の例外を置いています。

期限は施行規則第14条の2が「仮設店舗において古物営業を営む日から三日前までに、別記様式第十四号の二の仮設店舗営業届出書を提出しなければならない」と定めています。3日前までなので、思い立って週末に出店することはできません。

Q16. 無許可で古物の買取りをするとどうなりますか。

法第31条第1号により3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。法第36条により、情状によって拘禁刑と罰金を併科することもできます。

刑の名称が拘禁刑になっているのは、2025年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮が一元化されたためです。さらに法第4条第2号は、法第31条の罪等で罰金に処せられた者を一定期間欠格事由としています。

Q17. 自宅を営業所にできますか。

建物の用途と使用権原によります。賃貸物件は賃貸借契約の用途制限、分譲マンションは管理規約、公営住宅は入居条件で、営業所としての使用が認められないことがあります。

申請後に貸主や管理組合の承諾が取れないと分かっても、手数料19,000円は戻りません。契約書と規約を申請前に確認してください。

Q18. 引っ越したら何か手続が必要ですか。

自宅を営業所にしている場合は変更の届出が必要です。施行規則第5条は、事前の届出を変更の日の3日前まで、事後の届出を変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内)と定めています。

許可証の記載事項も変わるため、書換申請も発生します。書換申請の手数料は1,500円です。届出を怠ると法第35条第1号で10万円以下の罰金になります。

Q19. 転売の収入は事業所得と雑所得のどちらになりますか。

帳簿の有無が基準になります。所得税基本通達35-2は、令和4年10月7日の改正により、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は原則として業務に係る雑所得に該当するとしています。

収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合は別です。古物の売買を名指しした国税庁の資料は確認できませんでした。個別の判断は所轄の税務署か税理士に確認してください。

Q20. 仕入れた金額はその年の経費になりますか。

売れた分だけです。国税庁の「帳簿の記帳のしかた」は、売上原価を「年初(期首)の棚卸高+年間の仕入高-年末(期末)の棚卸高」と示しています。

100万円仕入れて40万円が売れ残れば、その年の経費は60万円です。この差の計算は本記事のものです。在庫を持つ副業では、棚卸しをしないと売上原価が計算できません。

Q21. 1個30万円以下のブランド品なら売っても税金はかかりませんか。

自分が生活に使っていた物なら非課税です。所得税法第9条第1項第9号が生活用動産の譲渡による所得を非課税とし、所得税法施行令第25条が「一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る」として貴金属や書画骨とうを除いています。

国税庁タックスアンサーNo.3105も同じ内容を説明しています。ただし転売目的で仕入れた物は生活用動産ではないので、この非課税は適用されません。

Q22. 取り扱う区分は全部選んでおいたほうがよいですか。

広く取れば変更届出の手間は減りますが、義務も増えます。施行規則第2条の区分は13で、美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自転車類、写真機類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類です。

区分と、確認義務の免除から外れる品目(規則第16条第2項)は別のリストです。道具類を選んでも、その中の家庭用ゲームソフトは1万円未満でも確認が必要です。扱う商材に合わせて選んでください。

Q23. 相手の自宅に出向いて買い取るとき、古物営業法のほかに何がかかりますか。

特定商取引法の訪問購入がかかります。消費者庁は訪問購入を「購入業者が、店舗等以外の場所(例えば、消費者の自宅等)で契約を締結等して行う物品の購入」と定義しています。

勧誘の要請をしていない者への勧誘は禁止され、所定事項を記載した書面の交付が必要です。クーリング・オフは書面を受け取った日から数えて8日以内で、その期間内は相手方が物品の引渡しを拒めます。8日以内に転売すると戻す物がなくなるので、在庫として寝かせる設計が要ります。適用除外の物品は政令第34条が定めています。

Q24. 違反するといきなり罰金になりますか。

先に行政処分が来ます。法第23条は、違反や盗品等の売買の防止が阻害されるおそれがあるときに、業務の適正な実施のための措置を指示できると定めています。

法第24条は、違反や指示違反により盗品等の売買の防止が著しく阻害されるおそれがあるときに、許可の取消しまたは6月以内の営業停止を命じることができると定めています。許可を取り消されると法第4条第6号により一定期間は再び許可を受けられません。罰金より事業への影響が大きい処分です。

Q25. 何個までなら無許可で売れますか。

個数の基準は条文にも警察の公表資料にもありません。古物営業法が見ているのは個数ではなく、買い受けたかどうかと、転売目的で買ったかどうかです。

千葉県警察は「自己使用していた物を売却するだけの場合」を許可不要とし、「転売目的で購入した物」を必要としています。判断は仕入れの頻度、同一商品の数量、販売の継続性といった外形から行われます。数量の目安を示した公的資料は本記事の調査では確認できませんでした。

Q26. 申請はどこの窓口に出しますか。

主たる営業所の所在地を管轄する警察署です。警視庁は窓口を防犯係としています。県警によっては生活安全課が担当します。

許可を出すのは都道府県公安委員会で、警察署は受付の窓口です。営業所を設けない形で許可を受けられるかは、法第3条・第5条に明文がないため管轄に確認してください。事前に電話で予約を求める署が多いので、持参する前にあわせて聞いておくと確実です。

Q27. 家族名義や法人名義にすれば自分の名前は出ませんか。

出ます。法人で許可を取れば標識には法人の名称が出ますが、法第5条第1項第7号により申請書には役員の氏名と住所を書きます。

法第4条第11号は、役員に第1号から第8号の欠格事由があれば法人にも許可を出さないとしています。名義を変えても審査の対象から外れません。家族名義にして実際には自分が営業する形は、法第9条が禁じる名義貸しに当たり、法第31条第3号で3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。

Q28. 申請書で「行商をする」を選ぶとデメリットはありますか。

手数料は変わりません。増えるのは携帯義務です。法第11条により、行商をするときは許可証を携帯し、従業者には行商従業者証を携帯させます。

行商をしないと届け出ると、営業所の外では取引できません。出張買取もフリーマーケットへの出店も古物市場での売買もできなくなります。あとから変更するには届出が要るので、迷うなら「する」で出しておくほうが選択肢は広く残ります。

Q29. 自分の名前が公安委員会のサイトに載りますか。

載るのは特定古物商だけです。法第8条の2第1項は、公安委員会が特定古物商について氏名又は名称、送信元識別符号、許可証の番号を公衆の閲覧に供すると定めています。

特定古物商は、法第5条第1項第6号の方法を用いる古物商、つまり自分の送信元識別符号(URL)を届け出る売り方をする古物商です。自分のサイトやショップを持たずにフリマアプリへ出品するだけなら、この公表の対象には入りません。ただし営業所の標識と許可証の携帯義務は、特定古物商かどうかに関係なくかかります。

Q30. 申請を行政書士に頼めますか。

頼めます。官公署に提出する書類の作成は行政書士の業務です(行政書士法第1条の2)。本籍地への身分証明書の請求や、営業所の使用権原の整理を代行してもらう形が一般的です。

費用の相場については、公的な資料で確認できなかったため本記事では示しません。複数の事務所に見積もりを取って比較してください。なお手数料19,000円は、代行を頼んでも別途かかります。

ここから先は根拠の開示です。行動の手順は前の節にまとまっているので、調べ方だけ確認したい方はここから読んでください。

この記事の調べ方(編集方針)

調べた範囲は上のとおりです。そのうえで、確認できなかったことを書きます。

本記事の調査で埋まらなかった論点

当たった資料は2本の法令・規則(e-Gov法令検索の現行条文)、警察庁の解釈運用基準と改正通達、警視庁・千葉県警・群馬県警・神奈川県警・福岡県警・長野県警の公表ページ、東京都公安委員会の審査基準、国税庁のタックスアンサーと所得税基本通達です。そのうえで、次の点は確認できませんでした。

  • 他社のフリマアプリへの出品だけで送信元識別符号の届出が要るかどうかを、条文または警察庁資料で明示した記述。法第5条第1項第6号の文言からは自己の送信元を持つ場合と読めますが、断定できる公表資料には当たれませんでした。掲載義務の有無は管轄の警察署で確認してください。
  • 新品だけを問屋やメーカーから仕入れて売る場合に許可が不要と明記した警察の公表ページ。古物の定義の側から読めますが、そう書いた公表資料に当たれませんでした。
  • 手数料の不返還を明記した警視庁のページ。群馬県警では確認できましたが、全国共通の記載かは確認できていません。
  • 標準処理期間に行政庁の休日を含まないことを明記した他県警の資料。東京都公安委員会の審査基準では確認できましたが、他県は日数のみの記載でした。
  • 古物商許可業者数の全国統計。警察庁の公表資料に該当する表を見つけられませんでした。
  • 規則第16条第2項第5号の「電線」から除かれる汎用品の範囲。LANケーブル等が外れるという説明は複数ありますが、条文または警察庁資料での線引きを確認できていません。
  • 平成30年改正で主たる営業所等の届出をしなかった場合に許可が失効すると述べた附則の明文。附則第2条第3項は届出をした者を新法の許可を受けているとみなす建て方で、失効の文言は確認できませんでした。
  • 所得税基本通達35-2の改正解説にある表のうち、収入300万円以下で帳簿保存がある場合の区分。PDFの結合セルのため帰属を断定できませんでした。
  • 許可取得までの実日数の分布。標準処理期間は公表されていますが、実績値の公表資料を確認できませんでした。

この記事の成り立ちも書いておきます。

この記事について

  • 作成: pm-linkle編集部(副業ジャンルの記事を90本以上制作)
  • 調査日: 2026年(令和8年)10月1日
  • 確認した一次情報: 古物営業法・同施行規則の現行条文(e-Gov法令検索)、警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について」(令和8年5月14日 警察庁丙生企発第51号)、警視庁・千葉県警察・群馬県警察・埼玉県警察・京都府警察・長野県警察の公表ページ、東京都公安委員会の審査基準、国税庁タックスアンサー・所得税基本通達
  • 本記事は弁護士・行政書士・税理士の監修を受けていません。解釈が分かれる論点では断定を避け、条文と公的資料の原文を引用しています。個別の判断は管轄の警察署・所轄の税務署に確認してください。
  • 法令は改正されます。本記事は2026年10月1日時点の現行条文に基づいています。
目次
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