副業の経費【2026年】10万円のPCは全額落とせません

副業
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営業職として10年間活動、某営業会社で2000人中2位、プライム上場企業にて年間TOPセールスなどを経て、サービス開発をするためにPDMにジョブチェン、現在進行形でPM/PDMをしています。上場企業の昇進レースに見切りをつけ、副業として業務委託でPM/PDM/PMOを複数案件並列で兼務、副業が年収1,000 万を突破したので、ナレッジを「会社の外で稼ぐ PM スキルの循環」をテーマに、テンプレ・講座・コミュニティで同世代の跳躍を支援しています。

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副業用にノートパソコンを12万円で買った。今年の経費が12万円増える。そう思って計算している人は多いはずです。

ユイカ(副業初心者)
副業用にパソコン12万円で買ったんですけど…これ、今年の経費に12万円入れていいんですよね?

リンク(運営者)
そこ、みんな同じところでつまずきます。結論から言うと、10万円以上のものは買った年に全額は落とせないんです。

ユイカ(副業初心者)
えっ、じゃあ12万円はどこ行っちゃうんですか…?

リンク(運営者)
消えはしません。何年かに分けて落とす形になります。ただ、分け方が4通りあって、どれが使えるかは申告のしかたで変わるんですよ。この記事で全部整理しますね。

結論から書きます。取得価額が10万円以上のものは、買った年に全額を経費にできません。国税庁は「減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです」と書いています。

そしてもうひとつ。その例外として「40万円未満なら一括で落とせる」特例がありますが、使えるのは青色申告者だけです。開業届も青色申告承認申請書も出していない副業、つまり雑所得で申告している人は、この特例の対象外です。

この記事でわかること

  • 10万円・20万円・40万円という3本の線で、経費の落とし方が4通りに分かれること
  • 2026年4月1日取得分から、一括計上の上限が30万円未満→40万円未満に上がったこと
  • その特例は青色申告者限定で、雑所得の副業では使えないこと
  • 家賃や通信費の按分は「明らかに区分できる部分」しか認められないこと
  • 払った年ではなく「債務が確定した年」の経費になるという原則があること
  • 前々年の収入が300万円以下なら、その原則を外せる特例があること
  • 所得税・住民税・罰金は経費にならず、事業税は全額経費になること
  • 生計を一にする家族に払う家賃や給与は、原則として経費にならないこと
  • 経費が1円もなくても69万円を引ける特例があり、ただし給与が69万円以上だと使えないこと
  • 雑所得は赤字が出ても給与と相殺できないこと

副業の経費は「何が落とせるか」ばかりが語られます。ところが実務でつまずくのは、たいてい「いつ落とせるか」と「いくらまで落とせるか」のほうです。同じ12万円のパソコンでも、青色申告か雑所得かで、その年に引ける金額が12万円にも4万円にもなります。

この記事の調べ方(編集方針)

  • 本記事は、副業ジャンルの記事を83本以上制作している当サイト編集部が作成しました。事実部分の出典は国税庁・財務省・中小企業庁の公式ページに限定し、URLと確認日を本文中に明記しています。調査日は2026年9月12日です。
  • 本記事は税理士の監修を受けていません。そのぶん、解釈が分かれる論点では断定を避け、公式資料の原文表現をそのまま引用する方針を取っています。金額の当てはめは所轄の税務署または税理士に確認してください。
  • 引用した国税庁のタックスアンサーは、いずれも「令和8年4月1日現在法令等」と表示されている版です。2026年4月1日より前に書かれた解説とは、少額減価償却資産の金額基準が食い違います。
  • 体験談は載せていません。公式資料に記載を確認できなかった論点は「確認できませんでした」と明記しています。当サイトの解釈にすぎない部分は、その旨を都度明示しています。

本記事の調査で埋まらなかった論点

今回当たったのは、国税庁タックスアンサー No.2210(必要経費の知識)、No.2100(減価償却のあらまし)、No.1810(家内労働者等の必要経費の特例)、No.1500(雑所得)、No.2080(青色申告者の記帳・帳簿等の保存)、中小企業庁「少額減価償却資産の特例」、財務省「令和8年度税制改正の大綱」です。そのうえで、次の点は確認できませんでした。

  • 家事按分の割合について、国税庁が具体的な数値基準を示した公表資料。条文・通達・タックスアンサーのいずれも「明らかに区分できる場合のその区分できる金額」としか書いておらず、「家賃の何割まで」といった目安の公表は見つかりませんでした。本文で紹介する按分方法は、その文言から当サイトが逆算した実務的な整理であり、国税庁が認めた比率ではありません。
  • 少額減価償却資産の特例(措法28の2)を、雑所得の人が使えるかどうかを明示した国税庁の記述。No.2100は「一定の要件を満たす青色申告者が」としています。青色申告は事業所得・不動産所得・山林所得がある人の制度ですから、雑所得だけの副業では対象にならないと読めますが、「雑所得は使えない」と正面から書いた公表資料は確認できませんでした。
  • 家内労働者等の「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人」に、クラウドソーシングで複数のクライアントから受注している人が当たるかどうか。判断基準を示した公表資料は見つかりませんでした。

副業の税務手続き全体は副業の確定申告のやり方に、開業届と青色申告の関係は副業の開業届の出し方に、領収書やレシートの残し方は副業の電子帳簿保存法にまとめています。この記事は、金額をどう計上するかだけに絞ります。

目次

結論:10万円以上のものは、買った年に全額落とせません

国税庁の原文はこうです

減価償却について、国税庁は次のように書いています。

> 減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。

(出典:国税庁 タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし(令和8年4月1日現在法令等)・2026年9月12日確認)

12万円のパソコンを買ったなら、その12万円は「使える年数」に割り振られます。パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く)の法定耐用年数は国税庁の表で4年とされていますから、定額法なら1年あたり3万円。しかも年の途中で使い始めた場合は月割りになるので、初年度はさらに少なくなります。

(耐用年数の出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」・2026年9月12日確認)

全額落とせるのは10万円未満です

例外は同じページの注釈にあります。

> 使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

(出典:同上)

10万円「未満」です。10万円ちょうどは含まれません。9万9,800円のパソコンはその年に全額経費、10万円のパソコンは4年に分けて計上。200円の差で扱いが変わります。

この線を知らないと何が起きるか

年末に「今年の利益が出すぎたから」と20万円のカメラを買う人がいます。ところがその20万円は、その年の経費にはなりません。一括償却資産として3年に分けるか、青色申告なら特例で一括にするか、どちらかです。

先に覚える3つの金額

10万円未満なら全額その年。10万円以上20万円未満なら3年に分けて3分の1ずつ。10万円以上40万円未満は、青色申告者なら一括(年間合計300万円まで)。この3本の線だけ頭に入れておけば、レジの前で判断できます。

法律が経費について書いていることは、たった2行です

定義そのものは短い

必要経費に入れられる金額を、国税庁は2つに分けて説明しています。

> (1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

> (2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

(出典:国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識(令和8年4月1日現在法令等)・2026年9月12日確認)

(1)は売上に直接ひもづくもの。仕入れた商品の原価、外注に出した制作費などです。(2)はそれ以外で業務に関わる費用。通信費、消耗品費、広告費などが入ります。

「業務上の費用」かどうかが唯一の関門

リストで決まっているわけではありません。「これは経費」「これは経費じゃない」という費目の名簿は、法律のどこにも存在しないのです。判定は業務との関連性ひとつで決まります。

だからこそ、同じスターバックスのコーヒー代でも、打ち合わせで使えば会議費、ひとりで休憩すれば家事費になります。レシートの店名ではなく、そこで何をしたかで分かれる。ここが副業の経費で最初に迷うところです。

費目名は自由に決めて構いません

確定申告書の収支内訳書や青色申告決算書には、あらかじめ費目欄が印字されています。ただし、そこに無い費目を自分で足すことは禁じられていません。空欄に「サーバー代」「素材購入費」と書いても差し支えありません。

税務署が見ているのは費目名ではなく、金額と中身です。名前の付け方で悩む時間があるなら、レシートを1枚多く残したほうが効きます。

「その年の経費」は、払った年ではなく債務が確定した年です

支払日ではありません

ここは多くの副業者が誤解しています。国税庁の記述はこうです。

> 必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。

> つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。

(出典:同上・No.2210)

12月に届いた請求書を、支払いが翌年1月になったからといって翌年の経費にするのは誤りです。12月時点で債務が確定していれば、その年の経費になります。

「確定している」の3要件

確定しているかどうかは、3つすべてを満たすかで判定します。

# 要件 意味
1 その年の12月31日までに債務が成立していること 契約や発注が済んでいる
2 その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること 物が届いた・役務の提供を受けた
3 その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること 金額が決まっている、または見積もれる

(出典:同上・No.2210の原文を表に整理。整理は当サイトによるものです)

副業で引っかかりやすい例

年払いのサーバー代やドメイン代です。12月に1年分を前払いした場合、その年に払ったからといって全額がその年の経費になるとは限りません。翌年分の役務提供はまだ受けていないからです。

もっとも、これには短期前払費用の特例という別の取扱いがあります。判断が分かれる論点なので、金額が大きい場合は税務署に確認してください。

12月のクレジットカード利用分も同じ考え方です。引き落としが翌年1月でも、12月に物が届いているならその年の経費です。カードの引き落とし日で判定するのは誤りです。

前々年300万円以下なら、その原則を外せます

現金主義の特例があります

前のセクションの原則には、副業規模の人向けの抜け道が用意されています。国税庁は雑所得の説明の中でこう書いています。

> なお、その年の前々年分の収入金額が300万円以下である方は、業務に係る雑所得の金額の計算上総収入金額および必要経費に算入すべき金額は、その年において収入した金額および支出した費用の額とすることができます(いわゆる現金主義の特例)。ただし、この特例を受けるには、確定申告書にこの特例を受ける旨を記載しなければなりません。

(出典:国税庁 タックスアンサー No.1500 雑所得(令和8年4月1日現在法令等)・2026年9月12日確認)

つまり「入ってきた日」と「払った日」で計算していい、ということです。副業を始めたばかりの人の大半はこの範囲に収まります。

使うには申告書への記載が要ります

黙って現金主義で計算するのは認められません。確定申告書に「この特例を受ける旨」を記載してはじめて使えます。ここを落とすと、原則どおりの債務確定基準で計算し直すことになります。

なお、この現金主義の特例は業務に係る雑所得の話です。事業所得の人が使う現金主義には別の要件(前々年の所得300万円以下・事前の届出)があります。両者は別の制度なので、混同しないでください。

編集部の整理

副業を始めた年は前々年の収入がゼロですから、この特例の入口には立てます。ただし記載を忘れれば使えません。当サイトで確認した限り、後から「やっぱり現金主義で」と切り替える手続きは公表されていません。申告書を作る段階で決めてください。

家事按分|認められるのは「明らかに区分できる部分」だけ

原文は限定的です

自宅で副業をしている人が必ずぶつかるのが、家賃・電気代・通信費の扱いです。国税庁の記述を引用します。

> 家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。

> この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。

(出典:同上・No.2210)

キーワードは「取引の記録などに基づいて」と「明らかに区分できる」の2つです。感覚で「半分くらい使ってるから5割」では、この文言を満たしません。

国税庁は割合の目安を出していません

「家賃の3割までなら大丈夫」「通信費は5割が相場」という説明をよく見かけます。当サイトで調べた限り、国税庁がそうした比率を公表した資料は見つかりませんでした。条文も通達もタックスアンサーも、書いてあるのは「明らかに区分できる場合のその区分できる金額」だけです。

つまり、割合そのものより「なぜその割合なのか」を説明できるかが問われます。3割が安全で5割が危険なのではなく、根拠のない3割が危なく、根拠のある6割は通る、という構造です。

区分の根拠は記録で作ります

「明らかに区分できる」を満たすために必要なのは、計算の裏付けです。間取り図に作業スペースの面積を書き込む。作業時間をカレンダーに残す。副業専用の回線契約を分ける。

手間はかかりますが、一度決めてしまえば毎年使い回せます。最初の1年だけの作業です。

実際の按分のしかた|面積・時間・回線の3通り

費目ごとに基準を選びます

前のセクションの「明らかに区分できる」を実務に落とすと、基準は3種類に整理できます。以下は当サイトによる整理であり、国税庁が示した方式ではありません。

費目 使いやすい基準 記録として残すもの
家賃・地代 床面積の割合 間取り図と作業スペースの寸法
電気代 床面積、または使用時間 作業日と作業時間のログ
通信費(自宅回線) 使用時間の割合 作業時間のログ、または専用回線の契約
携帯電話料金 通話・データの業務利用割合 明細のうち業務分の抜き出し
車両費・ガソリン代 走行距離の割合 運行記録(日付・行き先・距離)

水道代とガス代は、業務との関連を説明しづらい費目です。飲食を提供する副業でもない限り、無理に入れないほうが説明が楽になります。

面積按分のやり方

いちばん説明しやすいのが面積です。40平方メートルの部屋のうち、作業デスクとチェア、資料棚が占める6平方メートルを副業用としているなら15%。この15%を家賃と電気代に掛けます。

デスクの面積だけでなく、椅子を引いて座るスペースや資料の置き場も含めて構いません。実際に業務のために占有している範囲が対象だからです。

時間按分のやり方

ワンルームで面積を切り出しにくい場合は、時間で割ります。平日2時間・土日6時間を副業に充てているなら、週の副業時間は22時間。24時間×7日=168時間で割ると約13%です。

睡眠時間を除いて「起きている時間のうち何割か」で計算する方法もあります。どちらを採るにせよ、年の途中で基準を変えないでください。

按分で失敗しやすいパターン

ひとつ目は、決めた割合を記録に残していないこと。翌年に「去年は何割にしたっけ」となり、数字が年ごとにぶれます。ふたつ目は、収入より按分額が大きいこと。月3万円の副業収入に対して家賃の半分を乗せれば、赤字の原因が家賃だけになります。この状態は説明を求められたときに苦しくなります。

10万円・20万円・40万円|4つに分かれる計上ルート

全体像を先に置きます

取得価額によって、選べるルートが変わります。国税庁 No.2100 の記述を当サイトで表に整理しました。

取得価額 計上方法 誰が使えるか
10万円未満 その年に全額 全員
10万円以上20万円未満 一括償却資産として3年で3分の1ずつ 全員
10万円以上40万円未満 少額減価償却資産の特例で一括(年300万円まで) 青色申告者のみ
上記以外 法定耐用年数で減価償却 全員

使用可能期間が1年未満のものは、金額にかかわらずその年に全額計上できます。これも忘れられがちな入口です。

なお国税庁は、令和4年4月1日以降に取得した減価償却資産で貸付けの用に供したもの(主要な業務として行う貸付けに供するものを除きます)について、上の3つの扱いはいずれも適用がないとしています。機材レンタルを副業にしている場合は対象から外れます(出典:同上・No.2100)。

一括償却資産(10万円以上20万円未満)

原文を引用します。

> 取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

(出典:同上・No.2100)

この方法は青色申告でなくても使えます。雑所得で申告している人にとって、12万円のパソコンを毎年4万円ずつ3年で落とすのが、最も現実的なルートになります。

耐用年数4年で減価償却するより1年早く終わり、月割りも不要です。年の後半に買った場合は、こちらのほうが初年度の経費が大きくなります。

通常の減価償却になったときの年数

どのルートにも乗らない場合は、法定耐用年数で割ります。副業で出てくる資産の年数を、国税庁の表から抜き出しました。

資産 法定耐用年数
パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く) 4年
カメラ、映画撮影機、映写機、望遠鏡 5年
事務机・事務いす(主として金属製) 15年
自転車(一般用) 2年
2輪・3輪自動車(一般用) 3年
ラジオ、テレビジョン、テープレコーダーその他の音響機器 5年

(出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」・2026年9月12日確認。抜き出しは当サイトによるものです)

配達用の自転車が2年、バイクが3年。パソコンが4年で、カメラが5年。同じ10万円でも、何を買うかで1年あたりに落とせる額が変わります。

実際の金額で並べてみます

12万円のパソコンを、4月から使い始めた場合の初年度を比較します。定額法・耐用年数4年・9か月使用という前提です。

計上方法 初年度に経費にできる額 誰が使えるか
通常の減価償却 12万円÷4年×9/12=2万2,500円 全員
一括償却資産 12万円÷3=4万円(月割りなし) 全員
少額減価償却資産の特例 12万円(全額) 青色申告者のみ

同じ買い物で、初年度の経費が2万2,500円から12万円まで開きます。雑所得で申告している人にとって、現実的な最大値は一括償却資産の4万円です。

一括償却資産には月割りの計算がありません。12月に買っても3分の1を計上できます。年末に近い買い物ほど、通常の減価償却との差が開く仕組みです。

(計算は当サイトによるものです。実際の償却率は資産と償却方法によって変わります)

選び方の順番

金額が決まれば、選択肢は自動的に絞られます。10万円未満なら迷う余地がありません。10万円以上20万円未満なら、青色申告者は特例と一括償却資産のどちらか、それ以外の人は一括償却資産か通常の減価償却。20万円以上40万円未満は、青色申告者だけが一括を選べます。

【2026年改正】40万円未満になったのは4月1日取得分からです

30万円から40万円に上がりました

2026年の改正で、少額減価償却資産の特例の金額基準が引き上げられました。国税庁の記述はこうです。

> 一定の要件を満たす青色申告者が、平成18年4月1日から令和11年3月31日までに取得した取得価額10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までに取得した場合の取得価額は10万円以上30万円未満)の減価償却資産(上記(注2)の適用を受けるものを除きます。)については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費に算入できるという特例があります。

(出典:同上・No.2100)

中小企業庁も同じ内容を告知しています。

> 中小企業者等が40万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に、即時償却(全額損金算入)することが可能。

(出典:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」・2026年9月12日確認)

境目は取得日です

基準日は「取得した日」であって、申告する年ではありません。2026年3月に35万円のカメラを買った場合、30万円未満の基準で判定されるため特例は使えません。同じカメラを2026年4月に買えば、40万円未満に収まるので一括計上できます。

2026年分の確定申告では、この2つの基準が同じ年の中に同居します。3月までの取得と4月以降の取得を分けて集計してください。

取得時期 上限 根拠
〜2026年3月31日 30万円未満 改正前の基準
2026年4月1日〜 40万円未満 令和8年度税制改正
適用期限 2029年3月31日まで 3年延長された

年間300万円という天井は変わりません

引き上げられたのは1個あたりの金額であって、年間の合計枠ではありません。合計300万円に達するところまでが上限です。副業規模でこの枠を使い切ることはまずありませんが、数字としては押さえておいてください。

なお、財務省の税制改正大綱によれば、この改正では常時使用する従業員数が400人を超える法人が対象から除外されています。個人の副業には関係しない要件ですが、法人向けの解説を読むときに混乱しないよう触れておきます。

(出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」・2026年9月12日確認)

ユイカ(副業初心者)
ぶっちゃけ、40万円まで一括で落とせるって聞いて期待してたんですけど…私も使えます?

リンク(運営者)
そこが分かれ目です。国税庁の原文が「青色申告者が」と書いているので、開業届と青色申告承認申請書を出していない人は対象外なんです。次で理由を見ていきます。

その特例が使えるのは青色申告者だけです

条文の主語が「青色申告者」です

前のセクションで引用した原文をもう一度見てください。主語は「一定の要件を満たす青色申告者が」です。青色申告をしていない人は、この特例の対象になりません。

青色申告ができるのは、事業所得・不動産所得・山林所得がある人です。副業の所得が雑所得に区分されているなら、そもそも青色申告の土俵に乗っていません。

雑所得の副業では20万円が上限ルートになります

したがって、雑所得で申告している人の選択肢はこうなります。

取得価額 雑所得の人が使える方法
10万円未満 その年に全額
10万円以上20万円未満 一括償却資産(3年で3分の1ずつ)または通常の減価償却
20万円以上 通常の減価償却のみ

25万円のパソコンを買っても、雑所得の副業では初年度に落とせるのは減価償却費の分だけです。青色申告者なら25万円を一括で計上できます。同じ買い物で、その年の経費が数倍変わります。

青色申告に移るには2つの書類が要ります

開業届と、青色申告承認申請書です。開業届だけでは青色申告になりません。青色申告承認申請書には「開業から2か月以内」という別の期限があり、ここを逃すとその年は青色申告ができません。

手続きの詳細は副業の開業届の出し方にまとめています。開業届の提出期限が2026年に変わった一方で、青色申告承認申請書の期限は変わっていない点に注意してください。

編集部で確認できなかった点

「雑所得の人はこの特例を使えない」と正面から書いた国税庁の公表資料は見つかりませんでした。ここは、特例の主語が青色申告者であること、青色申告が事業所得等の制度であること、この2つから当サイトが導いた整理です。自分の副業が事業所得か雑所得かの判定を含め、所轄の税務署に確認してください。

消費税の経理方式で、10万円の判定が変わります

税込か税抜かで線をまたぎます

見落とされやすい論点です。国税庁は次のように書いています。

> 取得価額の判定に際し、消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。すなわち、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。なお、免税事業者の経理方式は税込経理になります。

(出典:同上・No.2100)

税抜9万5,000円のパソコンは、税込だと10万4,500円です。税込経理なら10万円以上となり、その年に全額は落とせません。税抜経理なら10万円未満なので全額計上できます。

副業のほとんどは税込経理です

インボイス登録をしていない副業、つまり免税事業者は、原文のとおり税込経理になります。選択の余地がありません。

ということは、副業の大半の人にとって「10万円未満」は税込価格での判定です。9万8,000円と表示されていても、税込なのか税抜なのかで結論が変わります。レシートの総額欄を見てください。

消費税やインボイス登録の判断は副業のインボイスで扱っています。

経費にならないもの|所得税・住民税・罰金

税金のうち経費になるものとならないもの

国税庁は個別に列挙しています。

> 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。

> 所得税や住民税は必要経費になりません。

> 罰金、科料および過料などは必要経費になりません。

(出典:同上・No.2210)

表にすると次のようになります。

支出 経費になるか
事業税 全額なる
固定資産税 業務用部分のみなる
所得税 ならない
住民税 ならない
罰金・科料・過料 ならない
業務用資産の購入のための借入金の利息 なる

駐車違反の反則金は経費になりません

配達系の副業をしている人が引っかかるところです。業務中に切られた駐車違反の反則金も、罰金である以上は経費になりません。業務に関連していれば何でも経費になる、というわけではないのです。

一方で、業務用の車のために組んだローンの利息は経費になります。借入金の元本は経費ではありませんが、利息は別扱いです。

住民税は経費にならないが、副業とは別の形で関わります

住民税そのものは経費になりません。ただし、副業の所得が増えれば住民税の額は増えます。その通知が勤務先に行くかどうかは、また別の論点です。仕組みは副業が会社にバレない方法で扱っています。

家族に払った家賃と給与は、原則として経費になりません

生計を一にする親族への支払い

見落とされやすい規定です。

> 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。

> これは、土地や家屋に限らずその他の資産を借りた場合も同様です。

(出典:同上・No.2210)

実家で副業をしていて、親に月2万円を「家賃」として渡している。この2万円は経費になりません。同時に、受け取った親の側も所得として申告しなくてよいことになっています。両建てで消える構造です。

給与も同じです

> 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。

(出典:同上・No.2210)

配偶者に事務作業を手伝ってもらって月3万円を渡しても、原則として経費にはなりません。例外が青色事業専従者給与で、これも青色申告者だけの制度です。事前の届出も要ります。

ただし固定資産税は通ります

親から借りた建物で副業をしている場合、その建物にかかる固定資産税は経費にできます。

> ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。

(出典:同上・No.2210)

家賃はダメで固定資産税は通る。直感に反しますが、条文はそう書いています。

副業タイプ別|実際に計上できる費目の一覧

制作・クリエイティブ系

Blenderでの3Dモデル販売、イラスト制作、動画編集などです。パソコンとソフトが中心になります。

費目 内容 注意点
消耗品費 10万円未満の周辺機器、ペンタブ、外付けSSD 税込判定
通信費 回線・クラウドストレージ 按分が必要
支払手数料 販売プラットフォームの手数料 売上から自動で引かれる分も計上可
図書研究費 技術書、有料講座 業務との関連を説明できる範囲
減価償却費 10万円以上のPC・カメラ・液タブ 金額で計上方法が分かれる

サブスクリプションのソフト代は、月額なら全額その年の経費です。買い切りで10万円以上なら減価償却の対象になります。

物販・フリマ系

メルカリやBASEでの販売です。仕入れの扱いが最大の論点になります。

費目 内容 注意点
仕入高 商品の仕入れ代金 売れた分だけが当年の経費
荷造運賃 梱包材・送料
支払手数料 販売手数料・振込手数料
通信費 出品作業の回線 按分が必要

仕入れた商品のうち、年末時点で売れ残っているものは経費になりません。棚卸資産として翌年に繰り越します。ここを間違えると、在庫を抱えた年に大きな赤字が出てしまいます。

配達・スキマバイト系

Uber Eatsや出前館、タイミーなどです。移動にかかる費用が中心になります。

費目 内容 注意点
車両費・燃料費 ガソリン代、自転車の修理代 走行距離で按分
消耗品費 配達バッグ、スマホホルダー 10万円未満
通信費 アプリ使用分の通信 按分が必要
減価償却費 10万円以上の自転車・バイク 金額で計上方法が分かれる

反則金は経費になりません。前のセクションのとおりです。

アフィリエイト・情報発信系

ASP経由の報酬や、noteでの記事販売です。費目は少なくなります。

サーバー代、ドメイン代、有料テーマ代、素材サイトの利用料。このあたりが中心です。10万円を超える支出が出にくいジャンルなので、減価償却で悩む場面は少なくなります。

経費が1円もなくても69万円引ける特例があります

家内労働者等の必要経費の特例

知られていない制度です。国税庁の説明を引用します。

> 事業所得または雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として69万円まで(令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円。以下同じです。)認められる特例があります。

(出典:国税庁 タックスアンサー No.1810 家内労働者等の必要経費の特例(令和8年4月1日現在法令等)・2026年9月12日確認)

実際の経費が3万円しかなくても、69万円を必要経費として扱える、という制度です。

誰が「家内労働者等」なのか

> 家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。

(出典:同上・No.1810)

ポイントは最後の「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人」です。1社から継続して業務委託を受けている在宅ワーク、たとえば固定のクライアントからライティングやデータ入力を請け負っている形は、この文言に近くなります。

金額は年ごとに違います

年分 必要経費とみなされる金額
令和2年分〜令和6年分 55万円
令和7年分 65万円
令和8年分(2026年分)〜 69万円

(出典:同上・No.1810。令和8年分の金額は令和8年12月1日施行で令和8年分から適用)

過去の記事を読むときは、55万円と書かれていれば令和6年分以前、65万円なら令和7年分の情報です。2026年分の申告で使うのは69万円です。

収入金額が上限です

> 特例の必要経費額は、事業所得や公的年金等以外の雑所得の収入金額が限度です。

(出典:同上・No.1810)

収入が30万円しかない人が69万円を引いてマイナス39万円にする、という使い方はできません。引けるのは収入と同額までです。この特例で赤字を作ることはできません。

ただし給与が69万円以上なら、その特例は使えません

会社員の副業では、ほぼ使えません

前のセクションの特例には、決定的な制限があります。

> (1)給与の収入金額が69万円以上あるときは、この特例は受けられません。

(出典:同上・No.1810)

本業の給与が年69万円以上ある会社員は、この特例の対象外です。月収にすると5万7,500円ほどでないと届かない水準ですから、フルタイムで働いている人はまず使えません。

使える可能性があるのは誰か

条件を整理すると、次のような人に絞られます。

状況 特例が使えるか
正社員として働きながらの副業 使えない(給与が69万円以上)
給与収入がまったくない専業の在宅ワーク 使える可能性がある
給与収入が69万円未満のパート+在宅ワーク 一部使える可能性がある
退職して在宅ワークだけになった年 給与の額次第

給与が69万円未満の場合の計算は少し複雑です。国税庁は「69万円からその給与に係る給与所得控除額を差し引いた残額と、事業所得や雑所得の実際にかかった経費とを比べて高い方が」必要経費になる、としています。

該当しそうな人は計算書を使ってください

国税庁が専用の計算書を用意しています。「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例の適用を受ける場合の必要経費の額の計算書」という様式です。給与がある場合や事業所得と雑所得の両方がある場合は、これを使うほうが早く終わります。

編集部で確認できなかった点

クラウドソーシングで複数のクライアントから受注している人が「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う」に当たるかどうか、判断基準を示した公表資料は見つかりませんでした。1社専属に近い形かどうかで変わると思われますが、当サイトの推測にすぎません。使えるかどうかは所轄の税務署に確認してください。

ユイカ(副業初心者)
経費をいっぱい入れて赤字にしたら、お給料から引かれた税金が戻ってくるって本当ですか?

リンク(運営者)
雑所得だと戻りません。国税庁が「他の所得の金額と損益通算はできません」と明記しています。経費を積む目的がそれなら、先に所得区分を確認したほうが早いです。

雑所得は、赤字が出ても給与と相殺できません

損益通算ができません

経費を積む目的が「給与から引かれた税金を取り戻すこと」なら、先に知っておくべき規定があります。

> 雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません。

(出典:同上・No.1500)

副業が雑所得で赤字20万円になっても、給与所得から20万円を引くことはできません。雑所得の中で0円になって終わりです。

事業所得なら通算できます

一方、事業所得の赤字は給与所得と通算できます。ここが雑所得と事業所得の最も大きな違いのひとつです。副業の初年度に設備投資で赤字になった場合、事業所得であれば給与から源泉徴収された所得税の一部が戻ってきます。

ただし、赤字を作るために経費を積むという発想は順序が逆です。事業所得と雑所得の区分は、開業届を出したかどうかではなく、実態で判定されます。詳しくは副業の開業届の出し方で扱っています。

「経費を増やせば得」は成り立ちません

経費を1万円増やしても、返ってくるのは1万円ではありません。所得税の税率が5%なら500円、住民税10%を合わせても1,500円程度です(当サイトによる試算。実際の税率は課税所得によって変わります)。1万円払って1,500円戻る取引に、それ自体の合理性はありません。

必要なものを買った結果として経費になるのが正しい順序です。経費にするために買うのではありません。

雑所得・白色・青色で、経費の扱いはここまで変わります

3つを並べます

同じ副業でも、申告の形で使える制度が変わります。当サイトで整理した比較表です。

項目 雑所得 事業所得(白色) 事業所得(青色)
実費の経費計上 できる できる できる
一括償却資産(20万円未満) できる できる できる
少額減価償却資産の特例(40万円未満) 使えない 使えない 使える
給与との損益通算 できない できる できる
青色申告特別控除 なし なし あり
青色事業専従者給与 なし なし あり
現金主義の特例 前々年収入300万円以下で可 別要件 別要件
帳簿の保存義務 前々年収入300万円超で書類保存 あり あり

副業の規模が小さいうちは差が出ません

月3万円の副業で、10万円を超える買い物が年に1回あるかどうか。この規模なら、雑所得と青色申告で経費の金額はほとんど変わりません。青色申告特別控除の分だけ青色が有利ですが、記帳の手間と釣り合うかは別の話です。

差が出始めるのは、設備投資が増えてからです。年に数十万円の機材を買うようになったら、青色申告への移行を検討する段階に来ています。

帳簿と書類の保存義務

雑所得でも、規模によっては保存義務が発生します。

> 令和4年分以後の所得税において、業務に係る雑所得を有する場合で、その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える方は、現金預金取引等関係書類を保存する必要があります。

(出典:同上・No.1500)

さらに前々年の収入が1,000万円を超えると、確定申告書に収支内訳書などの添付が必要になります。データで受け取った請求書や支払明細の残し方は副業の電子帳簿保存法にまとめています。

(参考:国税庁 タックスアンサー No.2080 青色申告者の記帳・帳簿等の保存・2026年9月12日確認)

ユイカ(副業初心者)
覚えることが多くて、結局どこから手をつければいいのか分からなくなってきました…

リンク(運営者)
分かります。制度を全部覚える必要はなくて、先に器を作るほうが早いです。次のセクションで、30分で終わる初期設定を4つだけ挙げますね。

今日やること|30分で終わる仕分けの初期設定

手順は4つです

制度を読み込むより、先に器を作ったほうが早く終わります。

1. 副業専用の決済手段を1つ決める

クレジットカードでも銀行口座でも構いません。副業の支出はそこに寄せます。生活費と混ざった明細から後で抜き出す作業が、経費計上でいちばん時間を食います。新しくカードを作る必要はなく、今持っているうちの1枚を副業用と決めるだけで足ります。

2. 按分する費目と割合を紙に書く

家賃は面積で15%、電気代も15%、通信費は時間で20%。このメモを1枚作り、根拠になる間取り図の寸法や作業時間も一緒に書いておきます。翌年もこのメモを使い回します。

3. 10万円以上の買い物を別のリストにする

取得日、品名、金額、使い始めた日。この4項目を記録します。取得日が2026年3月31日以前か4月1日以降かで、特例の金額基準が変わるからです。

4. 領収書を月ごとのフォルダに入れる

紙の領収書は封筒に、データの領収書はフォルダに。データで受け取ったものを印刷して元データを消すのは認められていません。

領収書がもらえない支出はどうするか

電車代やバス代、自動販売機での購入、香典や祝儀。領収書が出ない支出はいくつもあります。

こうした支出について、国税庁が「領収書がなければ経費にできない」と書いた資料は、当サイトで調べた限り見つかりませんでした。必要経費の要件はあくまで業務上の費用であることです。記録を残して説明できる状態にしておくのが実務的な対応になります。

支出 残すもの
電車代・バス代 日付・区間・目的・金額のメモ、またはICカードの利用履歴
自動販売機での購入 日付・場所・目的・金額のメモ
取引先への慶弔費 案内状、日付と金額のメモ
クレジットカード払い カード明細(ただし明細だけでは中身が分からないものは補足を)

以下は当サイトの整理ですが、メモに書くのは「いつ・いくら・何のために」の3点で足ります。手帳の余白でも、スマホのメモアプリでも構いません。後から思い出せない状態にしないことが目的です。

逆に、残しても意味が薄いもの

副業と無関係なレシートを念のため取っておく人がいます。集計のときに1枚ずつ判定し直すことになり、時間だけ消えます。

その場で「これは副業のもの」と分かるものだけを残してください。迷ったら、そのレシートの裏に目的を書いてから封筒に入れる。これだけで翌年の作業が短くなります。

年内に判断しておくこと

12月になってから慌てる項目を先に挙げておきます。

時期 やること
10〜11月 その年の収入見込みを出し、青色申告に移るか検討する
12月 必要な機材の購入時期を判断する(取得日で基準が変わる)
12月31日 未払いでも債務が確定している費用を洗い出す
翌年1〜2月 按分の割合を確定し、集計する
翌年2月16日〜3月15日 確定申告書を提出する

(時期の整理は当サイトによるものです。確定申告の期間は国税庁の案内に基づきます)

よくある質問

Q1. 10万円ちょうどのパソコンは、その年に全額経費にできますか

できません。国税庁が全額計上を認めているのは「取得価額が10万円未満のもの」です。10万円ちょうどは10万円未満に当たらないため、減価償却の対象になります。ただし一括償却資産として3年で3分の1ずつ計上する方法は使えます。

Q2. 40万円未満なら一括で経費にできると聞きましたが、雑所得でも使えますか

使えません。この特例は国税庁の原文で「一定の要件を満たす青色申告者が」と限定されています。青色申告は事業所得・不動産所得・山林所得がある人の制度なので、雑所得だけの副業では対象になりません。なお「雑所得は使えない」と正面から書いた公表資料は確認できませんでした。判定は所轄の税務署に確認してください。

Q3. 2026年に35万円のカメラを買いました。一括で経費にできますか

取得日によります。2026年3月31日までに取得した場合は30万円未満が基準なので対象外です。2026年4月1日以降に取得した場合は40万円未満に収まるため、青色申告者であれば一括で計上できます。基準日は申告する年ではなく取得した日です。

Q4. 家賃は何割まで経費にできますか

国税庁が割合の目安を公表した資料は、当サイトで調べた限り見つかりませんでした。条文にあるのは「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」という文言だけです。床面積や使用時間で計算し、その根拠を記録に残してください。割合の大小より、説明できるかどうかが問われます。

Q5. 12月に届いた請求書を1月に払いました。どちらの年の経費ですか

12月の経費です。国税庁は「その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります」としています。ただし前々年の収入が300万円以下の人は、確定申告書に記載すれば現金主義の特例を使えます。

Q6. 実家に払っている家賃は経費になりますか

生計を一にしている親に払っているなら、経費になりません。国税庁は「生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません」としています。受け取った親の側も所得として考えなくてよいことになっています。ただし、その建物にかかる固定資産税は経費にできます。

Q7. 経費が1円もなくても69万円引ける特例があると聞きました

家内労働者等の必要経費の特例です。令和8年分は69万円(令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円)が必要経費として認められます。ただし給与の収入金額が69万円以上あるときは受けられません。会社員として働きながらの副業では、ほぼ使えないと考えてください。

Q8. 副業が赤字になったら、給与から引かれた税金は戻りますか

雑所得なら戻りません。国税庁は「雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません」としています。事業所得であれば給与所得と通算できますが、事業所得か雑所得かは開業届の有無ではなく実態で判定されます。

Q9. 副業の売上から自動で引かれる販売手数料も経費になりますか

なります。プラットフォームの販売手数料や振込手数料は、業務上の費用として計上できます。入金額だけを収入として記録すると、売上と経費の両方が実際より小さくなります。手数料を引かれる前の金額を収入に、引かれた手数料を経費に、それぞれ計上してください。

Q10. 税込9万9,800円のパソコンは全額経費にできますか

インボイス登録をしていない副業なら、できます。国税庁は「免税事業者の経理方式は税込経理になります」としており、税込金額の9万9,800円で判定するためです。ただし税抜9万9,800円(税込10万9,780円)の場合は、税込経理だと10万円以上になるので全額計上はできません。レシートの総額欄で判断してください。

Q11. 仕入れた商品が年末に売れ残っています。経費になりますか

なりません。売れ残った分は棚卸資産として翌年に繰り越し、売れた年の経費になります。国税庁は必要経費を「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額」と定義しています。収入に対応する分だけが当年の経費になる、という構造です。

Q12. 業務中の駐車違反の反則金は経費になりますか

なりません。国税庁は「罰金、科料および過料などは必要経費になりません」としています。業務に関連していれば何でも経費になるわけではない、という例です。一方、業務用資産を買うための借入金の利息は経費になります。

まとめ|金額の線を先に覚えたほうが早いです

副業の経費は「何が落とせるか」から入ると終わりません。費目の名簿は法律のどこにも存在せず、判定は業務との関連ひとつだからです。

代わりに、金額の線を覚えてください。10万円未満なら全額その年。10万円以上20万円未満なら3年で3分の1ずつ。10万円以上40万円未満は青色申告者だけ一括。この3本で、買い物の判断はその場で終わります。

そして2026年は境目の年です。3月31日までに取得したものは30万円未満、4月1日以降に取得したものは40万円未満。同じ年の申告の中に2つの基準が同居します。

この記事の要点

  • 10万円以上のものは、買った年に全額を経費にできない
  • 40万円未満の一括計上は2026年4月1日取得分から。それ以前は30万円未満
  • その特例は青色申告者だけで、雑所得の副業では使えない
  • 家事按分は「明らかに区分できる部分」だけ。割合の目安は公表されていない
  • 経費は払った年ではなく債務が確定した年。前々年300万円以下なら現金主義の特例あり
  • 所得税・住民税・罰金は経費にならず、事業税は全額なる
  • 生計を一にする家族への家賃・給与は経費にならないが、固定資産税は通る
  • 経費ゼロでも69万円引ける特例はあるが、給与69万円以上なら使えない
  • 雑所得の赤字は給与と相殺できない

経費を増やしても、戻ってくるのは払った額の一部です。1万円の支出で返るのは1,500円前後です(所得税5%+住民税10%として当サイトが試算)。順序としては、必要なものを買った結果が経費になります。逆ではありません。

手続き全体の流れは副業の確定申告のやり方に、青色申告に移る手順は副業の開業届の出し方にまとめています。

参照した資料

いずれも2026年9月12日確認。本記事は税務相談ではありません。個別の判断は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

目次
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