スペースマーケット副業【2026年】雑所得とは限りません

副業
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営業職として10年間活動、某営業会社で2000人中2位、プライム上場企業にて年間TOPセールスなどを経て、サービス開発をするためにPDMにジョブチェン、現在進行形でPM/PDMをしています。上場企業の昇進レースに見切りをつけ、副業として業務委託でPM/PDM/PMOを複数案件並列で兼務、副業が年収1,000 万を突破したので、ナレッジを「会社の外で稼ぐ PM スキルの循環」をテーマに、テンプレ・講座・コミュニティで同世代の跳躍を支援しています。

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使っていない部屋がある。会議や撮影で借りたい人がいる。あいだをプラットフォームがつなぐ。在庫も仕入れもなく、初期費用もほぼかかりません。

ユイカ(副業初心者)
使ってない部屋を貸すだけで月6万円って見て、いいなって思ったんです。でも調べ始めたら、手数料とか許可とか出てきて、どこから確認すればいいのか分からなくなっちゃって…

リンク(運営者)
分かります。この副業、調べる順番を間違えると時間が全部ムダになるんですよね。結論から言うと、いちばん最初に確認するのは利回りでも立地でもなくて、その部屋をその用途で貸していいかどうかです。

ユイカ(副業初心者)
えっ、自分の部屋なのに?

リンク(運営者)
賃貸なら大家さんの承諾が要りますし、分譲でも管理組合が出てきます。公式の掲載条件にそう書いてあるんです。この記事では、手数料がいくら引かれるかと、どの許可が要るかを、公式資料の原文だけで整理していきますね。

ただ、いざ調べ始めると、数字と手続きの両方が曖昧なまま進んでしまいがちです。

まず数字から書きます。スペースマーケットのホスト手数料は、スペース利用料金(税抜)の30%です。公式ヘルプにこう書かれています。「ゲストがホストに支払うスペース利用料金(税抜)の 30%」。そして同じページに「※上記の⾦額に消費税が加算されます」と続きます。

そしてこの記事の本題は、手数料ではありません。スペースマーケットの公式ヘルプは「副業としての収益は…『雑所得』として申告となります」と書いていますが、国税庁は「土地や建物などの不動産の貸付け」による所得を不動産所得と定義しています。どちらで申告するかで、赤字が出たときの扱いも、青色申告特別控除の金額も変わります。プラットフォームのヘルプに書いてある所得区分を、そのまま鵜呑みにしないでください、という話です。

この記事でわかること

  • ホスト手数料が「スペース利用料金(税抜)の30%」+消費税であること
  • それが結果として「税込利用料金の30%」と一致すること(本記事の検算)
  • 手数料の計算基礎に、維持管理費と追加料金(オプション)が含まれること
  • キャンセル料が発生した場合、キャンセル料にも30%がかかること
  • 個別契約を結んでいるホストは、手数料率が違う場合があると公式が書いていること
  • 入金が利用日の翌月最終日で、決済方法により数日ずれ、着金が翌々月月初になりうること
  • 公式ヘルプが「副業は雑所得」と書く一方、国税庁の定義では不動産の貸付けは不動産所得であること
  • 所得区分が変わると、赤字の損益通算と青色申告特別控除の金額が変わること
  • 「20万円を越えたら確定申告」は、国税庁の原文では給与所得者についての条件付きの話であること
  • 借りている部屋を貸すには、民法上、賃貸人の承諾が必要であること
  • 宿泊目的のスペースは掲載できず、「昼寝」「仮眠」という語やベッド・リネンの写真も禁止されていること
  • ゲームソフト・DVD・麻雀卓など、置けない/貸せない備品が具体的に決まっていること
  • 電話番号やLINE IDをページに書くことが禁止されていること
  • 用途変更の建築確認が不要な規模でも、建築基準法や消防法への適合は求められると国土交通省が書いていること

この記事の調べ方(編集方針)

  • 本記事は、副業ジャンルの記事を87本以上制作している当サイト編集部が作成しました。事実部分の出典はスペースマーケット公式ヘルプ・国税庁・国土交通省・e-Gov法令検索に限定し、確認日を本文中に明記しています。調査日は2026年9月17日です。
  • 本記事は税理士・行政書士の監修を受けていません。そのぶん、解釈が分かれる論点では断定を避け、公式資料の原文表現をそのまま引用する方針を取っています。所得区分の最終判断は税務署または税理士に確認してください。
  • 手数料率・入金条件・掲載条件は運営会社が改定する項目です。本記事の数字は2026年9月17日に公式ヘルプで確認した値です。申し込み前に必ず最新の表示を確認してください。
  • 体験談は載せていません。公式資料に記載を確認できなかった論点は「確認できませんでした」と明記しています。

本記事の調査で埋まらなかった論点

今回当たったのは、スペースマーケット公式ヘルプの「成約手数料について」「売上について」「売上振込のタイミング」「確定申告について」「施設及びスペースに関するガイドライン・掲載条件」、国税庁タックスアンサーNo.1370・No.1373・No.1391・No.1900、国土交通省住宅局建築指導課のリーフレット「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました!」、e-Gov法令検索の民法第612条の11点です。そのうえで、次の点は確認できませんでした。

  • スペースマーケットのヘルプが「副業は雑所得」と書く根拠。ヘルプにはその判断の理由や根拠法令が書かれていません。国税庁の定義との関係を説明した記述も、今回当たった資料の中には見当たりませんでした。
  • 売上の振込手数料と決済手数料を、最終的にどちらが負担するのか。今回当たった4本の売上系ヘルプに、振込手数料の負担者を明示した記述は見つかりませんでした。検索結果には「スペースマーケットが負担」と書く第三者サイトがありますが、公式ページで裏を取れていないため、本記事では金額に織り込みません。
  • ホストの登録料・月額費用の有無。掲載が無料である旨を明示したヘルプページを、今回の調査範囲では確認できませんでした。「初期費用ゼロ」と断定しないのはそのためです。
  • 個別契約のホストに適用される手数料率。「本ページ記載の手数料率と異なる場合がございます」とあるのみで、率も条件も公表されていません。

確定申告そのものの手順は副業の確定申告のやり方に、経費の考え方は副業の経費にまとめています。この記事は、スペースを貸したときに手元にいくら、いつ残るかと、どの届出と規約に引っかかるかだけに絞ります。

目次

  1. 結論:ホスト手数料は「スペース利用料金(税抜)の30%」です
  2. 検算|税抜の30%+消費税は、税込の30%と一致します
  3. 月6万円貸したときに手元に残る額
  4. 手数料の計算基礎|維持管理費とオプションも含みます
  5. キャンセル料にも30%がかかります
  6. 手数料率が違うホストがいます
  7. 入金は利用日の翌月最終日|決済方法で数日ずれます
  8. 着金が翌々月月初になる可能性があります
  9. ゲストから直接受け取ることは禁止されています
  10. 【本題】ヘルプの「雑所得」をそのまま信じないでください
  11. 国税庁の定義|不動産の貸付けは不動産所得です
  12. 区分が変わると何が変わるか|赤字の扱い
  13. 青色申告特別控除|事業的規模でなければ最高10万円
  14. 20万円ルールは「給与所得者」の話です
  15. 経費|貸している部分に対応するものだけ
  16. 借りている部屋は、承諾なしには貸せません
  17. 分譲マンションは管理組合の許可が要ります
  18. 宿泊はできません|「昼寝」「仮眠」の語もNGです
  19. ベッドとリネンの写真が載せられない理由
  20. 置けない設備・貸せない備品の一覧
  21. 電話番号もLINE IDも書けません
  22. 用途変更|200㎡の線と、それでも消えない消防法
  23. 食品提供とサウナ|保健所と公衆浴場法
  24. 収支の全体像|どこで削られるかの一覧
  25. よくある勘違い6つ
  26. 今日やること|5ステップ
  27. よくある質問
  28. まとめ
目次

結論:ホスト手数料は「スペース利用料金(税抜)の30%」です

最初に数字だけ置きます。

項目 内容 出典
ホスト手数料 スペース利用料金(税抜)の30% 公式ヘルプ「成約手数料について」
消費税 上記の金額に加算される 同上
キャンセル時 キャンセル料(税抜)の30% 同上
入金 利用日の翌月最終日(決済方法で前後) 公式ヘルプ「売上振込のタイミング」

公式ヘルプには、こう書かれています。

スペースマーケットでは、成約金額に対してホストが支払う手数料を定めています。

ゲストがホストに支払うスペース利用料金(税抜)の 30%

(スペースマーケット公式ヘルプ「成約手数料について」、2026年9月17日確認)

そして同じページの注記に、次の2点が続きます。

※キャンセル料が発生した場合は、キャンセル料(税抜)の30%

※上記の⾦額に消費税が加算されます

弊社と個別契約を締結しているホストは、本ページ記載の手数料率と異なる場合がございます。

“スペース利用料金” には、維持管理費・追加料金(オプション)を含みます。

(同ページ「注意点」、2026年9月17日確認)

この注記の4行が、この記事の前半のすべてです。1行ずつ意味が違い、1行ずつ手取りが変わります。順番に見ていきます。

まず、想定している月のゲスト支払額(税込)に0.7を掛けてください。それが手元に来るおおよその額です。

検算|税抜の30%+消費税は、税込の30%と一致します

「税抜の30%、さらに消費税が加算」という書き方は、初めて読むと身構えます。30%より重いのか、と。

実際に計算してみます。

本記事が置いた前提:消費税率を10%として計算します。スペース利用が軽減税率の対象にならないという前提です。この税率は公式ヘルプに書かれておらず、本記事が置いた仮定です。

項目 金額 計算
スペース利用料金(税抜) 10,000円 前提
ゲストの支払額(税込) 11,000円 10,000×1.1
ホスト手数料(税抜) 3,000円 10,000×30%
手数料にかかる消費税 300円 3,000×10%
手数料の合計 3,300円 3,000+300
ホストの受取 7,700円 11,000−3,300

ここで検算です。3,300円は、税込の11,000円に対してちょうど30%です。受取の7,700円は70%。

つまり「税抜の30%+消費税」は、計算上「税込の30%」と一致します。税抜に0.3を掛けてから1.1を掛けても、税込(=税抜に1.1を掛けたもの)に0.3を掛けても、結果は同じだからです。掛ける順番が違うだけです。

これは公式が書いている式ではなく、本記事が公式の文言から導いた計算です。ただ、割合の桁を間違えないための目安としては使えます。ゲストが払った総額のうち、おおよそ7割が手元に来ます。

なお、この一致自体は、利用料金と手数料に同じ税率が適用される限り、税率の値によらず成り立ちます。10%という前提に依存しているのは、上の表に並べた具体的な金額のほうです。

月6万円貸したときに手元に残る額

具体的な月次に落とします。

本記事が置いた前提:1時間あたり2,000円(税抜)のスペースを、月に30時間貸したとします。稼働時間も単価も、本記事が説明のために置いた仮定です。実際の相場を示すものではありません。

項目 金額
月の利用料金(税抜) 60,000円
ゲストの支払額(税込) 66,000円
ホスト手数料(税抜) 18,000円
手数料の消費税 1,800円
手数料合計 19,800円
ホストの受取 46,200円

月6万円の売上に見えていたものが、振り込まれるのは46,200円です。差は19,800円。

ここから、さらに光熱費・通信費・清掃費・消耗品が出ていきます。スペース貸しは「在庫を持たない副業」と説明されがちですが、変動費がゼロというわけではありません。エアコンを稼働させ、Wi-Fiを通し、使われたぶんだけ掃除をします。

そして、ここまでの計算はすべて税金を引く前の話です。所得税と住民税は、このあとに来ます。

手数料の計算基礎|維持管理費とオプションも含みます

公式ヘルプの注意点に、こう書かれています。

“スペース利用料金” には、維持管理費・追加料金(オプション)を含みます。

(スペースマーケット公式ヘルプ「成約手数料について」、2026年9月17日確認)

ここは見落としやすい行です。

たとえば「清掃費として1回2,000円(税抜)をオプションで受け取る」という設計にしたとします。この2,000円は、手数料の計算基礎に入ります。手数料は600円+消費税60円=660円。ゲストの支払は税込2,200円なので、受け取るのは1,540円です(税抜ベースに直せば1,400円)。第2章と同じく、消費税率10%を前提にした計算です。

清掃を外注していて原価が2,000円ちょうどなら、オプションを受け取るほど赤字が増えます。

対処として考えられるのは、オプション料金を原価ではなく「原価÷0.7」で設計することです。税抜2,000円ぶんを手元に残したいなら、税抜で約2,858円に設定する、という考え方になります。ただし料金設定は集客に直結するので、上げれば予約が減る可能性があります。本記事はこの設計を推奨するものではありません。手数料の計算基礎に入るという事実を、設計の前に知っておくべきだ、という話です。

維持管理費も同じ扱いです。名目を分けても、手数料の外には出ません。

キャンセル料にも30%がかかります

公式ヘルプの注記にあります。

※キャンセル料が発生した場合は、キャンセル料(税抜)の30%

(同ページ、2026年9月17日確認)

キャンセル料は、埋まるはずだった枠が空いたことへの補填です。その補填に対しても、成約時と同じ率の手数料がかかります。

つまりキャンセルが起きても、ホストの取り分は満額には戻りません。直前キャンセルが続く月は、売上の見え方と手取りの差がさらに開きます。

キャンセルポリシーの厳しさをどう設定するかは、集客とのトレードオフです。厳しくすれば予約のハードルが上がり、緩くすれば直前キャンセルが増えます。どちらが正解かは立地と用途によるため、本記事では判定しません。

手数料率が違うホストがいます

もう一度、注意点の1行目です。

弊社と個別契約を締結しているホストは、本ページ記載の手数料率と異なる場合がございます。

(同ページ、2026年9月17日確認)

これは、30%が全員に適用される数字ではない、という意味です。

ただしどういう条件で個別契約になるのか、率が何%になるのかは、公式ページに書かれていません。今回の調査範囲では確認できませんでした。

実務的な読み方はひとつです。あなたが最初に掲載するときの率は30%だと考えて設計する。それより有利な条件が存在する可能性はありますが、それを前提に収支を組むべきではありません。

入金は利用日の翌月最終日|決済方法で数日ずれます

公式ヘルプ「売上振込のタイミング」に、表でこう書かれています。

決済方法 振込タイミング
クレジットカード 利用日の翌月最終日 3 日前~最終日
クレジットカード以外(Paidy、Paid、AmazonPay、楽天ペイ) 利用日の翌月最終日

(スペースマーケット公式ヘルプ「売上振込のタイミング」、2026年9月17日確認)

ゲストがどの決済方法を選んだかで、振込日が数日ずれます。ホスト側が選べる項目ではありません。

さらに、クレジットカード決済については次の注記が付いています。

※ 入金タイミングは、月によって異なります。

※ 入金状況によって、2回に分かれて売り上げが入金される月がございます。

(同ページ、2026年9月17日確認)

1か月ぶんの売上が、1回の振込で来るとは限りません。通帳の金額と自分の帳簿が合わない月が出ます。副業の記帳をしている人は、ここで手が止まります。

対策はひとつだけです。ホスト管理画面の「実績」→「売上明細」から、支払通知書をPDFまたはCSVで発行しておくこと。公式ヘルプ「売上について」に手順が書かれています。通帳ではなく支払通知書を、記帳の一次資料にしてください。

帳簿と証憑の保存方法については副業の電子帳簿保存法にまとめています。

着金が翌々月月初になる可能性があります

同じ注記の中に、もうひとつ重要な行があります。

※ 金融機関の営業日や休日の関係上、振込完了日が前後し、着金が利用日の翌々月月初となる可能性がございます。

(同ページ、クレジットカード決済の場合の注記、2026年9月17日確認)

クレジットカード以外の決済についても、「入金タイミングは、月によって異なります」「入金タイミングは、月末が金融機関休業日の場合は、後営業日となります」と書かれています。

時系列にすると、こうなります。

日付 出来事
9月1日 ゲストがスペースを利用(利用日)
10月28日〜31日 翌月最終日の3日前〜最終日に振込(クレジットカード決済の場合)
11月初 金融機関の都合により、着金がここまで後ろ倒しになる可能性

9月に働いたぶんのお金が、11月に入ってくることがある。これがスペース貸しの資金繰りの実像です。

ここが効いてくるのは、賃貸物件を借りてスペースを運営する場合です。家賃は毎月出ていき、売上は最大で2か月遅れて入ってきます。初月から数えて、少なくとも2か月ぶんの家賃と光熱費を先に用意しておかないと、回りません。

なお、この「2か月」は上記の公式記述から本記事が組み立てた最長のケースです。毎月こうなると書かれているわけではありません。

ゲストから直接受け取ることは禁止されています

公式ヘルプ「売上について」の冒頭に、括弧書きでこうあります。

(ゲストから直接利用料金を受け取ることは、規約で禁止しています)

(スペースマーケット公式ヘルプ「売上について」、2026年9月17日確認)

「常連になったゲストとは直接やり取りして、手数料を浮かせればいい」という発想は、規約で正面から塞がれています。

そして後述する掲載条件のほうでは、そもそも連絡先を書くこと自体が禁止事項に並んでいます(第21章)。

ユイカ(副業初心者)
手数料の話は分かりました。あとは確定申告ですよね。公式のヘルプに書いてある通りにやれば大丈夫ですか?

リンク(運営者)
そこがこの記事の本題で、ここだけは鵜呑みにしないでほしいところなんです。公式ヘルプは「副業なら雑所得」と書いていますが、国税庁は不動産の貸付けによる所得を不動産所得と定義している。両方読み比べてみましょう。

【本題】ヘルプの「雑所得」をそのまま信じないでください

ここからが本題です。

スペースマーケットの公式ヘルプ「確定申告について」に、次の2行が並んでいます。

スペース貸し(民泊含む)による収益は、事業として営む場合は「不動産所得」となります。

副業としての収益は、その金額の程度、スペースのタイプ(所有・賃貸)に関わらず「雑所得」として申告となります。

(スペースマーケット公式ヘルプ「確定申告について」、2026年9月17日確認)

読み方はこうです。事業としてやっているなら不動産所得、副業なら金額にも所有形態にも関係なく雑所得。きれいに二分されています。

そして同じページには、次の但し書きもあります。

※スペースマーケットでは個別に確定申告のご相談を承ることはできません。

(同ページ、2026年9月17日確認)

つまりこのヘルプは、個別相談には応じないと明記したうえで書かれた、一般論としての整理です。ここに根拠法令の記載はありません。なぜ副業だと雑所得になるのか、その理由を説明した記述も、今回当たった資料の中には見当たりませんでした。

次の章で、国税庁側の定義を見ます。

国税庁の定義|不動産の貸付けは不動産所得です

国税庁タックスアンサーNo.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」には、こう書かれています。

不動産所得とは、次の(1)から(3)までの所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。

(1) 土地や建物などの不動産の貸付け

(国税庁タックスアンサーNo.1370、令和8年4月1日現在法令等、2026年9月17日確認)

注目したいのは、除かれているものが「事業所得または譲渡所得に該当するもの」だけだという点です。この定義文に「副業なら雑所得」という条件は書かれていません。金額の多寡も、所有か賃貸かも、条文の側では区分の決定要因として挙げられていません。

さらにNo.1373「事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」は、冒頭でこう述べています。

不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。

不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。

(国税庁タックスアンサーNo.1373、令和8年4月1日現在法令等、2026年9月17日確認)

国税庁の整理では、事業かどうかは「不動産所得か雑所得か」の分岐ではなく、「不動産所得の中での計算方法の違い」として説明されています。事業でなければ雑所得に落ちる、という書き方はされていません。

ここで2つを並べます。

所得区分の考え方 出典
スペースマーケット公式ヘルプ 事業なら不動産所得、副業なら金額・所有形態に関わらず雑所得 「確定申告について」
国税庁タックスアンサー 不動産の貸付けによる所得は不動産所得(事業所得・譲渡所得に該当するものを除く)。事業かどうかは不動産所得の中での計算方法の違い No.1370/No.1373

両者は同じことを言っていません。

ただし、本記事は「ヘルプが間違っている」と断定しません。理由は2つあります。

ひとつは、時間貸しのスペース利用には、単なる場所の貸付けを超えた役務(設備の提供、清掃、備品の貸出、当日の対応など)が伴う場合があり、実態によっては不動産の貸付け以外の所得として扱われる余地が論じられる領域だからです。ただし、その線引きを示した資料は、今回の調査範囲では確認できませんでした。

もうひとつは、所得区分が最終的には個別の実態で判断されるもので、本記事の書き手が判定できる立場にないからです。

だから、この記事が言うのはここまでです。プラットフォームのヘルプの一文を、そのまま自分の申告区分として採用しないでください。迷ったら税務署に確認してください。国税庁のタックスアンサー各ページには、末尾に「国税に関するご相談は、税についての相談窓口をご覧ください」という案内が置かれています。まずそこから辿ってください。

ユイカ(副業初心者)
でも、雑所得でも不動産所得でも、払う税金って結局同じじゃないんですか?

リンク(運営者)
変わります。いちばん大きいのが赤字の扱いで、不動産所得なら給与の黒字から差し引ける。スペース貸しは初年度に赤字が出やすいので、ここは金額として効いてきます。

区分が変わると何が変わるか|赤字の扱い

「どっちでも税金は変わらないのでは」と思うかもしれません。変わります。いちばん大きいのが、赤字が出たときの扱いです。

国税庁タックスアンサーNo.1391には、こうあります。

この結果、不動産所得の損失(赤字)の金額があるときは、他の黒字の所得金額から差し引くことができます(損益通算)。

(国税庁タックスアンサーNo.1391、令和8年4月1日現在法令等、2026年9月17日確認)

不動産所得が赤字なら、給与所得などの黒字から差し引けます。一方、雑所得の赤字については、No.1391に相当する「他の黒字の所得から差し引ける」旨の記述がありません。雑所得の損失の取り扱いを正面から定めた資料までは、今回の調査範囲では当たっていません。ここは「不動産所得側にはこの扱いが明記されている」という非対称として読んでください。

スペース貸しは、初年度に赤字が出やすい副業です。内装、家具、備品、撮影、掲載準備。売上が立つ前に支出が先行します。この赤字を給与から差し引けるかどうかは、手元に戻る税額に直結します。

ただし、不動産所得でも損益通算の対象にならない損失として、主に次の2つが挙げられています。

1 別荘等のように主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの

2 不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額

(同No.1391、2026年9月17日確認)

このほか同ページには、特定組合員等の不動産所得の損益通算と、国外中古建物の不動産所得の損益通算等の特例についての定めも置かれています。副業で1室を貸す場合に直接効いてくる場面は限られますが、「2つだけ」ではない点は書いておきます。

区分を自分に有利なほうへ寄せて申告せよ、という話ではありません。実態に沿った区分がどちらかを、自分で考えず税務署に確認してください、という話です。有利不利が生じるからこそ、独断で決めるべきではありません。

青色申告特別控除|事業的規模でなければ最高10万円

もうひとつ変わるのが、青色申告特別控除の金額です。

国税庁タックスアンサーNo.1373は、まず「不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します」と述べたうえで、「ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます」として、次の基準を挙げています。

(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

(国税庁タックスアンサーNo.1373、令和8年4月1日現在法令等、2026年9月17日確認)

そして控除額について、こう続きます。

(4) 令和8年分までの青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合、正規の簿記の原則による記帳を行うなどの一定の要件を満たすことにより最高55万円の控除を受けることができます。

この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられます。

なお、それ以外の場合の控除額は最高10万円となります。

(同No.1373、2026年9月17日確認)

1部屋を副業で貸しているだけの人は、通常は「それ以外の場合」に当たります。控除は最高10万円です。55万円や65万円の数字を前提に収支を組むと、ずれます。なお上の10室・5棟は「当てはまれば事業として取り扱う」という基準であって、外れれば必ず事業でない、と書かれているわけではありません。原則はあくまで実質判断です。

ひとつ注意しておきます。上の引用は「令和8年分までの青色申告特別控除については」という書き出しになっています。期限が区切られた書き方です。令和9年分以降どうなるかは、この資料からは読み取れません。申告の年の最新のタックスアンサーを確認してください。

開業届と青色申告承認申請の手順は副業の開業届の出し方にまとめています。

20万円ルールは「給与所得者」の話です

スペースマーケットの確定申告ヘルプには、こう書かれています。

上記の所得合計が年間(1月1日〜12月31日)で20万円を越えたら確定申告が必要です。

(スペースマーケット公式ヘルプ「確定申告について」、2026年9月17日確認)

この「20万円」という数字自体は、国税庁の資料にも出てきます。ただし条件の付き方が違います。

国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」の原文です。

2 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人

(国税庁タックスアンサーNo.1900、令和8年4月1日現在法令等、2026年9月17日確認)

タイトルが「給与所得者で確定申告が必要な人」です。この20万円は、給与所得者についての話として書かれています。会社員をしながらスペースを貸している人には当てはまりますが、専業主婦・学生・フリーランス・年金生活者など、給与を受けていない人にそのまま当てはめられる書き方にはなっていません。

また、数えるのは収入ではなく所得です。売上から必要経費を引いたあとの金額で判定します。スペースマーケットのヘルプも「所得 = 売上金額 – 必要経費」と書いており、この点は国税庁と一致しています。

なお本記事が扱ったのは所得税の話です。住民税の申告がどうなるかは、国税庁のタックスアンサーの範囲外であり、今回は確認していません。お住まいの自治体の案内を確認してください。

副業が会社にバレない方法で住民税の仕組みを整理しています。

経費|貸している部分に対応するものだけ

経費については、スペースマーケットのヘルプと国税庁の記述が、めずらしく素直に重なります。

ヘルプ側。

そのため、持ち家の一部屋を貸し出す場合は、家の固定資産税や減価償却費、損害保険料など、貸し出している部分に対応するものだけが経費として認められます。

また、貸し出しにおいて発生する、水道光熱費・WiFiの通信費・備品、清掃費などについては、事業用と私用を明確に分ける必要があります。

(スペースマーケット公式ヘルプ「確定申告について」、2026年9月17日確認)

国税庁No.1370側。

必要経費とすることができるものは、不動産収入を得るために直接必要な費用のうち家事上の経費と明確に区分できるものであり

(国税庁タックスアンサーNo.1370、2026年9月17日確認)

どちらも言っているのは「分けろ」です。

自宅の1部屋を貸すなら、家賃や住宅ローン、電気代を全額落とすことはできません。面積比や使用時間比など、合理的な基準で按分します。按分の基準は、決めたあとで変えないこと。そして基準の根拠(間取り図、稼働時間の記録)を残しておくこと。これは貸す前にやっておくほうが、あとから思い出すより正確になります。

按分の具体的な考え方は副業の経費に書いています。売上が一定を超えたときのインボイス登録の判断は副業のインボイスを参照してください。

ユイカ(副業初心者)
ここからが、さっき言ってた許可の話ですか…。正直、大家さんに言わずにこっそりやってる人もいそうですけど。

リンク(運営者)
そこは条文を見てほしいです。民法612条は、違反したときの効果として「契約の解除」と書いています。注意でも違約金でもなく、部屋を失う可能性がある。副業の収入とは釣り合わないリスクだと思います。

借りている部屋は、承諾なしには貸せません

ここから、規約と法律の話に移ります。

まず、いちばん根っこにある条文です。民法第612条。

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

(e-Gov法令検索「民法」第612条、2026年9月17日確認)

2項が効きます。違反した場合の効果として書かれているのは、注意でも違約金でもなく「契約の解除」です。住んでいる部屋を貸して収入を得ようとして、その部屋を失う可能性がある、ということになります。

スペースマーケット側の掲載条件も、ここに正面から対応しています。

管理規約又は契約により許可されている場合は掲載が可能です。

スペースの掲載前に貸出目的等も含めてスペース所有者に許可を取る必要があります。(下表参照)

(スペースマーケット公式ヘルプ「施設及びスペースに関するガイドライン・掲載条件」、2026年9月17日確認)

注意したいのは「貸出目的等も含めて」という部分です。「人に貸していいですか」ではなく、「時間貸しのレンタルスペースとして不特定多数に貸したいのですが」と伝えたうえでの許可が必要だと読めます。

そして、許可なく掲載した場合の扱いも書かれています。

所有者の許可なく掲載されている場合、近隣住民からの苦情に対する改善がない場合は、弊社判断によりスペースを強制非公開とさせていただきます。

(同ページ、2026年9月17日確認)

近隣からの苦情については、こうもあります。

掲載スペースの近隣住民からの苦情があった場合、ホストが責任をもって対応をお願いします。

(同ページ、2026年9月17日確認)

苦情対応はプラットフォームではなくホストの責任だと明記されています。住宅地で、夜間に人が出入りするスペースを運営する場合、ここは事前に想定しておく項目です。

分譲マンションは管理組合の許可が要ります

掲載条件のページには、誰の許可が必要かを整理した表が載っています。

物件種類 分譲 賃貸
一戸建て −(表記なし) オーナーまたは管理組合
集合住宅 管理組合 オーナーまたは管理組合

(スペースマーケット公式ヘルプ「施設及びスペースに関するガイドライン・掲載条件」の「物件種類別スペース所有者」表、2026年9月17日確認)

分譲マンションの自室であっても、許可の相手として「管理組合」が挙げられています。自分で買った部屋だから自由に使える、という話にはなっていません。管理規約に住戸の用途をどう定めているかは物件ごとに異なるため、本記事では一般論を書きません。手元の管理規約の「用途」に関する条項を、自分で読んでください。

分譲一戸建ての欄が「−」になっている点については、表に説明がなく、意味を確定できませんでした。所有者本人の判断で足りるという趣旨に読めますが、これは本記事の推測です。

現実的な手順としては、掲載作業に入る前に、管理規約の「用途」の条項を読み、必要なら管理組合に書面で確認する。ここを飛ばすと、部屋を整え、写真を撮り、掲載してから止まります。

宿泊はできません|「昼寝」「仮眠」の語もNGです

掲載条件には、宿泊についてはっきりと書かれています。

民泊新法にて宿泊許可を取得している施設の場合、プラットフォームへの掲載はできません。

スペースマーケットは、時間貸しを目的としたプラットフォームであるため、宿泊利用を目的としたスペースの掲載ができません。

(同ページ、2026年9月17日確認)

ここは向きが逆に感じられるところです。民泊の許可を持っている施設が掲載できない。時間貸しのプラットフォームだから、というのが公式の説明です。

そして禁止事項の側には、旅館業法に関する項目が並んでいます。

①宿泊を連想させる内容

利用用途等に「昼寝」「仮眠」など寝具を使用することを連想させる単語を掲載すること

(同ページ「スペース登録時の禁止事項」、2026年9月17日確認)

「昼寝」「仮眠」という単語そのものが、掲載できない語として名指しされています。「仮眠スペースとしてどうぞ」と書けば、それだけで禁止事項に触れます。

ベッドとリネンの写真が載せられない理由

同じ旅館業法の項目に、写真と設備についての記載があります。

②寝具を利用できると認識させる内容

リネン類(シーツ、枕、掛け布団)の写真の掲載や設備として掲載すること 「ベッド」「ソファベッド」の写真や設備として掲載すること

(同ページ、2026年9月17日確認)

ソファベッドも名指しされています。ワンルームを撮影スタジオや会議スペースとして貸す場合、部屋にあるベッドが映り込むだけで掲載条件に触れる可能性があります。

ただし例外も書かれています。

※旅館業許可証を取得している施設や撮影スタジオについては、条件付きで寝具の掲載が可能です。 詳しくは スペース掲載における寝具提供について(ホスト) をご確認ください。

(同ページ、2026年9月17日確認)

「条件付き」の中身は別ページ(「スペース掲載における寝具提供について(ホスト)」)に案内されており、今回の調査ではその中身までは確認していません。撮影スタジオとして寝具を扱いたい場合は、そちらを直接読んでください。

実務としては、掲載用の写真を撮る前に、寝具とベッドを部屋から出す。撮り直しは手間です。

置けない設備・貸せない備品の一覧

禁止事項には、備品についての具体的な表が載っています。今回確認できた内容を整理します。

備品 提供可否 公式の備考
家庭用ゲーム機器ならびにゲームソフト NG
家庭用ゲーム機器のみ OK 営利目的・集客目的での貸し出しは一切NG
ボードゲーム類(人生ゲーム・モノポリーなど) OK
卓上ゲーム類(トランプ・将棋など) OK
DVDプレーヤー、プロジェクターなどの家電製品 OK
DVD、BD、VHS(映画やドラマなどの作品) NG 著作権が消滅した50年以上前の作品については、無料であればOK
サブスクリプション型動画配信サービスのアカウントの提供 NG スペース内で、ゲストのアカウントを用いて、動画配信サービスを視聴することは可
マンガ、単行本 OK

(同ページ「スペースの備え付け貸し出し備品における著作権・知的財産について」、2026年9月17日確認)

「パーティースペースとして、ゲーム機とソフトと映画のDVDを揃える」という定番の設計が、ソフトとDVDのところで止まります。機器本体は置けますが、ソフトは置けません。

なお、公式は「著作権が消滅した50年以上前の作品」と書いていますが、この「50年」が現行の保護期間とどう対応するのかは、この記述だけでは読み取れません。本記事はこの「50年」の当否を判定しません。公式がそう書いている、という事実だけを引用します。実際に作品を置くのであれば、保護期間そのものを文化庁の案内で確認してください。

風営法についても項目があります。

風営法の許可や届出なく、風俗営業に該当する設備をスペースに設置すること

<該当設備>

麻雀卓や麻雀ができるボードゲーム

パチンコやパチスロの機器

カジノゲーム等

(同ページ、2026年9月17日確認)

麻雀卓が名指しされています。「麻雀ができるボードゲーム」まで含まれている点は、見落としやすいところです。

また「◆著作権・商標権に関して」の項目には、ゲーム画像が映り込んだテレビ画面の掲載、家庭用ゲーム機器名やゲームソフト名の記載、有料動画配信サービス名の記載、アニメやゲームのキャラクターが映り込んだ写真の無断掲載、オリンピック・パラリンピックに関する用語やエンブレム等の画像の掲載が並びます。芸能人や著名人が写り込んでいる写真の掲載は、別の「◆その他法令等に関して」の項目に置かれています。

電話番号もLINE IDも書けません

直接取引に関する禁止事項です。

①スペースマーケット外での予約が可能なURLの掲載

自社ホームページ等のURLをスペースページもしくはホスト紹介文等に掲載すること。

②電話番号やLINE IDなどの連絡先の掲載もしくは提示

電話番号もしくはLINE ID等の情報をスペースページもしくはホスト紹介文等に掲載すること。

③スペースマーケットを介さない取引内容の記載

現地決済、現金決済などの決済方法についてスペースページもしくはホスト紹介文等に掲載すること。

(同ページ、2026年9月17日確認)

3つとも、手数料30%を迂回する導線を塞ぐ規定として読めます。②は「掲載もしくは提示」となっており、ページに書くことだけでなく、提示する行為も対象に含まれる書き方です。

そして、禁止事項に触れた場合の扱いも明記されています。

禁止事項や掲載条件に該当すると判断した場合、弊社判断によりスペースを強制非公開とさせていただきます。

(同ページ、2026年9月17日確認)

「強制非公開」です。売上が止まるだけでなく、それまで積み上げたレビューと検索順位の資産も、そこで使えなくなります。

用途変更|200㎡の線と、それでも消えない消防法

建物側の手続きです。ここはスペースマーケットのヘルプではなく、国土交通省の資料が一次情報になります。

国土交通省住宅局建築指導課のリーフレットに、こうあります。

建築基準法改正により、建築確認が必要な特殊建築物の規模が 100㎡から 200㎡に引き上げられました

(国土交通省住宅局建築指導課「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました!」(2019年6月25日施行)、2026年9月17日確認)

同じ資料の本文です。

法改正により、200㎡以下の特殊建築物(飲食店やホテル旅館、その他の福祉施設)は、用途変更時に建築確認の手続きが不要となりました。

(同資料、2026年9月17日確認)

ここまでを読んで「200㎡以下なら何もしなくていい」と結論づけると、次の1文を飛ばすことになります。

ただし、建築基準法や消防法等への適合は手続きの要否とは関係なく、引き続き求められますので、必要に応じて、自治体の建築部局や消防部局に相談されることをお勧めします。

(同資料、2026年9月17日確認)

「手続きの要否とは関係なく」。確認申請が不要になったのは手続きの話であって、基準そのものが緩んだわけではない、と国が書いています。

さらに同じ資料は、用途変更後の維持保全についても釘を刺しています。

用途変更等の後においても、適法な状態を維持するために、所有者の皆様の適切な維持管理が重要です。

(同資料、2026年9月17日確認)

同じ資料は、所有者に向けて「維持保全の計画を立て、用途変更後も定期的に状況の調査や検査を実施しましょう」とも書いています。避難経路に荷物が積まれていないか、警報装置が作動するか。人を集める部屋を貸す以上、この点検はコストではなく前提です。点検を行う人と頻度をあらかじめ決めておくことを本記事としても勧めますが、この運用の具体策は本記事の提案であり、資料に書かれた文言ではありません。

なお、自分のスペースが特殊建築物に当たるのか、用途変更に該当するのかは、建物の現況と自治体の運用によります。本記事では判定しません。自治体の建築部局と消防部局に確認してください。上の引用のとおり、国がそう勧めています。

食品提供とサウナ|保健所と公衆浴場法

用途によって、さらに別の窓口が出てきます。

食品提供について、掲載条件にこうあります。

掲載スペースにおいての食品提供について、以下に当てはまる場合は、必ず事前に管轄の保健所にお問合せください。

参加者が確定している場合:料理工程に一切関わっていないゲストに対し有償で食事を提供する。且つ、ホスト・ゲストのどちらか(もしくはどちらも)が食品衛生責任者資格を有していない場合。

(スペースマーケット公式ヘルプ「施設及びスペースに関するガイドライン・掲載条件」、2026年9月17日確認)

「キッチン付きスペースで料理を出す」というオプションを考えている場合、保健所が先です。

サウナについても項目があります。

サウナがある施設をレンタルスペースとして提供する場合、公衆浴場法に基づく許可が必要となります。 条件によって、許可の要不要が異なりますので以下をご確認ください。

なお、公衆浴場法の内容は施設場所の管理保健所によって基準が異なるため、必ずお問合せの上運営を開始してください。

(同ページ、2026年9月17日確認)

「基準が異なる」と公式が書いています。他県の事例を読んで判断できる領域ではない、ということです。

収支の全体像|どこで削られるかの一覧

ここまでの数字と条件を、1枚にまとめます。

段階 何が起きるか 根拠
ゲストの支払 スペース利用料金+消費税 公式ヘルプ
手数料 税抜利用料金の30%+消費税(維持管理費・オプションも計算基礎) 「成約手数料について」
キャンセル時 キャンセル料にも30% 同上
入金 利用日の翌月最終日、決済方法で数日ずれ、着金が翌々月月初になる可能性 「売上振込のタイミング」
変動費 光熱費・通信費・清掃費・消耗品(本記事の整理)
所得区分 雑所得か不動産所得か。ヘルプと国税庁の記述が一致していない ヘルプ/No.1370・No.1373
赤字の扱い 不動産所得の赤字は他の黒字と損益通算可。雑所得側に同旨の記述は確認できず No.1391(不動産所得側)
青色申告特別控除 事業的規模でなければ最高10万円 No.1373
申告の要否 給与を1か所から受け全額が源泉徴収の対象である給与所得者は、所得20万円超で必要 No.1900

削られる場所が、支払・入金・税の3層に分かれています。そして層ごとに、根拠になる資料が別の会社・別の役所のものです。ひとつのページを読んで全体がわかる作りにはなっていません。

よくある勘違い6つ

勘違い1:手数料30%は、税込の売上に対して30%だと思っていた

公式の書き方は「スペース利用料金(税抜)の 30%」で、そこに消費税が加算されます。結果として税込額の30%と一致しますが(第2章の検算)、ヘルプの文面をそのまま「税込の30%」と読むのは正確ではありません。

勘違い2:オプション料金は手数料の外だと思っていた

「”スペース利用料金” には、維持管理費・追加料金(オプション)を含みます」と明記されています。清掃費を別建てにしても、手数料はかかります。

勘違い3:キャンセルされたら、キャンセル料はまるごと入ると思っていた

キャンセル料(税抜)の30%が手数料になります。

勘違い4:売上は翌月に必ず全額入ると思っていた

「2回に分かれて売り上げが入金される月がございます」「着金が利用日の翌々月月初となる可能性がございます」と書かれています。通帳ではなく支払通知書で突き合わせてください。

勘違い5:プラットフォームのヘルプに「雑所得」と書いてあるから雑所得だと思っていた

この記事の本題です。国税庁は不動産の貸付けによる所得を不動産所得と定義しており、両者の記述は一致していません。スペースマーケット自身が「個別に確定申告のご相談を承ることはできません」と書いています。最終的な区分は税務署に確認してください。

勘違い6:分譲マンションの自室なら自由に貸せると思っていた

公式の表では、分譲の集合住宅の許可の相手として「管理組合」が挙げられています。

ユイカ(副業初心者)
確認することが多すぎて、何から手をつければいいか…

リンク(運営者)
順番に意味を持たせてあります。手戻りがいちばん大きいものから並べたので、上から順にやってください。写真を撮るのは3番目です。

今日やること|5ステップ

順番に意味があります。上から順に、手戻りの大きいものを先に潰す並びにしています。

ステップ1:許可の確認(掲載作業より先)

賃貸なら賃貸借契約書の転貸の条項と、貸主への確認。分譲マンションなら管理規約の用途の条項と、管理組合への確認。「時間貸しのレンタルスペースとして不特定多数に貸す」と目的を明示して確認してください。ここが通らなければ、以降のすべてが無駄になります。

ステップ2:建物と設備の確認

自治体の建築部局と消防部局に、用途と規模を伝えて相談。国土交通省の資料が「相談されることをお勧めします」と書いている手順です。食事を出すなら保健所、サウナがあるなら保健所(公衆浴場法)。

ステップ3:部屋の整理と撮影

ベッド・ソファベッド・シーツ・枕・掛け布団を撮影範囲から出す。ゲームソフトと映画のDVDを備品リストから外す。麻雀卓は置かない。そのうえで写真を撮ってください。

ステップ4:料金の設計

手元に残したい額 ÷ 0.7 が、設定すべき料金のおおよその目安です(税抜どうし・税込どうし、基準をそろえて割ってください。第2章・第4章参照)。オプションも同じ扱いで計算してください。ページには電話番号・LINE ID・自社サイトのURL・現金決済の記載を書かない。

ステップ5:入金と記帳の準備

初月の売上が入るのは最短で翌月末、遅ければ翌々月初。賃貸で運営するなら2か月ぶんの固定費を先に用意する。掲載開始と同時に、支払通知書をCSVで落とす習慣をつける。所得区分に迷いがあるなら、初年度の申告前ではなく今のうちに税務署に確認しておく。

よくある質問

Q1. スペースマーケットのホスト手数料は何%ですか?

公式ヘルプ「成約手数料について」には「ゲストがホストに支払うスペース利用料金(税抜)の 30%」と書かれており、「※上記の⾦額に消費税が加算されます」と続きます(2026年9月17日確認)。ただし「弊社と個別契約を締結しているホストは、本ページ記載の手数料率と異なる場合がございます」との注記もあります。

Q2. 結局、手元には何%残りますか?

本記事が計算すると、ゲストの支払総額(税込)に対して約70%です(比率は税率によらず成り立ち、下の具体的な金額は消費税率10%の前提です)。税抜10,000円のスペースなら、ゲストの支払は11,000円、手数料は3,300円、受取は7,700円という計算になります。この検算は本記事が行ったもので、公式が示した式ではありません。

Q3. 清掃費をオプションで受け取れば、手数料はかかりませんか?

かかります。公式ヘルプに「”スペース利用料金” には、維持管理費・追加料金(オプション)を含みます」と明記されています。

Q4. キャンセルされた場合、キャンセル料は全額もらえますか?

いいえ。「※キャンセル料が発生した場合は、キャンセル料(税抜)の30%」が手数料として発生すると書かれています。

Q5. 売上はいつ振り込まれますか?

公式ヘルプの表では、クレジットカード決済は「利用日の翌月最終日 3 日前~最終日」、クレジットカード以外(Paidy、Paid、AmazonPay、楽天ペイ)は「利用日の翌月最終日」です。ただし「着金が利用日の翌々月月初となる可能性がございます」との注記があります。

Q6. 1か月ぶんの売上が2回に分かれて入ってきました。エラーですか?

公式ヘルプに「※ 入金状況によって、2回に分かれて売り上げが入金される月がございます」と書かれています。想定されている挙動です。ホスト管理画面の「実績」→「売上明細」から支払通知書を発行して突き合わせてください。

Q7. 常連のゲストと直接やり取りして、手数料を節約できますか?

できません。公式ヘルプ「売上について」に「(ゲストから直接利用料金を受け取ることは、規約で禁止しています)」とあります。また掲載条件の禁止事項に、電話番号やLINE IDなどの連絡先の掲載・提示、現地決済や現金決済の記載が挙げられています。

Q8. スペース貸しの収入は雑所得ですか、不動産所得ですか?

ここは注意が必要です。スペースマーケットの公式ヘルプは「副業としての収益は、その金額の程度、スペースのタイプ(所有・賃貸)に関わらず「雑所得」として申告となります」と書いています。一方、国税庁タックスアンサーNo.1370は「土地や建物などの不動産の貸付け」による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く)を不動産所得と定義しています。両者の記述は一致していません。スペースマーケット自身が個別の相談には応じないと明記しているため、最終的な判断は税務署または税理士に確認してください。本記事は判定しません。

Q9. 区分が違うと、何がどう変わりますか?

主なものは2つです。ひとつは赤字の扱いで、国税庁No.1391によれば不動産所得の赤字は他の黒字の所得から差し引けます(損益通算)。雑所得側に同旨の記述は見当たりません。もうひとつは青色申告特別控除の金額です。なお雑所得の損失の取り扱いを正面から定めた資料は、今回の調査範囲では当たっていません(第12章参照)。

Q10. 1部屋だけ貸している場合、青色申告特別控除は65万円ですか?

No.1373は「原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します」としたうえで、おおむね10室以上・独立家屋おおむね5棟以上という基準を挙げています。1部屋であれば通常は「それ以外の場合」に当たり、控除額は最高10万円と書かれていますが、原則はあくまで実質判断です。なお同ページの記述は「令和8年分までの青色申告特別控除については」という書き出しになっています。

Q11. 所得が20万円以下なら何もしなくていいですか?

国税庁No.1900は「給与所得者で確定申告が必要な人」というタイトルのページで、「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」と書いています。給与を受けていない人にそのまま当てはまる書き方ではありません。また住民税の取り扱いは所得税とは別で、本記事では確認していません。

Q12. 賃貸マンションの自分の部屋を貸せますか?

貸主の承諾が必要です。民法第612条は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定め、違反した場合は「賃貸人は、契約の解除をすることができる」としています。スペースマーケットの掲載条件も「スペースの掲載前に貸出目的等も含めてスペース所有者に許可を取る必要があります」としています。

Q13. 民泊の許可を持っているのですが、掲載できますか?

掲載条件に「民泊新法にて宿泊許可を取得している施設の場合、プラットフォームへの掲載はできません」と書かれています。理由として「スペースマーケットは、時間貸しを目的としたプラットフォームである」ことが挙げられています。

Q14. ベッドのある部屋は掲載できませんか?

禁止事項に「「ベッド」「ソファベッド」の写真や設備として掲載すること」が挙げられています。ただし「※旅館業許可証を取得している施設や撮影スタジオについては、条件付きで寝具の掲載が可能です」との例外も書かれており、詳細は別ページ「スペース掲載における寝具提供について(ホスト)」に案内されています。

Q15. 200㎡以下なら、役所に相談しなくていいですか?

国土交通省の資料は、200㎡以下の特殊建築物について用途変更時の建築確認の手続きが不要になったとしたうえで、「ただし、建築基準法や消防法等への適合は手続きの要否とは関係なく、引き続き求められますので、必要に応じて、自治体の建築部局や消防部局に相談されることをお勧めします」と書いています。

まとめ

スペースマーケットでスペースを貸す副業について、公式資料で確認できたことを並べます。

  • ホスト手数料は「スペース利用料金(税抜)の 30%」で、その金額に消費税が加算されます
  • 本記事が計算すると、ゲストの支払総額(税込)の約70%が手元に来ます(具体的な金額は消費税率10%の前提)
  • 維持管理費と追加料金(オプション)も、手数料の計算基礎に含まれます
  • キャンセル料にも、キャンセル料(税抜)の30%がかかります
  • 入金は利用日の翌月最終日。決済方法で数日ずれ、着金が翌々月月初になる可能性があります
  • 1か月ぶんが2回に分かれて入る月があります
  • 公式ヘルプは「副業は雑所得」と書いていますが、国税庁は不動産の貸付けによる所得を不動産所得と定義しています
  • 区分が変われば、赤字の損益通算の可否と、青色申告特別控除の金額が変わります
  • 20万円は、国税庁の原文では給与所得者についての条件付きの数字です
  • 借りている部屋を貸すには、民法第612条により賃貸人の承諾が必要です
  • 分譲の集合住宅でも、許可の相手として管理組合が挙げられています
  • 宿泊目的の掲載はできず、「昼寝」「仮眠」の語やベッド・リネンの写真も禁止されています
  • ゲームソフト、映画のDVD、麻雀卓は置けません
  • 電話番号・LINE ID・自社サイトURL・現金決済の記載は禁止事項です
  • 200㎡以下でも、建築基準法と消防法への適合は「手続きの要否とは関係なく」求められます

この副業で最初に確認すべきなのは、利回りでも立地でもありません。その部屋を、その用途で貸していいかです。許可の確認を先に済ませてから、写真を撮ってください。

そして申告の直前になって所得区分で迷わないために、始める前に一度、税務署に電話しておく。この記事で言いたかったのは、突き詰めればその一点です。

関連記事:駐車場シェア副業(同じ「貸す側」の税と規約を扱っています)/副業の確定申告のやり方副業の開業届の出し方副業の経費副業の電子帳簿保存法副業のインボイス副業が会社にバレない方法

出典一覧(すべて2026年9月17日確認)

  • スペースマーケット公式ヘルプ「成約手数料について」
  • スペースマーケット公式ヘルプ「売上について」
  • スペースマーケット公式ヘルプ「売上振込のタイミング」
  • スペースマーケット公式ヘルプ「確定申告について」
  • スペースマーケット公式ヘルプ「施設及びスペースに関するガイドライン・掲載条件」
  • 国税庁タックスアンサーNo.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁タックスアンサーNo.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁タックスアンサーNo.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁タックスアンサーNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国土交通省住宅局建築指導課「建築基準法改正により小規模な建築物の用途変更の手続きが不要となりました!」(2019年6月25日施行)
  • e-Gov法令検索「民法」第612条

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