空いている部屋がある。会議や撮影、レッスンで借りたい人がいる。あいだをプラットフォームがつなぐ。在庫も仕入れもいりません。
インスタベースの公式ヘルプは、掲載費用についてこう書いています。「初期費用や月々の固定費などは一切発生しないので、余計な費用をかけずに収益が見込めます」。この記述は正しいものです。
そのうえで、この記事が扱うのは次の一点です。「インスタベースの手数料は35%」という説明を、あちこちで見かけます。しかし公式ヘルプには「各料金プランによって適用される成約手数料が異なります」と書かれ、時間・人数単位が35%、1日単位が20%と明記されています。さらに支払明細書の定義ページには、飲食プランが一律10%であることも書かれています。
35%は、3つある率のうちの1つです。そして手数料は「率」としてではなく、「売上(税込)× 0.35、小数点以下は切り上げ」という式として定義されています。掛ける対象は、あなたが管理画面に入力した税抜の金額ではありません。
この記事でわかること
- 成約手数料が料金プランによって35%・20%・10%に変わること
- 手数料が「売上(税込)× 0.35、切り上げ」という式で定義されていること
- 料金は税抜で入力し、利用者には税込で表示されること
- 切り上げの影響が1予約あたり1円未満にとどまること(本記事の検算)
- 1日単位プランは、時間単位プランの81.25%の売上で手取りが並ぶこと(本記事の計算)
- キャンセル料にも同じ率が掛かり、しかもキャンセル料は不課税であること
- 標準キャンセルポリシーの刻みと、それがコンビニ決済の可否に波及すること
- クーポンによる値引きが「当社負担割引額」として区分されていること
- 入金が「月末締め、翌月末(最終営業日)」であること
- 支払明細書の発行日(毎月10日)と入金日が別であること
- 明細書の消費税額の合計が、売上合計から逆算した額と一致しないと公式が明記していること
- 適格請求書に載るのが運営会社の登録番号であること(媒介者交付特例)
- 登録番号を申告していないと、検索結果とスペース詳細ページで判別できてしまうこと
- 2026年10月1日から、インボイスなしの仕入れに対する控除が80%から70%に下がること
- 1スペース1掲載が原則で、定員以下の「オプション人数料金」が禁止されていること(人数料金プラン自体は正規の選択肢であること)
- 寝具の設置と宿泊に関する記載が禁止されていること
この記事の調べ方(編集方針)
- 本記事は、副業ジャンルの記事を88本以上制作している当サイト編集部が作成しました。事実部分の出典はインスタベース公式ヘルプセンターと国税庁に限定し、確認日を本文中に明記しています。調査日は2026年9月18日です。
- 本記事は税理士の監修を受けていません。そのぶん、解釈が分かれる論点では断定を避け、公式資料の原文表現をそのまま引用する方針を取っています。消費税の最終判断は税務署または税理士に確認してください。
- 手数料率・入金条件・掲載条件は運営会社が改定する項目です。本記事の数字は2026年9月18日に公式ヘルプで確認した値です。申し込み前に必ず最新の表示を確認してください。
- 体験談は載せていません。筆者はインスタベースにスペースを掲載した経験がありません。金額例はすべて「本記事が置いた前提」と明記しています。
- 公式資料に記載を確認できなかった論点は「確認できませんでした」と明記しています。
本記事の調査で埋まらなかった論点
今回当たったのは、インスタベース公式ヘルプセンターの「スペースの掲載に費用はかかりますか?」「売上は、いつ入金されますか?」「インボイス [適格請求書] について教えてください(掲載者向け)」「利用料金は税込表示ですか?税抜表示ですか?」「キャンセルポリシーの設定は、どうすればいいですか?」「禁止行為・違反行為について」「料金プランの設定・変更方法を教えてください。」の7本と、国税庁の「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」「令和8年度税制改正特集」の2点です。そのうえで、次の点は確認できませんでした。
- 掲載スペース数に応じた手数料の割引条件。検索結果には割引がある旨を書く第三者サイトがありますが、率も条件も公式ヘルプでは確認できませんでした。本記事では金額に織り込みません。
- 「飲食プラン」の適用条件。一律10%という率は支払明細書の定義ページの備考に書かれていますが、どのスペースがこのプランを選べるのかを説明したページは、今回の調査範囲では見つかりませんでした。
- 売上の振込手数料の負担者。今回当たった売上系のヘルプに、振込手数料を誰が負担するかの記述はありませんでした。
- レンタルスペース業が簡易課税の第何種事業にあたるか。国税庁の事業区分表にレンタルスペースという語はなく、第5種(サービス業)か第6種(不動産業)かを示した資料を確認できませんでした。本記事では両方の金額を併記し、判断は示しません。
同じ「スペースを貸す」でも、スペースマーケットの手数料と所得区分についてはスペースマーケット副業に、駐車場を貸す場合は駐車場シェア副業にまとめています。インボイス登録そのものの判断は副業のインボイスにあります。この記事は、インスタベースで手元にいくら、いつ残るかと、掲載前に決まってしまうことに絞ります。
目次
- 結論:成約手数料は35%とは限りません
- 手数料は「率」ではなく「式」で定義されています
- 登録は税抜、表示は税込です
- 端数は切り上げ|影響は1予約あたり1円未満です
- 月6万6,000円貸したときに手元に残る額
- プランを変えると手取りが15ポイント動きます
- 損益分岐|1日単位は時間単位の81.25%で並びます
- 飲食プランの10%という例外
- キャンセル料にも同じ率が掛かります
- キャンセル料は不課税です
- 標準キャンセルポリシーの刻み
- キャンセルポリシーは支払方法にも波及します
- クーポン値引きはホスト負担ではありません
- 入金は「月末締め、翌月末」です
- 支払明細書の発行日と入金日は別です
- 消費税額が合計と一致しない理由
- 適格請求書に載るのは運営会社の番号です
- 登録しないと、検索結果で分かります
- 2026年10月から、利用者側の控除が70%に下がります
- 登録した場合に納める消費税の目安
- 1スペース1掲載が原則です
- 定員以下の「オプション人数料金」は禁止されています
- 寝具は置けません
- 借りている部屋と管理規約の壁
- 直接取引と後付け請求の禁止
- 今日やること
- よくある質問
- まとめ
- 結論:成約手数料は35%とは限りません
- 手数料は「率」ではなく「式」で定義されています
- 登録は税抜、表示は税込です
- 端数は切り上げ|影響は1予約あたり1円未満です
- 月6万6,000円貸したときに手元に残る額
- プランを変えると手取りが15ポイント動きます
- 損益分岐|1日単位は時間単位の81.25%で並びます
- 飲食プランの10%という例外
- キャンセル料にも同じ率が掛かります
- キャンセル料は不課税です
- 標準キャンセルポリシーの刻み
- キャンセルポリシーは支払方法にも波及します
- クーポン値引きはホスト負担ではありません
- 入金は「月末締め、翌月末」です
- 支払明細書の発行日と入金日は別です
- 消費税額が合計と一致しない理由
- 適格請求書に載るのは運営会社の番号です
- 登録しないと、検索結果で分かります
- 2026年10月から、利用者側の控除が70%に下がります
- 登録した場合に納める消費税の目安
- 1スペース1掲載が原則です
- 定員以下の「オプション人数料金」は禁止されています
- 寝具は置けません
- 借りている部屋と管理規約の壁
- 直接取引と後付け請求の禁止
- 今日やること
- よくある質問
- Q1. インスタベースの成約手数料は何%ですか?
- Q2. 手数料は税抜と税込のどちらに掛かりますか?
- Q3. 結局、手元には何%残りますか?
- Q4. 切り上げでどれくらい損をしますか?
- Q5. キャンセルされたら手数料はかかりませんか?
- Q6. キャンセル料に消費税はかかりますか?
- Q7. 利用者がクーポンを使ったら、私の取り分は減りますか?
- Q8. 売上はいつ振り込まれますか?
- Q9. 利用者がコンビニ決済を選ぶと、入金は遅くなりますか?
- Q10. 明細書の消費税額が自分の計算と合いません。
- Q11. インボイス登録をしないと掲載できませんか?
- Q12. 登録していないことは利用者に分かりますか?
- Q13. レンタルスペースの簡易課税の事業区分は第何種ですか?
- Q14. 2割特例や3割特例はインスタベースでも使えますか?
- Q15. 常連の利用者と直接やり取りして、手数料を節約できませんか?
- Q16. 借りている部屋を貸せますか?
- Q17. ベッドのある部屋を撮影スタジオとして貸せますか?
- Q18. 反応が悪かったらページを作り直せますか?
- まとめ
結論:成約手数料は35%とは限りません
先に数字を並べます。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 時間 / 人数単位の料金プラン | 35% | 公式ヘルプ「スペースの掲載に費用はかかりますか?」 |
| 1日単位の料金プラン | 20% | 同上 |
| 飲食プラン | 一律10% | 公式ヘルプ「インボイスについて(掲載者向け)」の明細定義 |
| 初期費用・月額固定費 | 発生しない | 公式ヘルプ「スペースの掲載に費用はかかりますか?」 |
| 入金 | 利用月の月末締め、翌月末(最終営業日) | 公式ヘルプ「売上は、いつ入金されますか?」 |
公式ヘルプには、こう書かれています。
インスタベースの掲載にかかる費用は、予約・利用があった時のみ成約手数料(※)をいただく完全成果報酬型です。初期費用や月々の固定費などは一切発生しないので、余計な費用をかけずに収益が見込めます。
(インスタベース公式ヘルプ「スペースの掲載に費用はかかりますか?」、2026年9月18日確認)
そして同じページに、次の2行が続きます。
■ 各料金プランによって適用される成約手数料が異なります
・時間 / 人数単位の料金プラン 「35%」
・1日単位の料金プラン 「20%」
(同ページ、2026年9月18日確認)
35%と20%は15ポイント違います。同じ部屋、同じ月商でも、選んだプラン次第で手取りが変わるということです。「インスタベースは35%」という一文だけを読んで判断すると、この15ポイントは視界に入りません。
まず、自分のスペースが時間単位で貸すものなのか、1日ごと貸し切るものなのかを決めてください。手数料の話はそこから始まります。
手数料は「率」ではなく「式」で定義されています
インスタベースは、手数料の計算方法を明細書の定義として公開しています。
支払明細書の記載内容をまとめた一覧表に、こう書かれています。
手数料(税込) 売上(税込)× 0.35 切り上げ 計算式は成約手数料率が35%の場合の例(飲食プランは一律10%の手数料率が適用されます)
(インスタベース公式ヘルプ「インボイス [適格請求書] について教えてください(掲載者向け)」内の支払明細書一覧表、2026年9月18日確認)
同じ表には、他の列の定義も並んでいます。
| 項目名 | 算出方法 | 端数処理 |
|---|---|---|
| 売上(税込) | 予約金額(もしくはキャンセル料金額) | ー |
| 当社負担割引額 | 当社発行のクーポン・ポイントによる値引金額 | ー |
| 利用者支払額 | 売上(税込)ー 当社負担割引額 | ー |
| うち消費税額 | 利用者支払額 ÷ 1.1 × 0.1 | 四捨五入 |
| 手数料(税込) | 売上(税込)× 0.35 | 切り上げ |
| 支払金額 | 売上(税込)ー 手数料(税込) | ー |
(同一覧表より、本記事が抜粋して整理)
この表から読み取れることが3つあります。
1つめ。手数料が掛かるのは「売上(税込)」です。「利用者支払額」ではありません。この2つは、クーポンが使われたときに食い違います。後述します。
2つめ。手数料の端数は切り上げです。四捨五入でも切り捨てでもありません。
3つめ。あなたが受け取る「支払金額」は、税込の売上から税込の手数料を引いた残りです。つまり手元に入る金額には、利用者から預かった消費税が含まれています。
この3つめが、意外と見落とされます。順に確認していきます。
登録は税抜、表示は税込です
もうひとつ、計算の前提になる規則があります。
スペース利用者様向けのスペースページに表示される利用料金、ならびにオプション(有料備品)の使用代金は、全て「税込表示」です。
スペース登録時や掲載情報を変更する場合は、「税抜」の料金を設定してください。
(インスタベース公式ヘルプ「利用料金は税込表示ですか?税抜表示ですか?」、2026年9月18日確認)
入力する数字と、利用者が見る数字が違います。管理画面に2,000と入れると、スペースページには2,200円と出ます(消費税率10%を前提とした場合。以下同じ)。
そして手数料は「売上(税込)× 0.35」なので、掛かる相手は2,200円のほうです。
ここで混乱が起きやすいので、順番に並べます。
本記事が置いた前提:消費税率を10%とします。スペース利用が軽減税率の対象にならないという前提です。この税率は公式ヘルプに書かれておらず、本記事が置いた仮定です。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 管理画面に入力する額(税抜) | 2,000円 | 前提 |
| スペースページの表示(税込) | 2,200円 | 2,000×1.1 |
| 手数料(税込) | 770円 | 2,200×0.35 |
| 支払金額(受取) | 1,430円 | 2,200−770 |
| 受取を税抜に直すと | 1,300円 | 1,430÷1.1 |
税抜2,000円に対して税抜1,300円。比率は65%で、税込で見ても税抜で見ても変わりません。0.35を掛けてから1.1を掛けても、1.1を掛けてから0.35を掛けても結果が同じだからです。掛ける順番が違うだけです。
これは本記事が公式の定義から導いた検算で、公式が示した式ではありません。
なお、この一致は利用料金と手数料に同じ税率が適用される限り、税率の値によらず成り立ちます。10%という前提に依存しているのは、上の表に並んだ具体的な金額のほうです。
ただし、受け取る1,430円のうち130円は、利用者から預かった消費税にあたる部分です。あなたが免税事業者ならそのまま手元に残り、課税事業者なら納税の計算に入ります。この違いは第20章で扱います。
端数は切り上げ|影響は1予約あたり1円未満です
「切り上げ」と書かれていると身構えますが、実際にどのくらい効くのかを計算しておきます。
税抜1,500円のスペースを1時間貸した場合です。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 税込の売上 | 1,650円 | 1,500×1.1 |
| 0.35を掛けた値 | 577.5円 | 1,650×0.35 |
| 手数料(切り上げ後) | 578円 | 577.5を切り上げ |
| 支払金額 | 1,072円 | 1,650−578 |
切り捨てなら577円なので、差は1円です。
切り上げによる差は、定義上どんな金額でも1円未満にとどまります。小数点以下を切り上げるというのは、最大でも1円弱を上に寄せるという意味だからです。月に100件の予約があれば最大で100円弱、年間で最大1,200円弱という規模になります。
手取りを左右する数字ではありません。それでもここに書いたのは、計算方法が公開されているということは、明細を自分で検算できるという意味だからです。率だけを知っていても、届いた明細の1行が正しいかどうかは確かめられません。式まで分かっていれば確かめられます。
月6万6,000円貸したときに手元に残る額
月次に落とします。
本記事が置いた前提:1時間あたり2,000円(税抜)のスペースを、時間単位プランで月に30時間貸したとします。稼働時間も単価も、本記事が説明のために置いた仮定です。実際の相場を示すものではありません。また、計算を単純にするため、切り上げによる端数の影響は無視しています。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 税抜の売上 | 60,000円 | 2,000×30 |
| 税込の売上 | 66,000円 | 60,000×1.1 |
| 手数料(税込・35%) | 23,100円 | 66,000×0.35 |
| 支払金額(受取) | 42,900円 | 66,000−23,100 |
| 受取を税抜に直すと | 39,000円 | 42,900÷1.1 |
月6万6,000円の予約が入って、振り込まれるのは4万2,900円です。
ここから、あなたが実際に負担している費用を引く必要があります。光熱費、通信費、清掃、備品の補充、鍵の管理。プラットフォームの手数料は「掲載の費用」であって、「運営の費用」ではありません。「初期費用ゼロ」という表現は掲載についての話で、部屋を回す費用がゼロになるという意味ではありません。
経費として何をどこまで落とせるかは副業の経費に、領収書の保存方法は副業の電子帳簿保存法にまとめています。
プランを変えると手取りが15ポイント動きます
同じ月商6万6,000円(税込)を、1日単位プランで受けた場合を並べます。
| 項目 | 時間・人数単位(35%) | 1日単位(20%) |
|---|---|---|
| 税込の売上 | 66,000円 | 66,000円 |
| 手数料(税込) | 23,100円 | 13,200円 |
| 支払金額(受取) | 42,900円 | 52,800円 |
| 差額 | ー | +9,900円 |
月9,900円、年間で11万8,800円の差です。
ただし、この表をそのまま「1日単位のほうが得」と読むのは早計です。同じ月商が立つ前提を置いているからです。1日単位は文字どおり1日を貸し切るプランなので、3時間しか使わない利用者が1日分の料金を払ってくれるとは限りません。稼働率が落ちる可能性があります。ただし、プランごとの実際の稼働率や単価を示した公式資料は、今回の調査範囲では確認できませんでした。ここは本記事の推測です。
つまり、比べるべきは手数料率ではなく「その料金プランでいくら売れるか」と「手数料率」の掛け算です。次の章でその分岐点を出します。
損益分岐|1日単位は時間単位の81.25%で並びます
手取りが同じになる売上の比率を計算します。
時間単位プランの手取り比率は 1 − 0.35 = 0.65。1日単位プランは 1 − 0.20 = 0.80 です。
同じ手取りになるのは、次の式が成り立つときです。
(1日単位の売上)× 0.80 =(時間単位の売上)× 0.65
これを解くと、1日単位の売上 = 時間単位の売上 × 0.65 ÷ 0.80 = 時間単位の売上の0.8125倍になります。
言い換えるとこうです。
1日単位プランは、時間単位プランの81.25%の売上しか立たなくても、手取りは同じになります。
数字で確かめます。時間単位で月6万6,000円(税込)売れるスペースなら、その81.25%は5万3,625円です。
| 項目 | 時間単位 | 1日単位 |
|---|---|---|
| 税込の売上 | 66,000円 | 53,625円 |
| 手数料 | 23,100円 | 10,725円 |
| 支払金額 | 42,900円 | 42,900円 |
一致します。時間単位で6万6,000円売るのと、1日単位で5万3,625円売るのは、手取りとしては同じです。
この計算は本記事が行ったもので、公式が示したものではありません。プランの選択には手数料以外の要素(稼働のしやすさ、清掃の回数、利用者層)も絡むため、これだけで決められる話でもありません。それでも、「1日単位は単価が下がるから損」という直感には、19%弱の余白があることは知っておいて損がありません。
飲食プランの10%という例外
3つめの率です。支払明細書の一覧表の備考に、こう書かれています。
計算式は成約手数料率が35%の場合の例(飲食プランは一律10%の手数料率が適用されます)
(インスタベース公式ヘルプ「インボイス [適格請求書] について教えてください(掲載者向け)」内の支払明細書一覧表、2026年9月18日確認)
10%です。35%の3分の1以下になります。
ただし、どのスペースが飲食プランを選べるのか、どういう条件で適用されるのかを説明したページは、今回の調査範囲では見つかりませんでした。手数料の率だけが、明細書の定義表の備考という場所に書かれている状態です。
料金プランの選択肢は管理画面から設定する仕組みになっているので(第22章で設定手順を引用します)、飲食を伴う利用が主になるスペース(キッチン付き、パーティールームなど)を検討している場合は、掲載申請の前に運営に問い合わせる価値があります。本記事では、この10%を前提にした金額例は出しません。
キャンセル料にも同じ率が掛かります
支払明細書の定義表の1行目に戻ります。
売上(税込) 予約金額(もしくはキャンセル料金額)
(同一覧表、2026年9月18日確認)
「売上(税込)」の欄には、予約金額だけでなくキャンセル料金額も入ります。そして手数料は「売上(税込)× 0.35」です。したがって、キャンセル料にも同じ率が掛かります。
計算します。
本記事が置いた前提:税込2万2,000円の予約が当日キャンセルになり、キャンセルポリシーによりキャンセル料が100%発生したとします。手数料率は35%とします。
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| キャンセル料金額 | 22,000円 | 予約金額の100% |
| 手数料(税込) | 7,700円 | 22,000×0.35 |
| 支払金額(受取) | 14,300円 | 22,000−7,700 |
キャンセル料が満額発生しても、手元に来るのは65%です。部屋を空けて待っていた時間の埋め合わせとして受け取る金額にも、成約手数料が掛かるということです。
キャンセル料は不課税です
もうひとつ、同じ表に重要な注記があります。
うち消費税額 利用者支払額 ÷ 1.1 × 0.1 四捨五入 キャンセル料は不課税のため一律0円
(同一覧表、2026年9月18日確認)
キャンセル料には消費税が乗っていません。不課税だからです。
前章の例で言えば、受け取る1万4,300円のうち消費税にあたる部分はゼロです。通常の予約なら受取額の一部が「預かった消費税」ですが、キャンセル料はそうではありません。
これは記帳のときに効いてきます。明細書の定義上、通常の売上には消費税額が計上され、キャンセル料には計上されません。この2つを同じ勘定で一括りにすると、課税売上高の集計がずれる可能性があります。ただし、キャンセル料を税務上どう扱うべきかについては、本記事は国税庁の資料に当たっていません。判断は税務署または税理士に確認してください。
支払明細書は「うち消費税額」の列を持っているので、そこを見れば分かる形にはなっています。CSVのダウンロードもできると公式ヘルプに書かれています。
標準キャンセルポリシーの刻み
キャンセル料の率は、掲載者自身が設定します。インスタベースは標準ポリシーを用意しています。
■ インスタベース標準ポリシー
〜8日前: 0%
7日前〜4日前 : 25%
3日前〜2日前 : 50%
1日前 : 75%
当日 : 100%
(インスタベース公式ヘルプ「キャンセルポリシーの設定は、どうすればいいですか?」、2026年9月18日確認)
このポリシーを採用した場合、税込2万2,000円の予約がいつキャンセルされたかで受取額はこう変わります(手数料率35%、本記事の計算)。
| キャンセル時期 | キャンセル料率 | キャンセル料 | 手数料 | 受取 |
|---|---|---|---|---|
| 8日前より前 | 0% | 0円 | 0円 | 0円 |
| 7〜4日前 | 25% | 5,500円 | 1,925円 | 3,575円 |
| 3〜2日前 | 50% | 11,000円 | 3,850円 | 7,150円 |
| 1日前 | 75% | 16,500円 | 5,775円 | 10,725円 |
| 当日 | 100% | 22,000円 | 7,700円 | 14,300円 |
公式ヘルプは、ポリシーをきつくすることの副作用にも触れています。
当日までキャンセル料金が発生しないように設定することで、予約が多く入るようになりますが、「とりあえずスペースを確保しておこう」と考える利用者様からの直前キャンセルが相次ぐということも考えられます。
一方で、キャンセルポリシーを厳格に設定しているスペースでは、キャンセル料金を気にして別スペースを検討する利用者様もいらっしゃいます。
インスタベースでは、全体の約90%が利用日の4週間以内に予約をする傾向にあるので、キャンセルポリシーを厳格に設定している場合には、機会損失に繋がる可能性が高まります。
(同ページ、2026年9月18日確認)
また、次の注意も書かれています。
キャンセルポリシーは、予約確定時点の内容が反映されます。キャンセルポリシーを変更した場合、変更後の予約に対しては適用されますが、既存の確定済み予約に適用されているキャンセルポリシーを変更することはできません。
(同ページ、2026年9月18日確認)
先に入った予約には、変更前のポリシーが付いたまま残ります。数か月先まで予約を受け付けている場合、ポリシーの変更が効き始めるのは当分先になります。
キャンセルポリシーは支払方法にも波及します
これは事前に知らないと気づけない連動です。
また、キャンセルポリシーの設定は「支払方法」にも影響します。
コンビニ決済・ペイジーは、「キャンセル料金が発生する5日前まで」利用が可能となっているため、キャンセルポリシーの設定によっては、コンビニ決済・ペイジーを希望する利用者様の予約を受け付けることができない状況になります。
(同ページ、2026年9月18日確認)
そして具体的な条件が並びます。
■ コンビニ・ペイジーの利用条件
キャンセル料金が7日前から発生する場合、「利用日の12日前まで」利用可能
キャンセル料金が14日前から発生する場合、「利用日の19日前まで」利用可能
キャンセル料金が21日前から発生する場合、「利用日の26日前まで」利用可能
キャンセル料金が28日前から発生する場合、「利用日の33日前まで」利用可能
(同ページ、2026年9月18日確認)
読み替えるとこうなります。キャンセル料の発生日を早めるほど、コンビニ決済で予約できる期限も同じだけ早まります。28日前からキャンセル料が発生する設定にすると、利用日の33日前を過ぎた時点で、その利用者はコンビニ決済を選べなくなります。
前章にあった「全体の約90%が利用日の4週間以内に予約をする」という数字と重ねると、意味がはっきりします。4週間以内に入る予約が大半なのに、キャンセル料を28日前から発生させると、その大半の予約についてコンビニ決済の選択肢が消えます。クレジットカードを持たない利用者、法人の経理でカードを使いにくい利用者を、設定ひとつで取りこぼす形になります。
この2つの数字を並べて書いているページは、公式ヘルプの中では今回見た1本だけでした。
クーポン値引きはホスト負担ではありません
第2章で保留した「売上(税込)」と「利用者支払額」の食い違いを回収します。
定義をもう一度並べます。
| 項目名 | 算出方法 |
|---|---|
| 売上(税込) | 予約金額(もしくはキャンセル料金額) |
| 当社負担割引額 | 当社発行のクーポン・ポイントによる値引金額 |
| 利用者支払額 | 売上(税込)ー 当社負担割引額 |
| 手数料(税込) | 売上(税込)× 0.35 |
| 支払金額 | 売上(税込)ー 手数料(税込) |
(同一覧表より、本記事が抜粋)
手数料も支払金額も、「利用者支払額」ではなく「売上(税込)」を基準に計算されます。
つまり、利用者がクーポンを使って安く予約しても、ホストの受取額は変わりません。値引き分は「当社負担割引額」という名前のとおり、運営側が負担する形で区分されています。
数字にします。
本記事が置いた前提:税込2万2,000円の予約に、運営発行の2,000円クーポンが使われたとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上(税込) | 22,000円 |
| 当社負担割引額 | 2,000円 |
| 利用者が実際に払った額 | 20,000円 |
| 手数料(22,000×0.35) | 7,700円 |
| 支払金額(22,000−7,700) | 14,300円 |
利用者は2万円しか払っていませんが、ホストの受取は2万2,000円ベースのままです。
「プラットフォームのセールに巻き込まれて手取りが減る」という心配は、少なくともこの定義のうえでは当たりません。項目名が「当社負担」と明記されていること、そして手数料と支払金額の計算基礎が「売上(税込)」であることの2点が根拠です。
ただしこれは支払明細書の定義から読み取れることであり、「クーポンはすべて運営負担」と包括的に宣言したページを確認したわけではありません。掲載者が自分で設定する割引(早割など)は別の扱いになる可能性があります。
入金は「月末締め、翌月末」です
お金がいつ来るかです。
売上は、スペース利用者様がご利用になる月の「月末締め、翌月末(最終営業日)」に、成約手数料分を差し引いた金額をご指定の銀行口座へお振込いたします。
(インスタベース公式ヘルプ「売上は、いつ入金されますか?」、2026年9月18日確認)
公式ヘルプが挙げている例をそのまま引きます。
例)2026年8月ご利用分の売上振込の場合
1. 2026年9月10日:支払明細書が発行される
2. 2026年9月末日:ご指定口座に2026年8月ご利用分の売上が振込まれる
* 土日・祝日を挟む場合は、前倒しでご入金いたします。
(同ページ、2026年9月18日確認)
8月1日に使われたスペースの代金が、9月末に入ります。月初の予約なら約2か月、月末の予約でも1か月の間が空きます。
そして次の一文もあります。
* 利用者様の支払方法によって、売上の振込時期が変わることはありません。
(同ページ、2026年9月18日確認)
利用者がコンビニ決済を選ぼうとカード決済を選ぼうと、入金日は動きません。これは資金繰りを読むうえでは助かる仕様です。
副業として始めるなら、最初の2か月は支出だけが先に出ていくという前提で準備してください。備品、清掃、鍵の仕組み。回収はそのあとです。
支払明細書の発行日と入金日は別です
細かい話に見えて、記帳では効きます。
支払明細書は、毎月10日に前月利用分が発行されます(予約詳細のCSVファイルのダウンロードも可能です)。
【注意事項】
売上の入金日と、支払明細書の発行日は異なります。
前月のご利用がない場合、支払明細書は発行されません。
(同ページ、2026年9月18日確認)
8月利用分なら、明細書は9月10日、入金は9月末です。同じ8月の売上について、書類が出る日と現金が動く日が3週間ずれます。
もうひとつ、前月の利用がない月には明細書そのものが発行されません。予約が入らなかった月に「明細が届かない」のは仕様であって、不具合ではありません。
明細書とCSVは、そのまま帳簿の裏づけになります。電子データで受け取った取引情報の保存には、電子帳簿保存法のルールが関わります。詳しくは副業の電子帳簿保存法にまとめています。
消費税額が合計と一致しない理由
支払明細書の一覧表に、こんな注記があります。
うち消費税額(10%) 「うち消費税額」列の合計 実際に利用者から支払われた消費税額を集計しているため、合計売上を元に計算した際の消費税額とは一致しません。
(同一覧表、2026年9月18日確認)
ずれる理由は2つあります。原文が挙げているのは1つめだけですが、定義表を読むと2つめも見えます。
1つめは、基準にしている金額が違うことです。「うち消費税額」の計算基礎は「利用者支払額」です。一方、合計欄の「売上(消費税10%込)(①)」は「売上(税込)」列の合計です。第13章で見たとおり、この2つはクーポン・ポイントが使われたときに「当社負担割引額」のぶんだけ食い違います。割引が使われた月は、丸めの問題ではなく構造的にずれます。原文の「実際に利用者から支払われた消費税額を集計しているため」という書き方は、まさにこのことを指していると読めます。
2つめは、丸めの回数です。「うち消費税額」は予約1件ごとに四捨五入して足し上げた数字ですが、合計から同じ式で逆算すると四捨五入は1回しか効きません。1件ごとに丸めた合計と、合計を丸めた値は一致しません。
この2つを踏まえると、会計ソフトに「売上合計」だけを入力して消費税額を自動計算させた場合、明細書の数字と合わない可能性があります。これは本記事が定義表から導いた推論で、公式が注意喚起として書いている文言ではありません。
ずれの大きさは、その月にクーポンがどれだけ使われたかで変わります。公式ヘルプはずれる事実を書いているだけで、幅については触れていません。合わないことがあらかじめ書いてあるというのは、確定申告の時期に「どちらが正しいのか」で時間を溶かさないための重要な情報です。明細書に載っている数字を採用するのが素直です。
確定申告そのものの手順は副業の確定申告のやり方にまとめています。
適格請求書に載るのは運営会社の番号です
ここから消費税の話に入ります。まず、インスタベースが取っている仕組みを確認します。
Q.私(掲載者様ご自身)の適格請求書発行事業者としての氏名又は名称及び登録番号は、適格請求書上に記載されますか?
A.記載されません。媒介者交付特例により、株式会社Rebase(インスタベース運営会社)の名称及び登録番号が一律で記載されます。
(インスタベース公式ヘルプ「インボイス [適格請求書] について教えてください(掲載者向け)」、2026年9月18日確認)
登録番号も公開されています。
A.T1010901034004 が、株式会社Rebase(インスタベース運営会社)の登録番号です。国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」でも検索いただけます。
(同ページ、2026年9月18日確認)
利用者が受け取る領収書には、あなたの名前も登録番号も出ません。あいだに入った運営会社の番号が一律で載ります。
これは、掲載者にとっては匿名性が保たれるということでもあります。ただし、適格請求書発行事業者として登録すれば、国税庁の公表サイトには氏名が載ります。これは領収書とは別の話です。公表サイトの件は副業のインボイスで詳しく扱っています。
登録しないと、検索結果で分かります
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。
公式ヘルプには、掲載者の登録状況によって発行される書類が変わる表が載っています。要点を本記事の言葉でまとめると、次のとおりです。
| 掲載者の状況 | インスタベース上の申告 | 発行される書類 |
|---|---|---|
| 適格請求書発行事業者である | 登録番号を申告している | 適格請求書等が発行される |
| 適格請求書発行事業者である | 申告していない | インボイス未対応の領収書 |
| 適格請求書発行事業者でない | 「未取得」と申告している | インボイス未対応の領収書 |
| 適格請求書発行事業者でない | 何も申告していない | インボイス未対応の領収書 |
(同ページの表を本記事が要約。原文では《1》〜《4》として整理され、「適格請求書を発行できるのは《1》のみ」と明記されています)
そして、この状態が利用者から見えます。
Q.スペース掲載者が適格請求書発行事業者であるかどうかを判別できますか?
A.予約前のスペースページ上およびダウンロードした領収書上で判別可能です。スペース掲載者様が適格請求書発行事業者であり、かつインスタベース上で登録番号を申告している場合のみ、適格請求書の要件を満たした領収書が交付されます。
(同ページ、2026年9月18日確認)
公式ヘルプには、スペース検索結果ページとスペース詳細ページでの表示例の画像も掲載されています。
つまり、予約する前の一覧画面の段階で、あなたのスペースがインボイスに対応しているかどうかが見えます。
会議室やセミナールームのように法人利用が多いスペースでは、これは選別の材料になり得ます。経費で落とす担当者にとって、仕入税額控除ができるかどうかは実額に効くからです。
なお、同じページには次の一文もあります。
※スペース掲載者様が適格請求書発行事業者であるかどうかの個別問い合わせは承っておりません。メッセージ機能等で直接掲載者様へのお問い合わせをお願いいたします。
(同ページ、2026年9月18日確認)
「初期費用や月々の固定費などは一切発生しない」というのは、正確な記述です。ただしそれは金銭的な費用の話です。登録しないことのコストは、料金表ではなく検索結果の表示として現れます。これは請求書には載りません。
もっとも、個人利用が中心のスペース(撮影、パーティー、趣味の集まり)では、この表示が予約に効かない可能性も十分にあります。利用者が仕入税額控除を必要としないからです。どちらの影響が大きいかは、スペースの用途によって変わります。
2026年10月から、利用者側の控除が70%に下がります
タイミングの話をしておきます。
免税事業者から仕入れた場合でも、買い手は一定割合を控除できる経過措置があります。この割合が、令和8年度税制改正で見直されました。
国税庁の「令和8年度税制改正特集」には、こう書かれています。
免税事業者などインボイス発行事業者以外の者から行った課税仕入れにつき、その一定割合を控除できる経過措置について、適用期限を2年間延長した上で、以下のとおり控除可能割合が見直されました。
(国税庁「令和8年度税制改正特集」、2026年9月18日確認)
同ページの図によれば、令和8年10月1日から2年間の控除可能割合は70%です。そこから先も段階的に引き下げられ、最終的にはゼロになります。全体の推移は副業のインボイスにまとめてあるので、ここでは繰り返しません。
同ページの図の説明には、改正前の設計についてこう書かれています。「改正前は令和8年10月から3年間50%で、その後0%となる予定だった」(2026年9月18日確認)。
つまり2026年10月1日は、改正前の予定では「80%から50%に下がる日」でしたが、改正によって「80%から70%に下がる日」になりました。落差が30ポイントから10ポイントに緩み、控除がゼロになる時期は2年先送りされた形です。
副業として掲載する側から見ると、次のようになります。免税事業者のまま掲載しているスペースを法人が使った場合、その法人が控除できる割合は、2026年9月30日までの利用なら80%、10月1日以降なら70%です。
差は10ポイントです。この変化が予約数にどう効くかを示した資料はなく、本記事も予測しません。ただし階段はこの先も下り続けます。「今は影響がない」ではなく「これから少しずつ不利になる」という形の変化です。
経過措置の割合がその後どう推移するか、上限がいくらに設定されたか、そして登録するかどうかをどう判断するかは、副業のインボイスで扱っています。この記事では、インスタベースに掲載する人にとって2026年10月1日という日付が何の境目なのかだけを押さえます。
登録した場合に納める消費税の目安
では登録したらいくら納めるのか。第5章の例(税込の売上66,000円)を、年間に引き伸ばして計算します。
本記事が置いた前提:月6万6,000円(税込)の売上が12か月続き、年間79万2,000円になったとします。基準期間の課税売上高は1,000万円以下で、インボイス登録をきっかけに課税事業者になったものとします。
年間の売上に含まれる消費税額は、792,000 ÷ 1.1 × 0.1 = 7万2,000円です。
| 計算方法 | 納付額 | 計算 |
|---|---|---|
| 2割特例(令和8年分まで) | 14,400円 | 72,000×20% |
| 3割特例(令和9年・10年分・個人事業者のみ) | 21,600円 | 72,000×30% |
| 簡易課税・第5種(みなし仕入率50%) | 36,000円 | 72,000×50% |
| 簡易課税・第6種(みなし仕入率40%) | 43,200円 | 72,000×60% |
(みなし仕入率は国税庁「令和8年度税制改正特集」掲載の事業区分表による。納付額の計算は本記事が行ったもの)
レンタルスペース業が第5種と第6種のどちらにあたるかを示した国税庁の資料は、今回の調査範囲では確認できませんでした。だから両方を併記しています。区分が変わると納付額が7,200円変わります。税務署か税理士に確認してください。
表の1行目と2行目は、適用できる年が決まっています。国税庁は2割特例について「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間」と定めており、個人事業者の課税期間は暦年なので令和8年分(2026年分)の申告が最後です。その後を受けるのが、令和8年度税制改正で新設された3割特例で、対象は個人事業者の令和9年分・令和10年分に限られます(いずれも2026年9月18日確認)。
適用できる年、要件、そのあと簡易課税へ移るときの届出期限は、プラットフォームによらず共通の話です。詳しくは副業のインボイスにまとめてあるので、ここでは繰り返しません。開業届を出すかどうかは副業の開業届の出し方を参照してください。
この記事で押さえてほしいのは、上の表の下2行のほうです。特例が切れたあとに残るのは簡易課税か本則課税で、レンタルスペース業がどの事業区分にあたるかは公表資料からは読み取れません。手数料の計算式は明細書に書いてありますが、納める消費税の計算はそうではない、ということです。
1スペース1掲載が原則です
ここからは、掲載する前に決まってしまうルールを見ていきます。禁止行為のページからです。
インスタベースでは、1スペース1掲載が原則です。
1つのスペースを理由なく複数ページで掲載することは、利用者の利便性および掲載者間の公平性の観点から禁止事項となっております。
また、検索順位の改善や低評価レビューの分離を目的とした、既存スペースの作り直し、異なるアカウントでの複数掲載等もご遠慮ください。
(インスタベース公式ヘルプ「禁止行為・違反行為について」、2026年9月18日確認)
「反応が悪いからページを作り直す」という手が封じられています。レビューが付いてしまってからのリセットもできません。
例外はあります。
複数ページ掲載が可能な例外事例
利用用途に応じたスペース登録(例:法人利用/個人利用/商用利用でページを分ける)
(同ページ、2026年9月18日確認)
用途で分けるのは認められています。ただし同ページの表には、名称やキャッチコピー、紹介文、注意事項の欄に「【○○用途プラン】などと記載する」ことが書かれています。会場タイプについては「用途が会場タイプと対応している場合は、相互に重複がないよう設定します」とあり、無条件の禁止ではありません。同じ表には「会場タイプ『レンタルスペース』は全スペースに自動付与されるため、重複しても問題ありません」「会場タイプと連動しないようなケースでは、会場タイプが相互に重複しても問題ありません」という但し書きも並んでいます。
最初の1ページの作り込みが効いてくる設計です。
定員以下の「オプション人数料金」は禁止されています
料金設計に直接効くルールです。
スペースページに設定された「定員人数」以下で人数料金を徴収する行為は禁止となります。インスタベースでは定員人数以内でスペースをご利用いただくため、スペース料金とは別途発生する人数料金の徴収は固くお断りしております。ただし、設定された定員人数を超える場合、人数料金の徴収は問題ございません。
主な禁止事例
例)定員人数:10名に対し、オプション料金:1〜10名(1,500円 / 名)を支払わせる行為
設定が可能な事例
例)定員人数:10名に対し、オプション料金:11名〜(1,500円 / 名)の人数料金が発生する場合
(同ページ、2026年9月18日確認)
読み方に注意が必要です。禁止されているのは「スペース料金とは別途発生する」オプションとしての人数料金であって、人数に応じた料金設定そのものではありません。原文も「スペース料金とは別途発生する人数料金の徴収は固くお断りしております」という書き方です。
実際、公式ヘルプ「料金プランの設定・変更方法を教えてください。」に載っている設定手順には、次の2ステップが並んでいます。「料金形態から『スペース料金』または、『人数料金』を選択する」「『時間単位の料金プランを作成・編集する』、または『1日単位の料金プランを作成・編集する』にチェックを入れる」(2026年9月18日確認)。
料金形態としての「人数料金」は、管理画面で正規に選べる選択肢です。第1章で見た成約手数料の区分に「時間 / 人数単位の料金プラン」という表記があるのも、これと対応していると読めます。
禁止されるのは、たとえば「定員10名・スペース料金5,000円」と設定したうえで、そこに1名あたり1,500円のオプション料金を1〜10名の範囲でも上乗せする、という二重取りの形です。定員を超える11名目からであれば、オプションとしての人数料金を取ることができます。
あわせて、次も禁止されています。
スペースページに記載のない「オプション料金」や「人数課金」等、予約確定後に追加請求を案内する行為は禁止となります。
主な禁止事例
例)予約確定後にメッセージ等で追加請求を促す行為
例)定員人数にあわせて料金を課金させる行為
(同ページ、2026年9月18日確認)
2つめの禁止事例は、前段の「掲載情報に記載のない追加請求」という見出しの下に置かれています。ページに書いていない課金を、予約が確定したあとに人数を理由に求める行為を指していると読めます。あらかじめ料金形態として設定し、スペースページに表示されている人数料金とは、置かれている位置が違います。
ページに書いていない請求は、後から出せません。掲載内容がそのまま請求できる範囲の上限になります。
そして、注意事項に書いていない罰金や損害賠償の案内も禁止されています。同ページには「スペースページの注意事項欄に記載されていない禁止事項・ルール違反に伴うペナルティや罰金、損害賠償請求等を案内する行為は禁止事項となっております」とあり、さらに「スペースページに記載した注意事項等の内容が各種規約に抵触する場合、各種規約の内容が優先して適用され、当該注意事項等は無効となります」と続きます。
寝具は置けません
用途の線引きです。
インスタベースでは住宅宿泊仲介業者を取得していないため、民泊新法等の規定により、宿泊に関する文言の記載や寝具が設置されているスペースを掲載する行為は禁止事項となっております。
ホテル・旅館・簡易宿所など、旅館業法に基づく営業許可を取得している宿泊施設を時間貸しスペースとして掲載することが可能です。なお、掲載には、旅館業法に基づく許可を取得していることが確認できる許可証(旅館業営業許可書等)の写しの提出が必須となります。
(同ページ、2026年9月18日確認)
主な禁止事例として「スペースページに画像や寝具(宿泊用)を掲載する行為」が挙げられており、「※ レンタルサロンや撮影スペース等、一部のスペースは該当致しません」という但し書きが付いています。
空き部屋をそのまま撮影して載せようとすると、ベッドが写り込んだ時点で引っかかります。家具を片付けてから撮る、という手順が要ります。
なお、許可を取得している宿泊施設を時間貸しとして掲載する場合には、許可証の写しの提出が必須だと明記されています。掲載のハードルが一段上がる形です。
借りている部屋と管理規約の壁
副業として始める人がいちばん引っかかりやすいところです。
所有権やスペースの公開について、貸主から承諾のある賃借権等、スペースの公開をする正当な権利・権原を有していなければなりません。許可のない掲載は、禁止事項となっております。
管理会社、及び第三者から通報があった場合、該当物件の管理規約・使用細則に基づき厳正に対処させていただきます。
(同ページ、2026年9月18日確認)
賃貸で借りている部屋を貸すには、貸主の承諾が要ります。これはプラットフォームの規約である以前に、民法の問題でもあります。賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要であることについては、スペースマーケット副業で民法第612条を引いて扱っています。
分譲マンションの場合は、管理規約と使用細則が関わります。今回の調査では、マンションの管理規約が一般にどのような定めを置いているかを示す公的資料には当たっていません。だから「規約でだいたい禁止されています」とは書きません。自分の物件の規約を読んでください、としか言えません。
会社に知られたくない場合の住民税の扱いについては副業が会社にバレない方法にまとめています。ただし、スペースを掲載すれば住所と写真が公開されます。税務上の手当てとは別に、物理的に見つかる経路があることは押さえておいてください。
直接取引と後付け請求の禁止
最後に、運営を続けるうえでの線です。
インスタベースのサービスを利用して、外部サイトに誘導する行為や、直接取引を促す行為は禁止事項となっております。
主な禁止事例
例)スペース利用日当日に現金で直接支払いを要求する行為
例)指定口座へスペース利用料金を直接振込ませる行為
例)自社サイト、外部サイト等からの申し込みを促す行為
例)メッセージから「自社サイト予約で◯%オフ」等、割引提示で直接取引を行う行為
(同ページ、2026年9月18日確認)
「常連さんとは直接やり取りして手数料を節約する」は、明示的に禁止されています。35%が重いからという動機は理解できますが、規約違反です。
レビューについても線が引かれています。高評価レビューを促す記載、低評価を投稿した利用者への予約拒否や賠償金請求、自分のスペースへの自作自演レビューが、いずれも禁止事例として挙げられています。
これらの根拠として、同ページは「サービス利用規約第11条(禁止事項)、スペース掲載規約第20条(禁止事項)に記載がございます」と案内しています。ヘルプページは要約であり、拘束力を持つのは規約本体です。今回、規約本体の条文までは確認していません。掲載前に一度は目を通してください。
今日やること
長くなったので、手を動かす順番に並べ直します。
- 料金プランを決める。時間・人数単位なら35%、1日単位なら20%です。1日単位は時間単位の81.25%の売上で手取りが並びます(本記事の計算)。
- 税抜で入力する。管理画面に入れるのは税抜、利用者が見るのは税込です。手数料は税込の売上に掛かります。
- キャンセルポリシーを決める。厳しくするほどコンビニ決済の期限が早まります。標準ポリシーは8日前まで0%です。
- 定員と人数料金を設計する。料金形態としての「人数料金」は選べますが、スペース料金とは別立てのオプション人数料金を定員以下で取ることはできません。ページに書いていない請求も出せません。
- 寝具を片付けてから撮影する。宿泊に関する文言と寝具の設置が禁止されています。
- 賃貸なら貸主の承諾、分譲なら管理規約を確認する。権利・権原がなければ掲載できません。
- インボイスの申告状況を決める。未取得なら「未取得」と申告する必要があります。番号の取得有無にかかわらず、全掲載者の回答が求められています。
- 最初の2か月は入金がない前提で資金を用意する。月末締め、翌月末入金です。
よくある質問
Q1. インスタベースの成約手数料は何%ですか?
公式ヘルプ「スペースの掲載に費用はかかりますか?」には「各料金プランによって適用される成約手数料が異なります」とあり、「時間 / 人数単位の料金プラン 『35%』」「1日単位の料金プラン 『20%』」と書かれています(2026年9月18日確認)。また支払明細書の定義表の備考には「飲食プランは一律10%の手数料率が適用されます」とあります。35%は3つある率のうちの1つです。
Q2. 手数料は税抜と税込のどちらに掛かりますか?
支払明細書の定義表では「手数料(税込)= 売上(税込)× 0.35、切り上げ」とされています(2026年9月18日確認)。掛かるのは税込の売上です。ただし、料金を登録するときは税抜で入力する仕様なので、入力した数字に0.35を掛けても手数料にはなりません。
Q3. 結局、手元には何%残りますか?
手数料率35%のプランなら65%です。本記事が計算すると、税抜2,000円で登録したスペースは税込2,200円で表示され、手数料は770円、受取は1,430円になります(消費税率10%を前提とした場合)。この比率自体は税率の値によらず成り立ちます。1日単位プランなら80%が残ります。
Q4. 切り上げでどれくらい損をしますか?
定義上、1予約あたり1円未満です。税込1,650円の予約なら0.35を掛けた値が577.5円、切り上げて578円で、切り捨てとの差は1円です。月100件なら最大で100円弱という規模になります(本記事の計算)。
Q5. キャンセルされたら手数料はかかりませんか?
かかります。支払明細書の定義表では「売上(税込)」の欄が「予約金額(もしくはキャンセル料金額)」と定義されており、手数料はこの額に掛かります(2026年9月18日確認)。キャンセル料が満額発生しても、受け取るのはその65%です(手数料率35%の場合)。
Q6. キャンセル料に消費税はかかりますか?
同じ定義表に「キャンセル料は不課税のため一律0円」と明記されています(2026年9月18日確認)。通常の売上と同じ勘定でまとめると課税売上高がずれるため、明細書の「うち消費税額」の列を確認してください。
Q7. 利用者がクーポンを使ったら、私の取り分は減りますか?
支払明細書の定義では、手数料も支払金額も「売上(税込)」を基準に計算され、クーポンによる値引きは「当社負担割引額」として別の列に置かれています(2026年9月18日確認)。この定義のうえでは、運営発行のクーポンが使われても掲載者の受取額は変わりません。掲載者自身が設定する割引は別の扱いになる可能性があります。
Q8. 売上はいつ振り込まれますか?
「月末締め、翌月末(最終営業日)」です。公式ヘルプの例では、2026年8月利用分は9月10日に明細書が発行され、9月末日に振り込まれるとされています(2026年9月18日確認)。土日・祝日を挟む場合は前倒しになると書かれています。
Q9. 利用者がコンビニ決済を選ぶと、入金は遅くなりますか?
公式ヘルプに「利用者様の支払方法によって、売上の振込時期が変わることはありません」と書かれています(2026年9月18日確認)。
Q10. 明細書の消費税額が自分の計算と合いません。
公式ヘルプにあらかじめ書かれています。「実際に利用者から支払われた消費税額を集計しているため、合計売上を元に計算した際の消費税額とは一致しません」(2026年9月18日確認)。理由は2つあります。1つは計算の基準が違うこと(「うち消費税額」は利用者支払額ベース、合計欄は売上(税込)ベースで、クーポンが使われると食い違います)。もう1つは、予約1件ごとに四捨五入した合計と、合計から逆算した値が一致しないことです。明細書の数字を採用するのが素直です。
Q11. インボイス登録をしないと掲載できませんか?
掲載できます。ただし公式ヘルプは「番号の取得有無に関わらず、全スペース掲載者様のご回答が必要です」としており、未取得なら「未取得」と申告する運用になっています(2026年9月18日確認)。登録していない場合は、インボイス制度に対応していない旨を記載した領収書が発行されます。
Q12. 登録していないことは利用者に分かりますか?
分かります。公式ヘルプは「予約前のスペースページ上およびダウンロードした領収書上で判別可能です」と書いており、スペース検索結果ページとスペース詳細ページでの表示例の画像も掲載されています(2026年9月18日確認)。法人利用が多いスペースでは予約の判断材料になり得ますが、個人利用が中心なら影響が小さい可能性もあります。利用者層による違いを示した公式資料は確認できていません。
Q13. レンタルスペースの簡易課税の事業区分は第何種ですか?
今回の調査範囲では確認できませんでした。国税庁が公表している事業区分表に「レンタルスペース」という語はなく、第5種(サービス業)と第6種(不動産業)のどちらにあたるかを示した資料に当たれていません。本記事の第20章では両方の金額を併記しています。税務署または税理士に確認してください。
Q14. 2割特例や3割特例はインスタベースでも使えますか?
これらはプラットフォームによって変わる制度ではなく、事業者ごとの要件で決まります。適用できる年と要件は副業のインボイスにまとめています。インスタベース固有の論点は、登録していないことが検索結果とスペース詳細ページで利用者から見える点(本記事の第18章)です。
Q15. 常連の利用者と直接やり取りして、手数料を節約できませんか?
できません。公式ヘルプの禁止行為に「直接取引を促す行為」が挙げられ、当日の現金要求、指定口座への直接振込、外部サイトへの誘導、メッセージでの割引提示がいずれも禁止事例として明記されています(2026年9月18日確認)。
Q16. 借りている部屋を貸せますか?
貸主の承諾が必要です。公式ヘルプは「所有権やスペースの公開について、貸主から承諾のある賃借権等、スペースの公開をする正当な権利・権原を有していなければなりません」としており、許可のない掲載を禁止事項としています(2026年9月18日確認)。
Q17. ベッドのある部屋を撮影スタジオとして貸せますか?
寝具が設置されているスペースの掲載は禁止事項とされています。ただし「※ レンタルサロンや撮影スペース等、一部のスペースは該当致しません」という但し書きが付いています(2026年9月18日確認)。個別の可否は運営に確認してください。
Q18. 反応が悪かったらページを作り直せますか?
「検索順位の改善や低評価レビューの分離を目的とした、既存スペースの作り直し、異なるアカウントでの複数掲載等もご遠慮ください」と書かれています(2026年9月18日確認)。1スペース1掲載が原則です。
まとめ
インスタベースは、手数料の計算方法を明細書の定義として公開しています。率だけでなく式が分かるということは、自分の受取額を自分で検算できるということです。
その定義を読むと、よく言われる「35%」は3つある率のうちの1つだと分かります。時間・人数単位が35%、1日単位が20%、飲食プランが10%。しかも掛ける対象は税込の売上で、端数は切り上げ。キャンセル料にも同じ率が掛かり、そのキャンセル料は不課税です。
一方で、「初期費用や月々の固定費などは一切発生しない」という記述も正確です。ただしそれは金銭の話であって、掲載にあたって決めなければならないことがゼロという意味ではありません。1スペース1掲載、定員以下でのオプション人数料金の禁止、寝具の禁止、貸主の承諾。これらは料金表には載らない条件です。
そして2026年10月1日、免税事業者からの仕入れに対する控除は80%から70%に下がります。登録するかどうかの判断そのものは副業のインボイスに譲りますが、インスタベースの場合、その判断の結果が検索結果の表示として利用者から見えるという点だけは、他のプラットフォームと同じようには扱えません。
金額の話は、率だけでは終わりません。式まで読んでください。

