介護タクシー副業【2026年】1両で許可は取れます

副業
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営業職として10年間活動、某営業会社で2000人中2位、プライム上場企業にて年間TOPセールスなどを経て、サービス開発をするためにPDMにジョブチェン、現在進行形でPM/PDMをしています。上場企業の昇進レースに見切りをつけ、副業として業務委託でPM/PDM/PMOを複数案件並列で兼務、副業が年収1,000 万を突破したので、ナレッジを「会社の外で稼ぐ PM スキルの循環」をテーマに、テンプレ・講座・コミュニティで同世代の跳躍を支援しています。

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親を病院に運んだ帰り道に考えます。この車でできる仕事があるのではないか。介護タクシーの副業は、たいていこの順番で始まります。

ユイカ(副業初心者)
親を病院に運んでて、この車で仕事にならないかなって思ったんです。でも調べたら二種免許が必要って書いてあって、そこで止まっちゃって…

リンク(運営者)
分かります。そこで止まる人がいちばん多いところです。結論から言うと、二種免許なしで運転できる入口は2つあります。

ユイカ(副業初心者)
えっ、あるんですか?じゃあそっちでいいですよね?

リンク(運営者)
そこが今日の本題です。その2つでは、自分が許可を持てません。誰かの許可にぶら下がる形になります。3つの入口を条文で並べて、順番に話しますね。

国土交通省の公示は、介護タクシーの最低車両数を1両と定めています。平成18年9月25日の国自旅第169号です。車庫つきの営業所が1つと、車が1台あれば、許可の申請そのものは成り立ちます。

そのうえで、この記事が扱うのは次の一点です。二種免許なしで介護タクシーを運転する道は2つありますが、その2つでは自分が許可を持てません。免許が軽くなるほど、主体になれる範囲が狭くなります。

この記事でわかること

  • 国自旅第169号が最低車両数を1両と定めていること(法人でも個人でも申請できます)
  • 介護タクシーの入口が3つあり、道路運送法第4条・第79条・第78条第3号で条文が違うこと
  • 二種免許が要らない2つの入口では、自分が許可・登録の主体になれないこと
  • 同じ「自分の車で人を運んで対価を得る」行為が、第96条の3年と第97条の1年に分かれること
  • 福祉有償運送の対価は「タクシーの概ね2分の1」ではなく、現行通達では「約8割」であること
  • 通院等乗降介助の97単位に運賃が入っていないこと(老企第36号)
  • 登録の有効期間が2年・3年・5年に分かれること(法第79条の5)
  • 申請者本人が受ける法令試験が30問・正解率80パーセントであること(中運局公示第82号)
  • 福祉タクシー車両は増え、福祉有償運送は減っているという逆方向の動き

ここから先は、調べ方と埋まらなかった論点を先に開示します。制度の中身は目次のあとから始まります。

この記事の調べ方(編集方針)

調べた範囲は上のとおりです。そのうえで、確認できなかったことを先に書きます。

本記事の調査で埋まらなかった論点

当たった資料は4本の法令・省令(e-Gov法令検索の現行条文)、国土交通省の公示・通達・告示11本、厚生労働省の告示と留意事項通知、警察庁の運転免許統計と受験資格の公表ページ、国税庁のタックスアンサーと所得税基本通達、総務省統計局の統計トピックスです。そのうえで、次の点は確認できませんでした。

  • 福祉有償運送の対価が「概ね2分の1」から「約8割」に改まった正確な時点と改正通達番号。令和5年から令和6年の3本の改正通達のいずれかと見られますが、そう書いた資料に当たれませんでした。本記事は改正時期を断定しません。
  • 福祉輸送事業限定だけの事業者数。国土交通省のハイヤー・タクシー事業者数の統計にこの区分がありません。
  • 普通第二種免許の年間新規取得者数。運転免許統計に該当する表はありますが、読み取りが安定しなかったため数値を書きません。
  • 福祉有償運送運転者講習とセダン等運転者講習の正確な時間数。認定要領の通達から読み取れましたが、原典での再確認ができていないため書きません。
  • 自家用有償旅客運送の輸送人員の全国集計値。報告様式は公表されていますが、集計結果の公表資料を確認できませんでした。
  • 通院等乗降介助の年間算定回数・受給者数。令和6年度介護給付費等実態統計の概況に細区分ごとの表がありません。
  • セダン型のほうが要件が重い理由を述べた公表資料。条文の並びからは読めますが、理由を明示した資料を確認できませんでした。
  • 旅客自動車運送事業の所得区分を名指しした国税庁の資料。タックスアンサーと質疑応答事例を探しましたが見つかりませんでした。
  • 福祉輸送事業限定が消費税の簡易課税で事業区分432に含まれるか。国税庁「日本標準産業分類からみた事業区分」に福祉輸送への言及がありません。
  • 二種免許の取得費用と期間の目安。公的な公表値を確認できませんでした。指定自動車教習所に直接確認してください。

介護の仕事そのものを副業にする道は別にまとめてあります。訪問介護の副業は研修の課程が2つあるという話で、資格の入口が主題です。この記事は運ぶ側の話で、主題は許可の主体です。同じ介護の現場でも、かかる法律が違います。

目次

  1. 結論:介護タクシーの入口は3つで、主体の条件が違います
  2. 第4条の許可は1両から取れます
  3. 車庫と資金の条件は運輸局ごとに違います
  4. 法令試験は30問で8割が合格ラインです
  5. 福祉輸送の標準処理期間は2か月です
  6. ①に介護の資格は要りません
  7. 二種免許の受験資格には3段の階段があります
  8. 福祉輸送事業限定で運べる旅客は限定されています
  9. 運賃は3つに分類されていて、届出の要否が違います
  10. 福祉有償運送の主体に個人は入っていません
  11. 福祉有償運送の運転者は第一種免許でも務まります
  12. セダンで運ぶと要件が1つ増えます
  13. 登録の有効期間は2年・3年・5年に分かれます
  14. 福祉有償運送の対価は「約8割」です
  15. ヘルパー持ち込みだけが自分の車を使えます
  16. 3つの入口のうち2つは第4条にぶら下がっています
  17. 第78条第3号は日本版ライドシェアと同じ条文です
  18. 罰則は3年と1年に分かれます
  19. 通院等乗降介助の97単位に運賃は入っていません
  20. 97単位を取るには指定と許可の両方が要ります
  21. ケアプランに3点が書かれていないと算定できません
  22. 福祉タクシー車両は増え、福祉有償運送は減っています
  23. 対人8,000万円・対物200万円が保険の下限です
  24. 是正命令は4つの措置で来ます
  25. 点呼とアルコール検知器は1両でも必要です
  26. 事故は届出・適性診断・更新期間に波及します
  27. 登録は取消しと30日の届出で終わります
  28. 副業の所得区分は帳簿の有無で分かれます
  29. 収入の計算は地域のタクシー運賃から始めます
  30. 副業として現実的な順番は③から①です
  31. 相談先は制度ごとに窓口が分かれます
  32. 介護タクシーを始める前に確認する7つのこと
  33. よくある質問

まず自分がどの入口に立てるのかを確かめてください。3つの入口の比較表へ進む

目次

結論:介護タクシーの入口は3つで、主体の条件が違います

介護タクシーの入口を、第4条の許可を自分で取る場合と第79条・第78条第3号で運転者になる場合に分けて比較した図

介護タクシーと呼ばれているものは、道路運送法の中で3つに分かれています。免許の重さと、許可を持てる人の範囲が、きれいに逆を向いています。

多くの解説記事は「始めるには第二種運転免許が必要です」と書きます。間違っていません。ただし、これだけを読むと免許の話で止まります。

条文を3本並べて表にしていて、いちばん手が止まったのがここでした。いちばんハードルの低い入口は、自分の車を使えるのに、自分では申請できません。

重い免許を求める入口だけが、個人に許可を出します。軽い入口は免許を緩める代わりに、主体を法人や自治体に限定するか、既存の許可事業者との契約を前提にします。

入口 根拠条文 運転免許 使う車 個人が主体になれるか
①自分で事業許可を取る 道路運送法第4条第1項 第二種運転免許 事業用自動車(緑ナンバー)1両から なれます
②福祉有償運送の運転者になる 同法第79条 第一種+大臣認定講習でも可 団体の車(自家用) なれません
③ヘルパーとして自分の車を使う 同法第78条第3号 第一種+大臣認定講習でも可 自分の車 なれません

②の主体は市町村と特定非営利活動法人などに限られます。道路運送法施行規則第48条が列挙する法人の類型と、市町村、そして特定非営利活動法人です。個人事業主はこの列挙に入っていません。

③は「訪問介護事業所等の指定を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者との契約に基づき訪問介護サービスを提供する訪問介護員等」に対する許可です。国自旅第171号がそう書いています。契約の相手が第4条の許可を持っていることが前提です。

つまり②と③は、どちらも第4条の許可が世の中にあることに依存しています。緩めた部分は消えたのではなく、誰かが引き受けています。

第4条の許可は1両から取れます

国土交通省の公示は、福祉輸送事業限定の最低車両数を1両と定めています。まず①から見ます。

公示の名前は「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて」です。

平成18年9月25日の国自旅第169号で、一部改正が平成21年11月25日の国自旅第192号です。

本文に「3.最低車両数 1両」と書かれています。

普通のタクシー事業は、地域ごとに定められた最低車両数を満たす必要があります。福祉輸送事業限定はそこが1両です。1人・1台で許可を申請できる根拠は、この公示の1行です。

法人でなければ駄目という規定も、公示にはありません。個人事業主として申請できます。ただし1人1車制の個人タクシーとは別の制度で、個人タクシーには別途の要件があります。

項目 福祉輸送事業限定の扱い
最低車両数 1両
営業所 営業区域内にあること
申請者 法人・個人の制限規定なし
運行管理者資格者証 合計5両未満なら選任不要

営業区域は、許可のときに定める、旅客を乗せたり降ろしたりできる地域の範囲です。営業所の要件は公示の文言で「営業区域内(隣接市町村の区域を除く。)にあること。複数の営業区域を有するものにあっては、それぞれの営業区域内にあること」です。自宅を営業所にできるかは、建物の用途と使用権原の書類で判断されます。

緑ナンバーにすると車検の周期が変わります。道路運送車両法第61条第1項は、旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車の自動車検査証の有効期間を1年と定めます。自家用乗用自動車は初回3年で以後2年です。

年1回の継続検査が固定費と手間に乗ります。1両から始められる制度でも、維持の周期は事業用の側に切り替わります。

二種免許なしで入れる側の条件から見るなら、こちらへ進んでください。②の主体の条件を確認する

運行管理者が要らないのは5両未満のときです

5両未満なら運行管理者の資格者証を持つ人を選任しなくてよい、というのが公示の建て方です。ここは表現に気をつけてください。

公示は「事業用自動車及び契約自家用自動車の合計数が5両以上の運行を管理する営業所ごと」に運行管理者を選任するよう定めています。つまり4両までなら、資格者証を持った人を置く義務がありません。

ただし運行管理そのものが免除されるわけではありません。公示は運行管理を行う体制の整備と、指揮命令系統の明確化を求めています。資格者が不要なだけで、点呼(運行の前後に運転者の状態を確認して記録する手続)や乗務記録は残ります。

ここで「契約自家用自動車」という語が出てきます。③のヘルパー持ち込み車両がこれに当たります。持ち込み車両も5両のカウントに入るという建て方です。

ヘルパーを増やして持ち込み車両が積み上がると、資格者の選任義務に届きます。1人で始めるときは無縁の条文が、人を入れた段階で効いてきます。

車庫と資金の条件は運輸局ごとに違います

ここは全国一律ではありません。国自旅第169号に車庫と資金の規定がなく、地方運輸局の審査基準公示が定めています。

東北運輸局の公示第38号(平成29年9月1日)と中部運輸局の手引きは、いずれも車庫を原則として営業所に併設し、併設できない場合は営業所から直線で2キロ以内とします。土地と建物には3年以上の使用権原(所有権や賃借権など、その土地建物を使える法律上の根拠)が必要です。

資金は「自己資金額が所要資金額合計の50パーセント以上、かつ事業開始当初に要する資金の100パーセント以上」を申請日以降も満たし続ける形です。

金額の基準は管轄運輸局の公示で決まります。この記事では具体的な金額を書きません。自分の住所を管轄する運輸支局の審査基準を見てください。同じ条文でも、数字は局ごとに動きます。

金額は書きませんが、何を積み上げるかは共通です。所要資金として数えるのは、車両、車いす等の乗降装置、営業所と車庫の賃借料、保険料、申請に伴う費用の5項目です。手引きには車両をリースで用意してリース料を計上する形も示されています。

この5項目に自分の見積りを入れると、必要な自己資金の水準が出ます。50パーセントは5項目の合計額に、100パーセントは事業開始当初に要する資金に、それぞれかかります。かかる先が違う点に注意してください。

3年以上の使用権原という条件は、賃貸で始める場合に効きます。契約期間が2年の物件だと、更新できる旨の記載が要ります。開業届の出し方とは別に、この書類の準備が先に来ます。

法令試験は30問で8割が合格ラインです

一般乗用旅客自動車運送事業の法令試験が30問・○×方式・正解率80パーセント以上であることと、受験者が申請者本人であることを示した図

1両で申請できても、申請者本人が試験を受けます。ここは記事の前半と合わせて読んでください。

一般乗用旅客自動車運送事業の新規許可申請には法令試験があります。公示とは、行政が審査の基準や要領をあらかじめ公表する文書です。中部運輸局の公示第82号(平成25年10月31日)が実施要領を定めています。

法令試験の要領(中運局公示第82号)

  • 受験者は申請者本人。申請者が法人の場合は、許可後にその事業に専従する役員
  • 出題数は30問
  • 出題形式は○×方式
  • 合格基準は正解率80パーセント以上(24問以上の正解)
  • 初回の試験で合格基準に達しなかった場合は、後日再試験

代理人に受けてもらうことはできません。行政書士に申請書の作成を頼んでも、試験は本人が受けます。個人事業主で申請するなら、条文を読むのは避けられません。

実施の時期も決まっています。中部運輸局の手引きは、毎月1日から15日までに申請のあったものは翌月中旬、16日から末日までのものは翌月下旬に実施するとしています。

試験の要領は運輸局ごとの公示です。出題数や基準が全国同じかは確認していません。管轄の運輸支局で確かめてください。

福祉輸送の標準処理期間は2か月です

福祉輸送事業限定は、普通のタクシー事業より審査が1か月短いと公示されています。

根拠は関東運輸局の公示「道路運送法上の申請に対する処分に関する標準処理期間について」です。同公示は一般乗用旅客自動車運送事業の経営許可を3か月とし、「福祉輸送サービスに限る事業に係るものについては2ヶ月とする」と定めています。

②と③はさらに短いです。同じ公示で、自家用有償旅客運送の登録が1か月、自家用自動車の有償運送の許可が1か月です。

申請 標準処理期間
①一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送に限る) 2か月
同(福祉輸送に限らないもの) 3か月
②自家用有償旅客運送の登録 1か月
③自家用自動車の有償運送の許可 1か月
運送約款の認可 1か月

免許が軽い入口ほど、審査も短くなります。ここまで見てきた構造がそのまま期間にも出ます。

許可が出たあとにも手続が続きます。事業用自動車等連絡書(車を事業用として登録するために運輸支局が出す書類)の交付を受けて緑ナンバーに登録し、運輸開始の届出(実際に走り始めたことを届ける書類)を出す流れです。標準処理期間は申請から許可までの目安なので、車を走らせるまでの日数はこれより長くなります。

申請書の様式と添付書類は運輸支局ごとに手引きが出ています。書類の一覧はこの記事に載せません。管轄の運輸支局の手引きを先に取り寄せてください。

①に介護の資格は要りません

①で必要な資格は第二種運転免許だけです。介護系の資格は許可の要件に入っていません。

国自旅第169号は、許可の要件として最低車両数・営業所・運行管理の体制などを挙げますが、運転者に介護の資格を求める規定を置いていません。運転に必要なのは道路交通法第86条第1項の第二種免許です。

逆になっているのが②です。車の設備が足りない場合に、施行規則第51条の16第3項が介護の側の要件を足します。中身は後の章で扱います。

入口 運転の資格 介護の資格
①福祉輸送事業限定 第二種運転免許 要件になし
②福祉有償運送 第一種+大臣認定講習でも可 福祉自動車なら要件になし
③ヘルパー持ち込み 第一種+大臣認定講習でも可 訪問介護員等であること

介護の資格が要るのは、車の設備が足りないときと、介護報酬を取るときです。運ぶこと自体に資格は要りません。

ただし乗降介助で97単位を算定するなら、訪問介護事業所の訪問介護員等である必要があります。資格の要否は「運ぶ」と「介護報酬を取る」で分かれます。

二種免許の受験資格には3段の階段があります

第二種免許の受験資格が原則21歳3年、政令の経験で21歳2年、特例教習で19歳1年の3段に分かれることを示した図

第二種免許の受験資格は21歳・3年が原則で、教習を受けると19歳・1年まで下がります。①を選ぶ場合に必要になるのが、この第二種運転免許です。

道路交通法第86条第1項が、旅客自動車運送事業の旅客を運ぶ目的で運転する者に第二種免許を求めています。

受験資格は同法第96条第5項第1号にあります。ここに数字の階段が3段あります。

条件 年齢 普通免許等の経歴
原則 21歳以上 通算3年以上
政令で定める経験を有する場合 21歳以上 通算2年以上
政令で定める教習を修了した場合 19歳以上 通算1年以上

3段目が受験資格特例教習です。警察庁は令和4年5月13日の施行としています。

年齢要件の特例を受けるための教習が7時限以上、経験年数要件の特例を受けるための教習が29時限以上と公表されています。

年齢の特例で取った場合は「若年運転者期間」が設定されます。第二種免許なら21歳に達するまでで、この期間に一定の違反をすると若年運転者講習の対象になります。緩和には期限つきの条件が付いています。

40代・50代で介護タクシーを考える人にとって、3段目は関係ありません。効くのは1段目か2段目です。普通免許を3年以上持っていれば、それだけで受験資格は満たします。

第二種免許の合格基準は第一種より高いです

技能試験と学科試験の基準そのものが違います。警察庁の有識者提言が数字を示しています。

平成31年3月の「第二種免許制度等の在り方に関する提言」によると、技能試験の合格基準は80パーセント以上です。第一種免許は70パーセント以上です。学科試験は90パーセント以上で、これは第一種と同じですが、出題内容に旅客自動車の運転者などの心得が加わります。

技能試験の走行距離も違います。普通・中型・大型の第二種免許は6,000メートル以上です。

適性試験は視力が両眼0.8以上・各眼0.5以上で、深視力の平均誤差が2センチ以下です。

警視庁が条件を公表しています。

視力の条件で止まる人がいるのは、この深視力です。

深視力は3つの棒の距離を見分ける検査です。片眼の視力が落ちていると、両眼の視力が基準を満たしていても通らないことがあります。免許を取る段取りを組む前に、ここを先に確かめてください。

数字の出どころが平成31年の提言なので、現在の運用が同じかは確認していません。基準そのものは変わりにくい部分ですが、受験の前に運転免許センターで確かめるのが確実です。

普通第二種免許を持っている人は13万人台です

普通第二種免許の保有者は全国で133,643人です。母数を見ておきます。

警察庁の運転免許統計によると、普通第二種免許の保有者数は133,643人です。

令和6年末現在の数字で、男性が115,327人、女性が18,316人です。

第二種免許の全体は1,521,032人です。大型二種が765,936人、中型二種が619,203人と、上位免許のほうが多くなっています。運転免許統計は2種類以上を持つ人を上位免許の欄に計上するので、普通二種の13万人は「普通二種が最上位」の人数です。

女性の割合は13.7パーセントでした。これは本記事の計算です。介護の現場の男女比とは逆向きの数字です。②と③という二種免許なしの入口が用意されている理由の一端が、ここにありそうです。

免許の統計を業種別に切った数字は確認できませんでした。13万人のうち何人が介護タクシーに使っているかは、公表資料から追えません。

福祉輸送事業限定で運べる旅客は限定されています

福祉輸送事業限定の許可で運送できる旅客の範囲と、運送できない一般の乗客を分けて示した図

許可が取れても、誰でも運べるわけではありません。国自旅第169号が対象を列挙しています。

福祉輸送事業限定で運送できる旅客(国自旅第169号)

  • 身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者
  • 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けている者
  • 介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている者
  • 上記のほか、肢体不自由・内部障害・知的障害・精神障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難で、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者
  • 消防機関または消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者
  • これらの者の付添人

一般の乗客を流しで乗せることはできません。福祉輸送事業限定の「限定」はここにかかっています。需要は自分で開拓する前提の許可です。駅前の乗り場に並ぶ働き方ではありません。

付添人が対象に入っているのは実務上大きい点です。本人だけでなく、付き添う家族も同じ車に乗れます。車いす1台と付添人1人を想定した車選びになります。

営業区域の縛りは、区域の外へ一歩も出られないという意味ではありません。法第20条は「発地及び着地のいずれもがその営業区域外に存する旅客の運送」を禁じています。

区域の中から外へ出る運送はできます。できないのは、行きも帰りも区域の外で完結する運送です。県外の病院への送りも、区域内で拾えば成り立ちます。

同条にはただし書きもあります。災害その他緊急を要するときと、地域の関係者間で協議が調って国土交通大臣が認めたときです。

運賃は3つに分類されていて、届出の要否が違います

①の運賃には専用の通達があります。国自旅第170号(平成18年9月25日)です。

通達は福祉輸送に係る運賃を3つに分類します。ケア運賃、介護運賃、民間救急運賃です。介護運賃は「介護支援専門員が作成する介護サービス計画又は市町村が行う介護給付費支給決定の内容に基づき、資格を有する訪問介護員等が訪問介護サービス等と連続して又は一体として行う輸送」に設定できます。

審査基準は「弾力的な取扱いを図るもの」とされています。時間制運賃を基本に、待料金と迎車回送料金を別に設定できます。

そして旅客運送に直接伴わないケア料金等は、認可も届出も要りません。車いすの貸出しや介助そのものに対する料金がこれに当たります。運賃の手続と、それ以外の料金の手続が分かれています。

ケアマネジャーの計画に紐づくかどうかで、使える運賃の種類が変わります。訪問介護の副業の側の資格を持っていると、介護運賃を設定できる立場に立てます。免許と資格の両方が効いてくる場面です。

ユイカ(副業初心者)
二種免許なしで運転できるほうって、なんで自分で許可を取れないんですか?

リンク(運営者)
条文が主体を列挙で絞っているからです。市町村と特定非営利活動法人、あとは施行規則第48条が挙げる法人だけ。個人事業主はその列挙に入っていません。

福祉有償運送の主体に個人は入っていません

②の主体は市町村と法人に限られ、個人事業主は入っていません。ここが二種免許なしで運転できる1つ目の入口です。

道路運送法第78条は、自家用自動車を有償で運送の用に供してはならないと定めます。その例外の第2号が自家用有償旅客運送です。主体は「市町村、特定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者」です。

国土交通省令が施行規則第48条です。そこに並ぶ類型を全部書き出します。

施行規則第48条が列挙する者(第1号から第10号)

  • 第1号 一般社団法人または一般財団法人
  • 第2号 地方自治法第260条の2第7項に規定する認可地縁団体
  • 第3号 農業協同組合
  • 第4号 消費生活協同組合
  • 第5号 医療法人
  • 第6号 社会福祉法人
  • 第7号 商工会議所
  • 第8号 商工会
  • 第9号 労働者協同組合
  • 第10号 営利を目的としない法人格を有しない社団で、代表者の定めがあり、その代表者が欠格事由に該当しないもの

個人事業主はこの10号のどこにも入っていません。市町村と特定非営利活動法人を足しても、個人は主体になれません。副業として②に関わる道は、登録を受けた団体の運転者になることだけです。

最後の第10号だけが法人格を要求していません。営利を目的としない社団で、代表者の定めがあればよい形です。ただし「営利を目的としない」が入口の条件なので、収益を分配する設計にはできません。

福祉有償運送の運転者は第一種免許でも務まります

主体にはなれませんが、運転者としての条件は軽くなっています。施行規則第51条の16第1項が二段構えで書かれています。

第二種免許を持っていて効力が停止されていない者、または第一種免許を持っていて効力が停止されておらず、選任される日から遡って2年以内に停止されたことがない者、のいずれかです。後者には条件が付きます。国土交通大臣が認定する講習を修了していることです。

ここが「二種免許なしで介護の送迎ができる」という話の条文上の根拠です。第一種免許と認定講習で足ります。

大臣認定講習の実施機関は国土交通省が一覧表で公表しています。

令和8年7月現在の一覧で、264番までの機関が載っています。講習の区分は交通空白地有償運送運転者講習、福祉有償運送運転者講習、セダン等運転者講習、自家用有償観光旅客等運送運転者講習の4つです。

罰則の重さの違いを先に知っておくと、判断が早くなります。3年と1年の分かれ目を見る

免許の停止歴を2年さかのぼって見る条件は見落としやすいところです。第一種免許で入る場合だけに付いている条件で、第二種免許なら現に停止されていなければ足ります。軽い入口のほうが、過去の履歴を長く見られます。

セダンで運ぶと要件が1つ増えます

車の形が要件を変えます。施行規則第51条の16第3項です。

福祉自動車以外の自動車を使って福祉有償運送を行う場合は、第1項の要件に加えて、次のいずれかを備える運転者を乗務させるか、そういう人を同乗させる必要があります。

セダン型で福祉有償運送を行う場合の追加要件(施行規則第51条の16第3項)

  • 社会福祉士及び介護福祉士法第42条第1項の介護福祉士の登録を受けていること
  • 国土交通大臣が認定する講習を修了していること
  • 前号に準ずるものとして国土交通大臣が認める要件を備えていること

福祉自動車の定義は施行規則第51条の3第7号にあります。車いすその他の用具を使用したまま車内に乗り込むことを可能とする乗降補助装置その他の装置を有する自動車です。

車いすごと乗れる車なら要件は1段、乗れない普通のセダンなら2段です。スロープやリフトのない車で運ぶほうが条件が重い、という並びになっています。

条文を並べていて向きが逆だと感じたのはここでした。抱え上げる動作が入るからだと読めますが、そう書いた公表資料は確認できませんでした。

登録の有効期間は2年・3年・5年に分かれます

自家用有償旅客運送の登録の有効期間が原則2年、無事故無処分の更新で3年、事業者協力型で5年になることを比較した図

②の登録には期限があります。法第79条の5に、また階段があります。

原則は登録の日から起算して2年です。更新のときに3つの条件をすべて満たしていれば3年になります。条件は3つです。法第79条の9第2項の命令を受けていないこと。法第79条の10の届出に係る重大な事故を引き起こしていないこと。法第79条の12第1項の業務停止命令を受けていないこと。

事業者協力型自家用有償旅客運送を行う者なら5年です。

区分 有効期間 根拠
原則 2年 法第79条の5本文
無事故・無処分で更新 3年 同条第1号
事業者協力型 5年 同条第2号

同じ登録が、行動の履歴と体制の作り方で2年・3年・5年に分かれます。二種免許の受験資格が3段だったのと同じ形が、登録の期間にも出てきます。

法律の中に3段の階段が2つ。偶然かもしれませんが、緩和の作り方に癖があるように見えます。どちらも「原則を置いて、条件を満たした者に段をつける」形です。

事業者協力型は5年になる代わりに相手が要ります

5年になる形は、一般旅客自動車運送事業者の協力を前提にしています。法第79条の2第1項第5号に定義があります。

事業者協力型自家用有償旅客運送は「自家用有償旅客運送自動車の運行管理の体制の整備その他国土交通省令で定める事項について一般旅客自動車運送事業者の協力を得て行う運送」です。申請書には協力する事業者の氏名または名称と住所を書きます。

国土交通省令が定める事項は施行規則第51条の2の2にあります。自家用有償旅客運送自動車の整備管理の体制の整備、または自家用有償旅客運送自動車による旅客の運送の手配に係るサービスの提供です。

ここでもタクシー事業者が出てきます。いちばん長い期間が、他社との関係の上に載っています。

②の登録そのものは第4条の許可がなくても取れますが、いちばん有利な形は許可を持つ事業者との協力関係の上に立ちます。①②③のどれを見ても、第4条の存在から離れられない構造です。

協議が調っていないと登録は拒否されます

②には、書類を揃えれば通るという性質がありません。法第79条の4第1項第5号が壁になります。

登録を拒否しなければならない場合の1つが、関係者間の協議です。協議の当事者は、地方公共団体、一般旅客自動車運送事業者またはその組織する団体、住民その他の関係者です。

条文は次のときに拒否するとしています。

一般旅客自動車運送事業者によることが困難であり、かつ、地域における必要な旅客輸送を確保するため必要であることについて協議が調つていないとき

つまりタクシー事業者では足りないことについて、地域の合意が要ります。同項第6号の輸送の安全の措置は自分で整えられますが、第5号は自分だけでは満たせません。

運送の区域も勝手に決められません。地域公共交通会議等とは、市町村や都道府県が主宰し、交通事業者や住民が地域の交通を協議する場です。施行規則第51条の4は、この会議を主宰する市町村長または都道府県知事の管轄区域のうち、協議により定められた区域を運送の区域とします。

同条第2項は、発地と着地のいずれもが区域外にある旅客の運送を禁じます。

欠格事由(これに当たると登録を受けられない事由)も見ておきます。同項第1号は1年以上の拘禁刑に処せられて執行を終わった日から2年を経過していない者、第2号は登録を取り消されて2年を経過していない者を挙げます。

ペットシッターの副業でも登録制の欠格事由が出てきましたが、期間の設計はこちらのほうが長めです。

福祉有償運送の対価は「約8割」です

現行通達の目安はタクシー運賃の約8割です。広く書かれている数字と違います。ここは確認に手間をかけました。

法第79条の8第2項は、対価が「実費の範囲内であることその他の国土交通省令で定める基準」に従うことを求めます。施行規則第51条の15第1項は3つの基準を置きます。

対価の基準(施行規則第51条の15第1項)

  • 旅客の運送に要する燃料費その他の費用を勘案して実費の範囲内であると認められること
  • 合理的な方法により定められ、かつ、旅客にとって明確であること
  • 当該地域における一般旅客自動車運送事業に係る運賃及び料金を勘案して、当該自家用有償旅客運送が営利を目的としているとは認められない妥当な範囲内であり、かつ、地域公共交通会議等において協議が調っていること

条文にはこの3つしかありません。施行規則第51条の15には第2項がありません。具体的な割合は通達にあります。

「自家用有償旅客運送者が利用者から収受する対価の取扱いについて」(国自旅第144号、平成18年9月15日、最終改正 令和6年4月26日 国自旅第72号)です。同通達は、区域を定めて行う場合について次のように書いています。

運送の対価は、当該地域に適用されるタクシー運賃の約8割(地方運輸局及び沖縄総合事務局において、インターネットその他の適切な方法により、当該地域の運送の対価を公表するものとする。)であること。

「概ね2分の1」ではありません。2分の1が書かれているのは平成27年3月の国土交通省「自家用有償旅客運送事務実施マニュアル」で、そこには「当該地域におけるタクシーの上限運賃の概ね1/2の範囲内であること」とあります。平成20年3月の福祉有償運送ガイドブックも同趣旨です。

現行通達は「約8割」で、さらに地域公共交通会議等で協議が調えば約8割を超える対価の設定も可能だとしています。

対価の基準は下げる縛りではなくなっていました

対価の基準は、安く抑える方向から上に動いていました。ボランティア輸送の対価は安く抑える規制だと読まれがちなので、前の節の数字は方向として意外でした。

同じ通達には、安さの側に対する歯止めも書かれています。「タクシーの半額等、必要以上に価格の安いことを煽って会員等の募集を行ってはならないこと」です。半額を売り文句にすることを禁じる条項が、同じ通達の中にあります。

数字の向きが変わったのは、タクシー事業者との共存より担い手の確保が先に立ったからだと読めます。

令和6年4月5日の国土交通省「自家用有償旅客運送制度の改革」には「②タクシーの約8割を目安」という記述があります。あわせてダイナミックプライシング導入時について、「通常収受することとなっている対価に対して、5割増を上限、5割引を下限として、柔軟に対価の額を設定することが可能」とも書かれています。

ただし「概ね2分の1」から「約8割」へ改めた正確な時点と改正通達番号は確認できませんでした。令和5年10月1日の国自旅第177号か、令和5年12月28日の国自旅第263号か、令和6年4月26日の国自旅第72号のいずれかと見られますが、そう書いた資料に当たれていません。

この記事では改正時期を断定しません。

対価の話にはもう1つ手順があります。法第79条の8第1項は、業務の開始前に対価を定めて公示するか、あらかじめ旅客に説明することを求めます。変更するときも同じです。対価が決まっていないと業務を始められない建て方です。

ヘルパー持ち込みだけが自分の車を使えます

③だけが自分の車を使えます。二種免許なしで運転できる2つ目の入口です。

法第78条第3号は「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」を例外とします。これを介護輸送に当てた通達が国自旅第171号(平成18年9月25日、最終改正 令和5年10月1日 国自旅第177号)です。

通達の件名は「訪問介護事業所等の訪問介護員等による自家用自動車の有償運送」です。運輸支局の窓口では「ヘルパー持ち込み車両」と呼ばれています。

ところが対象の書き方に条件が埋まっています。通達は「訪問介護事業所等の指定を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者(特定旅客自動車運送事業者を含む。)との契約に基づき訪問介護サービスを提供する訪問介護員等に係る当該許可」と書いています。

契約の相手は、訪問介護事業所の指定を受けていて、かつ一般乗用旅客自動車運送事業者である必要があります。つまり第4条または第43条の許可を持っている事業者です。

括弧の中の特定旅客自動車運送事業は第43条です。法第3条第2号が「特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送する旅客自動車運送事業」と定義します。特定の施設や特定の利用者だけを運ぶ形で、誰でも乗せる一般乗用とは別の許可です。

受け入れ先を探すときは、この2種類のどちらかを持っている訪問介護事業者が対象になります。訪問介護の指定だけを持つ事業者では、③の契約相手になれません。

運転者要件は②と同じです。平成19年9月26日の事務連絡が、施行規則第51条の16第1項第1号および第2号によるとしています。第一種免許と大臣認定講習で足ります。

3つの入口のうち2つは第4条にぶら下がっています

3つの入口の関係は、1本の通知に整理されています。国土交通省と厚生労働省が連名で出した「介護輸送に係る法的取扱いについて」(平成18年9月)が、3つの関係をそのまま書いています。

原則は第4条です。通知は「訪問介護事業者等が行う要介護者等の輸送については、道路運送法第4条又は第43条の事業許可(一般又は特定)によることを原則とする」と述べます。

そのうえで2つの例外を置きます。1つ目はこうです。「NPO法人その他道路運送法施行規則第48条に定める法人等は、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第79条に基づく登録を受けることができる」。

2つ目はこうです。「訪問介護員等が自己の車両で要介護者等を有償で運送する場合については、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第78条第3号に基づく許可を受けることができる」。

例外の2つは、原則を消していません。②は法人格を用意することで、③は第4条の許可を持つ事業者との契約を用意することで、原則の代わりを立てています。副業として身軽に入れるのは③ですが、③は自分で始められる入口ではありません。

入口 自分で始められるか 何を先に用意するか
①第4条の許可 はい 二種免許・営業所・車庫・資金
②第79条の登録 いいえ 法人格または市町村の関与・地域の協議
③第78条第3号の許可 いいえ 第4条の許可を持つ訪問介護事業者との契約

「二種免許なしで介護タクシーができる」という話は、正確には二種免許を持った誰かの許可にぶら下がる話です。免許のハードルは下がりますが、始める自由度は下がります。

第78条第3号は日本版ライドシェアと同じ条文です

条文の番号で検索すると、介護とは関係のない制度が出てきます。同じ条文が2つの用途で使われています。

国土交通省の資料によると、いわゆる日本版ライドシェアは自家用車活用事業と呼ばれ、道路運送法第78条第3号の許可によります。③のヘルパー持ち込みと、条文が同じです。

一方で公共ライドシェアと呼ばれているものは第78条第2号です。交通政策審議会の資料が、交通空白地有償運送と福祉有償運送の団体数を「公共ライドシェア(道路運送法78条2号)の概要」という見出しで示しています。

呼び方 根拠条文 この記事での位置
日本版ライドシェア(自家用車活用事業) 第78条第3号 ③と同じ条文
公共ライドシェア 第78条第2号 ②と同じ条文
ヘルパー持ち込み 第78条第3号 ③
福祉有償運送 第78条第2号から第79条へ ②

条文が同じでも、許可の中身と対象は別です。第78条第3号は「地域又は期間を限定して」という書き方なので、何を限定するかで別の制度になります。

ライドシェアの記事を読んで「自分も第78条第3号でできる」と考えると、対象がずれます。介護タクシーを調べていてライドシェアの情報が混ざるのは、この条文の共用が理由です。読むときは条文の号ではなく、通達の件名で見分けてください。

ユイカ(副業初心者)
もし知らないうちに違反してたら、どうなるんでしょう…

リンク(運営者)
重さが2段あります。事業を経営したと見られると3年、自家用車を有償で使ったと見られると1年。同じ行為でも、どう評価されるかで3倍違います。

罰則は3年と1年に分かれます

無許可で事業を経営した場合の3年以下の拘禁刑と、自家用車を有償運送に使った場合の1年以下の拘禁刑を比較した図

同じ行為でも、条文の入口が違うと罰の重さが変わります。ここが今回いちばん驚いた並びでした。

無許可で一般乗用旅客自動車運送事業を経営すると、法第96条第1号により3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金で、併科(両方を同時に科すこと)もできます。自家用自動車を有償で運送の用に供すると、法第97条第1号により1年以下の拘禁刑もしくは150万円以下の罰金で、こちらも併科が可能です。

違反 条文 拘禁刑 罰金
第4条第1項違反(無許可で事業経営) 第96条第1号 3年以下 300万円以下
第78条違反(自家用車を有償運送に使用) 第97条第1号 1年以下 150万円以下
第43条第1項違反(無許可で特定旅客自動車運送事業を経営) 第97条第5号 1年以下 150万円以下

特定旅客自動車運送事業は運ぶ相手が限られているので、同じ無許可経営でも第4条より軽く置かれています。

不正の手段で第79条の登録を受けた 第97条第7号 1年以下 150万円以下
業務停止命令違反 第97条の3 6月以下 50万円以下

自分の車で人を運んで対価を得る行為は、どちらの条文でも読めます。「事業を経営した」と評価されれば3年、「自家用自動車を有償で使った」と評価されれば1年です。3倍の差が、行為の中身ではなく評価の枠に付いています。

どの条文で問われるかを自分で選べるわけではありません。継続性や営利性の見え方で決まります。1回だけ近所の人を病院へ運んで謝礼を受け取る行為と、毎日決まった時間に複数人を運ぶ行為は、同じ条文では読まれません。

拘禁刑という語が並ぶのは、令和7年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮が一本化されたためです。改正前の条文では懲役と書かれていました。法務省が創設の趣旨を公表しています。内職の副業で扱った家内労働法にも同じ改正が入っています。

ここまでで入口が決まったら、次は介護保険との関係です。通院等乗降介助の97単位を確認する

ユイカ(副業初心者)
介護保険が使えるって聞いたんですけど、ぶっちゃけ収入ってどうなるんですか?

リンク(運営者)
介護保険が払うのは乗り降りの介助だけです。運賃は利用者から別にもらいます。通知に「運賃は評価しない」とはっきり書いてあります。

通院等乗降介助の97単位に運賃は入っていません

介護保険が乗降介助の97単位を払い、運賃は利用者が別に払うという収入の2本立てを比較した図

介護保険が払うのは乗り降りの介助だけで、運賃は別です。介護タクシーの収入が2本立てになる理由がここにあります。

介護報酬の「通院等乗降介助」は1回につき97単位です。「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年2月10日厚生省告示第19号)の別表、訪問介護費のハです。現行条文の最終改正は令和8年3月13日厚生労働省告示第87号です。

令和6年度改定で99単位から97単位に下がりました。令和8年度の改定は令和8年6月施行ですが、97単位のままです。

根拠は3つ重ねました。審議報告は処遇改善加算の拡充と基準費用額を中心に置き、訪問介護の基本報酬の見直しには触れていません。見直し案の別紙1も、訪問介護費については介護職員等処遇改善加算の新旧対比だけで、基本報酬の対比表を置いていません。改定後の現行条文でも別表の訪問介護費ハは97単位でした。

そして運賃はこの97単位に入っていません。平成12年3月1日の老企第36号が、通院等乗降介助の項でこう書いています。

移送行為そのものすなわち運転時間中は当該所定単位数の算定対象ではなく、移送に係る経費(運賃)は、引き続き、評価しない。

運賃は道路運送法の側で別に収受します。前述の国自旅第170号が分類を定めています。

97単位はその他の地域で970円です

単位は円ではありません。介護報酬は「単位」で決められていて、円に直すときに地域ごとの単価をかけます。厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年3月23日厚生労働省告示第93号)が、10円に地域ごとの割合を乗じた額とします。

級地とは、人件費の水準に応じて国が地域を分けた区分です。級地の指定がない「その他」の地域は「千分の千」なので1単位10円です。97単位は970円になります。1級地は「千分の千百四十」なので1単位11.40円です。97単位で1,105.8円になり、1円未満を切り捨てて1,105円です。

この2つの金額は告示の単価から本記事が計算したものです。保険から出る分で、利用者の自己負担割合がかかる前の金額です。往復すれば2回なので、その他の地域では1往復1,940円になります。運賃はここに含まれません。介護保険は乗り降りの介助を買い、利用者は運賃を別に払います。

収入が2本に分かれるのは、制度が2本あるからです。

なお通院等乗降介助という語は、運営基準の省令には出てきません。「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)にこの語はなく、介護報酬の告示だけに存在する算定区分です。省令上のサービス種別ではないので、「省令第何条のサービス」という書き方はできません。

97単位を取るには指定と許可の両方が要ります

97単位は運転だけでは付きません。介護保険と道路運送法の両方の手続が要ります。

介護報酬を算定するには、訪問介護事業所の指定を受けた事業者の訪問介護員等が行う必要があります。告示の別表注4が「指定訪問介護事業所の訪問介護員等が、自らの運転する車両への乗車又は降車の介助を行うとともに」と書いています。

そして道路運送法の側では、前掲の連名通知が第4条または第43条の許可を原則とします。老企第36号も「道路運送法(昭和26年法律第183号)等他の法令等に抵触しないよう留意すること」と念を押しています。

片方だけでは成立しません。訪問介護の指定だけなら運賃を取れず、道路運送法の許可だけなら97単位が付きません。副業で両方を新規に揃えるのは現実的でないので、③の入口が用意されていると読めます。

訪問介護事業所の指定には人員基準があります。同省令(平成11年厚生省令第37号)第5条が、訪問介護員等の員数を常勤換算方法(勤務時間を常勤の人数に換算する方法)で2.5以上と定めます。

サービス提供責任者は、利用者40人またはその端数を増すごとに1人以上を常勤で置きます。常勤の責任者3人以上と業務に専従する者1人以上を置く事業所は、50人ごとに1人以上へ緩和されます。

いずれにしても1人では指定が取れません。ここが副業と相性の悪い条文です。

通院等乗降介助は片道ごとに1回です

数え方を間違えると計算がずれます。老企第36号が明記しています。

「片道につき所定単位数を算定する。よって、乗車と降車のそれぞれについて区分して算定することはできない」です。往復すれば2回、片道だけなら1回です。乗るときと降りるときで2回にはなりません。

要介護度による例外もあります。同通知は、次の3つがそろう場合に身体介護中心型を算定できるとしています。

身体介護中心型で算定する場合(老企第36号)

  • 要介護4または要介護5の利用者であること
  • 乗降介助の前後に連続して相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要すること
  • かつ手間のかかる身体介護を行うこと

この場合、通院等乗降介助は算定できません。

重い利用者ほど、乗降介助ではなく身体介護で数える場面が出てきます。単価の高い区分に寄るので、事業者にとっては不利な話ではありません。

令和3年度改定で範囲が広がった点も押さえてください。厚生労働省の改定資料によると、居宅が始点または終点となる場合には目的地間の移送も対象になります。病院等から病院等への移送や、通所系・短期入所系サービス事業所から病院等への移送です。同一の訪問介護事業所が行う場合に算定できます。

ケアプランに3点が書かれていないと算定できません

97単位には書類の条件が付いています。ここは運転の腕とは無関係に落ちるところです。

老企第36号は、あらかじめ居宅サービス計画に位置付けられている必要があるとし、計画に明確に記載すべき事項を3つ挙げます。

居宅サービス計画に明記が必要な3点(老企第36号)

  • 通院等に必要であることその他車両への乗降が必要な理由
  • 利用者の心身の状況から乗降時の介助行為を要すると判断した旨
  • 総合的な援助の一環として、解決すべき課題に応じた他の援助と均衡していること

ケアマネジャーが計画に落としていなければ、実際に送迎しても97単位は付きません。算定の可否は、車に乗る前の書類で決まっています。

営業の相手がここから決まります。利用者を直接探すより、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに知られているかどうかが効きます。①で許可を取った場合も、介護運賃を設定するにはケアプランとの紐づけが前提でした。

3点目の「他の援助と均衡していること」は、量の話です。乗降介助だけが突出した計画は通りにくいと読めます。ただし均衡の判断基準を数値で示した資料は確認できませんでした。

福祉タクシー車両は増え、福祉有償運送は減っています

事業型は増えて、ボランティア型は減っています。市場の向きを数字で見ます。

福祉タクシー車両数は59,918台です。令和7年3月31日現在(令和6年度末)の数字で、前年度末の52,553台から7,365台増えました。国土交通省が令和8年2月24日に公表した「公共交通機関におけるバリアフリー化の状況について」の数字です。1年で14.0パーセントの増加になります。

この割合は本記事の計算です。

一方で自家用有償旅客運送は区分によって動きが違います。国土交通省の資料によると、令和7年3月31日時点で交通空白地有償運送が788団体・5,571車両、福祉有償運送が2,244団体・12,188車両です。

区分 令和5年3月31日 令和7年3月31日 差
交通空白地有償運送(団体) 698 788 +90
交通空白地有償運送(車両) 4,428 5,571 +1,143
福祉有償運送(団体) 2,428 2,244 -184
福祉有償運送(車両) 14,044 12,188 -1,856

福祉有償運送は2年で184団体・1,856車両減りました。交通空白地有償運送は増えているので、自家用有償旅客運送という枠が縮んだわけではありません。福祉の側だけが減っています。担い手が細るなかでの、逆向きの2本の線。

差の計算は本記事のものです。令和5年3月31日の数値は交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会(第7回)説明資料(令和6年8月)、令和7年3月31日の数値は前掲のカタログ(令和6年8月作成・令和7年5月改訂)によります。

この2つの向きは、②より①を選ぶ理由でしょう。団体が減っている側に運転者として入るより、増えている側で自分が主体になるほうが、数字の流れには沿っています。ただし①には二種免許と資金が必要です。

需要側の数字は増えています

需要側の数字は一貫して増えています。供給の話をしたので、こちらも見ておきましょう。

要介護(要支援)認定者数は721万人にのぼります。令和7年3月末現在で、うち第1号被保険者が707万6千人を占めます。第1号被保険者3,584万人に対する認定率は19.7パーセントです。

厚生労働省の令和6年度介護保険事業状況報告(年報)の数字です。

65歳以上人口は3,624万人にのぼり、総人口に占める割合は29.6パーセントに達しました。令和8年(2026年)9月15日現在の推計で、割合は過去最高。75歳以上が2,168万人で総人口の17.7パーセント、80歳以上が1,288万人となっています。

総務省統計局が令和8年9月20日に公表した数字です。

訪問介護は年間累計受給者数が13,322.2千人(約1,332万人)、費用額が1,214,189百万円(約1兆2,142億円)です。括弧内は本記事の換算です。令和6年度介護給付費等実態統計の数字で、令和6年5月審査分から令和7年4月審査分までの集計です。令和7年9月30日の公表です。

ただし通院等乗降介助の年間算定回数と受給者数は確認できませんでした。令和6年度の介護給付費等実態統計の概況には、訪問介護の内容類型としての区分はあるものの、細区分ごとの算定回数の表が載っていません。

認定者の内訳も見ておきます。同報告の構成割合を足すと、要支援1と要支援2で29.0パーセント、要介護4と要介護5で20.5パーセントです。この2つの足し算は本記事の計算です。乗降介助の対象になりやすいのは中間層です。

重度は身体介護で数えるほうに寄ります。

対人8,000万円・対物200万円が保険の下限です

②を選ぶ場合の保険の基準がはっきり決まっています。

国土交通省告示第1171号が自家用有償旅客運送者の損害賠償措置基準を定めています。対人8,000万円以上、対物200万円以上です。施行規則第51条の3第11号が、損害を賠償するための措置を講じていることを証する書類の添付を求めています。

任意保険の一般的な契約で足りるかどうかは、契約内容を保険会社に確認してください。有償運送を使途に含めているかで扱いが変わります。自家用の契約のまま有償運送に使うと、事故のときに支払われないことがあります。

①にも同じ金額の基準があります。平成17年4月28日の国土交通省告示第503号が、旅客自動車運送事業者について「生命又は身体の損害を受けた者一人につき八千万円以上」「一事故につき二百万円以上」と定めています。

①と②で下限は同じです。違うのは契約の種類で、①は事業用自動車の保険になります。保険料の水準は契約条件で変わるため、この記事では金額を書きません。

費用の見積りに進むなら、計算の型をここでまとめています。収入と費用の計算の型を見る

事故で保険が下りない事態は、副業のリスクとしては最も重い部類です。副業の労災は働く側のけがの話ですが、こちらは運んだ相手のけがの話です。金額の桁が違います。

是正命令は4つの措置で来ます

輸送の安全が確保されていないと判断されると、4つの措置を命じられます。根拠は法第79条の9第2項です。同条第1項は日ごろ守るべき事項を定めています。

第1項は、国土交通省令で定める事項を遵守するよう求めます。中身は運転者の乗務の管理その他の運行の管理、車両への表示、旅客に対する適切な情報の提供などです。

第2項は、輸送の安全または旅客の利便が確保されていないと認めるときに、国土交通大臣が命じられる措置を4つ列挙します。

是正命令の内容(法第79条の9第2項)

  • 自家用有償旅客運送自動車の運行の管理の方法を改善すること
  • 路線または運送の区域を変更すること
  • 旅客から収受する対価を変更すること
  • 旅客の運送に関し支払うことあるべき損害賠償のための保険契約を締結すること

運行管理の体制は施行規則第51条の17が求めます。運行管理の責任者の選任その他運行管理の体制の整備です。乗車定員11人以上の車を管理する事務所と、乗車定員10人以下の車を5両以上管理する事務所は「特定事務所」として扱われ、責任者の要件が重くなります。

この命令を受けると、登録の有効期間が3年に延びなくなります。法第79条の5第1号イが、第79条の9第2項の命令を受けていないことを条件にしています。処分が期間に跳ね返る設計です。

点呼とアルコール検知器は1両でも必要です

運行管理者の資格が要らないことと、運行前の手続が要らないことは別の話です。ここを混ぜると危ないところでした。

①の事業者には旅客自動車運送事業運輸規則がかかります。同規則の解釈及び運用については、点呼に用いるアルコール検知器を営業所ごとに常時有効に保持するよう求めます。毎日の電源と損傷の確認、週1回以上の作動確認が内容です。

乗務員の健康管理も同じ規則の中です。労働安全衛生法第66条の健康診断を受けさせ、その結果に基づく措置を講じます。疾病・疲労・睡眠不足その他の理由で安全な運転ができないおそれがある乗務員を乗務させることはできません。

1人で始める場合、点呼をする側と受ける側が同じ人になります。それでも記録は残します。資格者の選任が5両未満で免除されるのは、体制の整備と記録の義務を外す規定ではありません。

③のヘルパー持ち込みにも健康の規定が及びます。国自旅第171号は、疾病・飲酒その他の理由により安全な運転をすることができないおそれのある運転者に運転させてはならないとしています。

年齢による義務も同じ通達にあります。特別な指導と適性診断(運転の癖や注意力を測る検査)の対象として、死者または負傷者が生じた事故を引き起こした者、運転者として新たに契約した者、そして高齢者(65歳以上の者)が挙げられています。60代で始めるなら、最初から対象です。

苦情処理の記録は1年保存です

②には記録の義務もあります。施行規則第51条の30です。

自家用有償旅客運送者は苦情処理の体制を整備し、苦情を申し出た者に対して遅滞なく弁明しなければなりません。氏名と住所を明らかにしない者は例外です。

苦情の申出を受け付けた場合は、次の5つを記録し、整理して1年間保存します。苦情の内容、原因究明の結果、苦情に対する弁明の内容、改善措置、苦情処理を担当した者です。

福祉有償運送を行う特定非営利活動法人等には、旅客の名簿も求められます。施行規則第51条の29が、氏名・住所・運送を必要とする理由・その他必要な事項を記載した名簿を作成し、事務所に備え置くよう定めます。

名簿に載っていない人は運べません。施行規則第49条第2号が、特定非営利活動法人等が行う場合の旅客を名簿記載者に限っています。当日その場で頼まれても、名簿への記載が先です。

①にはこの名簿の縛りがありません。国自旅第169号の対象に当たる人であれば、その場で乗せられます。身軽さの比較では、ここだけ①が勝ちます。

事故は届出・適性診断・更新期間に波及します

1件の事故が3つの制度に順番に跳ね返ります。届出の相手と手続を確認しておきます。

②では法第79条の10が、自家用有償旅客運送自動車が転覆し、火災を起こし、その他重大な事故を引き起こしたときに、遅滞なく国土交通大臣への届出を求めます。届け出る内容は事故の種類・原因その他国土交通省令で定める事項です。

運転者が死者または負傷者が生じた事故を引き起こした場合は、適性診断を受けさせる義務が生じます。根拠は施行規則第51条の16第2項で、旅客自動車運送事業運輸規則第38条第2項の適性診断です。

負傷者の範囲は自動車損害賠償保障法施行令第5条第2号から第4号までに掲げる障害を受けた者です。

重大な事故は登録の有効期間にも跳ね返ります。法第79条の5第1号ロが、重大な事故を引き起こしていないことを3年への延長の条件にしています。事故を起こすと、更新が2年刻みに戻ります。

つまり事故は3重にかかります。届出の義務、運転者への適性診断、そして更新期間の短縮です。1件の事故が別の制度に順番に波及していく形です。

登録は取消しと30日の届出で終わります

登録の終わり方は、取消しと廃止届の2方向です。まず取消しから見ます。法第79条の12第1項です。

取消しの事由は4つです

条文は4つの場合を並べています。最後の1つだけ性質が違います。

業務停止または登録取消しの事由(法第79条の12第1項)

  • この法律・法律に基づく命令・これらに基づく処分または登録に付した条件に違反したとき
  • 不正の手段により登録、有効期間の更新の登録または変更登録を受けたとき
  • 法第79条の4第1項第1号・第3号・第4号・第6号(欠格事由と、輸送の安全のために必要な措置)に該当することとなったとき
  • その行う自家用有償旅客運送に関し、法第79条の4第1項第5号の協議が調った状態でなくなったとき

4つ目に注意してください。協議が調った状態でなくなると、自分は何もしていなくても取消し事由になります。入口で地域の合意が要るという話は、入口だけの話ではありません。

業務停止は6月以内の期間を定めて命じられます。停止命令に違反すると法第97条の3で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

登録を取り消されると、法第79条の4第1項第2号により、取消しの日から2年間は再登録できません。法人の場合は、処分の原因となった事項が発生した当時に業務を執行する役員として在任した者も同じ期間の制限を受けます。

変更と廃止の届出は30日以内です

次に期限の話です。届出の期限は2つあり、どちらも30日です。

法第79条の7第3項は、事務所の名称その他の軽微な事項を変更したときに、その日から30日以内の届出を求めます。軽微な事項は施行規則第51条の13が列挙します。

法第79条の11は、業務を廃止したときに、その日から30日以内の届出を求めます。やめるときも届出が要ります。登録証は施行規則第51条の31により、運輸監理部長または運輸支局長へ遅滞なく返納します。

軽微でない変更は届出ではなく変更登録です。法第79条の7第1項が、路線または運送の区域、事務所の名称と位置、車両数、運送しようとする旅客の範囲などの変更に変更登録を求めます。この場合、法第79条の4第1項第5号と第6号の審査が準用されます。準用とは、別の条文の規定を読み替えて当てはめることです。

区域を広げたいだけでも、協議のやり直しになります。始めるときに区域を狭く取ると、あとで広げる手間が重くなります。

副業の所得区分は帳簿の有無で分かれます

帳簿書類の保存があれば事業所得、なければ原則として業務に係る雑所得になるという所得区分の分岐を示した図

副業の所得が事業所得になるかは、帳簿の有無で分かれます。介護タクシーに固有の通達は見つかりませんでした。

国税庁のタックスアンサーNo.1350は、事業所得を「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」と定めます。旅客自動車運送事業を名指しした記述は確認できませんでした。

判定の枠組みは所得税基本通達35-2です。

令和4年10月7日の改正で、事業所得と業務に係る雑所得の区分は「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているか」で判定するとされました。

その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、原則として業務に係る雑所得に該当します。収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合は別です。

消費税の簡易課税(売上から仕入れの税額をみなしで差し引く方式)では、一般乗用旅客自動車運送業(日本標準産業分類432)が第五種事業です。

国税庁「日本標準産業分類からみた事業区分」に載っています。

ただし福祉輸送事業限定の許可に基づくものがこの432に含まれるかは、国税庁の資料では確認できませんでした。

車を買う順番でも税額が変わります。タックスアンサーNo.6214は、車いす等の昇降装置を装備し車いす等の固定装置を施した自動車を身体障害者用物品として消費税非課税とします。

ところが同じページに落とし穴が書かれています。「いったん一般自動車を購入し、その後改造を行う場合には、当初の一般自動車の購入は課税となり、改造代金についてのみ非課税となります」です。

先に普通の車を買ってから改造すると、車両本体に消費税がかかります。福祉車両として最初から買うか、後から改造するかで結果が変わります。順番の話なので、買う前に確認してください。

経費の考え方は車の減価償却が中心になります。副業の経費と副業の確定申告のやり方に別途まとめてあります。

具体的な申告の可否は税務署か税理士に確認してください。この記事は法令と公表資料の整理で、個別の税務判断ではありません。

経費と申告の考え方は別にまとめてあります。副業の経費の記事を読む

収入の計算は地域のタクシー運賃から始めます

収入側の起点は、自分が走る地域のタクシー運賃になります。運賃の相場そのものを示した公的な公表値は見つからなかったので、起点のほうを並べます。

①の運賃は自分で決めて手続します。前に見たとおり、時間制運賃を基本とするのが国自旅第170号の建て方です。金額は自分で置きます。②の対価には目安があります。前に見た国自旅第144号の「約8割」です。①は自分で決め、②は約8割を目安にします。どちらも地域のタクシー運賃を調べないと始まりません。

介護報酬側は金額が確定しています。乗降介助は片道970円(級地の指定がない地域)で、往復すれば1,940円です。

収入の内訳 決め方 根拠
①の運賃 自分で設定して認可または届出 国自旅第170号
②の対価 地域のタクシー運賃の約8割が目安 国自旅第144号
乗降介助(97単位) 級地ごとの単価に97を掛ける 厚生労働省告示第93号
ケア料金等 認可・届出なし 国自旅第170号

費用側は、さきに挙げた5項目をそのまま使います。

自分で埋める計算の型

  • 収入の起点 地域のタクシー運賃を調べる(②なら、その約8割が対価の目安)
  • 介護報酬 片道970円(級地の指定がない地域)。1級地は1,105円
  • 費用 車両・乗降装置・営業所と車庫・保険・申請費用の5項目を見積る
  • 自己資金 5項目の合計の50パーセント以上、かつ事業開始当初に要する資金の100パーセント以上
  • 期間 申請から許可まで2か月。その後に緑ナンバーの登録と運輸開始の届出

金額そのものは書きません。運賃は地域と事業者ごとに違い、車両と改造の費用も選ぶ車で変わるからです。二種免許の取得費用についても、公的な公表値を確認できませんでした。

かわりに順番だけ確かめてください。地域のタクシー運賃を調べる前に車を買うと、収入の見積りができないまま固定費が立ちます。

副業として現実的な順番は③から①です

負担の軽い順に並べると③から①になります。ここまでの整理を、動ける順番に並べ替えます。あくまで条文と公表資料から読める順番です。

入口を選ぶときの判断順

  • 第二種免許を持っていない、かつ今すぐ始めたい → ③のヘルパー持ち込み。ただし第4条の許可を持つ訪問介護事業者との契約が前提
  • 第二種免許を持っていない、かつ地域の団体に入れる → ②の運転者。第一種免許+大臣認定講習。セダンなら追加要件
  • 第二種免許を持っている、または取る気がある → ①の福祉輸送事業限定。1両から申請可能
  • 自分が主体になりたい → ①だけ。②と③は主体になれません

③から始めて①に移る順番が、免許と資金の負担を後ろに送れます。ただし③は自分で作れる立場ではないので、受け入れてくれる事業者を先に探すことになります。

探し方は2つの名簿を突き合わせる形です。訪問介護事業所は厚生労働省の介護サービス情報公表システムで地域ごとに検索できます。第4条の許可を持つ事業者は運輸支局が一覧を持っています。両方に載っている事業者が③の契約相手の候補です。

会社員が兼ねる場合は、需要の出る時間帯が壁になります。通院等乗降介助は居宅サービス計画に位置付けて行うもので、③なら訪問介護のシフトに乗る形です。平日の日中に動ける時間があるかどうかが、実質的な参入条件になります。

通院の時間帯を業種別に示した公的統計は確認できませんでした。そのため何時から何時に需要が集中するかは書きません。判断するときは、受け入れ先の事業者に実際のシフトを聞いてください。

①なら時間は自分で決められますが、需要も自分で開拓します。国自旅第169号の対象に限られる許可なので、居宅介護支援事業所との関係を先に作る順番になります。

①を選ぶなら、二種免許の取得と並行して管轄運輸支局の審査基準を読んでください。車庫と資金の数字は局ごとに違います。

免許を取ってから場所を探すと、3年以上の使用権原という条件で止まることがあります。順番は場所が先です。免許は取得に時間がかかるので並行して進めますが、申請を出せるかどうかは物件で決まります。

相談先は制度ごとに窓口が分かれます

窓口を間違えると、正しいことを言っても届きません。制度ごとに分かれています。

用件 窓口
①福祉輸送事業限定の許可・審査基準 住所地を管轄する運輸支局(地方運輸局)
②福祉有償運送の登録・協議 市町村の地域公共交通会議等の事務局、運輸支局
③ヘルパー持ち込みの許可 運輸支局
大臣認定講習の受講先 国土交通省の実施機関一覧から選ぶ
第二種免許・受験資格特例教習 都道府県警察の運転免許センター、指定自動車教習所
通院等乗降介助の算定・ケアプラン 市町村の介護保険担当課、居宅介護支援事業所
訪問介護事業所の指定 都道府県または市町村の介護保険担当課
所得区分・申告 所轄の税務署

①と③はどちらも運輸支局ですが、根拠条文が違うので申請書も違います。①は第4条の許可申請、③は第78条第3号の有償運送許可申請です。

窓口で「介護タクシーをやりたい」とだけ言うと、どちらの話か確かめられます。

電話番号は書きません。運輸支局の名称と連絡先は国土交通省のページと各地方運輸局のサイトで確認してください。

組織改編で変わることがあります。

介護タクシーを始める前に確認する7つのこと

介護タクシーの副業を始める前に確認する7項目を、自分の条件3つ、相手の条件3つ、勤め先の条件1つに分けて示した図

確認事項は7つです。最後にこれを並べます。3つが自分の条件、3つが相手の条件、1つが勤め先です。

自分の条件は3つです。第二種運転免許を持っているか、または受験資格を満たすか。使う車が福祉自動車か、それ以外か。営業所と車庫を置ける場所に3年以上の使用権原があるか。

相手の条件も3つです。運ぶ相手が国自旅第169号の列挙に入るか。②なら地域の協議が調う見込みがあるか。③なら第4条の許可を持つ訪問介護事業者との契約が取れるか。

7つ目は勤め先の規定です。会社員が副業で事業許可を取る場合、就業規則の副業規定にかかります。公務員は国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条により、営利企業への従事等に許可が必要です。

制度の側が許しても、勤め先の側で止まることがあります。会社に知られたくない場合の仕組みは副業が会社にバレない方法に別途まとめていますが、事業許可を取る副業は届出や登記の性質上、隠しにくい部類です。

入口が決まったら、開業手続の順番も確認してください。開業届の出し方を読む

よくある質問

入口の選び方と、数字の出どころに関する質問を並べます。

Q1. 介護タクシーの副業は二種免許がないとできませんか。

運転することはできます。道路運送法施行規則第51条の16第1項は、第一種免許と国土交通大臣が認定する講習の修了でも自家用有償旅客運送の運転者になれると定めています。

同法第78条第3号のヘルパー持ち込みも同じ運転者要件です。ただしどちらも自分が許可や登録の主体になれません。主体になるには第4条の許可が必要で、そこでは第二種免許が要ります。

Q2. 車は何台から許可を申請できますか。

1両からです。国土交通省の公示「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の許可等の取扱いについて」(平成18年9月25日 国自旅第169号、一部改正 平成21年11月25日 国自旅第192号)が「3.最低車両数 1両」と定めています。

法人でなければならないという規定はなく、個人事業主でも申請できます。ただし1人1車制の個人タクシーとは別の制度です。

Q3. 運行管理者の資格は必要ですか。

事業用自動車と契約自家用自動車の合計が5両未満なら、運行管理者資格者証を持つ人の選任は不要です。国自旅第169号が5両以上の営業所ごとに選任を求める建て方をしています。ただし運行管理を行う体制の整備と指揮命令系統の明確化は必要です。資格が不要になるだけで、管理そのものは残ります。

Q4. 個人でも福祉有償運送の登録を受けられますか。

受けられません。道路運送法第78条第2号は主体を市町村と特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者に限っています。

省令は施行規則第48条で、一般社団法人・一般財団法人・認可地縁団体・農業協同組合・消費生活協同組合・医療法人・社会福祉法人・商工会議所・商工会・労働者協同組合・営利を目的としない法人格を有しない社団の類型を挙げます。個人事業主はここに入っていません。

Q5. 福祉有償運送の料金はタクシーの半額ですか。

現行の通達では約8割です。「自家用有償旅客運送者が利用者から収受する対価の取扱いについて」(国自旅第144号、最終改正 令和6年4月26日 国自旅第72号)が「運送の対価は、当該地域に適用されるタクシー運賃の約8割」と定めています。

「概ね2分の1」は平成27年3月の国土交通省の事務実施マニュアルに書かれていた基準です。なお同じ通達は、半額等の安さを煽って会員を募集してはならないとも定めています。

Q6. 通院等乗降介助の97単位に運賃は含まれますか。

含まれません。平成12年3月1日の老企第36号が「移送行為そのものすなわち運転時間中は当該所定単位数の算定対象ではなく、移送に係る経費(運賃)は、引き続き、評価しない」と述べています。運賃は道路運送法の側で別に収受します。福祉輸送の運賃の分類は国自旅第170号にあります。

Q7. 通院等乗降介助は往復で何回になりますか。

2回です。老企第36号が「片道につき所定単位数を算定する。よって、乗車と降車のそれぞれについて区分して算定することはできない」と定めています。片道1回の計算なので、往復すれば2回です。乗るときと降りるときを分けて2回にすることはできません。

Q8. セダンでも福祉有償運送はできますか。

できますが要件が1つ増えます。施行規則第51条の16第3項は、福祉自動車以外の自動車を使う場合、第1項の要件に加えて、介護福祉士の登録を受けているか、国土交通大臣が認定する講習を修了している運転者を乗務させるか、そういう人を同乗させることを求めます。セダン等運転者講習がこれに当たります。

Q9. 無許可で介護の送迎をして対価をもらうとどうなりますか。

条文が2つあり、重さが違います。無許可で一般乗用旅客自動車運送事業を経営したと評価されると、道路運送法第96条第1号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、併科もできます。

自家用自動車を有償で運送の用に供したと評価されると、第97条第1号により1年以下の拘禁刑または150万円以下の罰金です。どちらで問われるかは自分で選べません。

Q10. 福祉有償運送の登録は何年ごとに更新しますか。

原則2年です。道路運送法第79条の5が、更新のときに法第79条の9第2項の是正命令を受けていないこと・重大な事故を引き起こしていないこと・業務停止命令を受けていないことをすべて満たせば3年、事業者協力型自家用有償旅客運送を行う者なら5年と定めています。事故や処分があると2年刻みに戻ります。

Q11. 福祉輸送事業限定で一般のお客さんを乗せられますか。

乗せられません。国自旅第169号が運送できる旅客を、身体障害者手帳の交付を受けている者・要介護認定を受けている者・要支援認定を受けている者・単独での移動が困難で単独で公共交通機関を利用することが困難な者・消防機関等を介して搬送サービスを受ける患者、およびその付添人に限っています。

Q12. 二種免許は何歳から取れますか。

原則21歳で普通免許等の経歴が通算3年以上ですが、特例があります。道路交通法第96条第5項第1号により、政令で定める教習を修了すれば19歳・通算1年以上で受験できます。

警察庁は受験資格特例教習を令和4年5月13日施行としており、年齢要件の特例に7時限以上、経験年数要件の特例に29時限以上の教習を要すると公表しています。年齢の特例で取得した場合は21歳まで若年運転者期間が設定されます。

Q13. ヘルパー持ち込みの許可は自分で申請できますか。

単独では成り立ちません。国自旅第171号は許可の対象を「訪問介護事業所等の指定を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者(特定旅客自動車運送事業者を含む。)との契約に基づき訪問介護サービスを提供する訪問介護員等」としています。契約の相手が道路運送法第4条または第43条の許可を持っている必要があります。

Q14. 介護タクシーは介護保険が使えますか。

乗降介助の部分に使えます。運賃には使えません。介護保険が見るのは通院等乗降介助の97単位で、老企第36号が運賃を評価しないと明記しています。しかも97単位を算定するには、訪問介護事業所の指定と、居宅サービス計画への位置付けの両方が要ります。

Q15. 副業の介護タクシーの収入は事業所得になりますか。

帳簿の有無で分かれます。所得税基本通達35-2は、令和4年10月7日の改正により、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は原則として業務に係る雑所得に該当するとしています。

収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合は別です。旅客自動車運送事業を名指しした国税庁の資料は確認できませんでした。個別の判断は所轄の税務署か税理士に確認してください。

Q16. 福祉有償運送は増えていますか。

減っています。国土交通省の資料によると、福祉有償運送は令和5年3月31日の2,428団体・14,044車両から、令和7年3月31日の2,244団体・12,188車両になりました。

184団体・1,856車両の減少です。一方で福祉タクシー車両数は令和7年3月31日現在で59,918台と、前年度末から7,365台増えています。差の計算は本記事のものです。

Q17. 自家用有償旅客運送に必要な保険の金額はいくらですか。

対人8,000万円以上、対物200万円以上です。国土交通省告示第1171号が損害賠償措置基準として定めています。自家用の任意保険契約のまま有償運送に使うと支払われないことがあるので、使途を保険会社に確認してください。

Q18. 運ぶ地域は自由に決められますか。

決められません。施行規則第51条の4は、運送の区域を地域公共交通会議等を主宰する市町村長または都道府県知事の管轄区域のうち、その会議で協議により定められた区域とします。

同条第2項は、発地と着地のいずれもが区域外にある旅客の運送を禁じています。区域を変えるには変更登録が必要で、協議のやり直しになります。

Q19. 公務員でも介護タクシーの副業はできますか。

許可が必要です。国家公務員は国家公務員法第103条・第104条、地方公務員は地方公務員法第38条により、営利企業への従事等に任命権者等の許可を要します。道路運送法の許可を得られても、勤め先の側で止まることがあります。会社員の場合は就業規則の副業規定を確認してください。

Q20. 要介護の人は何人くらいいますか。

721万人です。厚生労働省の令和6年度介護保険事業状況報告(年報)によると、令和7年3月末現在の要介護(要支援)認定者数が721万人、うち第1号被保険者が707万6千人で、第1号被保険者3,584万人に対する認定率が19.7パーセントです。

65歳以上人口は令和8年9月15日現在の推計で3,624万人、総人口の29.6パーセントです。

Q21. 介護タクシーの許可に試験はありますか。

あります。一般乗用旅客自動車運送事業の新規許可申請には法令試験があり、中部運輸局の公示第82号(平成25年10月31日)によると、受験するのは申請者本人で、申請者が法人の場合は許可後にその事業に専従する役員です。

出題数は30問、○×方式で、合格基準は正解率80パーセント以上(24問以上の正解)です。初回で合格基準に達しなかった場合は後日再試験になります。試験の要領は運輸局ごとの公示なので、全国同じかは確認できませんでした。

Q22. 緑ナンバーにすると車検はどうなりますか。

1年ごとになります。道路運送車両法第61条第1項が、旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車の自動車検査証の有効期間を1年と定めています。自家用乗用自動車は初回3年で以後2年なので、周期が短くなります。年1回の継続検査が固定費と手間に乗ります。

Q23. 福祉車両を買うと消費税はかかりませんか。

買う順番で変わります。国税庁のタックスアンサーNo.6214は、車いす等の昇降装置を装備し車いす等の固定装置を施した自動車を身体障害者用物品として消費税非課税とします。

ただし同じページに「いったん一般自動車を購入し、その後改造を行う場合には、当初の一般自動車の購入は課税となり、改造代金についてのみ非課税となります」と書かれています。先に普通の車を買ってから改造すると、車両本体には消費税がかかります。

Q24. ライドシェアで介護の送迎はできますか。

条文は同じですが別の制度です。国土交通省の資料によると、いわゆる日本版ライドシェア(自家用車活用事業)は道路運送法第78条第3号の許可で、ヘルパー持ち込みと同じ条文です。

公共ライドシェアと呼ばれているものは第78条第2号で、福祉有償運送と同じ条文です。第78条第3号は「地域又は期間を限定して」という書き方なので、何を限定するかで別の制度になります。条文の号ではなく通達の件名で見分けてください。

Q25. 1人で始めれば点呼やアルコールチェックは要りませんか。

要ります。国土交通省「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」は、点呼に用いるアルコール検知器を営業所ごとに常時有効に保持するよう求め、毎日の電源と損傷の確認、週1回以上の作動確認を内容としています。

乗務員の健康管理も同じ規則の中で、労働安全衛生法第66条の健康診断を受けさせます。5両未満で免除されるのは運行管理者資格者証を持つ人の選任だけで、体制の整備と記録の義務は残ります。

Q26. ①をやるのに介護の資格は必要ですか。

必要ありません。国自旅第169号は許可の要件に運転者の介護資格を置いていません。運転に必要なのは道路交通法第86条第1項の第二種運転免許です。

逆に②で福祉自動車以外の車を使う場合は、施行規則第51条の16第3項が介護福祉士の登録か大臣認定講習を求めます。ただし乗降介助で97単位を算定するなら、訪問介護事業所の訪問介護員等である必要があります。

Q27. 許可が下りるまでどれくらいかかりますか。

標準処理期間は2か月です。関東運輸局の公示「道路運送法上の申請に対する処分に関する標準処理期間について」は、一般乗用旅客自動車運送事業の経営許可を3か月とし、福祉輸送サービスに限る事業については2か月とします。

②の登録と③の許可はいずれも1か月です。これは申請から許可までの目安で、その後に事業用自動車等連絡書の交付と緑ナンバーの登録、運輸開始の届出が続きます。

Q28. 97単位は何円になりますか。

級地の指定がない「その他」の地域では970円です。厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年3月23日厚生労働省告示第93号)が1単位を10円に地域ごとの割合を乗じた額とし、「その他」は千分の千なので1単位10円になります。

1級地は千分の千百四十で1単位11.40円なので、同じ97単位が1,105円です。この金額は告示の単価から本記事が計算したもので、利用者の自己負担割合がかかる前の額です。運賃は含まれません。

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