内職副業【2026年】手帳の交付は委託者の義務です

副業
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営業職として10年間活動、某営業会社で2000人中2位、プライム上場企業にて年間TOPセールスなどを経て、サービス開発をするためにPDMにジョブチェン、現在進行形でPM/PDMをしています。上場企業の昇進レースに見切りをつけ、副業として業務委託でPM/PDM/PMOを複数案件並列で兼務、副業が年収1,000 万を突破したので、ナレッジを「会社の外で稼ぐ PM スキルの循環」をテーマに、テンプレ・講座・コミュニティで同世代の跳躍を支援しています。

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内職を探して最初に当たるのは、単価と口コミです。ところが内職には、1970年からある家内労働法という専用の法律があり、仕事を持ちかけてくる側を縛る法律も別にあります。複数の法律が効く時期を分けてかかり、どちらが厳しいかは論点ごとに入れ替わります。

ユイカ(副業初心者)
内職を探してるんですけど…「登録料を払えば仕事を回します」って言われて、正直こわくて止まってます…

リンク(運営者)
その警戒、正しいです。先にお金を払わせる形は、厚生労働省が「インチキ内職」と呼んで事例まで出している型です。

ユイカ(副業初心者)
えっ、国が名前をつけてるんですか!?

リンク(運営者)
はい。しかも内職には専用の法律が1本あって、相手側の義務がかなり細かく書いてあります。この記事でその中身を全部見ていきますね。

この記事でわかること

  • 仕事を出す側(委託者)には家内労働手帳を交付する義務があり、渡さないと罰金の対象になること(家内労働法第3条第1項・第35条第1号)
  • 報酬(工賃)は物品を受け取った日から1か月以内に払わなければならないこと(法第6条第2項)
  • 最低工賃が時間ではなく個数や長さで決まること(法第13条第2項)
  • 東京都の最低工賃に1円未満の単位が使われていること(1か所94銭・1端子83銭)
  • 罰金の上限が2万円から3億円まで、法律によって並んでいること
  • フリーランス新法と取適法も同時にかかり、支払期限は家内労働法の1か月がいちばん短いこと
  • 打切りの予告はフリーランス新法のほうが強く、30日前までの義務であること
  • 2026年1月1日に施行された取適法が、受領拒否・返品・買いたたきを禁止行為として並べていること
  • けがをしたときの届出はあるのに、労災の給付は原則として無いこと
  • 「インチキ内職」に効くのは家内労働法ではなく特定商取引法であること
  • 業務提供誘引販売取引のクーリング・オフが8日ではなく20日であること(特定商取引法第58条第1項)
  • 工賃収入の月額平均が37,641円、時間当たり平均が522円であること(令和5年の調査)
  • 仕事を探す窓口が区市町村と都道府県に置かれていること
  • 扶養から外れるかどうかを健康保険の130万円で見ること

ここから先は、調べ方と埋まらなかった論点を先に開示します。制度の中身は目次のあとから始まります。

この記事の調べ方(編集方針)

調べた範囲は上のとおりです。そのうえで、確認できなかったことを先に書きます。

本記事の調査で埋まらなかった論点

当たった資料は9本の法令と1本の公正取引委員会規則(e-Gov法令検索の現行条文)、厚生労働省「家内労働について」およびその配下のページ、都道府県労働局の最低工賃のページ、国税庁タックスアンサーNo.1810、東京都産業労働局「あなたと家内労働法」、日本年金機構の被扶養者認定のページ、消費者庁の執行事例の検索、労働政策研究・研修機構が整理した令和5年調査の結果です。そのうえで、次の点は確認できませんでした。

  • 令和7年時点の工賃収入。工賃額を調査しているのは3年周期の家内労働等実態調査で、最新は令和5年調査です。本記事が使っている月額37,641円・時間当たり522円は令和5年の数値で、令和7年の数値は公表されていません。
  • 最低工賃が実際にどの程度守られているか。監督の結果を業種別に示した資料を確認できませんでした。
  • 健康保険の被扶養者認定で、事業所得の必要経費をどこまで控除できるか。保険者ごとの運用で、統一された公表基準を確認できませんでした。加入している健康保険の保険者に確認してください。
  • 家内労働者が雇用保険の被保険者にならないことを明文で示した公表資料。家内労働法第2条第6項が「労働者」と「家内労働者」を別概念としていることからは読めますが、断定しません。
  • 最低工賃の総件数。都道府県別最低工賃決定状況一覧は公表されていますが、合計欄がなく、本記事では件数の合計を書きません。
  • いわゆるインチキ内職の被害件数。内職を切り出した相談件数の公表値を確認できませんでした。
  • 家内労働手帳の交付率。交付されていない例がどの程度あるかを示す統計を確認できませんでした。
  • 在宅のデータ入力やライティングが家内労働法の「物品の製造又は加工等」に当たらないという解釈を、明文で示した通達。条文の文言からは物品が前提と読めますが、当てはめの線を明示した公表資料は確認できませんでした。
  • 内職の材料や仕掛品が壊れたときの責任の分配。厚生労働省と東京都の資料に記載を確認できませんでした。

元手をかけずに始める副業としては、アンケートモニターの副業とポイントサイトの副業も別にまとめてあります。内職がこの2つと違うのは、専用の法律があって、相手側に義務が書いてある点です。この記事は、その義務の中身に絞ります。

目次

  1. 結論:内職には4本の法律がかかっています
  2. 内職とは物品の製造・加工をする仕事です
  3. 在宅ワークとの境目は「物」があるかどうかです
  4. 家内労働者は85,177人で、9割が女性です
  5. 家内労働手帳を渡すのは委託者の義務です
  6. 手帳は伝票式で、3つの場面に書かれます
  7. 手帳を渡さないのは法律違反です
  8. 手帳は2年、委託者の帳簿は5年です
  9. 工賃は受け取ってから1か月以内です
  10. 振込にするには同意が要ります
  11. 最低工賃は個数と長さで決まります
  12. 東京都の最低工賃は1円未満の単位です
  13. 島根県の最低工賃は20年以上動いていません
  14. 最低賃金との均衡は決めたときの話です
  15. 最低工賃に反する契約は無効になります
  16. 罰金は2万円から3億円まで並びます
  17. 最低工賃が1件もない県があります
  18. フリーランス新法も同時にかかります
  19. 支払期限と打切り予告は、逆向きに効きます
  20. 相手が小さいと2つ消えます
  21. 取適法が受領拒否と買いたたきを禁じています
  22. けがの届出はありますが、給付はありません
  23. 労災の特別加入は6種類の作業だけです
  24. 安全の義務は委託者と本人の両方にあります
  25. 「インチキ内職」は仕事をもらう前の話です
  26. 業務提供誘引販売取引には書面が2枚あります
  27. クーリング・オフは20日です
  28. 根拠を出せない広告は誇大広告とみなされます
  29. 相談先は払った話・もらう話・取引で分かれます
  30. 申告しても工賃は下げられません
  31. 税金では「家内労働者等」という別の言葉になります
  32. 手取りを計算します
  33. 仕事は区市町村と都道府県の窓口で探せます
  34. 扶養から外れるかどうかは130万円で見ます
  35. 内職を始める前に確認する7つのこと
  36. よくある質問
  37. まとめ:内職は権利が書いてある仕事です
目次

結論:内職には4本の法律がかかっています

内職に適用される4本の法律を、仕事をもらう前と後に分けて相手の義務と窓口で比較した図

内職を守る法律と、内職を持ちかける側を縛る法律は、別の法律です。数えると4本あります。

ひとつは家内労働法です。工賃の最低額、安全および衛生、家内労働手帳などをこの法律が定めています。効くのは仕事をもらったあとです。

もうひとつは特定商取引法の「業務提供誘引販売取引」です。仕事を紹介する条件として機械や教材を買わせる取引を縛ります。効くのは仕事をもらう前です。

境目は、お金がどちらに流れるかです。工賃が自分に入ってくる局面なら家内労働法、自分がお金を出す局面なら特定商取引法です。ここを間違えると、相談する窓口を間違えます。

局面 かかる法律 相手の義務の例 窓口
仕事を持ちかけられた 特定商取引法 概要書面の交付・誇大広告の禁止 消費生活センター
契約した直後 特定商取引法 契約書面の交付・20日のクーリング・オフ 消費生活センター
仕事を受けた 家内労働法 家内労働手帳の交付 労働基準監督署
納品した 家内労働法 1か月以内の工賃支払 労働基準監督署
単価が低すぎる 家内労働法 最低工賃額以上の支払 労働基準監督署
打ち切られた フリーランス新法 30日前までの予告 都道府県労働局
受領を拒まれた・買いたたかれた 取適法 受領拒否・返品・減額・買いたたきの禁止 公正取引委員会・中小企業庁

この2本に、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)と、2026年1月1日に施行された取適法が重なります。厚生労働省は家内労働法とフリーランス新法の適用関係について(令和7年2月27日付け雇均発0227第3号)で、両法が同時に適用される整理を示しています。

重なる法律が増えると、論点ごとに効く条文が入れ替わります。

今まさに「機械を買えば仕事を回す」と言われている方は、クーリング・オフの20日を先に読んでください。日数が進みます。

内職とは物品の製造・加工をする仕事です

家内労働法が想定している内職は、物を作る仕事に限られます。

法第2条第2項が「家内労働者」を定義しています。原文を引きます。

> この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。

> (家内労働法第2条第2項)

長い条文ですが、要素は4つです。相手がメーカーや問屋などであること。主として労働の対償を得るためであること。物品について委託を受けていること。同居の親族以外を使わないことが常態であること。

4つめの要件は、家族に手伝ってもらっても外れません。「補助者」の定義は法第2条第4項にあります。家内労働者の同居の親族であって、当該家内労働者の従事する業務を補助する者です。同居の親族は「使用する者」に数えず、補助者として別に扱う建て方です。

「加工等」の中身も条文に書いてあります。法第2条第1項第1号が挙げているのは、加工、改造、修理、浄洗、選別、包装、解体です。包装が入っている点が効きます。袋詰めやシール貼りは、この「包装」に届きます。

厚生労働省の説明も同じ向きです。自宅を作業場として、委託者から部品や原材料の提供を受け、一人または同居の親族とともに物品の製造や加工などを行う人です。その労働に対して工賃を受け取る人が家内労働者です。

在宅ワークとの境目は「物」があるかどうかです

同じ在宅の仕事でも、家内労働法がかかるものとかからないものがあります。

条文が求めているのは「物品の製造又は加工等」です。手元に物が来て、手を加えて、返します。この往復が前提になります。

在宅のデータ入力、文字起こし、ライティング、デザインは、物が往復しません。条文の文言からは、家内労働法の家内労働者には当たらないと読めます。当てはめの線を明示した公表資料は確認できませんでしたので、断定はしません。

仕事 物の往復 家内労働法
部品の組立て あり かかると読める
シール貼り・袋詰め あり(包装) かかると読める
縫製・まつり縫い あり かかると読める
造花・アクセサリー組立て あり かかると読める
データ入力 なし かからないと読める
文字起こし・ライティング なし かからないと読める
商品モニター・アンケート なし かからないと読める

この線引きは、あとで出てくる税金の話とずれます。税法の「家内労働者等」はもっと広く、データ入力も入り得ます。同じ言葉が2つの法律で違う範囲を指しているので、そこは分けて読んでください。

家内労働者は85,177人で、9割が女性です

規模を先に置きます。内職は縮んだ制度ですが、消えていません。

厚生労働省は令和7年(2025年)10月1日現在の数値として、家内労働者数85,177人(男性9,472人、女性75,705人)、委託者数6,249者を公表しました。

女性の割合は88.9パーセントです。委託者1者あたりの家内労働者は13.6人。数字を並べて気づいたのは、委託者の数が家内労働者の数に比べてかなり少ないことです。一人の委託者が十数人に仕事を出している構造で、だから委託者側に義務を置く設計になります。

項目 人数・者数 割合
家内労働者(計) 85,177人 100%
うち女性 75,705人 88.9%
うち男性 9,472人 11.1%
委託者 6,249者 —

担い手の像は、3年周期の家内労働等実態調査のほうに出ています。人数を毎年数えるのが概況調査、工賃額まで調べるのが3年周期の実態調査で、別の調査です。以下は令和5年(2023年)の実態調査の数値です。

項目 値
工賃収入の月額平均 37,641円
月額の最多層 2〜4万円未満(29.7%)
時間当たり工賃の平均 522円
時間当たりの最多層 200〜400円未満(28.3%)
1か月の就業日数(平均) 17.5日
1日の就業時間(平均) 4.8時間
平均年齢 60.1歳
70歳以上の割合 31.7%
業種1位 繊維工業 21,204人(令和5年の94,262人に対して22.5%)
業種2位 電気機械器具製造業 12,139人(同12.9%)

平均年齢は60.1歳で、70歳以上が31.7パーセントです。内職はいま、主に高齢の女性が担っている仕事です。時間当たり522円という数字は、地域別最低賃金を大きく下回ります。

規模は縮んでいます。令和5年度の概況調査では2023年10月1日時点で家内労働者94,262人・補助者3,773人でしたから、令和7年10月1日の85,177人まで2年で1万人近く減りました。委託者側も、令和5年調査で41.5パーセントが仕事量が減ったと答えています。

行政は担い手を2つに分けています。東京都の冊子によると、専業的家内労働者は「家内労働が世帯の本業であり、一人で又は家族と一緒に仕事をし、その収入で生計を立てている人」です。

内職的家内労働者は「主たる生計維持者以外の家族(例えば、主婦(夫)など)で、世帯の本業とは別に、家計の補助などのため家事の合間に家内労働を行う人」です。どちらに当たるかで、扶養や社会保険の論点が変わります。

ここから先は、委託者に何が義務づけられているかを順に見ます。

家内労働手帳を渡すのは委託者の義務です

家内労働手帳の交付から工賃支払までの記入タイミングを4段階で示したフロー図

内職を始めるときに受け取るべき書類があります。家内労働手帳です。

条文を出します。法第3条第1項です。

> 委託者は、委託をするにあたつては、家内労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、家内労働手帳を交付しなければならない。

> (家内労働法第3条第1項)

「交付しなければならない」です。努力義務ではありません。受け取る側が求めるまでもなく、渡す義務が相手にあります。

期限も決まっています。施行規則第1条第1項が定めています。

> 委託者は、委託をするにあたつては、家内労働者に対し、委託に係る物品を提供するときまでに家内労働手帳を交付しなければならない。

> (家内労働法施行規則第1条第1項)

期限は物品を渡すときまでです。つまり材料を受け取る時点で手帳が手元にあるのが正しい順番です。材料だけ先に来て手帳が来ないなら、その時点で順番が崩れています。

手帳は伝票式で、3つの場面に書かれます

手帳は最初に1回書いて終わりではありません。書く場面が3つあります。

法第3条第2項が定める3場面は、委託をするつど、物品を受領するつど、工賃を支払うつどです。厚生労働省も、委託・物品の受領・工賃支払のつど交付する伝票式の様式が定められていると説明しています。伝票式家内労働手帳のモデル様式が公開されています。

施行規則第1条第2項が、各場面で書く事項を具体化しています。

場面 手帳に書かれる事項
委託をするつど 年月日、納入させる物品の数量、納品の時期、委託した業務の内容、工賃の単価、工賃の支払期日
物品を受領するつど 年月日、受領した物品の数量
工賃を支払うつど 年月日、支払った工賃の額、通貨以外で支払った場合はその方法

契約のはじめに一度だけ書く事項も別にあります。施行規則第1条第3項が挙げているのは5つです。

  • 家内労働者の氏名・性別・生年月日(補助者がいればその分も)
  • 委託者の氏名、営業所の名称と所在地(代理人を置く場合はその氏名と住所)
  • 工賃の支払場所、工賃締切日の定め、通貨以外で支払う場合の方法
  • 物品の受渡し場所
  • 不良品の取扱いに関する定めをする場合にはその定め

最後の1項目を条文で見つけて、手が止まりました。不良品をどう扱うかは、内職でもっとも揉める論点です。それが手帳の記載事項として条文に並んでいます。買い上げを拒否されたときに、最初の取り決めを確かめられる場所が用意されている設計です。

不良品が出たときの扱いには、行政の運用が公表されています。東京都の冊子には、不良品があって工賃を減額する場合でも、一度全額支払ってから改めてその額を請求するということになると書かれています。先に引いて渡すのではなく、全額を払ったうえで請求する順番です。

家内労働法第6条第1項の「通貨でその全額を」と第2項の「検査をするかどうかを問わず」を当てはめると、この順番になります。

手帳そのものに費用はかかりません。同じ冊子には、課税のための文書ではないので印紙をはる必要もないと書かれています。

機械や材料を委託者から買わせる場合も書かれます。施行規則第1条第5項が、品名、数量、引渡しの期日、代金の額、決済の期日と方法を手帳に記入させています。

手帳をもらっていない方は、渡さない場合の扱いだけ先に確認してください。

ユイカ(副業初心者)
手帳って、こっちからお願いするものだと思ってました…

リンク(運営者)
逆です。渡すのは委託者の義務で、渡さないと罰金の対象になります。材料を受け取る前に出てこなければ、そこで判断できます。

手帳を渡さないのは法律違反です

手帳の不交付には罰則が付いています。

法第35条第1号は、法第3条第1項に違反した者を2万円以下の罰金としています。第2号は、第3条第2項の記入をせず、または虚偽の記入をした者も同じく2万円以下の罰金としています。

金額は小さいですが、意味は小さくありません。手帳を渡さない相手は、内職の世界でいちばん基本的な義務を守っていない相手です。単価や納期の話をする前に、ここで相手を選別できます。

法人が違反した場合は行為者だけで終わりません。法第36条が両罰規定を置いていて、法人にも罰金刑が科されます。

判別の手順は3つです。

  1. 材料を受け取る前に「家内労働手帳をください」と言う
  2. 「そういうものは無い」と言われたら、家内労働法第3条の名前を出す
  3. それでも出てこなければ、最寄りの労働基準監督署に事実を伝える

3番目の根拠は法第32条第1項です。委託者に法違反の事実がある場合、家内労働者は都道府県労働局長、労働基準監督署長または労働基準監督官に申告できます。

手帳は2年、委託者の帳簿は5年です

家内労働手帳と委託者の帳簿について、持つ人と保存期間と根拠条文を2列で比較した図

手帳と帳簿は別物で、保存期間も違います。

施行規則第1条第7項は、家内労働者に、委託者が最後の記入をした日から2年間の保存を義務づけています。

一方、委託者側には帳簿の備付け義務があります。法第27条が根拠で、記載事項は施行規則第24条にあります。家内労働者ごとに、氏名、性別、生年月日、住所、作業場の所在地を書きます。さらに委託のつどの年月日・数量・工賃単価・支払期日、受領のつどの年月日と数量、支払のつどの年月日と額も残します。

保存期間は施行規則第24条第2項で5年です。厚生労働省の説明によると、令和2年4月1日施行の省令改正で3年から5年に延びました。適用されるのは、令和2年4月1日以後に締結される委託契約に係る帳簿です。

書類 持つ人 保存期間 根拠
家内労働手帳 家内労働者 最後の記入から2年 施行規則第1条第7項
帳簿 委託者 最後の記入から5年 施行規則第24条第2項

差は3年です。手元の手帳が保存期間を過ぎたあとも、相手側の帳簿はさらに3年残ります。工賃の計算が合わないと後から気づいたとき、照合できる相手の記録はまだ生きています。ただし自分の手帳が無いと突き合わせが難しくなるので、2年で捨てる必要はありません。

「当分の間3年」のような経過措置は付いていません。施行規則の附則(令和2年4月1日)が定めているのは、施行日前に締結した委託契約に係る帳簿について従前の例によるという1点だけです。令和2年4月1日以後の契約なら5年です。

書式は固定ではありません。施行規則第30条が、様式第1号の手帳と様式第4号の帳簿について、異なる様式を用いて作成できると定めています。

工賃は受け取ってから1か月以内です

工賃の支払期限は法律で決まっています。納品してから1か月です。

該当箇所はここです。法第6条第2項を読みます。

> 工賃は、厚生労働省令で定める場合を除き、委託者が家内労働者の製造又は加工等に係る物品についての検査(以下「検査」という。)をするかどうかを問わず、委託者が家内労働者から当該物品を受領した日から起算して一月以内に支払わなければならない。ただし、毎月一定期日を工賃締切日として定める場合は、この限りでない。この場合においては、委託者が検査をするかどうかを問わず、当該工賃締切日までに受領した当該物品に係る工賃を、その日から一月以内に支払わなければならない。

> (家内労働法第6条第2項)

条文に「検査をするかどうかを問わず」が2回出てきます。検品が終わっていないという理由で支払を先に延ばせません。これが入っている条文はそう多くありません。

起算点は2種類です。締切日の定めがなければ、物品を受領した日から1か月です。毎月一定期日を工賃締切日と定めているなら、その締切日から1か月です。

法第6条第1項は、通貨でその全額を支払うことも求めています。第35条第1号は、第6条違反を2万円以下の罰金の対象に含めています。

振込にするには同意が要ります

口座振込は当然ではありません。原則は現金です。

工賃の支払方法には例外があります。施行規則第3条です。委託者が家内労働者の同意を得た場合に、郵便貯金銀行の為替証書の交付、または銀行その他の金融機関に対する預金・貯金への振込みができます。

順番は、同意が先で振込が後です。振込手数料を工賃から引く扱いについては、家内労働法に規定がありません。フリーランス新法の側の論点になります。振込手数料を引けるかどうかの整理を別にまとめてあります。

工賃の受渡し場所についても条文があります。法第7条は、家内労働者から申出があった場合その他特別の事情がある場合を除き、工賃の支払と物品の受渡しを家内労働者が業務に従事する場所で行うよう努めることを求めています。努力義務です。

最低工賃は個数と長さで決まります

最低賃金と最低工賃を、単位と改定の頻度と罰金額で2列比較した図

内職には最低工賃という制度があります。時給ではありません。

最低工賃を決める権限は、法第8条第1項により厚生労働大臣または都道府県労働局長にあります。決まると法第14条が効きます。

> 委託者は、最低工賃の適用を受ける家内労働者に対し、その最低工賃額以上の工賃を支払わなければならない。

> (家内労働法第14条)

単位のほうが重要です。法第13条第2項の原文を引きます。

> 最低工賃額は、家内労働者の製造又は加工等に係る物品の一定の単位によつて定めるものとする。

> (家内労働法第13条第2項)

物品の一定の単位。時間あたりの下限が存在しない制度設計です。1個いくら、1枚いくら、1か所いくら、1端子いくらで決まります。

省令の条文を並べて数えていて、設計として気になったのはここです。最低賃金は1時間あたりで決まるので、遅い人でも時給は守られます。最低工賃は個数で決まるので、手が遅い人の時間あたりの手取りは下限を割ります。制度が保証しているのは単価だけです。

最低工賃は地域別・業務別に定められます。全国一律ではありません。

東京都の最低工賃は1円未満の単位です

実際の額を見ると、単価の桁が見えてきます。

東京都電気機械器具製造業最低工賃は、令和4年(2022年)12月24日から効力が生じています。東京労働局が公表している額を引きます。

作業 規格 単位 最低工賃額
電気部品の足の曲げ リード線2本 1個 1円30銭
プリント基板の部品の差し — 1個 1円35銭
部品の差し、折り曲げ及び切り — 1個 2円60銭
部品の差し、折り曲げ、切り及び手はんだ — 1個 6円25銭
ICの差し 足28本以下 1個 2円65銭
ICの差し 足30本以上 1個 3円38銭
マスキング テープ幅6mm以下・長さ30〜70mm 1か所 94銭
コネクター差し — 1端子 83銭
シールド線の端末加工 1しん・15cm以上 1か所 5円03銭
シールド線のチューブ挿入 15cm以上 1本 2円86銭
スライドスイッチ端子差し 単独または2以上連結 1差し 1円09銭

マスキングは1か所94銭、コネクター差しは1端子83銭です。1円に届かない単位が、現に効力を持っている最低工賃として書いてあります。この数字を最初に見たとき、桁を読み間違えたと思って原資料を開き直しました。

逆算すると輪郭が出ます。マスキングを1時間に300か所こなすと、94銭×300で282円になります。1,000か所で940円です。作業内容によっては1時間に何百回も手を動かす前提になります。

作業 単価 1時間300回 1時間600回 1時間1,000回
マスキング 94銭 282円 564円 940円
コネクター差し 83銭 249円 498円 830円
足の曲げ 1円30銭 390円 780円 1,300円
部品の差し 1円35銭 405円 810円 1,350円

この表の回数は本記事が置いた仮定です。実際の作業速度を示した公的資料は確認できませんでした。単価から時間あたりを出すには、自分の速度を数えるしかありません。

島根県の最低工賃は20年以上動いていません

東京都と島根県の電気機械器具製造業の最低工賃を、効力発生日と単価で2列比較した図

最低工賃には、決まったあと長く改定されていないものがあります。

島根労働局が公表している3件の効力発生日を見てください。島根県外衣・シャツ製造業最低工賃は平成15年(2003年)6月25日からです。島根県電気機械器具製造業最低工賃は平成15年7月6日からです。島根県和服裁縫業最低工賃は平成16年(2004年)7月4日からです。

2026年の時点で、効力発生から22年以上たっている額が現に適用されています。東京都の電気機械器具製造業は令和4年12月24日から約3年9か月、島根県は平成15年7月6日から約23年です。

額そのものも引きます。島根県外衣・シャツ製造業最低工賃の一部です。

品目 工程 単位 最低工賃額
男子用背広上衣 そで付け裏まつり 1枚 114円
男子用背広上衣 背裏鎖止め 1枚 15円
男子用背広上衣 ベント止め 1か所 4円
男子用長ズボン ボタン付け 1個 8円
婦人用ブラウス等 まつり 長さ3cm 5円
カッターシャツ マーク付け 1枚 4円

「長さ3cmにつき5円」という単位に目が留まりました。個数ですらなく、長さです。法第13条第2項の「物品の一定の単位」は、ここまで細かく置けます。

同じ島根県の電気機械器具製造業では、電気部品の足カット(リード線2本)が10個につき3円60銭です。1個あたり36銭です。東京都の足の曲げが1個1円30銭ですから、単純に比べると同種の作業で3倍以上の地域差があります。

作業の定義と規格が完全に同一ではないので、額をそのまま比較する扱いには注意が必要です。

和服裁縫業のほうは桁が変わります。留めそで(絹・比翼あわせ)が26,100円、振りそで(あわせ)が23,000円、訪問着が20,300円です。喪服が15,000円、ゆかた(もめん・ひとえ)が5,900円、名古屋帯のかがりが3,800円です。

1枚仕上げていくらの世界で、技能の要る仕事は単価が別の桁になります。

最低賃金との均衡は決めたときの話です

最低工賃と最低賃金は、条文の上ではつながっています。ただし連動はしていません。

法第13条第1項を読みます。

> 最低工賃は、当該最低工賃に係る一定の地域と同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金(中略)との均衡を考慮して定められなければならない。

> (家内労働法第13条第1項)

「定められなければならない」です。均衡を考えるのは決めるときで、決めたあとに最低賃金が上がっても最低工賃は自動で上がりません。

地域別最低賃金は毎年改定されます。最低工賃は法第10条で改正または廃止の決定ができるだけで、改定の周期は条文に書かれていません。島根県の3件が平成15年から16年の効力発生のまま残っているのは、この設計の帰結です。

厚生労働省は第15次最低工賃新設・改正計画(令和7年4月〜令和10年3月)を公表しました。期間は2025年4月から2028年3月までです。計画で順番に見直す仕組みで、毎年全件が動く仕組みではありません。

決定や改正の手続には、意見を言う場も用意されています。家内労働者または委託者の全部または一部を代表する者は、最低工賃の決定・改正・廃止の決定を申し出られます(法第11条第2項)。異議の申出もできます。期限は、審議会の意見が公示された日の翌日から起算して15日以内です(法第9条第2項)。

最低工賃に反する契約は無効になります

単価が最低工賃を下回る取り決めをしても、その取り決めは効きません。

条文はこうなっています。

> 第六条又は第十四条の規定に違反する工賃の支払を定める委託に関する契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、これらの規定に定める基準による。

> (家内労働法第16条)

無効になるだけではありません。無効になった部分は法律の基準に置き換わります。1個50銭で合意していても、最低工賃が1個1円30銭なら1円30銭で計算します。

支払期限も同じ扱いです。第6条が並んでいるので、「納品から3か月後に支払う」という取り決めも無効になり、1か月以内に置き換わります。

構造は最低賃金法と同じです。最低賃金法第4条第2項も、最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約はその部分について無効とし、無効となった部分は最低賃金と同様の定めをしたものとみなすと定めています。契約書にサインしていても、下限は下がりません。

罰金は2万円から3億円まで並びます

同じ構造の違反に、違う金額の罰則が付いています。

最低賃金法第40条は、第4条第1項違反(地域別最低賃金および船員に適用される特定最低賃金に係るもの)を50万円以下の罰金としています。

家内労働法第34条は、第14条違反を2万円以下の罰金としています。

違反 根拠 罰金の上限
地域別最低賃金を下回る賃金 最低賃金法第40条 50万円以下
最低工賃を下回る工賃 家内労働法第34条 2万円以下
家内労働手帳の不交付 家内労働法第35条第1号 2万円以下
工賃の支払期限違反 家内労働法第35条第1号 2万円以下
委託状況届の不提出・虚偽 家内労働法第35条第4号 2万円以下
帳簿の不備付け・虚偽記入 家内労働法第35条第5号 2万円以下
委託禁止命令への違反 家内労働法第33条 6月以下の拘禁刑または2万円以下の罰金

25倍の差です。家内労働法の罰金額は2万円以下に揃っていて、拘禁刑が入るのは第18条の委託禁止命令に違反した場合だけです。

内職をめぐる4本の法律を横に並べると、上限の幅がさらに開きます。

法律 違反の例 罰金の上限 根拠
家内労働法 手帳の不交付・工賃の支払遅延・最低工賃割れ 2万円以下 第34条・第35条
取適法 条件の明示をしない・書類を保存しない 50万円以下 第14条
最低賃金法 地域別最低賃金を下回る賃金 50万円以下 第40条
特定商取引法 概要書面・契約書面を交付しない 100万円以下(6月以下の拘禁刑と併科可) 第71条第1号
特定商取引法 誇大広告・広告表示をしない 100万円以下 第72条第1項第1号・第6号
特定商取引法 不実告知・故意の事実不告知・威迫困惑 300万円以下(3年以下の拘禁刑と併科可) 第70条第1号
特定商取引法(法人) 上記の不実告知等 1億円以下 第74条第1項第2号
特定商取引法(法人) 業務停止命令に違反 3億円以下 第74条第1項第1号

2万円から3億円まで、上限が1万5千倍の幅で並んでいます。いちばん軽いのが、内職をする人を守るために作られた法律です。

法律を並べて気づいたのは、重さの順番が保護の順番と逆になっていることです。守る側の家内労働法が2万円で、勧誘を規制する特定商取引法が3億円です。1970年に決まった罰金額がそのまま残っている一方、消費者保護の側は繰り返し引き上げられてきました。

家内労働法を動かす力は罰則の外側にあります。第16条の契約無効と、第32条の申告です。金額を取り戻す話は罰則の外側で進みます。

単価が低すぎると感じている方は、申告しても工賃を下げられない仕組みを読んでください。

最低工賃が1件もない県があります

最低工賃は全国どこでも使える制度ではありません。

厚生労働省は都道府県別最低工賃決定状況一覧を公表しています。令和8年(2026年)4月22日現在の資料で、都道府県ごとに、業種別の最低工賃が何件決まっているかが載っています。決定件数が0の県もあります。

業種名は地場産業に沿っています。和服裁縫業、既製服製造業、電気機械器具製造業、横編ニット製造業、革靴製造業、紙加工品製造業、眼鏡製造業、陶磁器上絵付業、車両電気配線装置製造業、毛筆・画筆製造業、タオル製造業などが並びます。土地の産業がそのまま業種名になります。

つまり自分の内職に最低工賃があるかどうかは、住んでいる都道府県と作業の業種の組み合わせで決まります。両方が一致しなければ、最低工賃という下限は存在しません。その場合に残る保護は、手帳の交付、1か月以内の支払、安全衛生、申告権です。

確認の手順は1つです。都道府県労働局の賃金課、または最寄りの労働基準監督署に、業種名を言って最低工賃の有無を聞きます。

フリーランス新法も同時にかかります

内職にかかる法律は家内労働法だけではありません。2024年11月に施行された法律が重なります。

フリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)です。厚生労働省は令和7年2月27日付けの通知で、家内労働法とこの法律が同時に適用される整理を示しています。どちらかが優先する関係ではありません。

対象になるかどうかは法第2条で決まります。「特定受託事業者」は、個人であって従業員を使用しないものです。家内労働者は同居の親族以外を使わないことが常態なので、ここに入ります。

「業務委託」の定義にも物品の製造と加工が入ります。法第2条第3項第1号が、物品の製造(加工を含む)または情報成果物の作成の委託を挙げています。内職はこの号に当たります。

条件の明示も義務です。法第3条第1項は、業務委託をした場合は直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を書面または電磁的方法で明示することを義務づけています。厚生労働省は、この義務が家内労働手帳への記入によって同時に満たされる関係にあることを示しています。

副業とフリーランス新法では、この法律の全体像を別に整理しています。ここでは支払期限、条件の明示、打切りの予告の3点に絞ります。

支払期限と打切り予告は、逆向きに効きます

家内労働法とフリーランス新法を、支払期限・条件の明示・打切り予告・解除理由の開示・委託者の規模の5論点で比較した図

同じ論点を、複数の法律が違う数字で持っています。

フリーランス新法第4条第1項を並べます。

> 特定業務委託事業者が特定受託事業者に対し業務委託をした場合における報酬の支払期日は、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、当該特定業務委託事業者が特定受託事業者の給付を受領した日(中略)から起算して六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。

> (特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律第4条第1項)

60日です。家内労働法第6条第2項は1か月です。短いほうが実際に効く期限になります。

同じ条文に「検査をするかどうかを問わず」が入っているのも共通です。2本の法律が独立に、検品を理由にした支払延期を封じています。

期限を決めなかった場合の扱いは新法のほうが具体的です。第4条第2項は、支払期日が定められなかったときは給付を受領した日が支払期日と定められたものとみなすとしています。60日と定めずに違反した場合は、受領日から60日を経過する日が支払期日とみなされます。

論点 家内労働法 フリーランス新法 実際に効くほう
支払期限 受領日から1か月以内(第6条第2項) 受領日から60日以内(第4条第1項) 家内労働法
条件の明示 物品を提供するときまでに手帳を交付(施行規則第1条第1項) 業務委託をしたら直ちに書面等で明示(第3条第1項) 家内労働法
打切りの予告 6月超の継続なら遅滞なく予告する努力義務(第5条) 少なくとも30日前までに予告する義務(第16条第1項) フリーランス新法
解除理由の開示 規定なし 請求があれば遅滞なく開示(第16条第2項) フリーランス新法

どちらが厳しいかは論点ごとに入れ替わります。2本の法律を重ねてできる保護の輪郭は、どちらか一方の法律の形にはなりません。

打切りの予告については向きが逆になります。家内労働法第5条を先に引きます。

> 六月をこえて継続的に同一の家内労働者に委託をしている委託者は、当該家内労働者に引き続いて継続的に委託をすることを打ち切ろうとするときは、遅滞なく、その旨を当該家内労働者に予告するように努めなければならない。

> (家内労働法第5条)

「努めなければならない」です。努力義務で、日数の指定もありません。

フリーランス新法第16条第1項は違います。継続的業務委託に係る契約の解除をしようとする場合、少なくとも30日前までに予告しなければならないと定めています。契約期間の満了後に更新しない場合も含まれます。

さらに第16条第2項が、予告された日から契約が満了する日までの間に解除理由の開示を請求された場合、遅滞なく開示することを義務づけています。理由を聞ける権利が条文に書いてあります。

災害その他やむを得ない事由により予告が困難な場合など、厚生労働省令で定める場合は例外です。

相手が小さいと2つ消えます

新法の60日と30日予告は、すべての委託者にかかるわけではありません。

フリーランス新法第4条と第16条の主体は「特定業務委託事業者」です。法第2条第6項が定義しています。個人であって従業員を使用するもの、または法人であって2以上の役員があるか従業員を使用するもの。

裏返すと、従業員を使っていない個人事業主が委託者の場合、60日の支払期限と30日前の予告義務はかかりません。条件の明示(第3条)は業務委託事業者全員にかかるので、そこは残ります。

家内労働法のほうは、委託者の規模で切れません。法第2条第3項の「委託者」は、物品の製造・加工等・販売・請負を業とする者であって家内労働者に委託をするものです。従業員の有無は要件に入っていません。

委託者 家内労働法の1か月 新法の60日 新法の30日予告
従業員を使う法人 かかる かかる かかる
2以上の役員がいる法人 かかる かかる かかる
従業員を使う個人事業主 かかる かかる かかる
従業員のいない個人事業主 かかる かからない かからない

小さな相手と取引するほど、家内労働法だけが残る形になります。地元の小さな工房から仕事を受けている人にとっては、家内労働法が唯一の後ろ盾です。

取適法が受領拒否と買いたたきを禁じています

取適法の適用対象になる委託者の資本金区分と、対象外になる委託者を丸印と罰点で分けたチェックリスト図

2026年1月1日から、4本目の法律がかかっています。

正式な名前は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。昭和31年法律第120号で、長く下請代金支払遅延等防止法(下請法)と呼ばれていたものが、2026年1月1日施行の改正で名前と中身を変えました。略称は取適法です。

内職が対象に入る理由は2つあります。ひとつは「製造委託」の定義で、法第2条第1項が、販売または請負製造の目的物たる物品や、その半製品・部品・附属品・原材料の製造(加工を含む)を他の事業者に委託することを挙げています。もうひとつは適用の区分です。

法第2条第8項第2号が並べているのは、資本金1千万円を超え3億円以下の法人が、個人または資本金1千万円以下の法人に製造委託等をする場合です。第1号は資本金3億円超の法人が個人または資本金3億円以下の法人に委託する場合です。どちらも「個人」を名指ししています。

委託者(法人)の資本金 相手 取適法がかかるか
3億円超 個人・資本金3億円以下の法人 かかる(第2条第8項第1号)
1千万円超3億円以下 個人・資本金1千万円以下の法人 かかる(同項第2号)
1千万円以下 個人 かからない
個人事業主 個人 かからない

禁止行為が並んでいるのが、この法律の特徴です。法第5条第1項が7つ、第2項が4つ挙げています。

禁止行為 根拠 内職での場面
給付の受領を拒むこと 第5条第1項第1号 仕上げた品を受け取ってもらえない
支払期日を過ぎても支払わないこと 同項第2号 工賃の未払い
代金の額を減ずること 同項第3号 仕上がりを理由に一方的に減額される
受領後に引き取らせること 同項第4号 納品後の返品
著しく低い代金の額を不当に定めること 同項第5号 買いたたき
自己の指定する物を強制して購入させること 同項第6号 材料や機械の購入強制
知らせたことを理由に不利益な取扱いをすること 同項第7号 通報したら仕事を減らされる
原材料等の対価を早く控除・支払わせること 第5条第2項第1号 材料代を工賃より先に引かれる
経済上の利益を提供させること 同項第2号 協賛金の要求
給付をやり直させること 同項第3号 無償のやり直し
協議に応じず一方的に代金を決めること 同項第4号 値上げの相談に応じない

記事のここまでで「もっとも揉める」と書いた買い上げ拒否と減額が、名前を付けて並んでいます。家内労働法には、この列挙がありません。手帳の「不良品の取扱いに関する定め」で処理する形でした。

未払いには利息が付きます。法第6条第1項は、支払期日までに払わなかったとき、給付を受領した日から起算して60日を経過した日から支払日までについて遅延利息を求めています。率は令和7年公正取引委員会規則第9号で年14.6パーセントです。

この60日は、フリーランス新法の支払期限としての60日とは別の数字です。取適法の支払期日は当事者が定めた日で、60日は利息が付き始める線です。3本のうち最短の支払期限は、やはり家内労働法の1か月です。

条件の明示も義務です。法第4条第1項は、製造委託等をした場合は直ちに、給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法その他の事項を書面または電磁的方法で明示することを求めています。

罰則のかかり方には注意が必要です。法第14条の50万円以下の罰金は、第4条の明示義務と第7条の書類保存義務の違反に対するものです。第5条の禁止行為に罰金はありません。動かすのは法第10条の勧告で、公正取引委員会が受領、支払、引き取り、代金の引上げなどの措置を勧告します。

中小企業庁長官も法第9条により公正取引委員会に措置を求められます。

取適法は下請法の時代から、事業者間の取引全般にかかる法律です。この記事は内職に効く受領拒否・減額・買いたたきの3点に絞ります。事業者間取引の側の整理は事業者間取引の適正化の全体像にまとめてあります。

中小企業庁長官も法第9条により公正取引委員会に措置を求められます。

けがの届出はありますが、給付はありません

内職中のけがについては、届出の義務と補償の制度がずれています。

まず届出です。根拠は施行規則第23条第3項です。家内労働者または補助者が委託に係る業務に関し負傷し、または疾病にかかって4日以上休業した場合が対象です。死亡した場合も同じです。委託者は遅滞なく家内労働死傷病届を提出しなければなりません。

提出先は営業所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長です。

一方、家内労働者は労働基準法第9条の労働者ではありません。家内労働法第2条第6項が、この法律の「労働者」と「家内労働者」を別の概念として並べています。労災保険の当然適用はありません。

つまり届出はされるのに、給付は原則として出ません。この非対称は制度の穴ではなく、家内労働者が労働者ではないという前提から出てきます。届出は行政が災害の発生を把握するための仕組みで、本人に金銭を渡す仕組みではありません。

ここが会社員の副業と大きく違う点です。会社で雇われている側のけがは労災保険が拾います。副業の労災で別に整理しています。内職でけがをした場合、その枠組みには入りません。

機械を使う内職を検討している方は、特別加入の6種類を必ず確認してください。

労災の特別加入は6種類の作業だけです

家内労働者の労災特別加入の対象作業と対象外の作業を丸印と罰点で分けたチェックリスト図

抜け道は一応あります。ただし対象がきわめて狭いです。

労働者災害補償保険法施行規則第46条の18第3号が、家内労働者または補助者について特別加入できる作業を列挙しています。6つです。

  1. プレス機械、型付け機、型打ち機、シヤー、旋盤、ボール盤またはフライス盤を使用して行う金属・合成樹脂・皮・ゴム・布・紙の加工の作業
  2. 研削盤もしくはバフ盤を使用して行う研削もしくは研磨、または溶融した鉛を用いて行う金属の焼入れもしくは焼きもどしの作業であって、金属製洋食器・刃物・バルブ・コックの製造または加工に係るもの
  3. 有機溶剤または有機溶剤含有物を用いて行う作業であって、化学物質製・皮製・布製の履物、鞄、袋物、服装用ベルト、グラブ、ミット、または木製・合成樹脂製の漆器の製造または加工に係るもの
  4. 粉じん作業、または鉛化合物を含有する釉薬を用いて行う施釉もしくは鉛化合物を含有する絵具を用いて行う絵付けの作業もしくはその焼成の作業であって、陶磁器の製造に係るもの
  5. 動力により駆動される合糸機、ねん糸機または織機を使用して行う作業
  6. 木工機械を使用して行う作業であって、仏壇または木製もしくは竹製の食器の製造または加工に係るもの

条文を読んで気づいたのは、ここに並んでいるのが全部「機械と化学物質」だということです。シール貼り、袋詰め、部品の差し、まつり縫い、造花の組立ては1つも入っていません。手作業の内職は特別加入の対象外です。

厚生労働省は、特別加入できるのが年間を通じ常態としてこれらの作業に従事する家内労働者および補助者であるという説明です。単発では届きません。

手続の形も特殊です。厚生労働省が示している手順はこうです。特別加入の手続は個人では行えず、家内労働者で組織する団体で行います。団体がない場合には団体を作る必要があり、その団体が都道府県労働局長に加入申請して承認を受けます。保険料の納付義務者も団体です。

給付基礎日額は家内労働者の希望を聞いて都道府県労働局長が決めます。

一人では入れません。対象作業に当たる人でも、団体がない地域では実際に使えない制度になっています。

安全の義務は委託者と本人の両方にあります

家内労働法の安全衛生は、片側だけの義務ではありません。両側に書いてあります。

義務の置き場所は3項に分かれます。法第17条第1項が委託者側、第2項が家内労働者側、第3項が補助者側です。第35条第1号が第17条違反を2万円以下の罰金の対象としています。

委託者側の具体的な措置は施行規則にあります。第10条が安全装置の取付けです。木材加工用丸のこ盤には反ぱつ予防装置と歯の接触予防装置を付けます。手押しかんな盤には刃の接触予防装置、プレス機械とシヤーには検定を受けた安全装置を取り付けます。

第11条は規格具備の確認、第13条は覆い・囲い・スリーブの取付け、第14条は危害防止のための書面の交付、第15条は有害物の容器使用と表示です。

家内労働者側にも「しなければならない」の条文があります。保護具等の使用は施行規則第19条です。ガスや蒸気を発散する場所では防毒マスク、粉じんでは防じんマスク、強烈な騒音を発する業務では耳せんを使います。皮膚に障害を与える物品を扱う業務では塗布剤、不浸透性の作業衣または手袋です。

第14条第2項は、委託者から交付された書面を作業場の見やすい箇所に掲示しておくことを求めています。受け取って引き出しに入れるのではなく、貼るところまでが条文です。

就業制限もあります。施行規則第16条が業務を列挙しています。満18歳に満たない家内労働者・補助者について7種類、満18歳以上の女性について3種類です。委託者には、そうした委託をしないよう努めることが求められます。本人側にも従事しないよう努める規定が置かれています。いずれも努力義務です。

厚生労働省は家内労働あんぜんサイトを運営しています。接着剤の有機溶剤による中毒、ストーブによる火災、機械によるけがが、想定されている典型です。

ユイカ(副業初心者)
じゃあ登録料のトラブルも、労働基準監督署に行けばいいんですね?

リンク(運営者)
そこが落とし穴で、届かないんです。払わされた話は特定商取引法の領域なので消費生活センター。窓口が2つに分かれています。

「インチキ内職」は仕事をもらう前の話です

厚生労働省が自ら使っている言葉があります。「インチキ内職」です。

厚生労働省が挙げている事例は3つです。内職講習会と称して多額の受講料を取り、委託した仕事には種々の条件をつけて買いたたいたり、仕上り具合を問題にして買上げを拒否するもの。相当の工賃収入が得られると宣伝して高額の機械を市価の倍額ぐらいで売りつけ、工賃の取決めはあいまいなもの。

あて名書きの内職で、報酬を商品の申込数に応じた歩合制にしたり、返還する旨の担保金を徴収して業務をやめても返還しないもの。

さらに、パソコンやワープロを使って自宅で簡単にできる内職という広告で講習料を取るもの、機械を売りつけるものが現れていると注記されています。

構造は3つとも同じです。先に自分がお金を払い、仕事は後から来る約束になります。そして仕事は来ないか、来ても買い上げられません。

ここで大事なのは、この被害に家内労働法が届かないことです。家内労働法の義務は委託があってから動き出します。受講料や機械代を払う段階では、まだ委託が始まっていません。労働基準監督署に持ち込んでも、扱える条文がありません。

効くのは特定商取引法です。次の3つの節で、何が使えるかを見ます。

業務提供誘引販売取引には書面が2枚あります

内職を紹介する条件でお金を出させる取引には、専用の名前が付いています。

特定商取引法「業務提供誘引販売業」の定義は第51条第1項にあります。商品の販売または有償の役務提供の事業であることが前提です。そのうえで、その商品や役務を利用する業務に従事して得られる利益(業務提供利益)を収受し得ることをもって相手方を誘引し、特定負担を伴う取引をするものを指します。

「特定負担」の中身も条文にあります。商品の購入、役務の対価の支払、または取引料の提供です。第51条第2項は、取引料を、取引料・登録料・保証金その他いかなる名義をもってするかを問わず、取引に際して提供される金品と定めています。保証金と呼んでも担保金と呼んでも同じ扱いです。

守られる相手も限定されています。第55条が対象とするのは、提供またはあっせんされる業務を「事業所等によらないで行う個人」です。自宅でやる個人です。内職を探している人そのものです。

書面は2枚です。

書面 渡されるタイミング 根拠
概要書面(業務提供誘引販売業の概要を記載) 契約を締結するまでに 第55条第1項
契約書面(契約の内容を明らかにする書面) 契約を締結したあと遅滞なく 第55条第2項

契約書面の記載事項は第55条第2項が5つ挙げています。商品または役務の種類と内容、業務の提供またはあっせんについての条件、特定負担に関する事項、契約の解除に関する事項、その他主務省令で定める事項です。

オンライン家庭教師の副業で扱った「特定継続的役務提供」も書面が2枚ですが、別の章の別の取引類型です。クーリング・オフの日数も違います。

クーリング・オフは20日です

契約書面の受領から20日のクーリング・オフ期間と効果を4段階で示したフロー図

日数を間違えやすい場所です。8日ではありません。

特定商取引法第58条第1項が解除の期間を定めています。第55条第2項の書面を受領した日から起算して20日を経過したときを除き、業務提供誘引販売契約の相手方は、書面または電磁的記録により契約の解除を行えます。

起算点は契約書面を受領した日です。契約した日ではありません。書面が来ていなければ、20日は始まりません。

効果も条文に書いてあります。第58条第1項後段が、業務提供誘引販売業を行う者は契約の解除に伴う損害賠償または違約金の支払を請求できないと定めています。第58条第2項は、解除の通知を発した時に効力が生ずるとしています。発信主義です。

引き取り費用も相手の負担です。第58条第3項が、商品の引渡しが既にされているときの引取りに要する費用を、業務提供誘引販売業を行う者の負担としています。

第58条第4項が仕上げです。前3項の規定に反する特約で相手方に不利なものは無効です。契約書に「返品不可」と書いてあっても効きません。

期間が延びる場面もあります。第58条第1項のかっこ書きが起算のやり直しを定めています。事業者が解除に関する事項につき不実のことを告げたことで誤認した場合、または威迫して困惑させた場合が対象です。改めて解除ができる旨を記載して交付された書面の受領日から、20日を数え直します。

取消しの制度も別にあります。第58条の2第1項は、不実告知や故意の事実不告知によって誤認して申込みや承諾の意思表示をしたとき、それを取り消せると定めています。20日を過ぎていても、こちらは残ります。

制度 期間 起算点 根拠
クーリング・オフ 20日 契約書面の受領日 第58条第1項
不実告知等による取消し 追認できる時から1年等 誤認に気づいた時等 第58条の2

第58条の2第2項が第9条の3第2項から第5項までを準用しているため、取消権の行使期間はその準用先で決まります。個別の期間計算は消費生活センターで確認してください。

根拠を出せない広告は誇大広告とみなされます

広告の規制には、証明責任を動かす条文が入ります。

特定商取引法第54条が誇大広告等を禁止しています。特定負担、業務提供利益その他主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示や、実際のものより著しく優良・有利であると誤認させる表示をしてはなりません。

そのうえで第54条の2です。主務大臣が必要と認めるときは、表示をした事業者に期間を定めて裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められます。そして資料を提出しないときは、その表示は誇大広告に該当するものとみなされます。

「誰でも月10万円」と書いた業者は、その数字の根拠を出せなければ、それだけで違反扱いになり得ます。実際に稼げないことを行政が立証する必要がありません。

広告に書かなければならない事項も決まっています。第53条が、商品または役務の種類、特定負担に関する事項、業務の提供条件(業務について広告をするとき)、その他主務省令で定める事項を並べています。特定負担を書いていない広告は、それ自体が違反です。

勧誘の入口にも条文があります。第51条の2が明示すべき3点を並べています。氏名または名称、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘をする目的である旨、勧誘に係る商品または役務の種類の3つです。これを勧誘に先立って明らかにします。

禁止行為は第52条です。5項目について、故意に事実を告げない行為や不実のことを告げる行為が禁止されます。第2項は威迫して困惑させる行為、第3項は公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘を禁じた条文です。

第56条第1項第2号は、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断の提供を、指示の対象として挙げています。

行政処分の枠も条文にあります。第57条第1項は、2年以内の期間を限って業務提供誘引販売取引の全部または一部の停止を命ずることができるという定めです。個人の場合は、同じ期間で法人役員となることの禁止も併せて命ずることができます。

第56条第3項・第4項と第57条第4項・第5項は、指示や命令をしたときの公表を求めています。処分は公表されるので、事業者名で検索すると出てきます。

行政処分の先に刑事罰があります。家内労働法の2万円とは桁が違います。

違反 罰則 根拠
不実告知・故意の事実不告知・威迫困惑(第52条) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可) 第70条第1号
業務停止命令に違反(第57条) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可) 第70条第3号
概要書面・契約書面の不交付(第55条) 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科可) 第71条第1号
指示に違反(第56条) 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科可) 第71条第2号
誇大広告(第54条) 100万円以下の罰金 第72条第1項第1号
広告に必要事項を表示しない(第53条) 100万円以下の罰金 第72条第1項第6号

法人には重科があります。第74条第1項第2号が第70条第1号・第2号の違反に1億円以下の罰金刑、同項第1号が第70条第3号(業務停止命令違反)に3億円以下の罰金刑を科します。

相談先は払った話・もらう話・取引で分かれます

トラブルの中身で、行く先が変わります。

判定は2つの質問で足ります。自分がお金を払った話か、工賃をもらう話か。そして相手が資本金1千万円を超える法人かどうか。この2つで行き先が3つに分かれます。

起きたこと 行く先 根拠になる条文
受講料や機械代を払わされた 消費生活センター 特定商取引法第55条・第58条
「絶対儲かる」と言われて契約した 消費生活センター 特定商取引法第52条・第58条の2
広告の収入額と実際が違う 消費生活センター 特定商取引法第54条・第54条の2
家内労働手帳をもらえない 労働基準監督署 家内労働法第3条
工賃が1か月を過ぎても払われない 労働基準監督署 家内労働法第6条
単価が最低工賃を下回る 都道府県労働局・労働基準監督署 家内労働法第14条
買い上げを拒否された 労働基準監督署 手帳の不良品の取扱いの定め
続いていた委託を突然切られた 都道府県労働局(雇用環境・均等部門) フリーランス新法第16条
危険な機械を渡された 労働基準監督署 家内労働法第17条・第18条
受領を拒まれた・買いたたかれた 公正取引委員会・中小企業庁 取適法第5条

労働基準監督官の権限は条文に書かれています。法第30条第1項が認めているのは4つです。委託者の営業所または家内労働者が業務に従事する場所への立入検査、帳簿・書類その他の物件の検査、関係者への質問、そして試験のため必要な最少限度の分量に限った収去です。

法第31条は、労働基準監督官が刑事訴訟法の司法警察員の職務を行うと定めています。

連絡先も置いておきます。消費生活センターは消費者ホットライン188(局番なし)で最寄りの窓口につながります。労働基準監督署と都道府県労働局の所在地は厚生労働省の所在地一覧で調べられます。取適法の相談は公正取引委員会と中小企業庁です。

フリーランス新法の就業環境に関する相談は都道府県労働局の雇用環境・均等部門です。

過去の処分は検索できます。消費者庁の特定商取引法ガイド「執行事例の検索」で、取引類型を絞って業務提供誘引販売取引の処分事例を確認してください。

行政が委託者を把握する仕組みもあります。施行規則第23条第1項・第2項が委託状況届を求めていて、家内労働法の委託者に該当したときは遅滞なく、以後は毎年4月1日現在の状況について4月30日までに提出します。厚生労働省は、この届出がオンライン電子申請でもできることを示しています。

まともな委託者は、行政に登録されている側です。

受領を拒まれた方・減額された方は、取適法の禁止行為11件の表を先に見てください。名前が付いている行為かどうかで話が変わります。

申告しても工賃は下げられません

相談したことで不利益を受けない仕組みが、条文に書かれています。

法第32条第2項が、その形を名指ししています。

> 委託者は、前項の規定による申告をしたことを理由として、家内労働者に対して工賃の引下げその他不利益な取扱いをしてはならない。

> (家内労働法第32条第2項)

「工賃の引下げ」が例示として名前を挙げられています。報復の具体的な形を、条文が先に書いています。

是正の手段もあります。法第32条第3項は、違反する取扱いがあった場合に、都道府県労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官が委託者に対して取扱いの是正を命ずることができるとしています。

施行規則第28条が、この命令を是正命令書の交付によって行うこととしています。記載事項は不利益な取扱いの事実、是正すべき事項、是正期限の3つです。

命令に違反した場合は法第35条第3号で2万円以下の罰金です。

申告できる相手は3つに分かれています。都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官の3つです。補助者も申告できます(法第32条第1項)。

税金では「家内労働者等」という別の言葉になります

同じ「家内労働者」という言葉が、税法ではもっと広い範囲を指します。

「家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例」は租税特別措置法第27条です。対象は、家内労働法第2条第2項に規定する家内労働者に該当する個人と、外交員その他これらに類する者として政令で定める個人です。

政令の中身は租税特別措置法施行令第18条の2第1項です。集金人、電力量計の検針人、その他特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者です。「特定の者に対して継続的に人的役務の提供」が入っているので、物品の往復がない在宅ワークも入り得ます。

法律 「家内労働者」の範囲 物品の製造・加工が要るか
家内労働法 物品の製造・加工等に従事する者(第2条第2項) 要る
租税特別措置法 上記+外交員・集金人・電力量計の検針人・特定の者への継続的な人的役務提供(第27条・措令第18条の2) 要らない

範囲が違う理由は目的が違うからです。家内労働法は作業の危険と単価の低さを前提に保護を組んでいて、税法は実額の経費が少ない働き方をまとめて救っています。労働法で守られない人が、税法では救われることがあります。

金額は年分で動きます。国税庁タックスアンサーNo.1810によると、令和8年分は69万円、令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円です。あわせて、令和8年分の場合は令和8年12月1日に施行され令和8年分から適用される金額であると注記しています。

年をまたぐ話なので、申告する年分の額を国税庁のページで確認してください。

給与収入があると使えなくなる点も条文の構造から出てきます。措置法第27条は、給与所得を有する場合について、金額から給与所得控除額を控除した残額とすると定めています。国税庁は、給与の収入金額が69万円以上あるときはこの特例を受けられないとしています。閾値はその年分の金額と同じ数字です。

令和7年分を申告するなら65万円、令和8年分なら69万円で判定します。会社員の副業では効かない場面が多くなります。

この特例の当てはめは副業の経費と家事代行 副業の始め方で詳しく扱っています。ここでは言葉の範囲が2つある点だけ押さえてください。

ユイカ(副業初心者)
単価が銭って…結局いくらになるのか想像がつかなくて…

リンク(運営者)
分かります。だから逆算します。次で単価から1か月の金額まで並べますね。前提は全部明記しています。

手取りを計算します

1個1円35銭の単価から1か月32,400円を逆算した計算の分解図

単価から月の金額まで、逆算しておきます。

以下はすべて本記事が置いた前提です。東京都電気機械器具製造業最低工賃の「プリント基板の部品の差し」1個1円35銭を単価に使い、作業速度を1時間400個と仮定します。実際の作業速度を示した公的資料は確認できませんでした。

項目 前提 金額
単価 1個1円35銭(最低工賃額) 1円35銭
1時間の個数 400個(本記事の仮定) 540円
1日の作業時間 3時間 1,620円
1か月の作業日数 20日 32,400円
年間 12か月 388,800円

最低工賃は下限であって相場ではありません。実際の単価が最低工賃より高い場合も、最低工賃が決まっていない業種もあります。

公的な平均と並べておきます。令和5年調査の工賃収入の月額平均は37,641円、時間当たり工賃の平均は522円です。

本記事の試算は時間当たり540円で、調査の522円に近い水準です。ただし作業時間が違います。試算は3時間×20日で月60時間、調査の平均は4.8時間×17.5日で月84時間。月額の差は、おおむね作業時間の差です。

材料費は原則としてかかりません。委託者が物品を提供して加工させる形が家内労働法の前提です(法第2条第1項第1号)。かかるのは電気代、接着剤などの消耗品、機械を自分で買った場合の減価償却です。

税金の扱いは、給与があるかどうかで変わります。

状況 措置法第27条の特例 年間収入388,800円のときの所得
給与収入が令和8年分69万円(令和7年分65万円)以上ある会社員 使えない 388,800円から実額の経費を引いた額
給与収入がない(専業) 使える 経費は収入金額が限度のため0円

専業の欄の根拠は措置法第27条の後段です。必要経費に算入する金額は、その年分の事業所得に係る総収入金額または雑所得に係る総収入金額を限度とすると定めています。収入388,800円なら経費も388,800円までで、所得は0円です。

会社員の副業なら、年間の所得が20万円を超えるかどうかで申告の要否が変わります。副業の確定申告のやり方で整理しています。住民税の申告は20万円以下でも必要です。会社に知られたくない場合の仕組みは副業が会社にバレない方法にまとめています。

開業届を出すかどうかは所得の区分の話になります。副業の開業届の出し方を参照してください。

失業保険を受けている間に内職をする場合は、別の計算が入ります。1日の労働時間が4時間以上か未満かで扱いが変わります。副業と失業保険で扱っています。

仕事は区市町村と都道府県の窓口で探せます

内職の仕事を公的な窓口で探す道があります。民間の募集を当たる前に、こちらを見てください。

家内労働の相談とあっせんは、都道府県と市区町村が実施しています。東京都産業労働局の冊子「あなたと家内労働法」(令和6年6月)には、都内23区市に内職相談窓口が置かれていることと、区市ごとの一覧が載っています。

連絡先は区市ごとに違うので、この冊子の一覧か、お住まいの区市のページで確認してください。本記事は個別の電話番号を載せません。番号も担当課の名称も版によって動くためです。

窓口の性格は3つに整理できます。

窓口 できること 対象
区市町村の内職相談窓口 相談と、希望に合う求人があればあっせん 原則としてその区市の在住者
都道府県の家内労働担当 相談、求人の受付、最低工賃の照会 その都道府県の在住者
労働基準監督署 家内労働法違反の申告、最低工賃の照会 誰でも

原則としてその区市に住んでいる人が対象で、事前の予約が必要な窓口もあります。登録のときに身分証明書を求められる例もあります。電話で確認してから行ってください。

自治体の窓口を使う利点は、仕事の質ではなく相手の質です。委託者は施行規則第23条により委託状況届を出している事業者ですから、行政に把握されている側です。先にお金を払わせる話は、この経路では出てきません。

なお、ハローワークが内職のあっせんを行っているという記載は、公的な資料に確認できませんでした。担い手は都道府県と区市町村です。

扶養から外れるかどうかは130万円で見ます

扶養の範囲で内職をしたい場合、見る数字は所得税ではなく健康保険のほうが先です。

日本年金機構のページによると、健康保険の被扶養者として認定されるための収入要件は年収130万円未満です。130万円未満でも、4分の3基準(勤め先の正社員の4分の3以上の時間で働いているかどうかの基準)や短時間労働者の要件を満たせば自分が被保険者になる旨の注記も置かれています。内職は雇われて働く形ではないので、この要件に当たる場面は限られます。

扶養を外れると、国民年金の扱いも変わります。第3号被保険者(会社員や公務員に扶養されている配偶者で、自分では年金保険料を払わない区分)は第2号被保険者(会社員や公務員)の被扶養配偶者です。外れれば第1号被保険者(自分で国民年金保険料を払う区分)になります。

金額を当ててみます。令和5年調査の工賃収入の月額平均37,641円は、12か月で451,692円です。本記事の試算(月32,400円)なら年388,800円です。どちらも130万円の3分の1ほどで、内職だけで扶養を外れる水準には届きません。

収入の目安 年額 130万円との関係
令和5年調査の月額平均37,641円 451,692円 大きく下回る
本記事の試算 月32,400円 388,800円 大きく下回る
月10万円(高めの想定) 1,200,000円 下回る
月11万円 1,320,000円 超える

ひとつ確認できなかった点があります。健康保険の被扶養者認定で、事業所得の必要経費をどこまで控除して「収入」を見るかは保険者ごとの運用で、統一された公表基準を確認できませんでした。加入している健康保険の保険者に聞いてください。

所得税の側は措置法第27条の特例が効きます。給与収入がなければ、収入と同額まで必要経費が認められるため、所得が0円になる場面があります。所得0円なら配偶者控除・扶養控除の判定でも有利に働きます。

内職を始める前に確認する7つのこと

内職を始める前の確認事項3点と契約後に受け取る書類3点を6段階で示したフロー図

順番があります。契約する前に確かめるものと、契約したあとに受け取るものを混ぜないでください。

契約の前に確認するのは3つです。

  1. お金を出す話が含まれていないか。受講料、教材費、機械代、登録料、保証金。名前が何であれ、自分が払うなら業務提供誘引販売取引の疑いがあります(特定商取引法第51条第2項)
  2. 広告に特定負担が書かれているか。書かれていなければ第53条違反です
  3. 概要書面が契約の前に出てくるか。第55条第1項の義務です

契約したあとに受け取るのは3つです。

受け取るもの 期限 根拠
契約書面(特定負担がある場合) 契約後遅滞なく 特定商取引法第55条第2項
家内労働手帳 物品を提供するときまで 家内労働法施行規則第1条第1項
工賃 物品の受領日から1か月以内 家内労働法第6条第2項

7つ目は勤め先の規定です。会社員なら就業規則の副業に関する定め、公務員なら国家公務員法第103条・第104条、地方公務員は地方公務員法第38条を先に見ます。

そのうえで、業種と地域の最低工賃を都道府県労働局で確認します。機械を使う内職なら、労災の特別加入の対象6作業に当たるかどうかも先に見ておいてください。当たらない場合、けがの補償は自分で用意する話になります。

物を作る仕事なので在宅の請負より目立たないと考えがちですが、許可なしで報酬を得れば、金額の大小に関係なく処分の対象になり得ます。

会社に知られたくない場合の仕組みは副業が会社にバレない方法にまとめています。

内職の条件を提示されている方は、手帳と概要書面の2つだけ最初に確認してください。ここで大半が判別できます。

よくある質問

内職に法律があるとは知りませんでした。本当に自分にも効きますか。

自宅で、委託者から材料をもらって、物を作るか加工する仕事なら効きます。家内労働法第2条第2項の要件は4つです。相手がメーカーや問屋などであること。主として労働の対償を得るためであること。物品について委託を受けていること。同居の親族以外を使わないことが常態であること。

4つめの要件は、家族に手伝ってもらっても外れません。「補助者」の定義は法第2条第4項にあります。家内労働者の同居の親族であって、当該家内労働者の従事する業務を補助する者です。同居の親族は「使用する者」に数えず、補助者として別に扱う建て方です。

パートの時間数や契約書の名前は要件に入っていません。

家内労働手帳をくださいと言ったら断られました。どうすればよいですか。

家内労働法第3条第1項の交付義務を伝えてください。それでも出てこない場合、法第32条第1項により、都道府県労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官に事実を申告できます。不交付は法第35条第1号で2万円以下の罰金の対象です。

法第32条第2項が、申告を理由とする工賃の引下げその他の不利益な取扱いを禁止しています。

工賃の支払が3か月後と言われました。従うしかないですか。

従う必要はありません。家内労働法第6条第2項が、物品を受領した日から1か月以内の支払を義務づけています。毎月一定期日を工賃締切日と定めている場合は、その締切日から1か月以内です。法第16条により、これに反する支払を定める契約はその部分について無効となり、無効となった部分は法律の基準に置き換わります。

検品が終わっていないから払えないと言われました。

家内労働法第6条第2項は「検査をするかどうかを問わず」と定めています。検品の進み具合は支払期限に影響しません。フリーランス新法第4条第1項にも同じ文言が入っています。

最低工賃は時給いくらになりますか。

時給では決まりません。家内労働法第13条第2項が、最低工賃額を物品の一定の単位によって定めるものとしています。東京都電気機械器具製造業では、プリント基板のマスキングが1か所94銭、コネクター差しが1端子83銭です。時間あたりの金額は自分の作業速度によって変わります。

自分の内職に最低工賃があるかどうかを調べる方法はありますか。

都道府県労働局の賃金課、または最寄りの労働基準監督署に業種名を伝えて確認してください。厚生労働省が都道府県別最低工賃決定状況一覧を公表していますが、決定件数が0の県もあります。地域と業種の両方が一致しないと、最低工賃は存在しません。

在宅のデータ入力も内職ですか。家内労働法で守られますか。

条文の文言からは、守られないと読めます。家内労働法第2条第2項が求めているのは「物品の製造又は加工等」で、物の往復が前提になっています。ただし当てはめの線を明示した公表資料は確認できませんでした。

一方、租税特別措置法第27条の「家内労働者等」には、同法施行令第18条の2により特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う者が含まれます。税の特例のほうは使えます。

フリーランス新法と家内労働法は、どちらに従えばよいですか。

両方です。厚生労働省は令和7年2月27日付けの通知で、両法が同時に適用される整理を示しています。論点ごとに厳しいほうが実際に効きます。支払期限は家内労働法の1か月、打切りの予告はフリーランス新法の30日前です。

委託者が個人の小さな工房です。フリーランス新法は効きますか。

一部だけ効きます。フリーランス新法第4条の60日と第16条の30日前予告は「特定業務委託事業者」にかかる義務で、同法第2条第6項により、従業員を使用しない個人は該当しません。第3条の条件の明示は業務委託事業者全員にかかります。

家内労働法のほうは委託者の規模で切れないので、手帳と1か月以内の支払は残ります。

内職でけがをしたら労災は使えますか。

原則として使えません。家内労働者は労働基準法第9条の労働者ではないため、労災保険の当然適用がありません。ただし委託者には届出義務があり、4日以上の休業または死亡の場合、家内労働法施行規則第23条第3項により家内労働死傷病届を提出します。

特別加入の制度は労働者災害補償保険法施行規則第46条の18第3号に定めがありますが、対象は機械や化学物質を使う6種類の作業に限られます。

特別加入に自分で申し込めますか。

できません。厚生労働省は、特別加入の手続を個人では行えず、家内労働者で組織する団体で行うこと、団体がない場合には団体を作る必要があることを示しています。その団体が都道府県労働局長に加入申請して承認を受けます。保険料の納付義務者も団体です。

内職の講習料を払ってしまいました。取り戻せますか。

特定商取引法のクーリング・オフが使えます。第58条第1項により、第55条第2項の契約書面を受領した日から起算して20日以内であれば、書面または電磁的記録で契約を解除できます。損害賠償や違約金は請求されません(同項後段)。商品の引取り費用は事業者の負担です(同条第3項)。

20日を過ぎていても、不実告知や故意の事実不告知があれば第58条の2の取消しが残ります。消費生活センターに相談してください。

クーリング・オフは8日だと聞きました。

取引の類型が違います。業務提供誘引販売取引は特定商取引法第58条第1項により20日です。8日は訪問販売や特定継続的役務提供などの類型の日数です。起算点は契約書面を受領した日で、契約した日ではありません。

「月10万円は確実」と言われました。これは違反ですか。

違反の疑いがあります。特定商取引法第56条第1項第2号は、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供して勧誘することを、行政の指示の対象として挙げています。

広告での誇大表示は第54条が禁止していて、第54条の2により、主務大臣に求められた合理的な根拠の資料を提出しないときはその表示が誇大広告に該当するものとみなされます。

内職の仕事はどこで探せばよいですか。

都道府県と区市町村の内職相談窓口です。東京都の冊子には都内23区市に窓口が置かれていることと区市ごとの一覧が載っています。相談に加えて、希望に合う求人があればあっせんも行われます。原則としてその区市に住んでいる人が対象で、事前の予約や身分証明書を求められる窓口もあります。

連絡先は区市ごとに違うので、冊子の一覧かお住まいの区市のページで確認してください。

ハローワークが内職のあっせんを行っているという記載は公的な資料に確認できませんでした。

夫の扶養から外れませんか。

内職だけで外れる水準には届きにくいです。健康保険の被扶養者認定の収入要件は年収130万円未満で、令和5年調査の工賃収入の月額平均37,641円は年451,692円です。

ただし健康保険の被扶養者認定で事業所得の必要経費をどこまで控除できるかは保険者ごとの運用で、統一された公表基準を確認できませんでした。加入している健康保険の保険者に確認してください。

仕上げた品を受け取ってもらえません。減額もされました。

2つの筋があります。ひとつは家内労働法で、第6条第1項が通貨での全額払いを、第2項が検査の有無を問わず1か月以内の支払を義務づけています。東京都の冊子には、不良品があって工賃を減額する場合でも、一度全額支払ってから改めてその額を請求することになると書かれています。

もうひとつは取適法で、第5条第1項第1号が受領拒否、第3号が代金の減額、第4号が受領後に引き取らせることを禁止行為として挙げています。委託者が資本金1千万円を超える法人なら、公正取引委員会と中小企業庁に相談できます。

内職の相場はいくらですか。

令和5年の家内労働等実態調査では、工賃収入の月額平均が37,641円、時間当たり工賃の平均が522円です。月額の最多層は2〜4万円未満で29.7パーセント、時間当たりの最多層は200〜400円未満で28.3パーセントです。1か月の就業日数は平均17.5日、1日の就業時間は平均4.8時間です。

時間当たり522円という数字は、地域別最低賃金を下回ります。

相談はどこに行けばよいですか。

自分がお金を払った話なら消費生活センター、工賃をもらう話なら労働基準監督署です。消費生活センターは消費者ホットライン188(局番なし)で最寄りの窓口につながります。受領拒否や買いたたきは取適法の領域で、公正取引委員会と中小企業庁が窓口です。

受講料や機械代、登録料、保証金に関するトラブルは特定商取引法、手帳・工賃・最低工賃・安全衛生は家内労働法の領域です。窓口が分かれているので、起きたことを時系列で整理してから行くと早く済みます。

内職は確定申告が必要ですか。

会社員の副業なら、年間の所得が20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。20万円以下でも住民税の申告は必要です。給与収入がない場合は、租税特別措置法第27条の特例により必要経費として一定額が認められます。

国税庁タックスアンサーNo.1810によると、令和8年分は69万円、令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円です。

申告する年分の額を国税庁のページで確認してください。

まとめ:内職は権利が書いてある仕事です

内職は単価の低い仕事ですが、相手側の義務がここまで細かく条文になっている副業は他にありません。

押さえる点を並べ直します。委託者には家内労働手帳の交付義務があり、期限は物品を提供するときまでです。工賃は受領日から1か月以内です。最低工賃は個数や長さで決まり、東京都では1円未満の単位が現に使われています。最低工賃違反の罰金は2万円以下で、最低賃金違反の25分の1です。

フリーランス新法と取適法が重なるので、支払期限は家内労働法の1か月、打切りの予告は新法の30日前が効きます。受領拒否と買いたたきを名前を付けて禁じているのは取適法です。

ただし委託者が従業員を使っていない個人なら新法の60日と30日予告が外れ、委託者が資本金1千万円以下の法人か個人事業主なら取適法そのものがかかりません。どちらの場合も家内労働法は残ります。

罰金の上限は2万円から3億円まで並びます。いちばん軽いのが、内職をする人を守るために作られた法律です。

けがについては届出だけがあって給付がありません。特別加入は6種類の作業に限られ、しかも団体を通さないと入れません。

そして「インチキ内職」に効くのは家内労働法ではなく特定商取引法です。概要書面は契約の前、契約書面は契約のあと。クーリング・オフは20日で、起算点は契約書面を受領した日です。

最初にやることは1つに絞れます。材料を受け取る前に、家内労働手帳を出してもらってください。出てこない相手とは、そこで話を止められます。

目次
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