訪問介護の副業【2026年】59時間で始められます

副業
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営業職として10年間活動、某営業会社で2000人中2位、プライム上場企業にて年間TOPセールスなどを経て、サービス開発をするためにPDMにジョブチェン、現在進行形でPM/PDMをしています。上場企業の昇進レースに見切りをつけ、副業として業務委託でPM/PDM/PMOを複数案件並列で兼務、副業が年収1,000 万を突破したので、ナレッジを「会社の外で稼ぐ PM スキルの循環」をテーマに、テンプレ・講座・コミュニティで同世代の跳躍を支援しています。

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親の介護を経験して、同じことで人の役に立てないかと考えます。平日の夕方に2時間だけ空いています。訪問介護の副業は、たいていこの順番で始まります。

ユイカ(副業初心者)
介護の副業に興味はあるんですけど…資格が130時間って聞いて、それだけで無理だなって…

リンク(運営者)
その数字で止まる人、多いですよね。ただ130時間は2つある課程の片方です。もう片方は59時間なんですよ。

ユイカ(副業初心者)
えっ、半分以下!?そんな道があるんですか?

リンク(運営者)
法令にちゃんと書いてあります。ただし任される仕事の範囲が変わります。そこも含めて、この記事で全部話しますね。

そして多くの解説記事が、次の一文を置きます。「訪問介護で働くには介護職員初任者研修の修了が必要です」。これは間違いではありません。ただし、これだけを読むと130時間という数字が壁になって止まります。

介護保険法施行規則第22条の23は、研修の課程を2つ定めています。介護職員初任者研修課程と、生活援助従事者研修課程です。後者は59時間です。生活援助中心型のサービスに限れば、こちらでも訪問介護員等になれます。

そのうえで、この記事が扱うのは次の一点です。削られた71時間の中身が、副業として何を任されるかをそのまま説明しています。130時間と59時間の差は、科目ごとに見ると偏っています。1時間も削られていない科目が2つあります。

厚生労働省の通知を並べて比べていて、いちばん手が止まったのがここでした。削られた71時間のうち51時間が、たった1科目から出ています。身体に触る技術の科目です。そして「介護におけるコミュニケーション技術」と「障害の理解」は、1時間も減っていません。

この記事でわかること

  • 介護保険法施行規則第22条の23が研修の課程を2つ定めていること(初任者研修130時間・生活援助従事者研修59時間)
  • 差の71時間のうち51時間が1科目から出ていて、コミュニケーション技術と障害の理解は1時間も削られていないこと(本記事の計算)
  • 修業年限が課程ごとに違うこと(おおむね8月以内とおおむね4月以内)
  • 報酬告示の注2で、身体介護の単位を算定できる者から生活援助従事者研修修了者が外れていること
  • 生活援助中心型が「単身」または「家族等の障害、疾病等」の場合に限られること(報酬告示の注3)
  • 入門的研修(21時間)では訪問介護員として従事できないこと
  • 59時間が初任者研修の一部免除として読み替えられる根拠が国の通知にあること
  • 施行令第3条第1項のただし書きで、共生型以外では入口が1つに絞られること
  • 無資格で入れるのが介護保険の外か、市町村の総合事業であること
  • 生活援助の報酬が20分以上45分未満で179単位、45分以上で220単位であること
  • 夜間・早朝で25%、深夜で50%の加算がつくこと
  • 移動時間・待機時間・報告書の作成時間・研修時間が労働時間に当たる条件
  • キャンセルで休ませた場合に平均賃金の60%以上の休業手当が必要になること
  • 交通費の実費は賃金ではなく、最低賃金の比較に算入されないこと
  • 副業だと労働基準法第38条第1項で労働時間が通算されること
  • 2026年6月に処遇改善加算が上がり、訪問介護は最大28.7%になったこと
  • 2026年10月1日からカスタマーハラスメント対策が事業主の義務になること
  • 指定基準第25条が同居家族へのサービス提供を禁じていること
  • サービス提供責任者の要件が告示第118号で定められていて、初任者研修だけでは届かないこと

この記事の調べ方(編集方針)

  • 本記事は、副業ジャンルの記事を90本以上制作している当サイト編集部が作成しました。制度部分の出典は、法令はe-Gov法令検索の現行条文、通知は厚生労働省が公開している原本に限定しています。調査日は2026年9月26日です。
  • 研修の時間数は厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」(老振発0328第9号・改正後全文)の別表から読み取りました。同通知は令和8年3月31日の老認発0331第5号で一部改正されています。
  • 本記事は弁護士・社会保険労務士の監修を受けていません。そのぶん、解釈が分かれる論点では断定を避け、条文と通知の原文をそのまま引用する方針を取っています。
  • 金額は、公定されているものだけを置きます。報酬告示の単位数は国が定めた数字なのでそのまま示します。研修の受講料・事業所の時給・1件あたりの単価には公定価格がないため、金額を置きません。時給の試算は「本記事が置いた前提」と明記しています。
  • 体験談は載せていません。筆者は訪問介護員として働いた経験がありません。時間の試算はすべて「本記事が置いた前提」と明記しています。
  • 総合事業の要件は市町村ごとに違います。本記事は国の枠組みと、市町村が定める仕組みであることの確認までにとどめています。

本記事の調査で埋まらなかった論点

今回当たったのは、介護保険法、介護保険法施行令、介護保険法施行規則、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(いずれもe-Gov法令検索の現行条文)、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)、厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者(平成24年厚生労働省告示第118号)、老振発0328第9号、老企第36号、基発第0827001号、医政発第0726005号、「入門的研修の概要」、副業・兼業の促進に関するガイドライン、令和8年度介護報酬改定の公開資料、令和8年10月施行のハラスメント対策強化の資料です。そのうえで、次の点は確認できませんでした。

  • 介護職員初任者研修と生活援助従事者研修の受講料。国は金額を定めておらず、実施機関ごとに異なります。都道府県や市区町村の補助事業は各地にありますが、全国の一覧を確認できませんでした。
  • 登録ヘルパーの1件あたり単価と時給。公的統計で「訪問介護の登録型非常勤」に絞った数値を確認できませんでした。本記事は報酬告示の単位数から、事業所に入る金額の側だけを示しています。
  • 生活援助従事者研修の全国の修了者数。厚生労働省が集計値を公開しているかどうかを確認できませんでした。
  • 令和8年度介護報酬改定における訪問介護の基本報酬の扱い。公開されている「令和8年度介護報酬改定の概要」に基本報酬の改定に関する記載を確認できませんでした。改定率の内訳は処遇改善分と食費の基準費用額です。
  • 市町村が定める訪問型サービスAの従事者研修の時間数の全国的な分布。個別の市町村の資料は見つかりますが、集計されたものは確認できませんでした。
  • 研修修了証に有効期限があるかどうか。施行規則と取扱細則に更新の定めは置かれていませんが、「ないこと」を明示した資料は確認できませんでした。

他人の家に上がって家事をする副業としては、家事代行の副業も別にまとめてあります。動きはよく似ています。ただし介護保険が入ると、必要なものが届出ではなく資格に変わります。この記事は、その境目と、59時間で何ができて何ができないかに絞ります。

目次

  1. 結論:59時間の課程が法令に書かれています
  2. 入口は「介護福祉士その他政令で定める者」です
  3. 政令が指しているのは研修の修了者です
  4. 研修の課程は2つ定められています
  5. 初任者研修は130時間です
  6. 生活援助従事者研修は59時間です
  7. 削られた71時間の内訳を並べます
  8. 1時間も削られていない科目が2つあります
  9. 59時間で任されるのは生活援助中心型です
  10. 入門的研修21時間では従事できません
  11. 59時間は130時間の一部に読み替えられます
  12. 生活援助は誰にでも出せるわけではありません
  13. 生活援助に入らない行為が決まっています
  14. 修業年限は8月以内と4月以内です
  15. 修了評価は筆記試験です
  16. 施行令のただし書きで道が1つに絞られます
  17. 障害福祉の経験は共生型でしか効きません
  18. 無資格で入れるのは介護保険の外です
  19. 訪問型サービスAの基準は市町村が決めます
  20. 家事代行との違いは届出ではなく資格です
  21. 報酬は1件ごとに単位で決まります
  22. 求人の時給は1件の単価です
  23. 夜間は25%、深夜は50%増えます
  24. 国は移動時間を労働時間だと書いています
  25. 待機と報告書の作成も同じ扱いです
  26. 「いかなる労働時間についても」が効きます
  27. キャンセルには休業手当が要ります
  28. 交通費は賃金ではありません
  29. 研修の時間も労働時間です
  30. 自分の車を使うなら確認が2つあります
  31. 副業だと労働時間が通算されます
  32. 通算されない副業とはここが違います
  33. 管理モデルだと割増の払い手が変わります
  34. 2026年6月に処遇改善加算が上がりました
  35. 28.7%は時給の上昇率ではありません
  36. 加算Ⅰロの条件はヘルパーが選べません
  37. 2026年10月からカスハラ対策が義務です
  38. 自分の同居家族には提供できません
  39. 医行為でない行為は通知で列挙されています
  40. 常勤換算2.5とサービス提供責任者の話
  41. サービス提供責任者は告示で決まっています
  42. 申し込む前に確認する3つのこと
  43. この記事が扱わない3つのこと
  44. 今日やること
  45. よくある質問
  46. まとめ
目次

結論:59時間の課程が法令に書かれています

介護職員初任者研修課程と生活援助従事者研修課程の時間数と担当範囲を比べた図

訪問介護の副業で最初に越える壁は、130時間ではありません。59時間です。

介護保険法施行規則第22条の23は、こう定めています。

令第三条第一項第一号イ及びロに掲げる研修(以下この条から第二十二条の二十九までにおいて「研修」という。)の課程は、介護職員初任者研修課程及び生活援助従事者研修課程とする。

課程は2つです。そして厚生労働省の通知は、生活援助従事者研修課程のカリキュラムを合計59時間と定めています。初任者研修課程は130時間です。

差は71時間です。週1回3時間ずつ通うとすれば、130÷3で約44週になります。59÷3なら約20週です。いずれも本記事が置いた前提の計算です。ただし施行規則は修業年限も定めています。初任者研修でおおむね8月以内、生活援助従事者研修でおおむね4月以内です。実際の講座は、これより濃い日程で組まれます。

ただし59時間で任されるのは、生活援助中心型のサービスに限られます。身体に直接触れる介護は入りません。この記事は「59時間で入れる」と「59時間では入れない」の線を、通知の時間数から引き直します。

まず調べるのは資格の名前ではありません。自分が生活援助だけで始めたいのか、身体介護まで任されたいのかです。ここで受ける研修が変わります。

介護保険を通さない家事代行の条件を先に見る

入口は「介護福祉士その他政令で定める者」です

誰が訪問介護をできるかは、介護保険法の定義条文に書かれています。

訪問介護という言葉は、法律の中で定義されています。介護保険法第8条第2項です。長い条文なので、人の要件に関わる部分を引用します。

この法律において「訪問介護」とは、要介護者であって、居宅(中略)において介護を受けるもの(以下「居宅要介護者」という。)について、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの(中略)をいう。

この記事ではこのあと「訪問介護員等」という語が何度も出てきます。指定基準が使う語で、サービス提供責任者を含みます。

つまり、やる人が「介護福祉士その他政令で定める者」でなければ、その行為は介護保険法上の訪問介護になりません。資格が業務の前提ではなく、資格がサービスの定義そのものに組み込まれています。

ここが家事代行との決定的な違いです。家事代行は誰がやっても家事代行です。訪問介護は、やる人の要件を満たさなければ訪問介護になりません。

政令が指しているのは研修の修了者です

政令で定める者の中身は、介護保険法施行令の第3条にあります。

介護保険法施行令(平成十年政令第四百十二号)第3条第1項の柱書と第1号を引用します。本記事が確認したのは令和8年8月4日施行の現行条文です。

法第八条第二項の政令で定める者は、次に掲げる者とする。ただし、訪問介護(同項に規定する訪問介護をいう。以下この条において同じ。)に係る共生型居宅サービス(中略)以外の訪問介護については、第一号に掲げる者とする。
一 次のイ又はロに掲げる研修の課程を修了し、それぞれ当該イ又はロに定める者から当該研修を修了した旨の証明書の交付を受けた者(以下この条において「養成研修修了者」という。)
イ 都道府県知事の行う介護員の養成に関する研修
ロ 都道府県知事が指定する者(中略)の行う研修であって厚生労働省令で定める基準に適合するものとして都道府県知事の指定を受けたもの

読みどころは2つです。1つは、要件が「研修を修了したこと」と「証明書の交付を受けたこと」の両方であることです。もう1つは、柱書にただし書きがあることです。ただし書きは後の章で扱います。

研修の中身は厚生労働省令に投げられています。そこで施行規則を見ます。

研修の課程は2つ定められています

研修の課程は1種類ではありません。省令が2つ並べています。

介護保険法施行規則第22条の23第1項は、前掲のとおり「介護職員初任者研修課程及び生活援助従事者研修課程とする」と定めています。同条第2項はこうです。

研修の内容は、厚生労働大臣が定める基準以上のものとする。

内容の基準が大臣告示に、その細則が通知に落ちる構造です。実務で参照されるのが老振発0328第9号「介護員養成研修の取扱細則について」です。平成24年3月28日に出された通知です。その後、平成25年2月14日、平成30年3月30日、令和8年3月31日に一部改正されています。

最新の改正は令和8年3月31日の老認発0331第5号です。本記事が読んだのは、この改正を反映した改正後全文です。制度の記事では、案内ページの要約ではなく改正後全文に当たってください。改正が反映されるまでの時差が、案内ページ側には残ります。

研修の名前で検索すると、実施機関の広告が先に並びます。時間数と修了要件は国の通知に書かれています。先にそちらを読んでください。

老振発0328第9号(改正後全文)を厚生労働省のサイトで開く

初任者研修は130時間です

介護職員初任者研修課程の合計時間は130時間です。

老振発0328第9号は、初任者研修の目的をこう書いています。

介護に携わる者が、業務を遂行する上で最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方のプロセスを身につけ、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的

カリキュラムは10科目です。通知の別表から時間数を並べます。

科目 時間
1.職務の理解 6時間
2.介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
3.介護の基本 6時間
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
5.介護におけるコミュニケーション技術 6時間
6.老化の理解 6時間
7.認知症の理解 6時間
8.障害の理解 3時間
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 75時間
10.振り返り 4時間
合計 130時間

9科目めが飛び抜けています。130時間のうち75時間、つまり約58%が「こころとからだのしくみと生活支援技術」です。ここが身体に触る技術の本体です。

生活援助従事者研修は59時間です

生活援助従事者研修課程の合計時間は59時間です。

同じ通知が、この課程の目的をこう書いています。

生活援助従事者研修は、生活援助中心型のサービスに従事する者の裾野を広げるとともに、担い手の質を確保できるようにするため、生活援助中心型のサービスに従事する者に必要な知識等を習得することを目的として行われるものである。

対象者は「生活援助中心型のサービスに従事しようとする者」です。目的の文に「裾野を広げる」と書かれています。国が入口を意図的に下げた課程だと読めます。

カリキュラムは9科目です。

科目 時間
1.職務の理解 2時間
2.介護における尊厳の保持・自立支援 6時間
3.介護の基本 4時間
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 3時間
5.介護におけるコミュニケーション技術 6時間
6.老化と認知症の理解 9時間
7.障害の理解 3時間
8.こころとからだのしくみと生活支援技術 24時間
9.振り返り 2時間
合計 59時間

初任者研修で独立していた「老化の理解」と「認知症の理解」が、ここでは1科目です。「老化と認知症の理解」にまとまっています。科目数が10から9に減っているのはそのためです。

ユイカ(副業初心者)
71時間も少ないって、逆にちょっと不安です…何を削ったんですか?

リンク(運営者)
いい質問です。実は71時間のうち51時間が、たった1つの科目から出ています。次の表で並べますね。

削られた71時間の内訳を並べます

初任者研修と生活援助従事者研修の科目ごとの時間数の差を並べた図

71時間の削減は、科目に均等には配られていません。

2つの表を突き合わせると、削減の偏りが見えます。以下は本記事が通知の数値から計算した差分です。

科目 初任者 生活援助 差
職務の理解 6 2 −4
尊厳の保持・自立支援 9 6 −3
介護の基本 6 4 −2
サービスの理解と医療との連携 9 3 −6
コミュニケーション技術 6 6 0
老化・認知症の理解 12 9 −3
障害の理解 3 3 0
こころとからだのしくみと生活支援技術 75 24 −51
振り返り 4 2 −2
合計 130 59 −71

71時間のうち51時間が、たった1科目から出ています。割合にすると約72%です。残りの8科目から出たのは合わせて20時間しかありません。

削られたのは身体に触る技術です。生活援助中心型が身体介護を含まない以上、当然の配分ではあります。ただし数字で見ると、その当然さの度合いが違って見えてきます。

1時間も削られていない科目が2つあります

差分表を縦に見ると、ゼロが2つ並びます。

「介護におけるコミュニケーション技術」は6時間のままです。「障害の理解」も3時間のままです。国は、生活援助だけを担う人からも、この9時間を省きませんでした。

理由は通知に書かれていません。ただ、仕事の中身を考えると読めるものがあります。生活援助は、利用者の生活の場に一人で入り、一人で判断して帰ってくる仕事です。身体を支える技術は要りません。それでも、話を聞く技術と相手の状態を理解する枠組みは削れないという設計に見えます。

もう1つ、割合で見ると印象が変わります。初任者研修でコミュニケーション技術が占めるのは6÷130で約4.6%です。生活援助従事者研修では6÷59で約10.2%になります。時間は同じでも、課程に占める比重は倍以上になっています。障害の理解も3÷130の約2.3%から3÷59の約5.1%へ上がります。

短い課程ほど、この2科目の存在感が大きくなります。数字から読み取れるのはそこまでです。

59時間の課程は「軽い版の初任者研修」ではありません。身体介護の技術だけを外して、対人の部分はそのまま残した課程です。

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59時間で任されるのは生活援助中心型です

生活援助従事者研修の修了者が従事できるのは、生活援助中心型のサービスです。

通知が定める対象者は「生活援助中心型のサービスに従事しようとする者」でした。逆に言えば、身体介護中心型のサービスには入れません。入浴の介助も、排せつの介助も、食事の介助も対象外です。

この線は通知だけでなく、報酬告示の本文にも引かれています。指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準です。平成12年2月10日の厚生省告示第19号です。その別表、訪問介護費の注2を引用します。

イについては、訪問介護員等(介護福祉士、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第22条の23第1項に規定する介護職員初任者研修課程を修了した者及び介護保険法施行令第3条第1項第2号に規定する者に限る。注4において同じ。)が、身体介護(中略)が中心である指定訪問介護を行った場合に所定単位数を算定する。

「イ」は身体介護が中心である場合の単位数です。括弧の中に生活援助従事者研修課程の修了者は入っていません。生活援助従事者研修の修了者が身体介護をしても、事業所は身体介護の報酬を請求できません。だから任せられません。

ここを誤解したまま研修を申し込むと、修了後に仕事の幅で困ります。求人票に「無資格可・研修支援あり」と書かれていることがあります。その事業所が身体介護中心なら、59時間では任される仕事が限られます。

研修を決める前に、応募したい事業所で生活援助の依頼がどれくらいあるかを聞いてください。これは求人票からは読み取れません。聞き方はこれで足ります。


生活援助中心の依頼は、全体のどれくらいありますか。
生活援助従事者研修の修了者が担当している件数は、
月にどれくらいでしょうか。

将来的に身体介護まで担いたいなら、最初から130時間の初任者研修を選ぶほうが早道です。生活援助従事者研修から初任者研修への読み替えには、国の通知に根拠があります。この点は後の章で扱います。

入門的研修21時間では従事できません

研修を検索すると、もっと短い21時間の研修が出てきます。これでは訪問介護員になれません。

厚生労働省の「入門的研修の概要」によれば、入門的研修のカリキュラムは合計21時間です。基礎講座は介護に関する基礎知識1.5時間と介護の基本1.5時間です。入門講座は4科目です。基本的な介護の方法10時間、認知症の理解4時間、障害の理解2時間、介護における安全確保2時間となっています。

実施主体は「都道府県及び市区町村とする。ただし、民間団体への委託により実施することもできる」とされています。だから無料か低額で開かれることが多い研修です。

そして同じ資料に、こう書かれています。

入門的研修を受講しても訪問介護員として従事することはできない

理由は前の章までの条文で説明がつきます。入門的研修は、施行規則第22条の23が定める「研修の課程」に入っていません。21時間は、訪問介護員等になるための時間としては数えられません。

ただし無駄にはなりません。同じ資料に免除の記述があります。「入門的研修修了者については、介護職員初任者研修及び生活援助従事者研修課程の一部を免除することができるものとされていること」。21時間を先に取って、その先を短くする使い方ができます。

59時間は130時間の一部に読み替えられます

生活援助従事者研修を取ってから初任者研修に進むとき、時間は読み替えられます。

根拠は、この記事が主資料にしている老振発0328第9号です。同通知のⅠの6に、免除の枠組みが書かれています。

生活援助従事者研修、入門的研修(中略)及び訪問介護に関する三級課程を修了している者については、当該研修における履修科目が、介護職員初任者研修課程において履修すべき科目と一部重複するものと認められるため、別添2で示す各研修の内容及び時間との対照関係も踏まえて、各都道府県の判断により、介護職員初任者研修課程の一部を免除することができるものとする。

対照関係は同通知の別添2に置かれています。免除は「各都道府県の判断により」となっているので、実施機関と都道府県の運用を確認する必要があります。

それでも押さえておくべき点は決まっています。59時間は、あとで130時間を目指すときのサンクコストにはなりません。実務者研修を修了している者については、同じ通知が初任者研修課程の全科目を免除できるとしています。

副業の入口としての順路が見えてきます。生活援助で始めて、必要になったら初任者研修に進みます。そのときに59時間ぶんが効きます。

生活援助は誰にでも出せるわけではありません

生活援助中心型は、利用者の側にも条件があります。

生活援助中心型の単位を算定できる場面は限られます。利用者が単身である場合、または家族等が障害や疾病等のために家事を行うことが困難な場合です。同居家族がいて元気なら、原則として生活援助は入りません。

要件は報酬告示の本文にあります。同じ告示の別表、訪問介護費の注3です。

ロについては、単身の世帯に属する利用者又は家族若しくは親族(以下「家族等」という。)と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難であるものに対して、生活援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助であって、これを受けなければ日常生活を営むのに支障が生ずる介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第8条第2項に規定する居宅要介護者に対して行われるものをいう。)が中心である指定訪問介護を行った場合に所定単位数を算定する。

生活援助の定義がこの括弧の中にあります。「これを受けなければ日常生活を営むのに支障が生ずる」家事の援助です。あれば助かる家事ではありません。

「障害、疾病等」の「等」の幅は通知が補っています。平成12年3月1日の老企第36号がその解釈を示し、自治体が噛み砕いた資料を配っています。弘前市が公開している「生活援助の留意事項」は、やむを得ない事情の例を挙げています。家族が長時間日中不在である場合、介護疲れや共倒れの危険がある場合、同居家族の介護拒否により支援が期待できない場合です。

副業として働く側から見ると、これは仕事量の話になります。生活援助の依頼は、地域の世帯構成にそのまま左右されます。単身の高齢世帯が多い地域では依頼が厚くなり、三世代同居が多い地域では薄くなります。研修を受ける前に、自分が動ける範囲の事業所へ一度電話を入れてください。

なお、やむを得ない事情の当てはめは一律の基準で決まるものではありません。個々の事情に応じて、ケアマネジャーや市町村が判断します。自分で判断しないでください。

生活援助に入らない行為が決まっています

生活援助に含まれる行為と含まれない行為を分けたチェックリストの図

生活援助の範囲は、やらないことの側から定義されています。

弘前市の資料は、生活援助に含まれない行為を3つに分けて整理しています。原文の分類を要約して並べます。

分類 例
直接本人の援助に該当しない 利用者以外の洗濯・調理・買い物・布団干し、利用者が使わない居室の掃除、来客の応接、自家用車の洗車
訪問介護員が行わなくても支障がない 草むしり、花木の水やり、ペットの世話
日常的な家事の範囲を超える 家具・電気器具の移動や修繕、模様替え、大掃除、窓ガラス磨き、床のワックスがけ、室内外の家屋の修理、ペンキ塗り、植木の剪定、特別な行事の調理

国が置いているのは抽象的な基準です。老企第36号は、生活援助に含まれない行為を2つに分けています。「商品の販売や農作業等生業の援助的な行為」と「直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為」です。草むしりや大掃除といった具体例は老計第10号と自治体資料の側にあります。

家事代行の経験がある方ほど、この表は意外に映ります。大掃除もワックスがけも、家事代行なら普通の依頼です。介護保険ではどちらも外れます。

理由は目的が違うからです。生活援助は生活の維持であって、住環境の改善ではありません。利用者から「ついでにお願い」と言われて断る場面が出てきます。断る根拠は、この分類にあります。

もう一点あります。ここに挙がっている行為を保険外の自費サービスとして提供している事業所もあります。その場合は介護保険の外側の契約になります。どちらの枠で動いているのかを、初日に確認してください。

自費サービスを自分で直接受けるなら、事業としての届出の話が出てきます。判断の目安は副業の開業届の出し方にまとめました。

修業年限は8月以内と4月以内です

研修には、いつまでに終えるかの上限があります。課程ごとに違います。

施行規則第22条の27第1項は、介護員養成研修の指定の基準を課程別に定めています。第1号が介護職員初任者研修課程、第2号が生活援助従事者研修課程です。それぞれの冒頭を引用します。

一 介護職員初任者研修課程
イ 修業年限は、おおむね八月以内であること。
ロ 研修の内容は、第二十二条の二十三第二項に規定する基準以上であること。
ハ ロに規定する研修の内容を教授するのに必要な数の講師を有すること。(中略)
二 生活援助従事者研修課程
イ 修業年限は、おおむね四月以内であること。(以下略)

各号はイからヘまでの6項目で構成されています。ニは講師の適性、ホは実習施設、ヘは実習指導者の指導についての定めです。上の引用では省略しました。

130時間をおおむね8か月以内、59時間をおおむね4か月以内に収めることになります。これは受講側の制約でもあります。仕事をしながら通う場合、月に平均16時間前後のペースが必要です。130÷8=16.25で置いた本記事の概算です。

週末1日を半分使う形なら現実的な範囲に見えます。ただし平日夜のコースを選ぶと、本業の残業とぶつかったときの振替が効くかどうかが効いてきます。申込前に欠席時の振替ルールを聞いてください。

修了評価は筆記試験です

研修の最後には試験があります。時間は課程によって違います。

老振発0328第9号は、介護職員初任者研修についてこう定めています。

修了評価は筆記試験により1時間程度実施するものとし、修了評価に要する時間はカリキュラムの時間数には含めないものとする。

生活援助従事者研修については、同じ形で0.5時間程度とされています。いずれも、試験の時間はカリキュラムの時間数に含まれません。130時間と59時間は、試験を除いた数字です。

施行規則第22条の24は、研修の方法についても定めています。講義は「通信の方法によって行うことができるものとする」とされています。その場合は添削指導や面接指導などの措置を併せて講じなければならない、という構造です。通信で済む部分と、通えないと終わらない部分が分かれています。

副業で始める人にとっては、ここが日程の設計に直結します。演習と実習は通信に置き換えられません。土日開講かどうかだけでなく、演習日が何日あるかを確認してください。

施行令のただし書きで道が1つに絞られます

施行令第3条第1項には第2号もあります。ただし、普通の訪問介護では使えません。

もう一度、柱書のただし書きを見てください。「訪問介護に係る共生型居宅サービス以外の訪問介護については、第一号に掲げる者とする」と書かれています。

第2号が指しているのは別のルートです。障害者総合支援法の居宅介護または重度訪問介護に係る指定障害福祉サービスを提供している者として、厚生労働大臣が定めるものです。障害福祉の側から入る道です。

このルートが効くのは共生型居宅サービスだけです。一般の訪問介護事業所では、第1号の養成研修修了者でなければなりません。

条文の構造を整理します。

サービスの種類 使える号
訪問介護に係る共生型居宅サービス 第1号・第2号のいずれも
それ以外の訪問介護 第1号のみ

ただし書きは1行です。見落とすと、入れる事業所の範囲を読み違えます。

障害福祉の経験は共生型でしか効きません

障害福祉の現場経験があっても、それだけでは介護保険の訪問介護に入れません。

居宅介護のヘルパーとして働いてきた方が、介護保険の訪問介護に副業で入ろうとする場面を考えます。仕事の内容は重なります。それでも、第2号は共生型に限定されています。

共生型居宅サービスは、介護保険法第72条の2第1項の申請に係る指定を受けた事業者によるサービスです。障害福祉と介護保険の両方を1つの事業所で提供する仕組みで、数は限られます。

「同じ仕事をしていたから通る」は、ここでは成り立ちません。介護福祉士であること、養成研修の修了証があること、共生型の事業所であることのいずれかです。この3つのどれかに当てはまる必要があります。

なお、障害福祉の実務経験が別の制度でどう扱われるかは、この記事の範囲外です。介護福祉士の受験資格や実務者研修の一部免除については扱いません。

ユイカ(副業初心者)
ぶっちゃけ、求人サイトに「無資格OK」ってよく書いてあるんですけど…あれは嘘なんですか?

リンク(運営者)
嘘ではないです。介護保険の外か、市町村の事業の話なんですよ。制度が3層に分かれているので、そこを先に見分けます。

無資格で入れるのは介護保険の外です

介護保険の訪問介護、総合事業の訪問型サービスA、保険外の家事代行で必要な資格を比べた図

「無資格でも介護の副業ができる」という説明は、半分正しく、半分は別の制度の話です。

介護保険の訪問介護に無資格で入ることはできません。ここまで見た条文がそれを閉じています。一方で、無資格で始められる在宅支援の仕事は実際にあります。制度が3つの層に分かれているからです。

層 根拠 資格
介護保険の訪問介護(総合事業の現行相当を含む) 介護保険法第8条第2項・施行令第3条 介護福祉士または養成研修修了者
総合事業の訪問型サービスA 市町村が定める基準 市町村が定める研修など
総合事業の訪問型サービスB・D 市町村が定める基準(住民主体・移送前後の支援) 国は資格要件を定めていない
保険外の家事代行 — 資格の定めなし

どの層で働くかで、必要なものと単価と、任される行為が変わります。求人票を読むときは「介護保険か、総合事業か、保険外か」を最初に見てください。ここを取り違えると、研修選びからずれます。

訪問型サービスBは住民主体の自主活動として行う生活援助等、Dは移送前後の生活支援です。国は従事者の資格要件を定めていません。有償ボランティアとしての関わりが想定されている枠で、週に1回だけ動きたい人の入口になります。ただし報酬の水準は、副業の収入として設計されているものではありません。

保険外の家事代行については、家事代行の副業の記事で登録から手取りまでまとめています。

訪問型サービスAの基準は市町村が決めます

総合事業の訪問型サービスAは、国が全国一律の要件を決めていません。

介護予防・日常生活支援総合事業には、訪問型のサービスがいくつか並びます。厚生労働省の「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」が示す類型を整理します。

類型 サービス内容
訪問介護(現行相当) 訪問介護員による身体介護、生活援助
訪問型サービスA 生活援助等(人員等を緩和した基準)
訪問型サービスB 住民主体の自主活動として行う生活援助等
訪問型サービスC 保健師等による居宅での相談指導等
訪問型サービスD 移送前後の生活支援

同じ資料は、市町村の役割についてこう書いています。「市町村はこの例を踏まえて、地域の実情に応じた、サービス内容を検討する」「市町村は、サービスを類型化し、それに併せた基準や単価等を定めることが必要」。

つまり訪問型サービスAの従事者要件は、住んでいる市町村の条例や実施要綱を見るしかありません。たとえば秋田市は、訪問型サービスAで「身体介護」を含まない生活援助サービスのみを提供するとしています。そして有資格者以外が提供者となるには「市が定める一定の研修」の受講が必要だと案内しています。

研修の名前も時間数も市町村ごとに違います。本記事は全国の分布を確認できませんでした。地域包括支援センターか市町村の介護保険担当に、直接聞くのが最短です。

電話1本で済む質問文を置いておきます。


介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型サービスAで
従事者になるために、市が指定している研修の名称と
時間数を教えてください。

市町村の窓口は、この質問にその場で答えられます。研修の申し込みより前に、まずここを埋めてください。

同じ訪問型でも、介護保険を通さない家事代行の条件と比べる

家事代行との違いは届出ではなく資格です

似た仕事を並べると、制度の重さがどこに置かれているかが見えます。

以前まとめたペットシッターの副業では、必要なものは第一種動物取扱業の登録でした。資格は必須ではなく、登録の側に条件が集まっていました。訪問介護は逆です。

仕事 重い側
訪問介護 働く人の資格(法律の定義に組み込まれている)
ペットシッター 事業者の登録(責任者の実務経験が条件)
家事代行 どちらも定めなし(契約と保険で組む)

訪問介護で副業をする場合、事業所の指定はすでに取れています。自分が用意するのは資格の側だけです。ここは他の在宅系の副業に比べて、準備の見通しが立てやすい点です。

一方で、資格は自分の時間で取るしかありません。登録なら書類とお金で進みます。研修は違います。59時間なり130時間なりの時間そのものを差し出すことになります。

報酬は1件ごとに単位で決まります

訪問介護費の身体介護中心と生活援助中心の所要時間区分と単位数を比べた図

時給の背景を知るには、事業所に入る金額から見るのが早いです。

訪問介護の報酬は、厚生省告示第19号の別表で単位数として定められています。訪問介護費の部分を並べます。この告示は令和8年厚生労働省告示第87号で一部改正されています。

区分 所要時間 単位数
身体介護が中心 20分未満 163単位
身体介護が中心 20分以上30分未満 244単位
身体介護が中心 30分以上1時間未満 387単位
身体介護が中心 1時間以上 567単位+30分ごとに82単位
生活援助が中心 20分以上45分未満 179単位
生活援助が中心 45分以上 220単位
通院等乗降介助 1回につき 97単位

1単位あたりの単価は地域区分で変わります。級地によって10円台前半まで上がります。仮に1単位10円とすれば、生活援助45分以上で2,200円が事業所に入ります。本記事が置いた前提での概算です。

ここから事業所の家賃、サービス提供責任者の人件費、保険料が引かれます。2,200円がそのままヘルパーの取り分になるわけではありません。生活援助の区分が2つしかないことも押さえてください。45分と90分で単位数は変わりません。

なお加算の話は別です。処遇改善加算は、この単位数の合計に対して率で掛かります。

ユイカ(副業初心者)
時給1,700円なら、2時間で3,400円ですよね?

リンク(運営者)
そうなるとは限りません。移動や報告書の時間が入るかで変わります。国が通知で線を引いているので、そこを読みます。

求人の時給は1件の単価です

登録ヘルパーの求人で目を引く時給は、拘束時間の単価ではありません。

訪問介護の登録型ヘルパーは、依頼の入った時間に訪問して、終わったら次の家へ向かう働き方です。求人票の「時給1,700円から」という表示は、多くの場合、訪問している時間に対する単価です。

そして1件あたりの時間は短いことが多いです。生活援助なら20分以上45分未満という区分が報酬告示に置かれています。移動が20分入るとどうなるか、簡単な例を置きます。以下は本記事が置いた仮の数字です。

項目 時間
1件目の訪問 45分
移動 20分
2件目の訪問 45分
報告書の作成 10分
拘束の合計 2時間
うち訪問時間 1時間30分

訪問時間だけに単価が付くとすれば、2時間拘束で1時間30分ぶんの賃金になります。単価1,700円なら2,550円で、拘束時間で割ると1,275円です(本記事の計算)。

ここで効いてくるのが、移動時間と報告書の作成時間の扱いです。そして国は、この点について通知を出しています。

夜間は25%、深夜は50%増えます

副業で入りやすい時間帯には、加算がついています。

同じ告示の別表、訪問介護費の注9です。時間帯は条文で定義されています。夜間は午後6時から午後10時まで。早朝は午前6時から午前8時まで。深夜は午後10時から午前6時まで。

夜間(中略)又は早朝(中略)に指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の25に相当する単位数を所定単位数に加算し、深夜(中略)に指定訪問介護を行った場合は、1回につき所定単位数の100分の50に相当する単位数を所定単位数に加算する。

会社員が動けるのは、たいてい平日の夕方以降です。午後6時を過ぎれば夜間加算の時間帯に入ります。本業のあとに入る訪問は、事業所にとって単価の高い訪問になります。

これは交渉の材料になります。日中に人手が足りている事業所でも、夜間に動ける人は足りていないことが多いです。求人票の時給より、入れる時間帯の希少性のほうが効きます。

ただし加算は事業所の報酬に付くものです。自分の時給に反映されるかは賃金規程によります。面談で「夜間の訪問に手当がつくか」を聞いてください。

国は移動時間を労働時間だと書いています

移動時間や待機時間が労働時間に当たる条件を整理したチェックリストの図

移動時間の扱いは、20年以上前に厚生労働省が通知で示しています。

平成16年8月27日の基発第0827001号「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」です。移動時間についての記述を引用します。

移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること。

条件が2つ付いています。使用者が移動を命じていること、そしてその時間の自由利用が保障されていないことです。この2つが満たされれば労働時間になります。

逆に言えば、この条件から外れる時間もあります。訪問の間に長い空きがあり、自宅に帰って自由に過ごしてよいと言われている時間です。同じ「移動」でも、指示と自由度で扱いが変わります。

副業で入るときに確認する質問は1つです。移動時間が賃金の計算に入っているかどうかです。入っていないなら、その理由を聞いてください。

待機と報告書の作成も同じ扱いです

同じ通知は、移動以外の時間についても書いています。

待機時間についての記述です。

待機時間については、使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること。

業務報告書等の作成時間についても同じ整理です。作成が介護保険制度や業務規定等により業務上義務付けられていること、そして使用者の指揮監督に基づき行われることです。この2つで労働時間に当たるとしています。

訪問介護の報告書は、制度上の記録です。自分の覚え書きではありません。制度が義務付けている記録を、指揮監督のもとで書いている時間です。通知の要件に素直に当てはまります。

ここまでを整理します。

時間 労働時間になる条件
移動時間 使用者が移動を命じ、自由利用が保障されていない
待機時間 使用者が待機を命じ、自由利用が保障されていない
報告書の作成 制度や業務規定で義務付けられ、指揮監督に基づく

3つとも「命じられているか」と「自由に使えるか」で判定しています。通知は一貫した基準を置いています。

「いかなる労働時間についても」が効きます

賃金の支払いについて、通知は短く言い切っています。

同じ基発第0827001号の賃金に関する部分です。

賃金はいかなる労働時間についても支払われなければならないものであるので、労働時間に応じた賃金の算定を行う場合は、訪問介護の業務に直接従事する時間のみならず、上記(2)の労働時間を通算した時間数に応じた賃金の算定を行うこと。

移動時間が労働時間に当たるなら、その時間の賃金も支払われなければなりません。通知は最低賃金との比較方法についても定めています。

そして就業規則の作成義務にも触れています。常時10人以上の労働者を使用する場合は就業規則が必要です。そこには短時間労働者も含まれるという整理です。登録ヘルパーも人数に数えられます。

副業で働く側にとって、ここは確認の材料になります。就業規則を見せてもらえるかどうか、そして賃金規程に移動時間の項目があるかどうかです。この2つを初回の面談で聞いてください。

なお本記事は、個別の事業所の運用が適法かどうかを判断する立場にありません。疑問があれば労働基準監督署の相談窓口に相談してください。

面談で聞くのは時給ではありません。この2行です。


移動時間と報告書の作成時間は、賃金の計算に入りますか。
入る場合、1件あたりの単価とは別の単価になりますか。

同じ時給1,700円でも、ここで拘束時間あたりの手取りが変わります。賃金規程の該当条文を見せてもらってください。

移動中の事故は労災です。請求書の1欄で給付額が変わる話を読む

キャンセルには休業手当が要ります

登録ヘルパーの副業でいちばん起きるトラブルが、当日のキャンセルです。

利用者の入院や体調不良で訪問がなくなると、その日はゼロ円になることがあります。基発第0827001号は、この場面を名指しで扱っています。

労働日及びその勤務時間帯が、月ごと等の勤務表により訪問介護労働者に示され、特定された後、労働者が労働契約に従って労働の用意をなし、労働の意思を持っているにもかかわらず、使用者が労働日の全部又は一部を休業させ、これが使用者の責めに帰すべき事由によるものである場合には、使用者は休業手当としてその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないこと(法第26条)。

判断の分かれ目は「使用者の責めに帰すべき事由」があるかどうかです。通知は続けてこう書いています。他の利用者宅での勤務の可能性を十分に検討したかどうかを見ます。代替業務を行わせる可能性を含めて判断するという整理です。使用者として行うべき最善の努力を尽くしたと認められない場合には、休業手当の支払が必要になります。

逆のケースもあります。代替の訪問先を用意された場合や、始業終業時刻の繰上げ繰下げで別の訪問に入れた場合は、休業手当は必要ないとされています。

勤務表で特定されたあとのキャンセルは、無条件にゼロ円ではありません。1日の一部だけ休業した場合も同じです。実際に働いた賃金が1日分の平均賃金の60%に満たなければ、差額の支払いが必要だと通知は書いています。

交通費は賃金ではありません

移動時間の賃金と交通費は、別の話です。混ぜると判断を誤ります。

同じ通知の賃金の章に、こうあります。

訪問介護労働者は、利用者宅に移動することを前提に訪問介護の業務に従事するものであり、通常その移動に要する費用については、事業の必要経費との性格を有し、事業場が実費弁償として支給している旅費、交通費等は、一般的には労働の対償ではないことから賃金とは認められないので、最低賃金額との比較に当たっては、比較対象の賃金額には算入しないこと。

つまり交通費が出ていても、それは賃金の額には数えません。最低賃金を満たしているかの計算からも外れます。

「交通費が出ているから移動のぶんは払われている」という読み方はできません。移動時間の賃金と交通費の実費は、別々に確認してください。

研修の時間も労働時間です

働き始めてからの研修にも、賃金の論点があります。

事業所には、訪問介護員等の研修の機会を確保する義務があります。指定基準第30条第3項です。そして基発第0827001号は、研修時間の労働時間性についても定めています。

研修時間については、使用者の明示的な指示に基づいて行われる場合は、労働時間であること。また、研修を受講しないことに対する就業規則上の制裁等の不利益な取扱いがある場合や研修内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより、本人の業務に具体的に支障が生ずるなど実質的に使用者から出席の強制があると認められる場合などは、たとえ使用者の明示的な指示がなくとも労働時間に該当するものであること。

明示的な指示がなくても、実質的に強制されているなら労働時間です。副業の場合、この時間も本業との通算に入ります。

年次有給休暇についても同じ通知に定めがあります。雇入れの日から6箇月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば付与が必要です。通知は、1箇月ごとの更新を理由に付与しない例を問題として挙げています。登録ヘルパーにも比例付与されます。

自分の車を使うなら確認が2つあります

移動の手段を自分で用意する場合、確認しておく項目があります。

1つは任意保険です。自動車保険には使用目的の区分があります。日常・レジャー使用、通勤・通学使用、業務使用の3区分が一般的です。

区分は使用の頻度で決まります。損害保険会社が公開している案内では、通勤・通学使用と業務使用のいずれも「年間通して月に平均15日以上」を目安にしています。ソニー損害保険の解説は、週に1日か2日程度の業務使用ならこの基準を下回るため、日常・レジャー使用または通勤・通学使用を選べるとしています。

週2回か3回の訪問なら月8日から12日です。この目安には届きません。ただし基準の置き方は保険会社ごとに違います。自分の車やバイクで訪問するなら、証券と保険会社の案内で確認してください。区分と実際の使い方が食い違うと、事故のときに支払いで争いになることがあります。燃料費や駐車料金の負担についても、事業所の規程を先に見ておきます。

もう1つは賠償責任保険です。訪問介護は他人の家の中で作業をします。食器を割る、家電を壊す、調理中に火傷を負わせる、移乗の介助で転倒させるといった事故です。どれも起こりえます。

事業所は事業者としての賠償責任保険に加入しているのが実務上の標準です。ただし、登録ヘルパー個人の過失をどこまで見るかは契約によります。面談で確認する質問はこれです。


訪問中に物を壊した場合や、利用者がケガをされた場合の
賠償はどうなりますか。事業所の保険でカバーされますか。
自己負担が発生する運用になっていますか。

感染症についても同じです。指定基準第31条第3項は、事業所に感染症の予防及びまん延の防止のための措置を義務づけています。委員会、指針の整備、研修及び訓練の定期的な実施が求められる構造です。副業で入る人も、その研修の対象になります。

副業だと労働時間が通算されます

訪問介護の副業には、業務委託型の副業にはない制約があります。

登録ヘルパーは、多くの場合、事業所と労働契約を結ぶ労働者です。パートや非常勤という形になります。すると労働基準法第38条第1項が働きます。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、通算が必要になる場合をこう書いています。ガイドラインは平成30年1月に策定され、令和2年9月と令和4年7月に改定されています。

労働者が、事業主を異にする複数の事業場において、「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、労基法第38条第1項の規定により、それらの複数の事業場における労働時間が通算される

本業で1日8時間働き、その後に訪問介護で2時間働いたとします。通算すると10時間です。法定労働時間の8時間を超える2時間について、割増賃金の問題が生じます。

本業がフルタイムの会社員なら、副業の訪問介護はほぼ全部が法定外労働になります。ここは制度の設計上そうなっています。

通算されない副業とはここが違います

同じガイドラインは、通算されない場合も列挙しています。

通算が不要な場合の記述です。

労基法が適用されない場合(例 フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等)

クラウドソーシングで受ける記事執筆やデザインの仕事は、業務委託契約であれば労働者ではありません。だから通算されません。訪問介護が雇用であることが、そのまま制約になります。

副業の種類による違いを並べます。

副業の形 労働時間の通算
訪問介護の登録ヘルパー(雇用) される
飲食店のアルバイト(雇用) される
クラウドソーシングの業務委託 されない
ネットショップの自営 されない

同じ「月3万円の副業」でも、雇用か業務委託かで労務管理の枠組みが変わります。訪問介護を選ぶなら、本業の勤務先に申告が必要になる可能性が高いと考えてください。

社会保険の加入要件も、週の所定労働時間で判定されます。こちらは副業の社会保険の記事にまとめました。

管理モデルだと割増の払い手が変わります

通算の実務を簡単にする仕組みが、ガイドラインに用意されています。

管理モデルです。ガイドラインの説明を引用します。

副業・兼業の開始前に、当該副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下「使用者A」という。)の事業場における法定外労働時間と時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」という。)の事業場における労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)とを合計した時間数が単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定

割増賃金の支払いについても定めがあります。

使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ割増賃金を支払う

読み替えてみます。あとから契約した訪問介護の事業所が使用者Bです。自分の事業場での労働時間すべてについて、割増賃金を払う形になります。

管理モデルを採っている事業所なら、訪問介護の賃金は最初から割増で計算されることになります。ただし、どの事業所が管理モデルを採っているかは事業所ごとです。面談で確認してください。

2026年6月に処遇改善加算が上がりました

2026年は介護報酬が期中で改定された年です。

厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定について」に資料がまとまっています。概要資料は改定率をこう書いています。

改定率は+2.03%(処遇改善分+1.95%、基準費用額(食費)の引上げ分+0.09%)

賃上げの目標についてはこうです。

介護職員のみならず、介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置

これに上乗せが重なります。生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの措置です。介護職員について最大で月1.9万円(6.3%)の賃上げを目指す設計になっています。

訪問介護の介護職員等処遇改善加算の加算率を並べます。

区分 訪問介護の加算率
加算Ⅰイ 27.0%
加算Ⅰロ(新設) 28.7%
加算Ⅱイ 24.9%
加算Ⅱロ(新設) 26.6%
加算Ⅲ 20.7%
加算Ⅳ 17.0%

告示は令和8年厚生労働省告示第87号です。処遇改善加算の事務処理手順は、令和8年3月13日の老発0313第6号に示されています。

28.7%は時給の上昇率ではありません

処遇改善加算の率が自分の時給に届くまでの4段の構造を示した図

加算率の数字は、そのまま賃金の上昇率ではありません。

処遇改善加算は、事業所が受け取る介護報酬に対して掛かる率です。28.7%というのは、その事業所の訪問介護の報酬に28.7%が上乗せされるという意味です。ヘルパーの時給が28.7%上がるという意味ではありません。

加算で得た額は賃金改善に充てる必要があります。ただし、誰にいくら配るかの設計は事業所が決めます。常勤の介護職員に厚く配る事業所もあれば、登録ヘルパーにも均等に配る事業所もあります。

構造を並べます。

段 決める人
加算率(27.0%〜28.7%など) 国(告示)
どの区分を取るか 事業所
加算の配分方法 事業所(処遇改善計画書)
自分の時給 事業所との労働契約

4段あります。国の数字が自分の時給に届くまでに、事業所の判断が2回入る構造です。

面談で聞くべきことは2つです。加算の区分は届出事項なので、事業所は答えられるはずです。


処遇改善加算は、どの区分を取っていますか。
その加算は、登録ヘルパーの賃金にも配分されますか。

加算Ⅰロの条件はヘルパーが選べません

新設された上位区分には、事業所側の条件が付いています。

令和8年度の特例要件として、訪問通所サービス等ではケアプランデータ連携システムへの加入が求められています。施設サービス等では生産性向上推進体制加算の取得などが条件です。

ケアプランデータ連携システムに入るかどうかは、事業所の意思決定です。ヘルパーの働き方や努力では動きません。

これは求人を選ぶときの見方を変えます。同じ地域の同じ仕事でも、加算Ⅰロを取れている事業所と加算Ⅲの事業所では、事業所に入る報酬が違います。その差が賃金に反映されるかは別の話ですが、原資の厚みには差が出ます。

事業所を選ぶときの観点を整理します。

確認すること なぜ効くか
処遇改善加算の区分 賃金改善の原資の厚みが変わる
登録ヘルパーへの配分 原資が自分に届くかが変わる
移動時間の賃金計算 拘束時間あたりの手取りが変わる
生活援助の依頼の量 59時間で任される仕事量が変わる

時給の数字は、この4つを通り抜けた最後に出てきます。求人票の見出しだけでは判断できません。

2026年10月からカスハラ対策が義務です

2026年の制度変更は、報酬改定だけではありません。

厚生労働省の「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」によれば、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。改正労働施策総合推進法と指針によるものです。

カスタマーハラスメントの定義は3つの要素で組まれています。顧客等の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるもの、という構造です。

そして「顧客等」の範囲に挙げられている施設の例に、福祉施設が明記されています。訪問介護の利用者や家族の言動も、正面から対象に入ります。

義務づけられる措置は5つ挙げられています。方針の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、迅速かつ適切な対応、プライバシーの保護、不利益取扱いの禁止です。

訪問介護は、利用者宅で1対1になる仕事です。同僚が近くにいません。副業で週に数回入るだけの人は、事業所の中で孤立しやすい立場でもあります。面談で「カスハラの相談窓口はどこか」を聞いてください。2026年10月以降は、答えられない事業所のほうが問題になります。

なお指定基準第30条第4項には、これとは別に既存のハラスメント防止措置の義務が置かれています。

ユイカ(副業初心者)
わたし、母の介護をきっかけに考えてたんですけど…

リンク(運営者)
分かります。ここは先に知っておいたほうがいい話です。同居だと、省令が閉じています。理由も含めて説明しますね。

自分の同居家族には提供できません

介護の経験を仕事にしたい人が、最初に突き当たる禁止規定があります。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第25条です。

(同居家族に対するサービス提供の禁止)
第二十五条 指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に、その同居の家族である利用者に対する訪問介護の提供をさせてはならない。

見出しのとおりです。自分の同居の家族に対して、訪問介護として提供することはできません。事業所の側が「させてはならない」と書かれているので、本人が希望しても通りません。

親の介護をきっかけに資格を取る人は多いはずです。その親が同居なら、資格を取っても自分の親には訪問介護として入れません。ここは先に知っておく価値があります。

なお条文は「同居の家族」と書いています。別居の家族についてはこの条文の対象外です。ただし運用上の扱いは自治体の指導によるところがあるため、事業所に確認してください。

医行為でない行為は通知で列挙されています

やっていいことの境目も、通知で線が引かれています。

平成17年7月26日の医政発第0726005号は、医師法第17条などの解釈を示した通知です。医業の定義を引用します。

医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと

そのうえで、原則として医行為ではないと考えられる行為を列挙しています。体温計による体温計測、自動血圧測定器による血圧測定、パルスオキシメータの装着があります。ほかに軽微な切り傷等への処置、一定の条件下での医薬品使用の介助などです。爪切り、口腔の清拭、耳垢の除去などについても、条件付きで整理されています。

重要なのは、この通知が「原則として」と限定を付けている点です。病状が不安定なときは医行為となりうるとされています。異常値の報告義務や、看護職員との連携の必要にも触れられています。

生活援助中心型で入る場合、身体に触る行為はそもそも業務範囲外です。それでも訪問先で「爪を切ってほしい」と言われる場面は起こります。判断は自分でせず、サービス提供責任者に連絡してください。

常勤換算2.5とサービス提供責任者の話

事業所側の人員基準を知っておくと、シフトの決まり方が読めます。

省令第5条第1項です。

指定訪問介護の事業を行う者(以下「指定訪問介護事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定訪問介護事業所」という。)ごとに置くべき訪問介護員等(中略)の員数は、常勤換算方法で、二・五以上とする。

常勤換算方法は同じ省令の第2条第8号に定義されています。従業者の勤務延時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で除する方法です。

登録ヘルパーの勤務時間は、この2.5の計算に足し込まれます。だから事業所は、登録ヘルパーの稼働時間を常に把握しておく必要があります。シフトの申告が厳しく求められる理由の1つがここです。

サービス提供責任者については、第5条第2項が利用者40人ごとに1人以上と定めています。第4項はその要件です。

第二項のサービス提供責任者は介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事するものをもって充てなければならない。

「専ら」と書かれています。サービス提供責任者は、副業として片手で務める役職ではありません。「厚生労働大臣が定める者」の中身は告示で定められていて、あとの章で扱います。

第5項には緩和規定もあります。条件は3つあります。常勤のサービス提供責任者を3人以上配置すること、主として従事する者を1人以上置くこと、業務が効率的に行われていることです。これを満たせば50人ごとに1人以上とすることができます。

サービス提供責任者は告示で決まっています

サービス提供責任者の要件は、告示で特定できます。

省令第5条第4項の「厚生労働大臣が定める者」には告示があります。平成24年3月13日の厚生労働省告示第118号「厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者」です。3号あります。

号 定められている者
一 社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第2号の指定を受けた学校又は養成施設において1月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を習得した者
二 改正前の介護保険法施行規則第22条の23第1項に規定する介護職員基礎研修課程又は一級課程を修了した者
三 障害福祉サービスの基準第5条第2項に規定するサービス提供責任者(共生型訪問介護の提供に当たる者に限る)

3号のどこにも、介護職員初任者研修課程と生活援助従事者研修課程の修了者は入っていません。介護福祉士は省令の本文に書かれています。

59時間でも130時間でも、サービス提供責任者には届きません。「専ら」という要件の手前に、資格の壁があります。

副業から本業へ、という道筋を考えるなら、順路は決まってきます。生活援助従事者研修から初任者研修に進み、そこから実務者研修に進みます。実務者研修を修了すれば、初任者研修課程は全科目免除の対象になります。介護福祉士の受験資格については、本記事では扱いません。

申し込む前に確認する3つのこと

研修の申し込みは、質問を3つ済ませてからにしてください。

1つめ:生活援助の依頼量

自分が働きたい事業所で、生活援助の依頼がどれくらいあるかを聞きます。59時間の課程で任されるのは生活援助中心型です。身体介護中心の事業所なら、130時間を選ぶほうが早く回収できます。

2つめ:移動時間と報告書の扱い

移動時間と報告書の作成時間が賃金の計算に入るかを確かめます。基発第0827001号の条件に当てはまる時間なら労働時間です。ここが入るかどうかで、拘束時間あたりの手取りが変わります。

3つめ:加算の区分と配分

処遇改善加算の区分と、登録ヘルパーへの配分の有無を聞きます。2026年6月から加算率が上がりました。原資が厚くなっても、配分の設計は事業所が決めます。

質問 聞く相手
生活援助の依頼量 応募先の事業所
移動時間・報告書の賃金計算 応募先の事業所
処遇改善加算の区分と配分 応募先の事業所
訪問型サービスAの研修名と時間数 市町村または地域包括支援センター
研修の演習日と振替ルール 研修の実施機関
夜間の訪問に手当がつくか 応募先の事業所
当日キャンセル時の扱い(休業手当・代替訪問) 応募先の事業所
カスタマーハラスメントの相談窓口 応募先の事業所
初任者研修の免除(59時間ぶんの読み替え) 都道府県または実施機関

順番が大事です。研修を先に申し込むと、修了後に「その仕事はうちにはない」と言われることがあります。

この記事が扱わない3つのこと

書ける範囲と書けない範囲を先に置きます。

1つめは金額です。研修の受講料、事業所の時給、1件あたりの単価のことです。いずれも公定価格がありません。出典をたどれない民間の数値を並べても、読んだ方の判断材料にはなりません。

2つめは個別の事業所の運用の適法性です。移動時間の扱いに疑問があるとき、それが違法かどうかは事実関係の認定を伴います。本記事は判断する立場にありません。労働基準監督署の相談窓口に相談してください。

3つめは制度の見直しの行方です。要介護1・2の訪問介護を総合事業へ移す議論は、社会保障審議会で繰り返し取り上げられてきた論点です。2026年9月時点でも、介護給付費分科会で令和9年度改定に向けた意見交換が続いています。結論が出ていない議論を予測として書くことはしません。

税金の側については別にまとめてあります。年間の所得が出たら副業の確定申告のやり方を読んでください。勤務先への伝わり方が気になる方は副業が会社にバレない方法を読んでください。

ユイカ(副業初心者)
やることが多くて、どこから手をつければ…

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結論、研修の申し込みは最後です。先に電話を2本かけてください。順番を並べておきますね。

今日やること

訪問介護の副業を始めるまでの5つの手順を示した図

動く順番を決めておきます。

1つめ:市町村に電話する

自分の市町村の介護保険担当に電話して、訪問型サービスAの従事者研修の名称と時間数を聞きます。無資格のまま最短で入れる道があるかどうかが、ここで分かります。

2つめ:事業所に聞く

通える範囲の訪問介護事業所を2、3軒調べて、生活援助の依頼量と、移動時間の賃金計算について聞きます。研修より先にこちらです。

3つめ:課程を決める

生活援助でよいと決めたら生活援助従事者研修課程を探します。身体介護まで担うなら介護職員初任者研修課程です。都道府県が指定した研修であることを確認してください。指定を受けた研修でなければ、修了証が施行令第3条第1項第1号の要件を満たしません。

指定を受けた事業者の一覧は、各都道府県が自分のサイトで公開しています。「○○県 介護員養成研修 指定事業者」で検索すると見つかります。実施機関のサイトではなく、県のページで確認してください。

4つめ:就業規則を見る

本業の就業規則で、副業の届出の要否を確認します。訪問介護は雇用なので労働時間が通算されます。申告が必要になる可能性は高いと考えてください。

5つめ:同居家族を外す

同居の家族を対象にするつもりだったなら、ここで計画を変えます。省令第25条が閉じています。

よくある質問

Q1. 無資格でも訪問介護の副業はできますか

介護保険の訪問介護はできません。介護保険法第8条第2項が、訪問介護を「介護福祉士その他政令で定める者」による世話と定義しています。無資格で始められるのは、市町村の総合事業の訪問型サービスA(市町村が定める研修が必要な場合が多い)、訪問型サービスB・D(国は資格要件を定めていません)、または介護保険を通さない保険外の家事代行です。

Q2. いちばん短い研修はどれですか

介護保険の訪問介護に入る道では、生活援助従事者研修課程の59時間です。介護保険法施行規則第22条の23が、研修の課程を介護職員初任者研修課程と生活援助従事者研修課程の2つと定めています。総合事業の訪問型サービスAなら、市町村が定める研修がこれより短い場合があります。

Q3. 59時間の研修で身体介護もできますか

できません。生活援助従事者研修の対象者は、通知で「生活援助中心型のサービスに従事しようとする者」とされています。さらに報酬告示(平成12年厚生省告示第19号)の別表・訪問介護費の注2は、身体介護が中心である場合の単位を算定できる者を介護福祉士・介護職員初任者研修課程の修了者・施行令第3条第1項第2号の者に限っています。生活援助従事者研修の修了者は入っていません。

Q4. 初任者研修と生活援助従事者研修で、どの科目が違いますか

差は71時間で、そのうち51時間が「こころとからだのしくみと生活支援技術」の1科目から出ています(75時間から24時間へ)。一方で「介護におけるコミュニケーション技術」の6時間と「障害の理解」の3時間は、どちらも1時間も減っていません。この計算は本記事が老振発0328第9号の別表の数値から行ったものです。

Q5. 生活援助従事者研修から初任者研修に進むとき、時間は免除されますか

免除の枠組みが国の通知にあります。老振発0328第9号は、生活援助従事者研修・入門的研修・認知症介護基礎研修・訪問介護に関する三級課程の修了者について、別添2の対照関係を踏まえて「各都道府県の判断により、介護職員初任者研修課程の一部を免除することができるものとする」と定めています。免除の運用は都道府県と実施機関によるため、申込前に確認してください。

Q6. 研修はどれくらいの期間で終わりますか

課程によって違います。施行規則第22条の27は、介護職員初任者研修課程を第1号イで「修業年限は、おおむね八月以内であること」、生活援助従事者研修課程を第2号イで「修業年限は、おおむね四月以内であること」と定めています。130時間を8か月で割ると月平均16時間前後、59時間を4か月で割ると月平均15時間前後です(いずれも本記事の概算)。実際の日程は実施機関のコース設定によります。

Q7. 研修は通信で受けられますか

一部は可能です。施行規則第22条の24第2項は「講義は、通信の方法によって行うことができるものとする」としつつ、添削指導や面接指導等の措置を併せて講じなければならないと定めています。演習は通信に置き換えられません。

Q8. 修了試験は難しいですか

老振発0328第9号は、修了評価を筆記試験により実施するとし、初任者研修は1時間程度、生活援助従事者研修は0.5時間程度としています。評価の水準については、列挙・概説・説明できるレベルを想定するとされています。難易度の実感は実施機関ごとに異なるため、本記事は判断しません。

Q9. 障害福祉のヘルパー経験があれば、介護保険の訪問介護に入れますか

共生型居宅サービスに限られます。施行令第3条第1項のただし書きは「訪問介護に係る共生型居宅サービス以外の訪問介護については、第一号に掲げる者とする」と定めています。第2号の障害福祉ルートは、共生型以外では使えません。

Q10. 求人の時給が高いのに手取りが少ないのはなぜですか

多くの場合、時給は訪問している時間に対する単価です。移動時間や報告書の作成時間が賃金の計算に入らない設計だと、拘束時間あたりの金額は下がります。ただし基発第0827001号は、使用者が移動を命じ自由利用が保障されていない時間は労働時間に該当するとしています。賃金規程を確認してください。

Q11. 移動時間の賃金が払われていない場合はどうすればいいですか

まず賃金規程と就業規則で、移動時間がどう扱われているかを確認してください。通知の条件に当てはまるのに賃金の計算に入っていないと考えられる場合は、労働基準監督署の相談窓口に相談できます。本記事は個別の事案の適法性を判断する立場にありません。

Q12. 本業が会社員でも訪問介護の副業はできますか

制度上は可能です。ただし訪問介護は雇用なので、労働基準法第38条第1項で本業と労働時間が通算されます。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、労基法の労働時間規制が適用される労働者に該当する場合に通算されるとしています。本業の就業規則で届出の要否を確認してください。

Q13. クラウドソーシングの副業とは扱いが違いますか

違います。同じガイドラインは、通算が不要な例としてフリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等を挙げています。業務委託であれば通算されません。訪問介護は雇用契約なので通算されます。

Q14. 2026年6月の加算引き上げで時給は上がりますか

加算率は事業所が受け取る介護報酬に掛かる率です。訪問介護の介護職員等処遇改善加算は加算Ⅰイ27.0%、加算Ⅰロ28.7%、加算Ⅱイ24.9%、加算Ⅱロ26.6%、加算Ⅲ20.7%、加算Ⅳ17.0%です。加算で得た額は賃金改善に充てる必要がありますが、配分の設計は事業所が決めます。時給が同じ率で上がるわけではありません。

Q15. 加算Ⅰロを取っている事業所を選んだほうがいいですか

原資は厚くなります。令和8年度の特例要件として、訪問通所サービス等ではケアプランデータ連携システムへの加入が求められています。これは事業所側の条件で、ヘルパーの働き方では動きません。ただし原資が厚いことと自分の時給が高いことは別なので、配分の方法も併せて聞いてください。

Q16. 自分の親の介護を仕事にできますか

同居している場合はできません。指定居宅サービス基準第25条が「指定訪問介護事業者は、訪問介護員等に、その同居の家族である利用者に対する訪問介護の提供をさせてはならない」と定めています。別居の家族はこの条文の対象外ですが、運用上の扱いは事業所に確認してください。

Q17. 訪問先で爪を切ってほしいと言われたらどうしますか

自分で判断せず、サービス提供責任者に連絡してください。医政発第0726005号は爪切り等を条件付きで整理していますが、「原則として」という限定が付いており、病状が不安定なときは医行為となりうるとされています。生活援助中心型で入っている場合は、そもそも業務範囲外です。

Q18. 大掃除や庭の草むしりも頼まれますか

頼まれることはありますが、生活援助には含まれません。草むしり、花木の水やり、ペットの世話は「訪問介護員が行わなくても支障がない行為」に、大掃除、窓ガラス磨き、床のワックスがけは「日常的な家事の範囲を超える行為」に整理されています。保険外の自費サービスとして別契約で受けている事業所もあるので、どちらの枠かを確認してください。

Q19. 当日キャンセルになったら、その日は無給ですか

勤務表で労働日と勤務時間帯が特定されたあとのキャンセルなら、無条件に無給ではありません。基発第0827001号は、使用者の責めに帰すべき事由による休業なら平均賃金の100分の60以上の休業手当が必要だとしています。ただし代替の訪問先を用意された場合などは支払いが不要とされています。賃金規程を確認してください。

Q20. 交通費が出ていれば、移動のぶんは払われていますか

別の話です。同じ通知は、実費弁償として支給される旅費・交通費等を「一般的には労働の対償ではないことから賃金とは認められない」とし、最低賃金額との比較にも算入しないとしています。移動時間の賃金と交通費の実費は、別々に確認してください。

Q21. 夜しか動けませんが、不利になりませんか

報酬の上では逆です。報酬告示の別表・訪問介護費の注9は、夜間(午後6時から午後10時)と早朝(午前6時から午前8時)に1回につき所定単位数の100分の25、深夜(午後10時から午前6時)に100分の50を加算すると定めています。事業所にとっては単価の高い訪問になります。ただし自分の手当に反映されるかは賃金規程によります。

Q22. 入門的研修を受ければ訪問介護で働けますか

働けません。厚生労働省の「入門的研修の概要」に「入門的研修を受講しても訪問介護員として従事することはできない」と明記されています。21時間のカリキュラムで、施行規則第22条の23が定める研修の課程には入っていません。ただし初任者研修と生活援助従事者研修課程の一部免除の対象になります。

Q23. 利用者やご家族からの理不尽な言動には対策がありますか

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。厚生労働省の資料は「顧客等」の範囲に福祉施設の利用者を挙げています。義務の内容は、方針の明確化及び周知・啓発、相談体制の整備、迅速かつ適切な対応、プライバシーの保護、不利益取扱いの禁止などです。面談で相談窓口を確認してください。

Q24. 登録ヘルパーはシフトを自由に決められますか

事業所との取り決めによります。ただし事業所は、訪問介護員等の員数を常勤換算方法で2.5以上に保つ必要があります(省令第5条第1項)。登録ヘルパーの稼働時間もこの計算に入るため、勤務予定の申告は厳しく求められる傾向があります。

Q25. 将来サービス提供責任者になれますか

届きません。省令第5条第4項は、サービス提供責任者を「介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者であって、専ら指定訪問介護に従事するもの」と定めています。この「厚生労働大臣が定める者」は平成24年厚生労働省告示第118号で3号定められていますが、そのいずれにも介護職員初任者研修課程・生活援助従事者研修課程の修了者は入っていません。介護福祉士か、実務者研修を経た道を通ることになります。

まとめ

訪問介護の副業は、130時間という数字から入ると遠くに見えます。

介護保険法施行規則第22条の23は、研修の課程を2つ定めています。介護職員初任者研修課程の130時間と、生活援助従事者研修課程の59時間です。生活援助中心型に限れば、59時間で訪問介護員等になれます。

そして削られた71時間の中身が、任される仕事の範囲をそのまま説明しています。51時間、つまり約72%が「こころとからだのしくみと生活支援技術」の1科目から出ました。身体に触る技術です。一方で「介護におけるコミュニケーション技術」と「障害の理解」は1時間も減っていません。国は、生活援助だけを担う人からも、話を聞く技術と相手を理解する枠組みを省きませんでした。時間数の差を科目ごとに並べたときに、いちばん腑に落ちたのがこの2つのゼロでした。

無資格で入りたいなら、道は介護保険の外にあります。市町村の総合事業の訪問型サービスA、住民主体のB、移送前後のD、そして保険外の家事代行です。いずれも基準は市町村が決めるので、全国共通の答えはありません。電話1本で確認できます。

なお21時間の入門的研修では、訪問介護員として従事できません。厚生労働省の資料に明記されています。ただし初任者研修と生活援助従事者研修の一部免除の対象になります。59時間も同じで、初任者研修に進むときの読み替えの根拠が国の通知にあります。先に59時間を取っても、その時間は捨てになりません。

手取りの読み方も、時給の数字だけでは足りません。基発第0827001号は、使用者が命じ自由利用が保障されていない移動時間を労働時間に当たるとしています。そして「賃金はいかなる労働時間についても支払われなければならない」と書いています。待機時間と報告書の作成時間も同じ枠組みです。拘束2時間で訪問1時間30分という日が続くなら、この差は月単位で効いてきます。

そして訪問介護は雇用です。労働基準法第38条第1項で本業と労働時間が通算されます。業務委託の副業とは、ここが決定的に違います。

キャンセルの扱いも同じ通知に書かれています。勤務表で労働日と勤務時間帯が特定されたあとの話です。使用者の責めに帰すべき事由で休業させたなら、平均賃金の100分の60以上の休業手当が必要になります。交通費は逆に賃金ではありません。移動時間の賃金と交通費の実費を、混ぜて読まないでください。

2026年6月には処遇改善加算が上がり、訪問介護は最大28.7%になりました。ただしこれは事業所が受け取る報酬に掛かる率で、時給の上昇率ではありません。国が率を決め、事業所が区分を選び、事業所が配分を決め、最後に自分の労働契約が来ます。4段のうち2段は事業所の判断です。

そして2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります。厚生労働省は「顧客等」の範囲に福祉施設の利用者を挙げています。利用者宅で1対1になる仕事です。週に数回だけ入る立場なら、相談窓口の有無は時給より先に確認する項目になります。

最後に1つあります。親の介護をきっかけに資格を取ろうとしている方は、省令第25条を先に読んでください。同居の家族には、訪問介護として入れません。それでも隣の家の誰かには入れます。59時間は、その隣の家までの距離です。

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